本城和貴 執念が生む粘りのテニス
本城和貴(政経1=東山)はテニスの名門、東山高校で1年次からインターハイに出場し、3年次の国体では3位に輝いた。数々の大会で入賞を果たしてきた本城だが、日本一になったことはない。舞台を大学に移し、まだ見ぬ学生日本一の座を狙う。
転機
「忘れられない試合がある」。高1夏のインターハイ。1―1で迎えた団体戦1回戦の勝敗は、3番手の本城に託された。本城が敗れれば敗退。今までにない緊張の中3点差でアドバンテージを奪われ後がなくなった。頭が真っ白になった本城がふと後ろを向くと、そこには声を張り上げて応援する先輩たちの姿。「これで負けたら3年生は引退。だからこそ絶対に勝ちたい」。その想いを力に変えた。土壇場の3連取で追い付きそして逆転。本城の粘りがチームに勝利をもたらした。応援が力に変わる、そう強く感じた一戦だった。
その試合を機に、日頃の練習から「チーム」を意識するようになった。「個人戦で勝つよりも団体戦で勝つことのほうがうれしい」と話す本城は、大学でも人一倍チームを大事にしている。
執念
大学入学直後、本城の胸には不安と焦りがあった。レベルの高さに圧倒され足がすくんだ。「自分の思うようにいかなかった」と5月の関東学生トーナメントは初戦敗退。そんな本城を奮い立たせた言葉がある。「汝狭き門から入れ」。高校時代、伸び悩んだ時期に羽谷隆監督に掛けられた聖書の言葉だ。険しい道を選ぶ方が自分を鍛えることができる。そう考えることで前向きになれた。8月のインカレでは「自信を持ってやれている」と成長を実感。一回り大きくなった本城の活躍に一層期待が懸かる。
精神力が武器だ。誰より諦めることを嫌うのはテニス未経験の母親。「技術に関しては何も言わないが、弱気を見せると叱られた」。その教えは今でも本城の土台となっている。「追いかける試合展開は苦でない。むしろ得意」と語る本城の持ち味は粘り強さ。リードされても相手を乗らせない。じわりじわりと追い上げ終盤のチャンスを物にする。
高校時代、全国の舞台で好成績を残してきた本城だが頂点に立ったことは一度もない。「汝狭き門から入れ」。この言葉を胸に、粘りのテニスで日本一を狙う。
◆本城和貴 ほんじょうかずたか 政経1 東山高出 182㎝・72kg
[星川裕也]
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