藤本が意地の2発! 順大に2-0で快勝/関東大学1部リーグ戦

2015.09.19
藤本が意地の2発! 順大に2-0で快勝/関東大学1部リーグ戦

 2発無失点の快勝だ。前節早大に敗れ「絶対に連敗は絶対にしてはいけなかった」(藤本佳希・文4=済美)と臨んだ順大との一戦。前半41分に和泉竜司主将(政経・4=市立船橋)の落としを藤本が決めて先制。後半26分にはDFラインの裏に抜け出した藤本が2点目を奪って勝負を決定づけると、順大の猛攻を守備陣が要所を締めてシャットダウン。天皇杯でJ1・ヴァンフォーレ甲府を苦しめた順大を相手に、攻守が噛み合った明大らしいサッカーで勝ち点3を積み上げ、再び上位争いに食い込んだ。

 飢えていたモンスターが久々の大暴れだ。スコアレスでの折り返しが見えてきた前半41分、左サイド瀬川祐輔(政経4=日大二)のアーリークロスをペナルティエリア内で和泉がコントロール。食い下がるDFを引き付けた和泉のヒールパスに反応した藤本が「コースに打つだけだった」と左足を振り抜き先制点を挙げる。後半26分には道渕諒平(農3=ベガルタ仙台ユース)の縦パスに藤本が抜け出すと「イメージ通り」にGKをかわして2点目をゲット。リーグ戦では第7節以来ゴールから遠ざかっていた藤本の2ゴールが勝負を決めた。
 明大らしさが凝縮された2ゴールだった。この日再三見られていたのは3人目の動き出し。「前の選手に当たったあとに、ワンタッチでサポートする練習もしていた」(藤本)との言葉通り、キープ力のある和泉、藤本を起点に中盤の選手が積極的な上がりを見せた。豊富な運動量で多くの選手がボールに関わる流動的な攻撃が、総失点数15と堅守を誇る順大を苦しめた。グループでの崩しからの2得点に「個人としてもチームとしても次につながる良いゴールだった」と藤本。得点王を狙うストライカーが再び量産体制に入った。

 大黒柱の復帰が勝利を導いた。故障による長期離脱から復帰を果たし、リーグ戦第1節以来の出場となったDF山越康平(法4=矢板中央)。「いろいろな人にサポートしてもらって復帰することができたので、その感謝の気持ちをピッチで表現したいと思っていた」とゲームに入った山越が圧倒的な存在感を放った。大学屈指の競り合いの強さとゴール前での体を張ったブロックで、順大の前に文字通り壁として立ちはだかり無失点勝利に大きく貢献。「期待以上の働きをしてくれた」と栗田大輔監督も納得のプレーを披露した。 
 精神面でも大きくチームを支えた。セットプレーの守備では勝負どころを見極めチームを鼓舞する声を張り上げた。クロスへの対応が課題となった前節から守備陣を統率し修正。CBのコンビを組んだ小出悠太(政経3=市立船橋)も「ヘディングや裏の対応、1対1という部分では今日あらためてやってみて安定感があるなと思った」。復帰戦で圧倒的な存在感を放った頼れる男が今後の躍進のカギを握る。

 優勝争いに踏みとどまった。「ここで負けると優勝争いが厳しくなるので、今日はそこがターニングポイントと見ていた」(和泉)。代名詞である攻守におけるハードワークで勝利をつかんだ。次節の相手は天皇杯出場から波に乗る桐蔭横浜大。「個人の力もあるので、受け身にならず勝つことだけを考えて準備していきたい」と藤本。逆転優勝への狼煙(のろし)を上げた勢いそのままに、次節でも貪欲に勝ち点3を狙う。

★バースデー勝利★
今日9月19日は栗田監督の45歳の誕生日。「試合前に栗田監督の誕生日を知って、勝って水をかけようと話をしていた」と山越。誕生日での快勝に栗田監督は「選手たちが良いプレゼントをくれた」と笑みを浮かべた。

[鈴木拓也]

日付 対戦相手 会場 キックオフ時間 スコア
◆第89回関東大学サッカーリーグ戦 後期日程◆
(スコアをクリックすると試合の記事にリンクします)
9・6(日) 駒大 ひたちなか 13:50 ○1-0
9・13(日) 早大 味フィ西 13:50 ×1-2
9・19(土) 順大 たつのこ 11:30 ○2-0
9・26(土) 桐蔭横浜大 フクアリ 11:30
10・3(土) 神大 千葉東総 11:30
10・10(土) 法大 国士大G 13:50
10・17(土) 国士大 江戸陸 13:50
10・25(日) 流経大 古河 11:30
11・31(土) 中大 味フィ西 11:30
10 11・8(日) 専大 味スタ西 11:30
11 11・14(土) 慶大 川越 13:50
※9月19日時点

順位 チーム名 勝点 総得点 総失点 得失点差
◆順位表◆
【第14節暫定】
早大 27 16 13
国士大 24 28 15 13
慶大 23 23 15
法大 22 22 19
明大 21 21 19
流経大 20 16 12
順大 18 17 15
専大 17 16 14
駒大 17 18 21 ―3
10 桐蔭横浜大 12 14 26 -12
11 中大 11 18 32 -14
12 神大 10 17 -8

試合後のコメント
栗田監督

「(今日のゲームへの意気込みは)一喜一憂せずにきちんと目標とする勝ち点3を取るという意識で臨んだ。選手たちは非常に落ち着いてやってくれて、良いゲームだったと思う。(再び上位争いに入り込んだが)まだまだ成長するチームだと思うから、そういう意味では満足せずにまた次の試合につなげていきたい。(山越、差波といった復帰選手に期待したことは)山越はプロ入りを決めている選手だし、久しぶりにピッチに戻ってきたので自信を持ってやってほしいと思っていた。期待以上の働きをしてくれたと思う。差波に関しても自分自身の課題を解決して、ピッチに帰ってきてくれて良いプレーをしてくれたと思う。運動量も多かったし、精度の高いパスも見せてくれたので非常に良かった。前にいく意識が出ていて、試合の中でチャレンジしていたと思う。(流れが悪い時間帯を耐え切った要因は)相手にボールを持たれてもストレスを感じずに、ゴールを中心に守るということが統一されていた。最後の部分でやらせていなかったし、順大の得意な展開に持ち込ませなかったのが良かった。苦しい時間帯を自分たちのリズムで乗り越えて、選手たちがうまくコントロールしてくれた。(今節での勝利は)もちろん一戦一戦が大事だが、この試合で勝つか負けるかで大きく変わったので重要な勝利になったと思った。まだまだできると思うので、次節に向かって頑張っていきたい」

和泉
「全体的に自分たちのやるべきことをやれていたし、もう少し点は取れたかなと思うけど、全体を通して安定していた試合だった。佳希(藤本)との関係も、そこが起点にならないと、いかに得点に絡むかという部分が重要になってくる。佳希が今日は2点決めたし、よかったと思う。僕と佳希は、絶対にボールを取られてはいけないという意識でやっているし、得点を取ることが仕事だけどそれ以外でも起点となりたい。2トップがボールを持てれば、周りが上がってくる時間もできて攻撃に厚みができる。そこは意識的に、苦しい時間や、DFがボールを持った時に苦しい状態だったらしっかりキープしようというのは話していた。京に関しては、個で上回っていた結果かなと。やっぱり個が大事になってくるというのは改めて確認できた。最後は個で打開して、そこから関わりやつながりというものが出てくる。この力が強い選手が多いので、つながりやサポートに入るということがあるけど、一人で失ってはいけないし、ミスしてはいけない。そこを前提として、練習でやっているつながりやゴールからの意識をやっていけば今日みたいな勝ちになる。まずはしっかり個では負けないことが大事。僕たちは明治代表として試合に出るので、それだけのプレーをしなければならない。応援団を見て、そういうのも受け取っている。ここで負けると優勝争いが厳しくなるので、今日はそこがターニングポイントと見ていた。今日の試合勝てたのは大きいけど、この勝ちをつなげないと意味がなくなるの、そこに向けて毎日100%自分たちの力を出して、やるだけ」

差波優人(商4=青森山田)
「勝てたことが一番良かったと思うし、その中で前の取るべき選手である佳希(藤本)が取ってくれたというのがすごく良かった。リーグ戦で連敗は厳しいし何としても連敗だけは避けたかったので、そこはチームで勝とうと話していたので今日勝てて良かった。(実力が拮抗している中で失点しなかった要因は)服部中心に後ろが守ってくれたということもあるし、その中でチームとしての守備意識が苦しい時間でも続いたのが0で抑えられた要因かなと思う。ラストパスの精度だったり言い出せば多く挙げられると思うけれど、最近チームとしてこだわっているのはラストの精度とかペナルティエリアの中に入る枚数だったり、できるだけ多く点数に直結させるための準備、少しでも可能性を上げるために枚数や精度を上げるというところがチームで今浸透しつつある。(次節は桐蔭横浜大との試合になるが)簡単な試合は一つもないし優勝争いするには一つ勝って勝ち点3を積み上げることが大事だと思うので、相手どうこうというよりはまず勝つために何ができるかというのを一週間しっかり準備してそこから今日勝ったので連勝できるようにいい準備していけたらいいかなと思う」

瀬川
「明治らしいサッカーができた。決定機を2度外したのは反省点。でも、前期は試合出られなかった理由は仕掛けの部分なので、そこが長所だという部分を再確認できたのでよかった。常に自分の間合いでボールを持てている。サイドが脅威になることで中が空く。今日の1点目も縦に見せていたので、相手が縦を切ったからこそ中にいけた。そこで竜司が動き出してくれて、いい得点シーンだったかなと思う。早稲田戦が相手のゲームで自分たちの長所がだせなかったので、その部分で背後を狙っていくという部分が改善できた。明治は個で戦うチームでもあると思うので、そこで負けていたらいけない。今日は全員が勝てたかなと。勝つのは大前提として、個のあるチームに対しては、チームワークが大事になるのかなと。山越が帰ってきたのもあるけど、DFラインが安定して、あまりペナに入らないように意識していた。あとは後半途中からスタッフのも言われたけど、バイタルから守備の時は距離感が遠くならないようにしようという話もあった。距離を近くしてコンパクトに。そうすれば相手の攻撃も怖くなかった。今日は守備でも攻撃でも完勝できた」

藤本
「(今日のゲームを振り返って)立ち上がりも良い感じで入れて、前節できなかったことをやるだけだということを考えていた。前半は自分たちのやりたいことができたし、良い時間で点が取れたので良かった。(リーグ戦では第7節以来のゴールとなったが)そろそろ取らないとやばいと思っていて多少焦りもあったが、なるべく考えないようにしていた。ここで2点取れたのは大きかったと思う。先制点は、最初僕が受けようと思ったが竜司(和泉)にパスが出て、うまくヒールで落としてくれたのであとはコースに打つだけだった。2点目は道渕がドリブルできて、最初受けようと思ったタイミングでは受けられなかったが、動き直したら走っていたとこにボールがきた。イメージ通りにキーパーをかわして決めるだけだった。前の選手に当たったあとに、ワンタッチでサポートする練習もしていたので、今日の2得点は僕個人としてもチームとしても次につながる良いゴールだった。(再び上位争いに入り込んだが)連敗はしてはいけないということは神川総監督からも言われていたし、みんな分かっていたこと。今日の勝利は大きい。相手もうまいので、悪い時間はあると思っていた。やらせるとこやらせないとこを自分たちでコントロールすることができた。(次節桐蔭横浜大戦に向けて)天皇杯にも出ていて、勢いに乗っている。個人の力もあるので、受け身にならず勝つことだけを考えて準備していきたい」

山越
「(今日の試合を振り返って)チームとしては前節負けていて、今日負けたら後がないので絶対に勝たなければいけなかった。個人としては復帰戦で、前期はチームに迷惑を掛けていたのでやってやろうという気持ちで入った。相手は個人技があって中に当てるのがうまいので、それをビデオで見て対策をして今日はそれをうまく封じ込めることができたと思う。(長期離脱からの復帰戦になったが)長い間離脱している時にいろんな人にサポートしてもらって復帰することができたので、その感謝の気持ちをピッチで表現したいと思っていた。復帰戦としては80点くらいだが、まだ体力的にも足りないし、これからどんどん上げていきたい。(今日の勝利が持つ意味は)今日の勝利の重要性は監督も言っていて、リーグ戦は連敗しちゃいけないし、これ以上負けたら優勝はないと思っていたので勝てて良かった。(押し込まれる時間もあったが)押し込まれたが悠太(小出)と話しながら、ここを耐えたら絶対にチャンスが来るからと声を掛け合っていた。(後期3節を終えて)初戦は勝って、次は負けて、今日は勝ったので次節勝って連勝できるかが大事になる。次に向けてやっていきたい」

小出
「今日は山越くんが復帰してきて久々に一緒に組んだけれど、本当にお互いに声掛け合ってしっかり安定して無失点で抑えられたというのは良かった。山越くんのヘディングの強さだったりというのはあらためて認識したし、そういうところを見習ってやっていきたいと思う。ヘディングであったり裏の対応、1対1という部分では今日あらためてやってみて安定感があるなと思った。(今節の位置付けは)リーグ戦の鉄則として2連敗するというのは勝ち点も上と開いてしまうししてはいけないという中での今日だった。順大はいい相手だったのでどうなるかと思ったけれど、立ち上がりいい入りできたのでそういう中でしっかり前半1点取って後半また追加点というところで本当によかったと思う。(勝つための勝負強さとは)決定機に決めるところを決めるとか、危険な相手にとってのチャンスのシーンを体張って止めるとか、ギリギリのゴール前での一対一や球際という面で少しでも上回れば勝つ確率は高くなると思う。(次節は桐蔭横浜大との試合になるが)本当に負けられない試合というのが続いていくと思うので、先のこと考えずに一戦一戦しっかり勝ち点3もぎ取っていくということしかないと思うので、まず守備から自分たちがしっかり無失点ということを目標にして前線の選手が点を取ってくれるのを我慢して待つという感じだと思う。無失点にできる状況だししないといけない。無失点にこだわってしっかりやっていきたい。でもそれにこだわりすぎずに最終的には勝てばいいというメンタルを持ちながら、というところでやりたい」