2艇が優勝 女子エイトは3連覇の偉業達成/全日本選手権

2015.09.14
 4日間にわたって開催された全日本選手権の決勝が行われ、女子シングルスカルと女子エイトで優勝を果たした。女子エイトは3連覇を達成し、明大の名を大会史に刻んだ。また、決勝進出を果たした6艇のうち、5艇が表彰台に上る好成績で4年生のラストレースを締めくくった。

盤石のレース
 憧れの舞台で最高の結果を残した。女子シングルスカルに出場した成瀬歩美(政経1=恵那)は持ち味である力強いこぎを生かし、落ち着いたこぎで優勝をつかんだ。「ミスしてしまった」と苦しいスタートとなるが「相手が視野に入っているうちは抜ける」と焦ることなく冷静にリズムを立て直した。500m付近でトップを抜くと、コンスタントで伸ばしながらラストスパートでさらに引き離し、堂々の優勝。「ほっとしました」と安堵(あんど)の表情を見せた。
 ルーキーでの全日本制覇は快挙だ。インカレでも同種目に出場していた成瀬。インカレでは早大に敗れ2位だったが、そのレースで見つけた課題を短期間でしっかり修正した。「シートを長く、1本を大きく」。準決勝、決勝と危なげないレース運びで大舞台を戦い切った。

圧巻の3連覇
 それぞれが両手を突き上げ、喜びを爆発させた。今大会3連覇が懸かっていた女子エイト。クルーリーダーを務めた山本杏香(文3=浦和一女)は「すごく楽しいレースだった」と笑顔で振り返った。決勝では前半500mからトップに立ち、攻めのレースを展開。一時差を詰められる場面もあったが、1度もトップの座は譲ることはなかった。「チーム力は絶対1番」(山本)と絶えず全員で声を掛け合い最後の1本までクルー一体となってこぎ切った。
 エイトに懸ける思いは強かった。「4年生が笑って終わるためには優勝しかない」。今年は明大の3連覇を阻むべく、他大のエイトへの熱の入れ方が変わっていた。エイトを他の種目と掛け持ちするダブルエントリーの選手が多い明大に対し、他大はエイト1本に懸けるクルー編成で挑んできた。また、練習量も例年に比べ圧倒的に増やしてきていた。「この状況で勝つのは簡単ではないこと。それでもそこで勝つのが明治の力」(山本)。スタートの直前までサポートをしてくれたマネジャーや、一緒に選考を乗り越えた仲間など多岐にわたる女子部の総合力でつかみ取った優勝に、喜びもひとしお。ゴールの瞬間、コックスの里村京香(農2=青森)がマイク越しに叫んだ「やっぱり明治が~?」に、満面の笑顔で全員が答えた「ナンバーワン!」がボートコースに響いた。

 部の底上げが着実に結果につながっている。角久仁夫監督は「1年間うまくいったと思う。これを踏み台にもっともっと良くなる」と期待を寄せる。4年生は今大会で引退し、1週間のオフを経て新体制が始まる。1年間チームをけん引した冨田主将は「後輩の頼もしさを改めて感じた」と目を細めた。頼もしい下級生たちのこれからに、目が離せない。

[箭内桃子]

試合後のコメント
角久仁夫監督

「インカレで辞める人もいるんだけど、今回は出ない人もみんな協力してくれた。4年生は一生懸命やってくれた。なおかつ、キャプテンが世界選手権から帰ってどうしても参加したいと。時差ボケで大変だよ。それでも一生懸命やってくれた。最後に思いは通じたと思うんだよ。彼女を主将に任命したときはオールジャパンで6、7番目だった。そこからずっと来て、今は逆にトップだよ。彼女の練習へのものすごい真剣さに対して、主将という任務、肩書きを与えたら人間的にもっと進歩するんじゃないか、そういう思いがあった。私は一年間上手くいったと思うよ。これを踏み台にして、もっともっと良くなると思う。インカレでも12艇中9艇が決勝に行って底上げができた」

女子舵手なしクォドルプル、女子エイトクルー・冨田主将
「優勝できてうれしいです。他大はエイト1本に懸けたクルーだった中で、3連覇の使命を背負いながら、追われる立場ということもありながらで厳しい環境でしたが勝ててよかったです。苦しい場面もあったんですけど、出よう出ようという気持ちで全員で声を掛けて攻め気で向かって行けました。後輩たちの頼もしさをすごく感じました。クォドは決勝に進められたことは先輩たちから受け継いできたものをつなげられたと思います。ですが早稲田や企業に負けてしまって悔しいです。それでもこの少ない練習の中ここまでこれたことは本当に後輩たちの力が大きいです。後輩たちはまだこの先もあるので私たちの思いを受け継ぎながらも、強くなるために変えるべきところ変えて、インカレ総合優勝や早稲田に勝つといったことを達成してほしいと思います」

女子シングルスカルクルー・成瀬
「ゴールの瞬間は喜びでいっぱいでした。苦しさから解き放った感じで、ほっとしました。スタートでミスしたんですけど、落ち着いてリズムをつくり直して地道に相手を追い詰められました。500m過ぎで抜きました。相手が視野に入っているうちは抜けると思って抜きました。スタートで出られなくてもコンスタントでしっかり伸ばしていけば大丈夫と焦らずにいけました。高校からの憧れの舞台でしたし、テレビカメラも来ていたのでいつもと違う雰囲気で緊張も大きかったですが優勝できてよかったです。新人戦はどのクルーになるかわかりませんが今回のレースで得たことを共有していきたいです。今度は花形種目に乗ってもっと明治のために貢献できたらと思います」

女子舵手なしペア、女子エイトクルーリーダー・山本
「本当に気持ち良かったです。うれしいですし、ほっとしました。500mで出れれば勝てると思っていたので、前半からしっかり攻めていけました。コックスが絶えずコールを入れてくれて、クルーもみんな前から後ろから叫び続けて、勝とうという思いが1本1本に込もっていました。リラックスして大きく、楽しくこげたと思います。すごく楽しかったです。4年生が笑って終わるためには優勝しかないと思っていたので、その責務を果たせたかなと思います。どこもエイトに懸けてきて明治をつぶしにきていましたが、チーム力は絶対1番だと信じてこぐだけでした。女子部全員でつかんだ優勝です。1年間一緒にやってきたみんなのためにこぐことが原動力でした来年は4年になるので4連覇して、いい形で後輩につないでいきたいです。簡単ではないと思いますがそこで勝てるのが明治の力だと思っています。冬場しっかりトレーニングをしてもっといい結果をのこしていけるようにやっていきたいです」

男子舵手付きペアクルー・小林剛大副将(商4=岡谷南)
「インカレと同じで大竹と付きペアに乗ったが、コックスが秋山から佐藤に変わって、合わせることから始まった。インカレで決勝に残ったけど4位でメダルが取れなかったのはすごく悔しかったので、全日本はインカレのリベンジということで臨んだ。最低でもメダルは取りたいと思っていて、結果として3位で銅メダルは取れたからほっとはしている。(悔いのないレースはできたか)出し切れたとは思う。自分たちの100%を出してこの結果だから、ようやくやってきたことが実ったという感じかな。後輩にはもっと上を目指してほしい。(端艇部での4年間は)濃かったね。毎日誰かしらと関わる機会があるし、寮生活だから基本的に誰かと一緒にいて、楽しいことも悲しいことも誰かと共有してきた。すごい気が楽だったし、今思えばボートに懸ける毎日って素敵だったなと。(副将としての今年の1年間は)全体的に後輩がどんどん強くなってきているので、僕たち上級生が何か指示を出すんじゃなくて、部員一人一人が勝つために何をするかを考えてほしくて、今年は主体性を培う1年間としてやってきたけど、それが達成できたかは分からないかな。でも一人一人が勝つために何をやるかを考えることができるようになってきたと思う。インカレから力は伸びているし、全日本で男子のエイトが順位を付けることができたことも目に見える成長だったと思う。明治の力は間違いなく上にいけていると思うから、この流れに乗ってもっと強くなってほしい。(これからのチームに期待することは)明治はインカレ男女総合優勝を目指しているから、これからの明治にまず総合優勝を達成してもらって新たな歴史をつくってもらって、インカレで勢いを付けたまま全日本で優勝してもらいたい」

男子エイトクルーリーダー・中村裕喜副将(法4=宮津)
「エイトに関しては昨年からチャレンジし始めて、本当に花形の種目で、これまでの明治が破れなかった壁っていうのを破ることはできて、順位を付けることができた。最終日に一橋とか、東レとかトヨタ紡織とかとレースすることができて、そこでしか味わえない雰囲気とか緊張感というのをみんな体感することができた。ただ新しい壁を破ったところで立ち止まるか、また新たな壁に向かって突き進んでいくか。4年生が二人しか乗っていない若いクルーなので、この経験を次にどう生かしていくかだと思う。(端艇部での4年間は)明治じゃなかったらこんな経験はできなかったし今の自分はないと思う。メダルもいくつも取らせていただいて、日本一も取ることができた。僕が入った時は男子は一つも優勝とかがなくてメダルを取ることが目標だったけど、今はメダルが当たり前でみんなが優勝を目指している。チームが強くなっていく過程というのを体感できてわくわくし続ける4年間だった。(副将としての1年間は)今年は監督が冨田を主将にするというある意味大胆な決断をしたので、何かを変えるにはやりやすい雰囲気だった。新しいことをどんどんやっていける地盤があったからこそ、周りもそれを受け入れやすかったのかなと思う。それでもまだまだだと思うので、常に変化を求めて後輩たちには頑張ってほしい。この1年間だけではこの取り組みが正しかったのかは分からないが、5年後、10年後に正しかったと思えたらいいと思う。女子はインカレで一つも金メダルが取れなかったが、そこで折れずに今回は二つ金メダルを持ってきて純粋にすごいと思う。男子はクルーを変えるチャレンジをして、結果としては残念だったが、チャレンジをした上だったので悔いはない。9種目が最終日に残ったことに満足せずに、来年は全種目で残るという風な気持ちでやっていってそれが当たり前になればチームとしてもっと上を目指すことができる。マネジャーを含めて明治の全員が同じ考えを持ってやっていけばもっと強くなるし、インカレ総合優勝もできると思う」

男子エイトクルー・野原啓(法4=美方)
「後輩のみんなにエイトの最終日のレースを味わってもらえて良かった。4年生としては今年が最後になるので、次につながる何かがしたいと思っていた。順位を付けるのもそうだが、最終日の雰囲気を経験しているかどうかで次のレースも変わってくると思う。決勝はスタートがうまくいかなかった。スタートとラストスパートで差が付いていると思うので、来年はそこを改善して勝負してもらいたい。(一番印象に残っている試合は)昨年のインカレかな。ケガを抱えながらの優勝だったし、高校ではほとんど結果を残せなかった僕でもやればできるんだということを証明でき自信になった。(端艇部での4年間は)1年目は本気で辞めたいと思っていた。でも2年目からだんだん楽しくなってきて、3年目はもっと楽しくなって、今年は引退寂しいなと思っていました。でも明治だからこそ本当の仲間ができた。(今年は新しい取り組みも始まって)良い意味で縦のつながりができて良かったと思う。過去にないくらい1、2年生に力があった。頼もしくはあったけど上級生なので負けたくないし、それと一緒に勝ちたいという思いも強くなった。今回はエイトが最終日に残ったという形だけなので、決勝で戦えるチームになってほしいと思う」