
小川2年連続V 先週に続きまたも決勝で田中と対戦/全日本ジュニア体重別選手権
先週の試合を彷彿とさせる100kg超級の決勝戦となった。開始早々、先制攻撃を挙げた田中の支釣込足で小川は足元をすくわれ体制を崩す。待てがかかると小川も負けじと得意の組手で田中の奥襟をつかみ内股を繰り出した。しかし「体を開いていれば飛ばない」と体の重心をずらすことなく姿勢を保つ田中に投げられるスキは決してない。それでも積極的に攻めの姿勢を見せる小川に対し、冷静に技を掛けるタイミングをうかがう田中は消極的と判断され指導が与えられた。その後も、同時に奥襟を狙ってつかみかかるなど激しい組手争いとなった2人だが田中に2度目の指導がかかる。あとが無くなった田中は小川の襟を狙い組手にかかるが、小川は素早い組手さばきで田中の思い通りにさせない。残り14秒、最後の勝負に出る田中は小川に勢いよくつかみかかったが、技をかけ切ることはできずそのまま試合終了。先の東京学生体重別選手権に引き続き小川が1位、田中が2位と100kg超級の優勝・準優勝を明大が制した。試合後、大会2連覇を達成した小川は「今回は優勝したいと思って優勝したので良かった」と笑顔を交えた安堵(あんど)の表情で自身の優勝を喜んだ。
小川と田中に加え2年生の三村も「補欠からの出場なのでこういうチャンスを大事にしてもらいたい」という猿渡琢海監督の願い通り3位で今大会を終えた。小川と田中は来月にはまた全日本学生体重別選手権を控えるが、東京やジュニアと違い全日本の舞台ともなれば強者揃いの優勝争いとなるだろう。その中でどれだけの躍進を見せるのか。全日本学生体重別選手権には明大から11人もの選手が出場するが「全体的に精神面の強化が必要」と監督からの目は厳しい。この1カ月でメンタル面の強化や技の精度を上げ全日本でも明大の名を轟かせることができるのか、選手一人一人の飛躍に目が離せない。
[長谷川千華]
試合後のコメント
猿渡監督
「小川と田中は先週同様よく決勝まで勝ち上がったと思うし、相手が研究してくる中で相手に組手を許さずやるべき組手、動作で戦って決勝進出をしたということはこっちとしてもかなり収穫。次の大会に向けてさらに強化しながらやっていきたい。小川は投げる技が課題。組手はいいのでそこから仕留める流れを作ってほしい。田中は一本勝ちが多かったが、自分の形になるまでの時間が遅い。一本取れる技があるので、俊敏な動作を身に付けさせてさらに鍛えたい。(決勝の前は)いつも通りやりなさい、しっかり勝負しろとしか言っていない。アドバイスも一切なしで自分たちで考えてやってほしかった。力を出してこいと。東京学生の内容がよかったので、決勝で当たるとは思っていた。田中は準決勝で、インターハイで一本負けしているライバルの香川と当たって、ヤマ場だなと思った。実際ゴールデンスコアになって実力伯仲の中、田中の勝ちたい気持ちがものすごく出て支え釣り込み腰で一本を取った。気持ちで勝っていたので田中を褒めたい。小川は負ける相手はいないと思っていたので順調に決勝まで行ってくれた。リードされることはあったが、その中でも落ち着いてやってくれた。リードされた場面に問題があるので、組手はどうすれば相手に攻められないで勝てるかというところを修正しながら次に向けていってもらいたい。今日のことに満足せずしっかり準備しろと伝えた。小川と田中はこの先1、2年はどちらかが投げて勝つということはないと思う。どちらかが投げて勝つようなことがあれば今とは違うスタイルになっていると思う。一回り二回りくらい大きくなった時に、投げるか投げられるかの勝負になると思う。まだまだその段階にはない。(他の選手について)金山は順調に仕上げてきたと思うが、脇固めで反則負けとなってしまった。世界ジュニアを目標として、そこへのプレッシャーがあったかもしれない。精神面とプレースタイルを見直していかないと。野々内はよく戦ったけれど、準決勝にしても3位決定戦にしても詰めの甘さがあった。リードしている中で下がってしまって相手にポイントを奪われたりしていた。三村は準決勝で負けた相手が強い高校2年生。でももっと攻め込んだ柔道をして勝負してほしかった。相手が強いからもっと燃えて、闘志を強くして戦ってほしかった。もっと自分の組み手にして攻めていってほしかった。何もせずに相手に主導権を握られた中の一本負けなので。(全日本学生体重別選手権に向けて)軽量級が不甲斐ない内容なので強化したい。全体的に精神面の強化が必要かなと感じているのでそこを準備して、それぞれの課題を克服するための練習をしようと思う。柔道面で悪い点はそれぞれに伝えているので、そこをクリアにして臨みたい。結果として3、4階級くらいは優勝してほしい。」
小川
「去年はたまたま優勝したという感じで、今回は優勝したいと思って優勝したので良かった。去年も優勝してるというのもあるし、去年は高校生で今回は大学生で(年代の)幅が狭い。自分と同じ、近い代とやるので負けられないなって。(決勝では)やっぱり一番近い存在で1番良いライバルと思ってるのでまた一緒に決勝でできるのは張り合いがあるしこれからも2人で頑張っていきたい。源大も強いし、内容は指導2だったけどどこでひっくり返されるかわからなかった。そこは緊張してた。今回も東京学生もお互い意識してることもあって決勝までの会話はなかった。自分たちよりOBとか周りのほうが、2週続けてどすこい対決だなって。昨日もあまり眠れなかった。この大会はレベルが高いので1回戦で負けたらやばいなと。いろいろ考えたら眠れなくなった。どんな試合でも負けるわけにはいかないし、勝ちたいと思う。目指すところはやっぱり一本取る柔道。指導差というのは自分の中限界というか。今の自分がその相手に勝てる内容の限界だと思う。源大にしろ影浦(東海大)にしろ一本取れないで指導差っていうのが自分と相手との差だと思ってる。まだレベルアップするところもあるしまだ限界じゃない。(準決の影浦戦)自分の一番苦手なタイプだった。先に技かけられたら投げられてしまうので、先に自分から技をかけて出させないようにした。相四つで低い相手だった。奥襟で背負投入れさせないように。(田中について)一番近くにいる良いライバルなので2人でがんばる」
田中
「(香川との対決)今まで五分五分の対決だった。監督からは、最初様子見て相手が出てきたらしかけていけって言われた。(ゴールデンスコアに入って)勝負かけていこうと思ったので焦りはなかった。指導は取れなくてあとは技で決めるしかない。スッキリした。今まで負け越してたので、これで勝って引き分け。絶対負けたくなかった。良かったと思う。決勝に上がりたかった。また決勝でやってやろうと思った。決勝までの会話はない。(試合前)先輩に次は勝てよと言われた。負けちゃいました。(指導差)心配への印象を良くしろと言われました。自分が攻めてることをアピールすること。組手は最初の待てがかかるまではよかったけど、それからこの前と同じようになった。手が長居し、上から被さるので切りにくい。自分はどちらかというと襟を狙ってた。体落で転がして投げることを目指していた。内股とかではなく転がす感じの技を。投げられはしないと思うので、安心して受けていた。体を開いていれば飛ばないので、それでさばいて意識していた。組手が甘いので、ポイント取れるように改善していきたい。監督からは最初の組手で釣り手さばけてたと言われたけど、まだまだ。組手と大きい人を投げる技を身につけること。(ライバルへむけて)いつも、決勝で戦えるようにしたいし、勝ちたい」
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