
早大に勝利も6年連続の準優勝/東京六大学リーグ戦
紫紺のシングレットが奮闘した。打倒早大に燃えていた今大会、明大は最初の3ゲームを97㎏級の藤山徳馬(営4=池田)がフォールを決めるなど、勢いのままに3連取した。4試合目で敗れるも、5試合目での86㎏級の大山博貴(営3=仙台育英)の勝利が再び流れを引き寄せた。そして勝てば勝利が決まる場面でマットに上がったのは125㎏級の山田高義(文4=名古屋工)。朝から高熱が出ておりコンディションが良くない中、気持ちで挑んだレスリングだった。5―5の同点で迎えた残り30秒で相手の後ろを取ってみせる。しかし終了5秒前にタックルを食らい追いつかれ、7―7の同点で試合終了。通常はラストポイントを取ったほうが勝利となるが、相手にコーション(軽い反則の際に出される口頭注意)があったため、山田に軍配が上がった。「何が何でも勝つ気持ちでいった」(山田)と先月のインカレで敗れていた相手に対しても、雪辱を果たすことができた。「諦めない場面が何試合も続いたのでそこがよかった」と中出幹児監督。チーム一体となってつかんだ勝利に、喜びはひとしおだった。
届くはずの優勝だった。例年は全勝同士で迎えていた早大と明大の優勝決定戦であるが、今年は3試合目の法大戦に3―5でまさかの敗戦。秋元優介主将(政経4=足利工)は「気が抜けてしまったのが敗因」と、チーム全体としての甘い考えが裏目に出たことを痛感した。この反省を一人一人が生かしていけるかどうかが今後の大きなカギとなる。
今年は東日本リーグ戦での総合順位を一つ上げるなど、団体戦でチームは確実な成長を見せつつある。後期では団体戦がない中で4年生たちは「来年は今年を学んで、後輩たちがしっかり全勝で六大学優勝してほしい」(山田)と、後輩たちに来季以降の期待を募らせた。今後は個人戦が続いていく中、最後の秋を迎える4年生たちの思いは強い。一つでも上の順位を目指すべく、一人一人が充実の時間を過ごしていく。
[土屋あいり]
試合後のコメント
中出幹児監督
「ホームだったので優勝したかった。不覚にも法大戦に負けてしまったのでそこは反省。ただ当初の目標であった早大に対して勝つことができたので、監督としていい弾みができたと思っている。最初は緊張してあがってる感じがあったんだけど、試合をするにつれだんだん盛り上がってきて、最後は一致団結していいムードで試合ができたと思う。諦めない場面が何試合も続いたのでそこがよかった。法大戦ではあまり言いたくないけど甘く見てたところがあったかなと。結果不覚をとられた形。今季後半戦については今月末の国体、それから内閣総理大臣杯があるので、一致団結頑張っていきたいと思う」
多賀恒雄副部長
「(法大戦は)うちの2番手以降の層の薄さが出てしまった。レギュラー(寺田、奥田)がケガしていて、カバーに入った2人が負けてしまった。そこがだめだったな。(早稲田戦は)57kg級、61kg級、125kg級が勝負だと思っていた。そこをことごとく接戦で勝った、そこが大きかった。最初の平嶋が接戦で勝ち、藤山がフォールで勝ち、また喜多が接戦で勝った。続けて取れて乗れた。その次を落として流れが向こうに傾きかけた所で、大山が勝って断ち切った。理想的だったね。(山田は)パッシブの差。2ポイントが3回づつ、1ポイントが1回づつで普通はラストポイントを取った方が勝ちなんだけど、それ以上に優先するのがコーション。向こうにはそれが1つあったんだよな。そんなこんなで念願の上位校への勝利は収めたので、次は個人戦。今日みたいに粘りのある試合をして欲しいと思うよ」
秋元
「早稲田戦は最初とって波に乗れたのがよかった。平嶋、喜多の下の学年の2人がとってくれたのでいい雰囲気で臨めたと思う。法大戦は気が抜けてしまったのが敗因。オーダー表も重量級で4年生を出せば変わった。個人的には六大学でもっと交流した方がいいと思っている。練習の行き来だったりして。大学からレスリングを始めてくれた人たちがもっと強くなって欲しいと思っているし。今日早稲田に勝てたことは来年のリーグ戦にもつながると思うので、頑張って欲しい。個人的には国体、内閣と勝つことを目標にやっていくだけ」
山田
「今日は高熱で体調が悪くて、試合できるかわからなかったけど、法政に負けて、もう自分が早稲田で行くしかないと思った。出場するかはちょっと迷ったけど、試合展開でこれは自分のところが勝負になると思ったので後輩を出さずに自分が行くという感じでいった。早稲田の相手はいつも勝っていた相手だったが、この前のインカレでミスして1回負けてしまったので、ちょうどいいリベンジの機会になると思っていたので勝ててよかった。(法政戦)勝たないといけないところで勝てなかったというのもあるけど、最初の時点で取れるだろうみたいなちょっと甘く見ていたところがあった。フルのメンバーじゃないメンバーで、それでまた全体が負けても大丈夫みたいな心境でいってしまったので、勢いでのまれてしまったかなというのがあった。甘い気持ちだったから流れが悪くなってしまって、試合に最初から挑む人は空気を自分でつくることが大事。(早大戦)試合はまずい試合だったけど、自分が負けると厳しかったので、どろどろでもいいから勝とうと思って途中からもうふらふらだったけど、何が何でも勝つ気持ちでいった。2ポイント取られても勝てると思っていたので、結構頭が働いた。勝った時はもうめっちゃ嬉しかった。でもやっぱり優勝したかった。本気で早稲田に勝つ気でいっても、一番だめだったのは法政への甘い考えだった。そういうのがちゃんとできてないから、まだ一番にはなれない。来年は今年を学んで、後輩たちがしっかり全勝で六大学優勝してほしい。(収穫)個人的には体調とかが悪くても、不安で負けるかもしれないという心境じゃなくて、もう絶対に勝たなきゃだめだというプレッシャーに強くなったかなと思う。迷った時は出なきゃ学べない。(課題)いつもエイトばっかりで、あと1回勝てばというところで、試合もあとちょっと我慢すればという場面で取られてしまうところがある。そういう時は相手はがむしゃらに入ってくるんですけど、そこで守ろうという弱い気持ちが出ると勝ち試合を落としてしまうので、これからの試合では残り数秒になっても集中して勝ちにいきたい。(目標) 個人戦で入賞したいし、それで全日本出て終わりたい。団体としては来年以降のチームに引き継いでいけるように、最後の最後まで4年生が一番練習するような環境をつくっていく」
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