
悪夢の2連敗 優勝は絶望的/秋季関東学生1部リーグ戦
【日大戦】
波乱の始まりだ。昨日まで好調を維持していた1番手の町がストレート負けを喫した。「最悪でした」。序盤から井坂(日大)の思いきりの良いプレーに翻弄(ほんろう)され、サーブレシーブでミスを連発。最後までペースを握ることはできなかった。町と共にチームの要である有延の敗戦も不穏の空気を生み出した。2番手の松下海輝(商4=希望が丘)が勝利し、3番手で登場した有延。第1ゲームは勝利するが、第2ゲームを3―11となすすべなく奪われる。第3、4ゲームはジュースに持ち込んだが踏んばり切れなかった。ダブルエースの敗北にチームも動揺。すっかり日大のムードにのまれ有延・渡辺裕介(商1=明徳義塾)組がダブルスも落としゲームカウント1―3。もう後がない状況の中、1年生が魅せた。試合時間の調整のため、2台同時進行で試合が行われ、酒井明日翔(政経1=帝京)と渡辺の試合が始まった。酒井はJOCエリートアカデミーの先輩でもある大塚(日大)との勝負だ。お互い1歩も譲らずセットカウントは2―2。最終ゲームでは「相手が思い切ってやってきたから受け身になってしまった」と5―9に追い込まれる。ここでタイムを取り態勢を整えた酒井。冷静さを取り戻し一気に6連続得点。脅威のメンタルで勝利をつかんだ。渡辺もフルセットゲームを勝ち取り、勝負は7番手の滝澤拓真(情コミ3=長野商)に託された。気持ちを前面に出したプレーで2―0と有利なゲームカウントに持ち込む。勝利は目前だった。しかし勝ち切れなかった。ジュースを展開した第3ゲームを奪われ流れが日大に傾いた。第4、5ゲームを連取され大逆転負け。敗因は「技術とかじゃなくて精神力」と滝澤。大舞台で重要な位置に立たされ、プレッシャーに打ち勝つことはできなかった。
【専大戦】
あと1歩だった。1番手の町が日大戦に続きまたも敗戦。続く有延、酒井はストレートで勝利し持ち直すが、ダブルスでは今年のフィリピンオープンで準優勝した田添健・郡山(専大)ペアの積極的なプレーに翻弄され痛い敗戦を食らう。
ゲームカウント2―2で登場したのは松下。松下はカットマンの厚谷(専大)との対決。どんなに厳しいコースに来た球でも打ち返す厚谷のプレーに押され負け、第1ゲームを落とす。1点を取るためには長いラリーを制する必要があるカットマンとの対決で「体力的にきつかった」(松下)。しかし根性で勝った。第2ゲームでは4―9と圧倒的に不利な状況から12―10で大逆転した。第3ゲームでは8点連続でポイントするなど流れをつくるが、ジュースの大接戦に持ち込まれる。厚谷からの度重なる攻撃で、体勢が崩れ何度も床に手を付きながら、それでも返し続ける松下。1点を取るたび派手なガッツポーズと雄叫びを上げ、ベンチも沸いた。松下は気持ちを切ることなく我慢を続け、14―12でこのゲームを奪った。この勝利で流れは松下へ。第4ゲームは松下のペースで展開し見事勝利。気持ちの強さを見せつけた。松下の勝利で希望が見えたが、残る渡辺、滝澤が粘り負け。勝利の女神は明大に微笑むことはなかった。
今日は松下にとって特別な日だった。リーグ戦通算28勝以上で受賞される特別賞。日大戦で念願の28勝目を手に入れ「正直喜んだ」と話す松下。しかしチームの2連敗で「今は喜びの気持ちは消えている」。1年次からレギュラーで活躍してきた松下にとって、チームの敗戦は偉大な賞よりも大きな出来事だった。
残り2試合を待たずして優勝は絶望的だ。あとは勝ちたいと思う選手だけが今後の試合を戦うことになる。「ここからの2戦が明治がどう戦うか、彼らがどう戦うかが今後の人生の財産になる」と髙山幸信監督。来週2戦は明大卓球部にとって重要な転機になるかもしれない。
[田中愛]
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