1年生エース候補対決 小川が100kg超級決勝戦制す/東京学生体重別選手権

2015.09.07
 10月の全日本学生体重別選手権の出場権をかけた個人戦が行われた。明大からは計11人もの選手が全日本への切符を獲得。100kg超級の決勝で小川雄勢(政経1=修徳)と田中源大(政経1=高川学園)のまさかの明大同士の対戦となり、黄金世代のエース対決が繰り広げられた。90kg級の鎌田嵩平(政経3=東海大付浦安)と野々内悠真(商2=崇徳)も3位に入賞するなど例年よりも多くの選手が好成績で今大会上位に食い込み明大勢の勢いを見せつけた。

 予測不可能の対決に会場からの注目が集まった。小川・田中ともに決勝までは危なげない試合運びで駒を進めることができた。高校生以来の直接対決にお互い緊張した面持ちで決勝に挑む。冷静に、かつ積極的に技を仕掛けていく田中と巨体と長い腕を生かし奥襟を持って引き出し揺さぶる小川。しかし組手では小川が勝る故に組手争いは小川有利に進み、田中に指導が2つ与えられてしまう。後がなくなった田中は、あきらめず最後まで技をかけ続けたが会場に鳴り響いたブザーが試合終了を告げた。今大会は小川の優勝という結果になったが、互角の戦いに2人の実力差はほぼ無いと言える。また、13日の全日本ジュニア選手権では再び小川と田中の決勝対決が見られる可能性が高く、今度は世界大会をかけた試合となる。ともに世界へと羽ばたくことを目標とする2人の戦いはまだまだ続く。

 90kg級の新星誕生! 90kg級で出場した鎌田と野々内はともに準決勝で敗れてしまったが、新たに90kg級でも明大の存在をアピール。鎌田は準々決勝で国士大の江畑とあたり、指導1つ取られポイントを奪えず敗退したが、力・技術・素早さにしても決して敵わぬ相手ではなかった。また、野々内は今大会優勝者の日大の向との対戦で激しい組手争いを演じ、支釣込足や大外刈などの技を積極的にかけつづけた。最後は一本を取られ敗れるも、2年生にして今大会初出場に加え3位という好成績で明大の新たな希望となりうる。猿渡監督も予想外の良い結果に「伸びしろがある。日本一を目指せる選手」と2人を褒めた。全日本でも2人の大躍進に目が離せない。

 10月の全日本体重別団体大会に向けて明大の役者が揃った。体重別団体戦では軽量級の選手も要するが、近年の明大では重量級だけでなく軽量級選手の活躍も目覚ましい。悲願の日本一達成へ向けて選手たちの心意気も高まっていく。

[長谷川千華]

試合後のコメント
猿渡琢海監督

「(100㎏超級の2人が決勝に進出)2人とも山組は厳しかったと思うけど、自分の柔道を貫いた結果決勝に行けたんだと思う。実力的には決勝まで行けるかなという感触はあったし、それが実現して2人の自信になったと思う。また来週2人とも全日本ジュニアにも出るので、もしかするとまた2人の決勝対決というのもありえるので、また2人で切磋琢磨(せっさたくま)していければという話は2人にした。(自分の柔道とは)小川に関しては体格の有利さというのもあって、腕の長さなどを生かした奥襟の持ち方というのを持っている。奥襟を持って相手に圧力を掛けることによって技がかかりやすくなるという形ができつつある。田中に関してはまだまだ未完成な部分が多いんだけど、柔道着の握り方だとか、ようやく普通の握り方ができてきたかなという感じ。でもまだ2人は身体能力だけで戦っているなという感じなので、もっと強化して学生だけじゃなくてシニアでも戦えるような選手に育てていきたいなと思う。(2人の良さが出た試合は)小川は国士舘の遠藤とやった時。払腰で投げて取った試合なんだけど、今年の春の練習試合でやった時に負けた相手で、その相手に柔道させずに一本勝ちしたっていうのは一皮むけたというか、レベルアップしてるなと思った。田中に関していえば若干苦手としているケンカ四つの相手の下からの釣り手のやり方が今日はスムーズにやれていたと思う。これまでは技出しも遅かったけど、積極的にかけながらしっかり勝つことにつなげていっていたので。田中はどの試合が良かったというよりも、どの試合もそつなく全体的に評価は良かったと思う。(入学から成長した点は)2人とも腕力がまず強くなった思うし、柔道着のつかみ方、つかむまでの動作といったものを細かく教えながらやってきたので。それが本人たちの形でそれぞれ試合の中でできていたのかなと。(決勝に関しては)今まで3回か、4回戦っているけども、今までと同じような展開というか。小川が先に指導取って田中が追いかけるみたいな。田中も強くなってるんだけど同時に小川も強くなってて、それが今回のような結果になったんじゃないかと思う。いずれどこかで逆転するようなこともあるかもしれないけど、それが無いとお互いが強くなっていけないので。田中は小川を倒さないとオリンピックに行けないわけだし、小川も田中に追い抜かれたらオリンピックに行けない。これから東京オリンピックに向けてもっと競争していくような状況になるから、それで互いに強くなって今後もっともっと面白い戦いになるかもしれない。(全日本ジュニア、全日本学生で期待することは)今日よりもいい試合をすること。いい試合っていうのはしっかり一本取って勝つということ。それを意識して戦うことで一本取れるという自信にもなるので。来年の春の無差別の団体戦では2人が柱にならないといけないので、2人が一本を取ることで優勝と言うのも見えてくると思うので。2人ともまだ柱となる技を持ってないのでね。得意技を持っている選手はだいたい試合の7割がた8割がたその技で取ってくる。小川も田中も今回はじゃあ得意技は何なのという試合内容だったと思うので、自分の得意技というのを身につけさせていきたいと思う。(田中が取り組んでいる技とは)本人が内股を教えてくださいと言ってきたので。今は内股の基本から形にできるようになってきていて、本人よりも大きな相手に対しても通用するようになったら次の新しい技にも取り組んでいきたいなと思う。もともとある程度の技は持っているので、それを伸ばしていく形で本人に一番合った技を探していこうかと思う。(90㎏級の2人はともに3位と結果を残した)鎌田は入学した時は73㎏級で、この3年間で階級を2つ上げてきた。やっぱり練習とか見てても体格が大きくなったと思うし、技もしっかりとした武器としてなっているかなと。鎌田に関しては勝ち進んでいくなという感触は持っていたので、それで結果が出てよかった。野々内は、今練習を見ていて一番練習しているのかなと思う。監督としていろいろ見ていて、こつこつと真面目に努力を積み重ねていった結果が今日なのかなと。まだ2年生で3位なのでね。もっともっと伸びしろがある選手、日本一を目指せる選手だと思うので楽しみ」

田中
「初戦強い人だったので、勝ったら調子付いて上まで良い感じに行けると思った。実力的には自分の上。そこが1番のヤマだったので意地でも勝って上がれた。優勝を目指してはいた。個人戦は全日本選手権以来。団体戦はみんなでまとまってアップをするけど、個人は自分で考えてアップして試合に入ったりする違いがある。団体戦のほうが難しい。みんなで勝たないといけないし、誰か勝ってもその人以外が負けたら勝てない。(小川とは)同じ1年で決勝に上がれるなら、俺も上がってやると思った。自分も勝たないとと思った、同じ一年生として負けるのは嫌だった。(準決勝の一本勝ち)意地を見せた。勝つしかない。勝って小川と1年ぶりに戦いたいと。勝つとしたら力じゃなくて技で勝てると思ってた。チャンスはあったけど逃した。お互い全部知っているから技をかけるのが怖いというのはあった。逆に、気を付けようという部分もあった。(技が決まらなかった)いつも練習しているから。次は力つけて組手勝って技で投げる。組手で負けて指導もらったのでそこを改善したい。(決勝までは)どうやって勝つか。どのくらいの時間に勝負をかけるか考えてた。最初は相手の様子を見て技をかけていく。組手で負けてて思うようにはいかなかった。体力は同じくらい。力は負けないと思う。猿渡監督からは思い切りやってこいと言われた。(普段からライバル意識は)している。近くにいるので。自分は意識している。明治の中でも自分のほうが上になりたい。(高校時代の試合)組手が上手い。身長もあるし腕も長い。思うような組手ができない。今回も同じ。対応できてなかった。(目標は)世界。そのためには(小川を)倒す。小川直也氏からは指導者としの立場から意見をもらって、もっと二人で練習しろと言われた。(100kg超級で)東京では2人が上がってくるから、1位2位がもっと練習し合えばもっと伸びていくって。切磋琢磨。(来週の全日本ジュニアで)世界かかってるので、来週は小川に勝つ。準決の香川(東海大)にも勝つ。香川は力系。香川もライバル。投げて勝ちたい。小川にも投げて勝つ。投げて勝たないと柔道面白くない。今日の試合は最初以外は投げれた。(小川戦では)払巻込と腕の関節を警戒してた。立ったままの関節。実際かけられて耐えた。(自分が意識した技)担ぎ系。袖釣込とか。(来週の意気込み)負けてるので次は
勝つ」