
86年ぶりの歓喜 チーム一丸でつかんだ男子総合V/日本学生選手権
失格から挽回
2位に9点をリードして迎えた最終種目の男子800mリレー。アンカー平井健太(商3=千葉商科大付)が3位でゴールした瞬間、明大の総合優勝が決まった。3位以上に入れば無条件で優勝が決まるというレースで、3泳に引き継いだ時点では7位。そこから松元克央(政経1=千葉商科大付)が4人を抜いて3位まで順位を引き上げると、平井健も順位をキープし重圧を押しのけた。
「失格があったからこそチームが一丸となった」(金子洋明コーチ)。優勝候補と言われた初日の400mリレーの予選で、引き継ぎ違反がありまさかの失格。個人種目の倍となる配点のリレー種目で0点に終わり、チームに嫌なムードが流れた。それでも、大会前に持ちタイムから算出していた予想得点では2位以下に100点の差をつけるほどの戦力がそろっていた明大。「リレーがなくても、それぞれが役割を果たせば勝てる」(森谷駿主将・法4=名古屋)と慌てることはなかった。「自分がやらなきゃ」「気が引き締まった」。選手は口をそろえてレースに臨み、その後は大きな取りこぼしなく得点を積み上げた。
チームワーク
明大は寮生、それぞれのクラブで練習する寮外生がおり、部員全員が顔を合わせるのは年に数回しかない。その分、普段から練習を共にする他の強豪校に比べ「チームワークが穴だった」と森谷主将は振り返る。今年はミーティングや食事会の数を増やし、課題克服に務めてきた。各学年で世代を代表する選手が入学し「縁があってそろった奇跡のチーム」(森谷主将)。部員全員が本気で総合優勝を信じたからこそ、チームは一つになった。
サポートからも選手を後押しした。レギュラーから外れた選手や自分の出番が終わった選手がサポートに回り、レース後すぐに選手にドリンクや栄養剤を渡すなど、選手からの要望に応えた。「選手の力を最大限引き出すのが仕事。自分が選手だったらどう行動してほしいか考えた」と最後まで陰でチームを支えた主務の来間隆史(法4=玉野光南)は胸を張った。応援にも熱が入り、大会終了後は部員の多くの声が枯れていた。まさにチーム一体となってつかんだ総合優勝だった。
[坂本寛人]
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