ロードは完走者を出せず 総合8位でインカレを終える/全日本大学対抗選手権

2015.09.01
 176.4kmの先に明大勢の笑顔は見られなかった。冷たい雨が降りしきる中、大きな登りが3度待ち受ける1周12.6kmのコースを計14周。小林和希(政経3=祐誠)、松本裕典(法2=北桑田)、野本空(政経1=松山工)ら今シーズン好成績を残している選手たちに上位入賞の期待が懸かっていたが、最終的な完走者はゼロ。ロードレースではポイントを伸ばすことができず、総合8位でインカレ全日程を終えた。
   
 ルーキーが気を吐いた。6月の個人戦では9位に入り、見事完走を果たした野本。初のインカレで完走こそ成し遂げることができなかったが、チームで一人となっても最後まで粘り続けた。鹿屋体大、法大といった上位校が序盤からグループでの逃げを図る中、野本は積極的に逃げに乗ることで食らい付いていく。しかし残り6周に差し掛かるところで、逃げを吸収した集団でのカウンターアタックが発生。活性化した先頭集団に離されてしまった。
 「くそ」。レースから降ろされる際、かみしめるように吐き出した言葉には悔しさがにじみ出ていた。コース最後の登りを越え、ラストストレートに入った野本の目の前には無情にも失格を意味する赤旗が降られていた。完走者が全体の約5分の1に絞られる厳しい戦いとなったが、明大唯一の完走の可能性を背負って走り続けていた。それだけに失格の悔しさはひとしおだ。「体力強化が今後の課題」(野本)と大舞台での悔しさをバネに、野本はさらに大きく羽ばたいていく。

 チーム明治は健在だった。4年生のラストレースとなるインカレだったが、加賀谷慶治主将(政経4=能代西)はロードの出場メンバーから外れた。それでも同期、後輩のサポートのため最後の大会で誰よりも走り続けた。「勝つために周りがどう動くかが競技でもサポートでも大事になる」と大会前から話していたように、主将としてチームを支え続けた。
 ここが現在地だ。2年連続でインカレロードを完走していた小林、個人戦で表彰台に上がった松本も実力を出し切ることができなかった。来月には7年ぶり5度目の出場となるツール・ド・北海道が控える。「明治のチームとしてどれだけ戦えるのか、チャレンジャーとして攻めて走っていきたい」(松本)と今大会で機能させることができなかったロードでのチーム力が試される。

 トラックとロードの総合順位は8位。昨年の6位から順位を上げることを目標としていただけに悔しさの残る結果となった。最大の目標である総合優勝までは鹿屋体大、日大、中大といった強豪校の牙城を崩さねばならない。1年後の悲願達成へ。新主将小林を中心とした明大自転車部の次なる挑戦が始まる。

[鈴木拓也]

試合後のコメント
小林

「合宿でこのコース走った時にすごく長くて登りがきついなという印象が強かった。最初の方は下りが基調なんですけど踏んでいかないと駄目なので、あまり休むところがなくて自分には向いてないコースだなという印象があった。それに雨のレースは嫌いなので不安だった。(途中でチームがバラバラになってしまったが)鹿屋の徳田がアタックしたときに脚を使ってしまった。油断してたところやパワーが全然違って、そのペースアップに追いていくことができなくて登りが長いのでちぎれていってしまった。(徳田がアタックしたのは)3周目の登り始めくらい。(野本が最後の方まで残っていたが)練習から野本が誰よりも登れているので、松本も登りが強いので二人中心に勝たせる感じで走りたかった。野本は最低でも入賞するくらいの脚はあったので期待してたんですけど途中で体調が悪かったみたいで次のレースでも活躍してもらいたい。(ツール・ド・北海道に向けて)チームとして走りたいんですけどまだそこまでの個人の力がないので、全体でまとまった動きは難しいですけど北海道でまとまって走れるようにしたい。来年のインカレに向けて北海道でみんなでまとまって走れるようにしていきたい。」

河津賢人(政経2=九州学院)
「みんなトラック走ったり松本は遠征行ってたり疲れてたと思うので自分が完走してポイントを取りたかったんですけど、実力が足りなかった。(途中でチームがバラバラになってしまったが)あの時はきつかった。あれで結構脚にきて粘ったんですけど駄目だった。(チームで展開は)野本が一番登りが得意なので野本が有力選手をマークして松本と自分と小林さんは集団にいてアタック潰したりという役割で、今回は野本がエースだった。(夏の練習は)ずっと体調悪くて地元に帰って段々調子上げてインカレ合宿で走れるようになってきてインカレに臨んだ。(ツール・ド・北海道に向けて)レベルの高いレースなんですけど3日間走り切れるように明日から練習を頑張っていきたい」

眞砂英作(政経2=高松工芸)
「(今日のロードレースは)展開うんぬんよりも完走できるかどうかというところが目標だったので、とにかく集団の前の方で食らい付いていくという感じだった。(雨の影響は)サングラスのレンズが曇るわ、サングラス外して走っても雨が目に入ってきて痛いしという感じだった。嫌いなコースではなかったんですけど、雨が大変だった。(鹿屋や法政の逃げが目立ったが)最初3周目くらいで徳田優(鹿屋体大)さんが1発ガンと出たときに、自分先頭引いていたが、反応しても追い付けなかった。先頭にいたんですけど、一気に後方まで下がった。それだけ強烈なアタックだった。(トラックでの個抜き、団抜きは)一言言えることは完全な調整ミスと1カ月前の自分より弱かったということ。40前半は普通に外で出せていたので、それが出せれば普通に3、4位決定戦には残れていた。脚的には表彰台圏内だったので、反省というか後悔している。団抜きはできれば明治大学記録を切りたかった。プランとしては僕が3順目で1周半長めに引くという感じだった。合宿で測ったよりは早かったので、まあまあの結果だと思いますが、もっとタイムは狙えたと思う。(2度目のインカレを振り返って)昨年より走れている実感はある。ロードも登りの多いコースだったが、結構食らい付いていけた。個抜きも昨年より順位二つ上げましたし、団抜きも外でしたけど、ガツガツ踏んでいけたので。昨年より成長したなということは自分の中でも分かった。(国体は)昨年は予選落ちでかなり悔しかったので、今年は入賞狙っていく。あと香川県が団抜き狙っていけるという話も出ているので、そこら辺も視野に入れていきたい」

松本
「コース的には登りが多かったので厳しい戦いになると思った。フランスの遠征も行っていたので明治の中では一番走れないといけない存在ではあったんですけど、展開の読みが甘くて思い通りにできなくて自分がすぐに終わってしまうという感じになってしまった。トラックが7位でロードの結果によれば4位まで上がれる場面で自分が前の集団で展開できなかったことが今回の反省。フランスで自転車が壊れてしまって別の自転車に乗っていたので調子が悪くなってしまった。日本に帰ってきても新しい自転車にあまり慣れられなくて不安もあった。明治のために走らなければいけないというのがあったんですけど、最後に自分の甘さで調整がし切れなくてインカレに合わせられなかったのが自分の弱さというか今の自分の走りができなかったことが一番悔しい。(鹿屋体大と日大の逃げがあったがそれに対応できなかったのは)前の集団に乗る判断を間違えて前に乗れなくて野本は乗ってたんですけど、結局徳田優(鹿屋体大)さんの追走が速過ぎて集団が分裂してしまったので、自分の展開の判断が間違ったことが敗因だと思う。(海外のレースで学んだことは)ジャパンチームにいることによって日本にいるときより周りの人の意識がすごく高くて自転車に限らずポジション、乗り方、私生活まで全てを意識して自転車に懸けてる人たちと一緒に走ったので自分がどれだけ甘いというか自転車に対する意識が低いか学ぶ期間でもあった。(ツール・ド・北海道に向けて)今回チームで走ることがうまくできなかったので自分も降りてしまいましたけどツール・ド・北海道は明治のチームとしてどれだけ戦えるのか、チャレンジャーとして攻めて走っていきたいと思う」

野本
「(今日のレースは)集団スプリントにはならないと思っていたので、やるなら逃げ切りとか、少数団をつくって逃げ切りとかを考えていた。鹿屋体育大学とか法政大学とか、日本大学とかのチームプレーが良くて、チーム力も他大の方が良かったかなと思う。(エースは)調子が良かったら松本さんをエースとして置いて走るつもりだったが、松本さんの調子がそこまで良くなかったので僕が積極的にいこうかなと思って動いた。(鹿屋の逃げが目立っていたが)鹿屋が逃げてしまうと他の鹿屋の選手が集団を抑えてしまうので、他のチームはどうしても動かないといけなくなってしまった。その辺の走り方というか、作戦がしっかりしているなと思った。(初のインカレだったが)少し苦い思い出になってしまった。(雨の影響は)同じ下りのコーナーでも普段と比べて10キロくらい落とさないとまず曲がれない。ちょっとした段差とかでもすぐに滑ってしまう。その辺がリスキーだが、攻めれば他の人と差を開けることができるので、得意な人にとっては良いと思う。僕はちょっと下りが下手なので下りに関してはデメリットだが、暑がりなので雨のお陰で熱を下げることができて、その辺は良かったと思う。(一人で走る時間が長くなってしまったが)相手はチームプレーでくるので、逃げが発生したらできるだけ乗って逃げ切れる確率を少しでも上げたいなと思って、何発か打ち込んでみましたが、力及ばずだった。(課題は)長い距離で積極的には動けたんですけど、体力がどうしても上級生とかと比べると劣っちゃうのでその辺の体力強化が今後の課題だと思う」