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笑顔で終わった廣瀬組/卒部試合
ラグビー 2024.02.054日、八幡山グラウンドで廣瀬組の卒部試合が行われた。グラウンドには大勢の関係者やファンが駆けつけ、朝降っていた雨も昼には止み、笑顔の絶えないにぎやかな試合となった。選手、スタッフ含め4年生29名が紫紺のジャージに袖を通し各学年との試合に臨んだ。 第1試合の1年生戦ではウイングに入った学生スタッフの児嶋基(情コミ4=明大中野)と大宮修平(理工4=明和)が躍動する。また、不京大也(営4=明大中野八王子)がラインアウトでジャンパーとなりチャンスを演出。選手、スタッフが一丸となって勝ち星を挙げた。トライを決めようとする児嶋 第2試合の2年生戦ではスクラムハーフ中山律希 (政経4=天理)が巧みなボールさばきをみせ、右ウイング山本嶺二郎 (法4=京都成章)が2トライ。「今シーズン初めてのトライだったのでうれしかった」。その後中山、山本が見事なコンバージョンキックを見せ観客を魅了した。コンバージョンキックを決める中山 最終試合の3年生戦では3年生が円陣を組み、1、2年生の花道を抜けて登場。会場の空気を上手につかむと全員ラックや、千手観音という奇策を講じ、4年生を苦しめる。それでも地力で勝る4年生がリードしラストワンプレー。廣瀬主将が4年生ベンチに声を掛けるとベンチにいた全選手がグラウンドに駆け込んだ。全員がラインアウトに参加し、心を一つにしたモールを体現。ハイブリッド重戦車の名に恥じぬ押し込みでトライを挙げた。最後のコンバージョンキックは4年生全員が次々とキックをする振りが繰り広げられ、最後に廣瀬主将が蹴りノーサイド。「最後キャプテンが蹴るって決まっていたけど、こういう形で終われたのは僕たちらしかった」(林哲平・文4=東海大相模)試合終了直後3年生たちに廣瀬主将は盛大に胴上げされ、無事卒部試合は終幕した。 全員ラインアウト 「もうとにかく楽しかった」(廣瀬)。試合を通して、ユーモアが溢れるプレーが見られ、部員はもちろん観客を笑顔にさせた。試合後には部員全員が整列し、廣瀬主将が挨拶。最後はグラウン内でそれぞれが記念撮影をするなど、各自が残りわずかとなった八幡山グラウンドでの時間を惜しんだ。『ONE MEIJI』を体現した100代目ラグビー部の悲願の夢は後輩へと託された。最後のコンバージョンキックを決める廣瀬[保坂啓太郎]READ MORE -
【瓦版】廣瀬組 悲願の日本一逃すも示した『前へ』/全国大学選手権
ラグビー 2024.02.045年ぶりの日本一奪還を目指し挑んだ全国大学選手権(以下、選手権)決勝。挑んだ相手は選手権2連覇中の帝京大。落雷や大雪など厳しい天候の中、激しい攻防を見せ奮闘するも、悲願の優勝には届かず。だが最後まで『ONE MEIJI』を体現し、2年ぶり13度目の準優勝で幕を閉じた。 「ファンと選手が一つになって日本一の集団を目指す」(左センター廣瀬雄也主将・商4=東福岡)。年内終戦に終わった昨年度から『ONE MEIJI』をスローガンにチームをつくり上げてきた。経験豊富な選手たちが多く「ここ数年を見てもレベルの高いチーム」(神鳥裕之監督・平9営卒)と期待値も高かった。だが、決して順風満帆な1年だったわけではない。春シーズン後にはネガティブな練習態度を指摘され「4年生でミーティングをした」(左ロック山本嶺二郎・法4=京都成章)。秋シーズンは感染症による選手たちの体調不良、廣瀬のケガによる欠場など予想外の問題がチームを苦しめた。しかし、その度に全員でカバーし合い『ONE MEIJI』となることで困難を乗り越えた。 迎えた決勝。落雷による試合中断や激しい降雪など厳しい環境となる。試合も先制を許し、苦しい展開に。それでも前半35分以降立て続けにトライを決め、王者・帝京大に詰め寄った。後半は、主導権を握られ劣勢に。最後まで『ONE MEIJI』となり諦めない姿勢を見せ続けるも、目指し続けた頂には一歩届かなかった。悲願の優勝とはならなかったが、試合を通して明治コール、試合後には廣瀬コールが国立競技場をこだました。また、部員席で試合を見守っていたノンメンバーたちが、涙を浮かべグラウンドの選手たちに手を振る姿も。「スタンドを見て悔しさと申し訳なさがこみあげた。だが、コールをされるともう後悔しようがない。明治を選んで主将をやらせていただいて、本当に幸せな瞬間だった」(廣瀬)。廣瀬組が最後に見せた80分間の死闘は、ファンからも選手からも愛された‶日本一のチーム〟であることを示した試合だった。 「(先輩たちは)明大の『前へ』という言葉を僕たちに明確に示してくれた。しっかり引き継いで『前へ』を体現したい」(ナンバーエイト木戸大士郎・文3=常翔学園)。4年生が残した思いは次の世代へ。この先も明大ラグビー部は皆に勇気と感動を与え続けてくれるに違いない。 [安室帆海] READ MORE -
帝京大に完敗 5年ぶりの日本一ならず/全国大学選手権
ラグビー 2024.01.145年ぶりの日本一を懸け挑んだ帝京大との決勝戦。前半は序盤こそ相手にリードを許す苦しい展開となるも終盤に2トライを立て続けに取り、12―14と反撃ムードで折り返す。しかし、後半はペナルティーも重なり流れは帝京大に。リードを広げられる中、最後まで反撃の糸口をつかむことはできず。最終スコア15―34で敗れ、2年ぶり13度目の準優勝で今年度の明大の戦いは幕を閉じた。 ◆1・13 全国大学選手権(国立競技場)▼対帝京大戦 明大15{12―14、3―20}34帝京大○ 開始早々、試合が動いた。前半3分、帝京大の左サイドへの展開とステップワークに対応できず、先制点を献上。直後のコンバージョンゴールも決まり、7―0とリードを許してしまう。その後は両者チャンスを作るもディフェンスが粘りを見せ、得点にはつながらず。前半22分には落雷の影響により選手がグラウンドから退くと、結果的に55分という長時間の中断となる。異例の状況下となり、コンディション維持が難しい中、試合再開直後にはラインアウトモールから追加点を許し、リードを広げられる。相手に流れが傾いたかのように思われたが、前半35分に反撃開始。敵陣5メートルのラックからパスで左サイドに小刻みに展開すると、最後は大外に構えた右センター秋濱悠太(商3=桐蔭学園)が3人のタックルをかわし、トライ。「前半の大事な1本目のトライを取れて良かった」(秋濱)。さらに39分、帝京大のノックオンで敵陣深くのスクラムを獲得。セット後、スタンドオフ伊藤耕太郎(商4=国学院栃木)からのパスを受けた左ウイング海老澤琥珀(情コミ1=報徳学園)が抜け出し、グラウンディング。「4年生のおかげで取れたトライだった」(海老澤)。12―14と両者譲らぬ展開で試合を折り返す。 「ハーフタイム中には、問題ない。大丈夫だと話した」(中山律希・政経4=天理)。確かな手応えをつかみ迎えた後半も雨と雪が降り続ける悪天候の中、開始。ところが、そのようなグラウンド状況の影響からか明大は立て続けにペナルティーを犯してしまい、ペナルティーゴール2本を決められ、点差を広げられてしまう。その後も必死の攻防を続けるも、相手の攻撃を止められることができず、点差が徐々に拡大。「簡単にボールを手放してしまった」(スクラムハーフ萩原周・商4=大阪桐蔭)。23分に左センター廣瀬雄也主将(商4=東福岡)がペナルティーゴールを決め、3点を返すが反撃もここまで。その後も相手の追加点を阻止できず、最後は15―34で無情にも終わりを告げるホーンが鳴り響いた。 明大の伝統に誇りを持ち、日本一奪還を掲げひたすらに走り続けた今年度。しかし、王者・帝京大の壁は高く、すぐそこにあった栄冠にはまたも届かなかった。それでも、試合後帝京大が歓喜の輪を作る中、国立競技場には廣瀬コールが巻き起こった。「本当にたくさんの方が応援してくれていたんだなと。明治を選んで主将をやらせていただいて、本当に幸せな瞬間だなと思い、いろいろな感情が込み上げた」(廣瀬)。「間違いなく100年で一番いいキャプテンだったと思う。副将として隣でラグビーができて幸せだった」(左ロック山本嶺二郎・法4=京都成章)。100周年という節目に優勝という記録は残せなかったかもしれない。だが、間違いなくチーム廣瀬の1年間は感動を与え続け、多くの人々の記憶に残っただろう。そして、その姿は次の明大の100年間を担っていく後輩たちの目にも色濃く映ったと同時に思いをつなげたに違いない。4年生が成し遂げられなかった日本一という夢を追いかけ、これからも明大ラグビー部は〝前へ〟と進み続ける。 [廣末直希]READ MORE -
京産大を破り2大会ぶりの決勝進出 日本一まであと一つ!/全国大学選手権
ラグビー 2024.01.03『PRIDE』をテーマに掲げた今試合、両者の意地の戦いが繰り広げられた。前半は明大が先制するも、なかなか主導権を握ることができず、24ー18で試合を折り返す。後半は明大が勢いのあるアタックと意地のディフェンスで逃げ切り、52―30で2年ぶりに決勝への駒を進めた。 ◆1・2 全国大学選手権(国立競技場)▼対京産大戦○明大52{24―18、28―12}30京産大 前半開始早々、スタンドオフ伊藤耕太郎(商4=国学院栃木)の巧みなキックで陣地を挽回し、敵陣での攻撃チャンスをつかむ。ゴールライン前で攻撃を続ける明大は、前半5分フルバック池戸将太郎(政経4=東海大相模)の精巧なキックパスから左ウイング海老澤琥珀(情コミ1=報徳学園)が先制トライを挙げる。「将太郎(池戸)さんのキックが上手で僕が走って置くだけで、チームメートに助けられた」(海老澤)。だが、すぐに京産大が反撃し、同点に追いつかれる。前半15分、敵陣ゴールライン前の相手スクラムでコラプシングをしてしまうが、相手のタッチキックに海老澤が反応しノータッチに。そのまま自らがアタックし、持ち前のキレのあるステップとランで相手を次々と交わし、敵陣深く攻め込む。勢いに乗った明大は、スクラムハーフ萩原周(商4=大阪桐蔭)のパスから伊藤耕がスペースを抜けてグラウンディング。「周りを生かすプレーができて良かった」(萩原)。その後も、敵陣ゴールライン付近のマイボールラインアウトからモールをつくり、フッカー松下潤一郎(法4=筑紫)が抜けてトライ。しかし、京産大は1トライと2本のペナルティーゴールを決め、明大との点差を詰めていく。前半終了間際、相手の反則を誘うと、タッチキックからラインアウトでの再開を選択。前半最後の意地を見せつけ、モールでゴールラインまで押し切り、松下がインゴールへ。「完璧に明治が押せていて、前半のラストのプレーだったので、明治のプライドを見せてFWで取り切ったのは良かった」(松下)。左センター廣瀬雄也(商4=東福岡)もコンバージョンゴールを決め、24―18で試合を折り返す。 「今までやってきたことをしっかりやり切ろう」(伊藤耕)と挑んだ後半。開始早々、相手のノックオンで、敵陣22メートルライン付近のマイボールスクラム。左右にパスを展開し、伊藤耕が逃げ切りグラウンディング。「前を見て、ミスマッチを突けたので良かった」(伊藤耕)。相手との点差を付けた明大は、前半6分、敵陣15メートル付近でのマイボールラインアウトを機に、ナンバーエイト木戸大士郎(文3=常翔学園)が大きくゲイン。フェーズを重ね、池戸がスペースを抜けてトライを挙げる。「やることをみんなで共有して、それぞれの役割の動きをしてくれたので自然に(前が)空いた」(池戸)。その後も右センター秋濱悠太(商3=桐蔭学園)や平翔太(商2=東福岡)のトライで得点を積み重ね、相手にスキを与えないプレーで圧倒。京産大に2トライ奪われるも、後半は明大ペースで試合を展開していき、52―30で2大会ぶりの決勝進出を決めた。 試合を通して、『前へ』を体現するFWの体を張ったプレーとBKのスキのないプレーで相手を翻弄した。特に、伊藤耕を筆頭にBKの決定力が光る試合展開が繰り広げられた。また、1週間前の筑波大戦から一つ一つのプレーの質やチームの結束力など、さらなる成長を遂げているようにも感じられた。「本当に一戦一戦試合を追うごとに成長している」(神鳥裕之監督)。10日後には、2年前の決勝の相手でもあった帝京大との決勝戦を控えている。「日本一を取って、必ず歴史に名を刻みたいので、最後まで『ONE MEIJI』を体現したい」(廣瀬)。日本一まであと一つ、廣瀬組の最後の戦いに注目だ。 [井垣友希]試合後のコメントまとめはこちら→①、②READ MORE -
選手権初戦 筑波大に勝利し大学王者まであと2勝に迫る/全国大学選手権
ラグビー 2023.12.24廣瀬組の最後の戦いが始まった。全国大学選手権(以下、選手権)・準々決勝の相手は筑波大。試合序盤は筑波大の激しい攻撃もありディフェンスの時間が続くも、着実にチャンスをモノにし17―7で試合を折り返す。後半は連続トライで筑波大を突き放し、45―7でノーサイド。2年ぶりに準決勝に勝ち上がった。 ◆12・23 全国大学選手権(秩父宮ラグビー場)▼対筑波大戦 ○明大45{17―7、28―0}7筑波大 序盤はタイトな試合展開となった。明大は試合開始直後に敵陣ゴール前まで迫るも、得点を奪えず。その後は筑波大のスピードに乗った攻撃、低く鋭いタックルに苦戦し、なかなか敵陣に攻め込めない時間が続いた。「筑波大は前半から激しくプレーしてくると分かっていたが、受けてしまったところがあった」(ナンバーエイト木戸大士郎・文3=常翔学園)。それでも明大は粘り強くディフェンスを続け、得点を許さない。「選手権に向けての準備期間で特にディフェンスシステムのところをやってきたので、そこを全員が意識できていた」(左ロック山本嶺二郎・法4=京都成章)と、課題だった守りで成長を見せ、流れを渡さなかった。試合が動いたのは前半17分。ハーフウエーライン付近で左ウイング海老澤琥珀(情コミ1=報徳学園)のドミネートタックルでボールを奪い返すと、キックで陣地を挽回。敵陣22メートル付近のマイボールラインアウトから左に連続攻撃を展開し、最後は左サイドの空いたスペースに海老澤が飛び込み先制トライを挙げた。「明大がやりたいアタックを体現できた」(海老澤)。25分にはハイボール処理から海老澤が左サイドの狭いスペースを突きラインブレークすると、サポートに付いていた左フランカー森山雄大(政経4=東福岡)がパスを受けトライ。「相手が1人チェイスをしてきているのは分かっていた。そこをエスコートして琥珀(海老澤)が走れるスペースを作ってから、サポートで最後パスをもらって決めることができた」(森山)。32分に筑波大に得点を許すも、36分にフッカー松下潤一郎(法4=筑紫)のトライが飛び出し17―7で前半を折り返した。 後半開始後も試合序盤と同様、膠着(こうちゃく)状態となる。点差は10点、流れを奪われれば一気に逆転につながりかねない緊迫した状況だったが、明大は全く集中力を切らさなかった。「そのような場面は想定内で、いかに我慢してマイボールにするかを試合前に話していたので、焦らずプレーした」(左センター平翔太・商2=東福岡)。後半最初に得点を挙げたのは明大。21分、敵陣ゴール付近のマイボールラインアウトからアタックを継続し、最後は平翔が角度を変えてディフェンスを突破しインゴール中央にグラウンディング。「間合いをしっかり取ってスペースに走り込むことができた」(平翔)。このトライから明大の連続得点が始まる。27分、敵陣10メートルライン付近のマイボールラインアウトから、中山律希(政経4=天理)のラインブレークで敵陣深くまで前進。FWのピックゴーで着実にゴールラインに近づき、最後はスタンドオフ伊藤耕太郎(商4=国学院栃木)のオフロードを受けた右センター秋濱悠太(商3=桐蔭学園)がトライを挙げる。さらに30分には、キックオフから木戸の突破などで一気に敵陣まで攻め込むと、スクラムハーフ萩原周(商4=大阪桐蔭)がディフェンスのスキを突き独走。「僕がポイントに入る前に将太郞(池戸・政経4=東海大相模)が声を掛けてくれたので、そこで前が空いたなと思って走り込んだら周りがサポートしてくれて、トライを取ることができた」(萩原)。試合終了間際には利川桐生(政経2=大阪桐蔭)のトライも飛び出しノーサイド。45―7で筑波大を退け、2年ぶりの年越しを決めた。 来年1月2日の準決勝に駒を進めた明大。今試合では対抗戦で課題となったディフェンスで高い集中力を見せ、後半は無失点に抑えるなど修正されていた。「ディフェンスは粘り強く耐えて、ボールを奪ってそのままトライに持っていくというのができていたので、今回攻撃とディフェンスの良さがかなりつながっていたと思う」(森山)。準決勝の対戦相手は、関西大学リーグAグループ王者の京産大だ。京産大は23日の早大戦で65得点を奪うなど、外国人留学生選手を起点にした激しい攻撃、セットプレーが大きな武器になっている。「フィジカルが強いチームなのでFWとしてプライドをかけて戦いたいし、日本一を目指す中で絶対倒さないといけない相手なので、しっかり勝ち切りたい」(山本嶺)。頂点まであと2つ。準決勝を制し、決勝への切符をつかむのは明大戦士たちだ。 [晴山赳生] 試合後のコメントまとめはこちら→①、②READ MORE -
宿敵・早大を圧倒 選手権に向け弾みをつける/練習試合
ラグビー 2023.12.11 関東大学対抗戦(以下、対抗戦)を終え、今年度の残り試合数もわずかとなった中、対抗戦に引き続き4年生主体の早大との負けられない一戦が幕を上げた。 ◆12・10 練習試合(早大上井草グラウンド)▼対早大戦 ○明大40{21―12、19―0}12早大 最初の得点は前半2分、ナンバーエイト石浦大貴(政経4=報徳学園)が力強いグラウンディングで決めた。コンバージョンキックも決まり幸先のいいスタートかに思われたが、その後はお互いに譲らない攻防が続く。1トライを取り返された明大は、何度もセットプレーからチャンスをうかがうが大事なところでミスが重なり、なかなか得点につなげることができず。「前半は思うようなスクラムを組むことができなかった」(左フランカー柳田治久・法4=明大中野)。均衡が破れたのは28分。早大のラインアウトミスからだった。ボールを奪うと、右サイドから右ウイング西川賢哉(政経4=桐蔭学園)が抜け出しディフェンスを寄せ付けることなくトライ。「強みである力強いランが生かせてよかった」(西川)。勢いに乗った明大は34分、敵陣10メートルライン付近からの明大ボールラインアウトの場面でフランカ―2人が活躍を見せる。ラインアウトから右サイドに抜けると、右フランカー住吉一晟(文4=国学院久我山)がブレークダウンの攻防に競り勝ち柳田に繋ぐ。そのまま柳田が真ん中を走り抜けトライラインを割った。FW、BKともに活躍を見せながらもミスが目立った前半。21-12と、リードは守るも気の抜けない点差で試合は折り返しを迎えた。 前半とは異なり、後半は明大にポゼッションが傾くゲームとなった。後半7分、右サイドへの際どいタッチキックを決めると、ラインアウトからモールで押し切り左プロップ伊藤潤乃助(文2=常翔学園)がトライを挙げ後半初得点。「ラインアウトがあまり得意ではなかったが、最後に成長を見せることができた」(尾白大吉・営4=近大和歌山)。30分には敵陣22メートルラインからの明大ボールスクラムから得点が生まれた。明大の強みであるFW陣のフィジカルが早大を圧倒。スクラムで相手を崩すと、相手のディフェンスに隙が生まれ金昂平(政経3=大阪朝鮮)が相手に捕まることなく独走トライに成功した。「尾白がリードしてくれて後半はいいスクラムを組むことができた」(柳田)。36分には早大ボールをインターセプトし、山村和也(商2=報徳学園)が抜け出して得点を挙げるなど、リザーブの活躍も多く見られた。前半からの修正が首尾よく運んだ後半は攻守ともにミスが減り、相手を無得点に抑え後半スコア19-0、最終スコア40-12で試合はノーサイドとなった。 対抗戦の勢いそのままに大差で勝利を挙げた今試合は、多くの4年生にとって引退試合となった。しかし選手たちはまだ紫紺ジャージーに腕を通すことを諦めてはいない。彼らの熱い闘志がチームをより奮い立たせ、今後に控える全国大学選手権での明大の躍進をさらに確固たるものにしてくれるだろう。厳しい闘いが今後も続くが、笑顔で最後を飾れるよう、チーム明大は全員で前へ突き進む。 [成田美彩子] 試合後のコメント柳田――早大相手の4年生が中心となった試合でしたが、今の思いを教えてください。 「絶対に負けられないっていうことと、ここで終わりではなくこの試合でプレーを見せて紫紺ジャージを狙っていく姿勢をチームに見せていけたと思います」 住吉――ゲームキャプテンとして意識していたことを教えてください。 「苦しい時間帯になった時に、4年間やってきたことをどれだけしっかり出し切れるかが大事だったと思うので、そこを意識していました」 ――最終スコアを振り返ってみていかがですか。 「感触としてはあまり圧勝という感覚はなくて、前半自分たちのミスで食い込まれてしまう場面が多かったので、結果的には差がついたんですけどそういった部分を今後下級生に伝えていきたいと思いました」 スクラムハーフ大越勇気(営4=茗渓学園)――試合のゲームメイクの部分をどのように考えていましたか。 「簡単にいく相手ではないと分かっていたので明治のやりたいことを出すということと、4年間しっかりやってきたことをまず出すことにフォーカスしました。入りは良かったんですけど相手のアタックもこっちをよく見ていてディフェンスもコミュニケーション不足で悪かった部分もあったんですけど、後半はしっかり立て直してスペースをつくれたかなと思っています」 西川――今シーズンずっと紫紺に絡んできた中、最近はB戦が続いていますがどのような心境ですか。 「立大戦でケガをしてしまってそこから調子が上がらなかったり、同じポジションの他の選手の調子が良くて戻れなくなってしまったんですけど、もちろん戻れるように頑張りますし、BならBでやることをきっちりやって貢献したいと思います」 尾白――明大という厳しい環境での4年間を経て、最後の試合はどのような気持ちで挑みましたか。 「今でも最後の試合という感じはしないんですけど、僕は下のチームからチームを支えていかないといけないので。ここから選手権が始まりますけどAチームに対してどんどんプレッシャーを与えていこうと思います」READ MORE -
明早戦史上最多得点 激しい攻防を経て伝統の一戦制す/関東大学対抗戦Aグループ
ラグビー 2023.12.04雲一つない冬晴れの空の下、関東大学対抗戦(以下、対抗戦)最終戦・早大戦が国立競技場で行われた。前半は早大相手に1本もトライを許さず、圧倒的な攻撃力で点差をつけ強さを見せつける展開に。しかし、後半は早大の意地が感じられる攻撃に反撃を許し追い上げられるも、最後まで明大も攻撃の手を緩めることなく見事勝利。58―38という明早戦史上最多得点の攻防を制し、伝統の一戦で早大を下した。 ◆12・3 関東大学対抗戦Aグループ(国立競技場)▼対早大戦 ○明大58{27―3、31―35}38早大 スタンドのファンやOB、OGの方々との校歌の大合唱で幕を開けた伝統の一戦。「鳥肌が立った。これはやらなきゃいけないなという気持ちにさせてくれた」(フルバック池戸将太郎・政経4=東海大相模)。まず先に試合を動かしたのは明大。前半5分に相手ゴールライン前でのマイボールラインアウトからモールを形成すると、そのまま前へと押し込んでいく。最後はフッカー松下潤一郎(法4=筑紫)が左の空いたスペースに飛び込み先制トライ。その後の23分にも同様の形で松下がトライを挙げ、明大が試合の主導権を握った。「少し空いたスペースに思い切って出たらトライにつながったので良かった」(松下)。開始から強さを見せつけるFW陣に負けじと、続く31分にはBK陣が攻撃を仕掛ける。敵陣22メートルラインの中央でできたラックからボールを放り出すと、右サイドに次々とパスを展開。そしてスタンドオフ伊藤耕太郎(商4=国学院栃木)が大外に走り込んでいた右ウイング安田昂平(商3=御所実)にラストパスをつなぎ、そのままグラウンディング。「帝京大に負けてから本当に明治のラグビーを突き詰めてきて、それを全員が体現できたような前半だった」(伊藤耕)。ディフェンス面も好調を見せ早大をノートライに抑えると、27―3という点差をつけ完璧な形で前半を終えた。 このまま勢いに乗り続けたい明大は、後半も開始早々から追加点を挙げる。後半6分、相手ゴール前で伊藤耕がキックチャージに成功すると、そのまま前に転がったボールを自らが拾い上げトライ。「僕のミスからのプレーだったので、そのミスを自分のプレーで取り返すことができてよかった」(伊藤耕)。続く27分には早大にモールからパスで展開されるとそのままインゴールまで運ばれ、明大としてはこの試合初となるトライを献上。その後もう1トライを取られるも焦ることなくプレーを続け、直後の32分に安田がディフェンスを振り払いながら右サイド走り抜けインゴールへ。「早大にトライを取られて悪い雰囲気があったので、あのタイミングで自分のトライを取れたのはうれしかった」(安田)。しかし、このまま簡単には終われないのが明早戦だった。「早大の盛り返してやろうという気持ちに対して自分たちが追いつけていなくて、少し気が抜けた部分を早大に突かれてしまった」(右ロック亀井茜風・政経4=長崎北陽台)。34分に右サイドに空いたスペースを突かれトライを挙げられるとそれが反撃ののろしとなった。36分、39分と立て続けに追加点を許し、一気に連続3トライを献上してしまう。だが、点差を8点差まで縮められ会場の空気が早大に傾きかけたその時だった。リザーブとしてベンチから出てきたばかりの登根大斗(法3=御所実)がラックからこぼれ出たボールを拾い上げ、そのままインゴールへ飛び込みグラウンディング。「明治にもう一度アタックマインドを持たせられるように敵陣でしっかりプレーして、そこにみんなの働き掛けがあったからこそあのビッグプレーがあった」(登根)。このトライで勢いを取り返した明大は、45分に左ウイング海老澤琥珀(情コミ1=報徳学園)がダメ押しの追加トライで点差を広げる。最後も早大の気迫のこもった攻撃に対して粘り強いディフェンスを見せ守り切り、最終スコア58―38で見事伝統の一戦を制した。 宿敵相手に勝利を挙げた明大だが「全体的にチームとしていい部分も悪い部分もたくさん見えた」(左フランカー森山雄太・政経4=東福岡)とこの結果に慢心はしていない。今試合の結果により対抗戦2位となった明大は、12月23日に全国大学選手権(以下、選手権)の準々決勝を初戦に迎え、筑波大と流経大の勝者と対戦する。「今日出た課題をポジティブに捉えてしっかりと修正し、いい状態で選手権に向けてやっていきたい」(池戸)。今年度こそ強い明大を取り戻し王座奪還へ。日本一に向け絶対に負けられない戦いがこれから始まる。 [久保田諒] 試合後のコメントまとめはこちら→①、②READ MORE -
帝京大に敗れ準優勝/関東大学ジュニア選手権
ラグビー 2023.11.28関東大学ジュニア選手権(以下、ジュニア戦)もいよいよ決勝戦を迎えた。相手は10月に対戦し接戦の末に逆転勝利を収めた帝京大。ここまで唯一黒星のない明大は順調に流れに乗れているかと思われた。しかし前半からイージーミスが多く、主導権を握れずに前半はノートライで終える。後半、逆転の好機を狙うもなかなか帝京大の強力なディフェンスを前に前進できず、最終スコア15-34で惜しくもジュニア戦準優勝となった。 ◆11・26 関東大学ジュニア選手権決勝(明大八幡山グラウンド)▼対帝京大戦 明大15{3―17、12―17}34帝京大〇 前半最初の得点は明大のペナルティーゴールによる先制で始まった。幸先のいいスタートかと思われたが前半15分、相手ボールのラインアウトからモールで攻め込まれると、抑えきることができずに先制トライを許してしまう。その後もトライを狙えるチャンスはあったものの、肝心な場面でミスをしてしまうことが多く得点につなげることはなかなかできなかった。「天候の影響でボールがスリッピーだったこともあって、イージーミスが増えてしまった。もっとミスボールに対する反応を早くしたい」(ゲームキャプテン・左プロップ中山律希・政経4=天理)。ミスに対する反応の差で相手に上回られてしまい、チャンスも得点につなげることができないまま3-17で前半を折り返した。 「相手がスクラムの組み方を前回の試合と変えてきていたので、そこに対応しようと話した」(フッカー西野帆平・文2=東福岡)と気を取り直して迎えた後半。前半に比べて敵陣でプレーをする時間は増えたものの、序盤から相手に連続でトライを取られてしまう展開に。一時は3-29と大差をつけられ、このまま試合は終わってしまうかに見えた。しかし後半16分、左センター蓬田雄(政経2=流経大柏)の際どいタッチキックから、西野が力強いアタックでブレークダウンから抜け出し今試合初のトライ。「前もって準備していたサインプレーだった」(西野)。反撃ののろしを挙げると、その後もスクラムでは明大が押し勝つことが多く、FWの強靭なパワーが光る場面が目立った。後半35分、途中出場の木谷光(商1=報徳学園)が激しい攻防からトライを狙うが惜しくもグラウンディングはできず、その後も惜しい場面が続いた。ラストワンプレーにはケガからの復帰戦である富田陸(政経2=大阪桐蔭)がトライに成功。「前が空いていたので、余裕持って前に出ることができた」(富田)。結果としては15-37で敗れたが、後味のいい終わり方でノーサイドとなった。 約2カ月間にわたって開催されたジュニア戦も幕を閉じ、いよいよ残るは明早戦と全国大学選手権。選手全員が一丸となりそこに向かって前進を続けている。「エリアの取り方に関してはジュニア戦で全員が良い経験をできた」(左ウイング東海隼・情コミ2=光泉カトリック)。今回の負けを糧に、よりたくましい姿を国立競技場で見せてくれるだろう。 [成田美彩子] 試合後のコメント中山――スクラムで意識していたことを教えてください。 「3番があまり前に出ることができない状況だったので、1番、2番で出ることを意識していました。けれどレフェリーとあまり合わず、もっと修正していこうと思います」 左フランカー大川虎太郎(法1=東福岡)――ラインアウトに関して振り返ってみていかがですか。 「アタックもディフェンスも、しっかり対策したことができたので、ラインアウトに関しては1番良かったと思います」 東――前回の帝京戦と手ごたえに違いはありましたか。 「帝京の方が下に落ちたボールへの反応が高かったり、ワークレートに関しても相手の方のレベルが高かったと思います」 フルバック竹之下仁吾(政経1=報徳学園)――BK内ではどのような話し合いをしましたか。 「エリアをしっかり取ることをメインでやっていくことと、FWがいいアタックをするためにモメンタムをしっかりしていこうと話しました」READ MORE -
対抗戦初黒星 帝京大に完敗/関東大学対抗戦Aグループ
ラグビー 2023.11.20 『真っ向勝負』をテーマに掲げ、昨年度の王者・帝京大との重要な戦いが行われた。前半は果敢に攻め込むも得点になかなかつながらず、8―22で折り返す。後半も帝京大の勢いは止まらず、次々と得点を許し、11―43と苦しい結果に終わった。「気持ちの面で焦ってしまった」(右プロップ為房慶次朗・文4=常勝学園)。メンタルなどの課題が浮き彫りとなり、明早戦に向けて見つめ直すきっかけとなった。 ◆11・19 関東大学対抗戦Aグループ(秩父宮ラグビー場)▼対帝京大戦 明大11{8―22、3―21}43帝京大○ 試合開始早々、帝京大ペースで試合が展開。しかし前半3分、その流れを断ち切るジャッカルを左プロップ床田淳貴(情コミ4=桐蔭学園)が成功させる。明大の流れに持ち込みたいところだったが、その後帝京大に先制を許してしまう。反撃をしたい明大は前半9分、ゴールライン前のマイボールラインアウトから左センター秋濱悠太(商3=桐蔭学園)が反応するも、得点につながらず。それでも直後のマイボールラインアウトの好機からモールを組み、フッカー松下潤一郎(法4=筑紫)がグラウンディング。「2回目のモールはしっかり形を作って、空いている方向にみんなでまとまって行けた」(松下)。その後も敵陣でプレーを繰り広げ、好機を生むがミスが続く。「自分たちのアタックをいい形で出すことはできたが、トライにつなげることができなかった」(秋濱)。なかなかトライを取ることができず苦しい時間が続いたが、粘り強い攻撃で反則を誘うと、左センター平翔太(商2=東福岡)がペナルティーゴールを決め、1トライ差までつめ寄る。しかし、前半終了間際、フルバック池戸将太郎(政経4=東海大相模)がシンビンになり、一人欠けて苦しい状況の中失点を許す。「8―15から8―22にされたところは、集中が少し切れてしまった」(スタンドオフ伊藤耕太郎・商4=国学院栃木)。明大ペースに試合を展開できず、8―22で前半を終える。 「絶対に逆転しよう」(松下)と挑んだ後半。敵陣でのセットプレーでミスが続き、チャンスをものにできない。そのスキを突く帝京大のアタックに苦しみ、点差が開いていく。「ミスをそのまま相手の流れに持っていかれた」(左フランカー森山雄太・政経4=東福岡)。その後、リザーブメンバーも加わり、試合の流れを変えようと試みた。「後半に入った人がしっかり流れを変えないとと思い、しっかり頑張ってタックルに行きまくろうと思っていた」(中山律希・政経4=天理)。だが、帝京大の流れを変えきれず、11―43と今年度関東大学対抗戦(以下、対抗戦)初黒星を喫した。 試合を通して、いつもはあまり見られないラインアウトでのミスなど、細かいミスが見られた。「帝京大との試合となると、気持ちの面で上がってしまう。詰め切るところを詰められず、結局ミスで終わった」(床田)。その一方で、フィジカルが強い帝京大相手にいいディフェンスを見せたところもあった。「ディフェンスは良かったが、継続力がなくてインパクトがなかった」(左ウイング安田昂平・商3=御所実)。次は、対抗戦最終戦・明早戦だ。この悔しい敗戦を機にさらなる進化を遂げる明大ラグビー部に期待がかかる。「今回ペナルティーは結構少なくいいディフェンスができていたので、そこはまず継続する。あとはブレークダウンで、もっとファイトできたらディフェンスがもっと良くなると思うので頑張りたい」(ゲームキャプテン・左ロック山本嶺二郎・法4=京都成章)。これからも廣瀬組の負けられない戦いが続く。 [井垣友希]試合後のコメントはこちら→①、②READ MORE -
東海大に勝利 課題を修正し決勝に挑む/関東大学ジュニア選手権
ラグビー 2023.11.12関東大学ジュニア選手権(以下、ジュニア戦)の準決勝が行われた。相手は、10月に対戦し辛勝した東海大。負ければジュニア戦敗退となる大一番で、明大はアタックで東海大を圧倒した。ディフェンスも、後半に乱れはあったものの固い守りで流れを渡さず、46―14で勝利。決勝に駒を進め、ジュニア戦優勝まであと1勝となった。 ◆11・11 関東大学ジュニア選手権(明大八幡山グラウンド)▼対東海大戦 ○明大46{19―7、27―7}14東海大 先制したのは明大。前半3分、敵陣ゴール付近のマイボールラインアウトから連続攻撃を展開すると、最後は今試合が復帰戦となったフルバック池戸将太郎(政経4=東海大相模)がトライを挙げた。「試合前からそこが空くということを話していたので、狙い通りのプレーだった」(池戸)。主導権を握りたい明大は、ディフェンスでも高い集中力を見せる。「ラインスピードをしっかり出して、ディフェンスのテーマだった『バインド』のところも意識できていた」(左ロック松本光貴・商4=明大中野八王子)。11分に東海大にトライを奪われるも、強固な守備で流れを渡さなかった。守りの勢いそのままに、攻撃にも流れが生まれる。20分に右センター山田歩季(商3=京都成章)がトライを奪うと、29分には敵陣ゴール付近のマイボールラインアウトからモールを押し込み、フッカー西野帆平(文2=東福岡)がグラウンディング。「東海大相手に対策してきたことが出せたので良かった」(松本)。19―7とリードした状態で前半を折り返した。 後半も、先取点を挙げたのは明大だった。後半2分、敵陣ゴール付近に攻め込むと、右サイドにパスを回し右ウイング竹之下仁吾(政経1=報徳学園)がトライ。「あまりスペースが空いていないところで外に勝負して取り切れたところは、そういったトライをしたことなかったので一つの経験になって良かった」(竹之下)。さらに11分には、自陣から池戸がディフェンスのギャップを突きラインブレークすると、サポートに付いていた左センター蓬田雄(政経2=流経大柏)がパスを受けグラウンディング。着実に得点を重ねていったが、後半途中からディフェンスに乱れが生まれ始めた。「リザーブが入ってきた時にコミュニケーションミスなどで抜かれたシーンがあった」(右フランカー大川虎拓郎・法1=東福岡)と、東海大のフィジカルを生かした激しいプレーに押され、ゲインを許す場面が増加。それでも「しっかり全員が前を見てタックルして、相手のミスにつなげることができた」(大川)。集中力を切らさず、後半の失点を23分のトライのみに抑えた。苦しい時間帯を乗り越えた明大は、その後も得点を重ねていく。27分、敵陣22メートルライン付近から、左サイドの空いたスペースに大川がボールを運びトライを挙げると、30分には敵陣で蓬田のキックパスに反応した山川遥之(営2=尾道)が左隅にグラウンディング。さらに試合終了間際には、竹之下が自陣からインゴールまで一気に走り切り、圧巻の独走トライで勝負を決めた。最終スコアは46―14。前試合で苦戦した相手にダブルスコアで勝利を収め、決勝に向け弾みのつく結果となった。 準決勝に勝利し、ジュニア戦優勝まであと1勝となった明大。今試合ではクオリティーの高いセットプレーが目立ち、特にスクラムでは随所でペナルティーを奪い、得点の原動力となった。「前回の東海大戦で、なかなかいいスクラムを組ませてもらえなかったので、そこの反省をしっかり生かして、要所要所で勝つことができ、ペナルティーももらえたので良かった」(大川)。次戦の決勝戦でも、質の高いセットプレーが勝利へのカギとなるだろう。「ジュニア選手権で優勝して、そのままチーム全体の雰囲気を上げていきたい」(竹之下)。紫紺の戦士たちは必ず、八幡山グラウンドを歓喜の渦に巻き込んでくれるだろう。 [晴山赳生] 試合後のコメント松本――今試合のご自身のプレーで良かったところはありますか。 「ディフェンスの部分では、強いフォワード相手にポジションの部分で負けなかったところは良かったと思います」 ――次戦の決勝戦に向けて意気込みをお願いします。 「まず自分の役割を80分間徹底してやり切るところと、チーム全体がつながって、 勝ち切ることができるように頑張りたいと思います」 大川――今試合のご自身のプレーで良かったところはありますか。 「アタックのところでモメンタムを持ってできて、前回の東海大戦で突かれたところ、特にモールをしっかり対策して、遂行できたところが良かったと思います」 ――次戦の決勝戦に向けて意気込みをお願いします。 「次戦の相手は帝京大で、前回勝ちましたがそんなに気持ちよく2回連続で勝たせてくれる相手じゃないと思うので、しっかり対策してまたタックルをたくさんしたいと思います」 竹之下――今試合のテーマを教えてください。 「チーム全体のテーマは『マキシマム』というテーマで、常に全力を出そうというので掲げていましたが、ディフェンスのところで何個か自分たちのミスでトライを取られてしまったので、そこはもっと改善できるところかなと思います」 ――竹之下選手はフルバックのイメージが強いですが、ウイングはいかがでしたか。 「ウイングとフルバックは似たような感じですが、パスをもらうタイミングなども全然違います。(池戸)将太郎さんが内に15番でいてくれたので、そのパスを受け取って走れたらいいなという感じで試合に臨みましたが、そういったシーンが何個かあって良かったです」 池戸――今日の試合を振り返っていかがですか。 「みんなでフォーカスし合いながら、試合中声を掛け合いながらできたので、みんなその意識がすごく高くて良かったと思います」 ――次戦の決勝戦に向けて意気込みをお願いします。 「簡単に勝てる相手ではないですが、自分のやるべきことをやって、しっかり準備して、勝てればいいなと思います」 READ MORE
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【ラグビー部】ONE MEIJI
「日本一の集団を作る」(廣瀬雄也主将・商4=東福岡)。今年度、創部100周年を迎える明大ラグビー部。その大きな節目の年に、もう一度強い明治を体現し5年ぶりの王座を奪還すべく、掲げたスローガンは『ONE MEIJI』。選手、スタッフ、ファン全員が一つのチーム〝MEIJI〟となり日本一を目指す。本企画では廣瀬組の日本一までの軌跡を追っていく。READ MORE -
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いざ、4年ぶりの王座奪還へ。昨年度の全国大学選手権では準優勝とあと一歩及ばなかった。「しっかりと頂点だけを見つめる」(石田吉平主将・文4=常翔学園)。掲げたスローガンは『AHead』。チーム一丸となり、もう一度大学日本一を取り戻す。本企画では石田組の優勝までの道のりを追っていく。READ MORE
アルバム ALBUM
部の紹介 INTRODUCTION
長きにわたって大学ラグビー界を牽引(けんいん)してきた名門。故・北島忠治監督が掲げた〝前へ〟を部訓とする。これまで〝重戦車〟と呼ばれる強力FW陣を武器に幾多の名勝負を繰り広げてきた。特に12月の第1日曜日に行われる対抗戦最終戦・早稲田戦は〝明早戦〟と呼ばれ、日本ラグビー界を代表する伝統の一戦とされる。1990年代まで12度の大学選手権優勝を果たすなど黄金期を築いた。しかし、北島監督が亡くなってからチームは低迷期を迎える。1997年シーズンを最後に日本一から遠ざかっていたが、2018年シーズンにようやく日本一を奪還。常勝軍団としての地位を取り戻した。