(1)アイスホッケー界を盛り上げる新たなる挑戦 GOAT Challenge Cupとは
アイスホッケー 2023.06.28
7月2日、アイスホッケー界を盛り上げるべく〝史上最高〟の選手たちが東京に集結する。今回は主催者である安田桂太朗(Connecticut College)さんに取材を行い、GOAT Challenge Cupについてお話を伺った。 近年、日本のアイスホッケー人気は低迷していると言わざるを得ない。日本のトップリーグであるアジアリーグも、クラブチーム化や新型コロナウイルスの影響によって厳しい経営状態が続いている。昨年度インカレ優勝を果たした明大であったが、4年生の中でアジアリーグに進んだ選手は1人もいなかった。そのような現状に危機感を覚え、立ち上がったのが今回のGOAT Challenge Cupの主催者でもある安田さんであった。 安田さんは愛知県でアイスホッケーを始めるが、より良い環境を求めてアイスホッケーの本場である北海道へ移住。さらに小学校を卒業後、海外への留学を決意した。アメリカの大学で現在もプレーを続ける中で、日本とのレベルの違いは実感したものの、一番の違いとして実感したのが試合の運営力。「日本ではエンターテインメント性より、試合を開催することだけが目的になっているように感じた」。アメリカでは四大スポーツの一つとしても数えられるアイスホッケー。トップリーグであるNHLはもちろん、大学の試合でも観客で席が埋め尽くされ大きな歓声に包まれる。「大学にリンクがあって、冬になるとアイスホッケーを見に行くことが文化のようになっている」。さらに各ピリオド間の製氷時間でも、観客が参加できる企画を実施したり、スクリーンで映像を流したりといった工夫が施されているため、観客が退屈している時間が少ない。このような本場の雰囲気を取り入れたら、見てくれる人が増えるのではないか。そのような考えから2021年に大学生を中心として、GOAT Challenge Cupが発足した。 「愛知県で満員になるほどの観客を集められたことが自信になった」。2人の兄が愛知県のチームでプレーしていることもあり、1年目は愛知県で試合を企画。無料で開催をし、日本のアイスホッケーの需要や、観客が何を求めているかなどの情報収集に力を入れた。2年目はアンケートなどで得た、液晶画面のサイズや音割れといった技術的な課題を改善。すると、観客が1年目の500人から700人へと増加し、満足度も80%を超えるほどの高評価を得た。そして、3年目となる今年度は東京へ進出。しかし地元の愛知県とは違い、知り合いがほとんどいない中でのスタートとなった。さらに、対戦カードもこれまでにない組み合わせであったため、選手に直接連絡を取り地道なステップを踏むことに。それでも、開催に向け安田さんを突き動かしたのは選手たちの熱意であった。「両チームの選手たちが積極的に協力してくれて、アイスホッケー界を盛り上げたいという強い気持ちを感じた」。最終的にはロシアのプロリーグやアメリカの大学1部リーグに所属する選手など、世界トップレベルの選手を集めることに成功。日本からも、トップレベルの大学に所属する主力選手が一堂に会することとなった。 「GOAT Challenge Cupという名前の通り、史上最高と呼ばれるような試合をつくりたい」。これまでに培ってきた映像技術や演出などを駆使し、前例のない試合開催を試みている今回のプロジェクト。「東京での開催が成功したら、パッケージ化をして日本各地で開催できるようにしたい」。東京での開催がゴールではなく、さらなるアイスホッケー界の発展も視野に入れている。今回の試みがアイスホッケー界を盛り上げる第一歩になることは間違いない。一流プレーヤーたちが本場の演出を取り入れた会場で渡り合う姿を見られることが今から待ち遠しい。 [倉田泰]※写真はご本人提供 GOAT Challenge Cupのインスタグラムはこちらから。 安田桂太朗さんへのインタビューはこちらから。
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