
【硬式野球部】挑・超・頂
猪軍団が〝挑・超・頂〟のスローガンを胸に歩み出す。昨年度は春秋連覇、明治神宮大会優勝の3冠を達成。今年度のチームには優勝の喜びを肌で感じた選手が多く残り、リーグ戦3連覇に期待がかかる。そして主将には大学日本代表経験もあり明大打線の柱である上田希由翔(国際4=愛産大三河)が就任。5大学が〝打倒明治〟で迎え撃つ中、明大はどのような戦いを見せてくれるのか。本企画では、神宮へと挑む選手たちの1年間を追っていく。
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(33)早大戦 選手コメント②/東京六大学春季リーグ
硬式野球 2023.05.19(この取材は5月16日~18日、電話にて行われました) 宗山塁内野手(商3=広陵)――3季連続の優勝はいかがですか。 「まずはうれしいというのが一番にあります。1回戦で、打線に力がある早稲田を相手に打ち勝つことができたのが大きかったです。チームとして試合を重ねるごとに強くなった実感があり、今まで自分たちが取り組んできたことは間違いではなかったことが分かりました」 ――今季は引っ張り方向への打球の割合が増えたように思います。 「自分の中では引っ張り方向へ打球を打てないことが最も嫌なので、あまり気にすることはありません。昨年度の春も高い打率を記録することができましたが、最初から流し方向の打球を意識することはさほどありませんでしたし、あくまで現時点で結果的に割合が増えているだけだと認識しています」 飯森太慈外野手(政経3=佼成学園)――1回戦では4安打を放ちました。 「あれは持っているもの以上のものが出てしまったのでラッキーかなって感じですね(笑)。絶対に打たないといけない試合だったので、がむしゃらに打席に立った結果があのようになったので良かったと思います」 ――2回戦では飯森選手の安打などもあり3点を先制しました。 「明治は〝1〟を大事にしていて初回の攻防が試合の流れで一番大事っていう考えで、相手をゼロに抑えてうちは先制点を取るっていうのが一番大事にしていることなので、いけるかなという雰囲気になりました。(バスターからの安打で好機を広げました)いやバントのサインだったんですけどサードが前に出てきていたのと緊張でバントがあまり決まりそうになかったので打っちゃおうと思って打ちました(笑)」 ――4カードを消化して現在首位打者です。首位打者のタイトルは狙っていますか。 「狙ってはいますけど意識はしていないです。ベストナインは今季の目標だったのでそれだけは絶対かなえたいと思っているので首位打者も欲しいですけど、まずは全国制覇とベストナインは今季の目標としてここまで練習してきたので絶対まずはそれ取ります」 直井宏路外野手(商3=桐光学園)――早大1回戦は3出塁でした。振り返っていかがですか。 「まず自分の役割はある程度全うできたかなと思います。凡退した2打席、打った打席もそうですけどもっとチームが盛り上がるような打撃をしたかったです。加藤(孝太郎・早大)投手を早く降ろすというのが勝ちにつながると思っていたので、それができたのが後半の大量得点とかにつながって良かったと思います」 ――ご自身3度目の優勝ですが、昨年度と今年度では優勝への気持ちに変化はございましたか。 「去年の春は特に余裕がなかったというか目の前の試合に精いっぱいという感じでしたが、今季は今までの経験があって心に余裕があったので、一戦一戦しっかり勝って優勝できたなという感じがあります」 ――今季の明治の強さの要因は何ですか。 「ピッチャー陣が安定しているので、全員が守備のいいリズムで攻撃に入れているのが要因かなと思います。あとは上位打線がとても頼もしいのでそれに下位打線が付いていくという形ができているのかなと思います」 杉崎成内野手(総合3=東海大菅生)――出場機会がない間、どんな練習をどんな気持ちでされていましたか。 「スタンドで応援していて、もちろん勝ったらうれしいという気持ちはあるんですけど、出られずに同期が活躍しているのを見たりするとやっぱり悔しいっていう気持ちもあるので、それを力に変えてじゃないですけど、自分もリーグ戦で活躍したいという気持ちで自分のやるべきことをやっていました」 ――2回戦ではスタメン出場を果たしました。経緯を教えてください。 「多分その日にスタメンが決まったと思うんですけど、それも自分の土曜日の打席と調子を加味して、鈴木コーチが推薦してくれたんだと思いますね。その日の朝に『もっと打席立ちたいだろ?』と言われて。『はい』って言って、監督も『行ってみる?』って。スタメンは前日の土曜日には全く想像はしていなかったです。監督からは『ホームランは狙いすぎるなよ』というふうに言われてユニホームを着ました」 ――立大戦への意気込みをお願いします。 「1試合しかまだ結果を残せていない、活躍できていないので、立教戦にスタメンで出るかどうかもまだ分からない状況なんですけど、もし出たらあの試合だけだったというふうに言われないように、自分の持ち味をしっかり出して、2連勝できればいいなと思います」 今井英寿外野手(政経2=松商学園)――1回戦ではリーグ戦初となる本塁打を放ちました。 「打った瞬間入ったと思いました。相手バッテリーが外角中心の配球をしてくるのは分かっていたので、強引な打撃をしないようにしました。1年次はあまり思うようなプレーができないことも多かったのですが、この日は野球が楽しく感じました」 ――今季は代打起用なども含め多くの選手が活躍を見せています。 「例えば代打の選手なら、相手ブルペンで左投手が肩をつくっていると分かったら右打者が一斉に準備を始めるなど、準備力が他大学を上回ったかなと思います。明治で生き残るための一打席に対する意識は全員が高く持っています」 ――リーグ戦期間中、調子を維持するためにどのような調整をされていましたか。 「自分は練習の時から逆方向への打球を意識しています。逆方向を狙って打つということはボールを引きつけて打つということなので、それを意識すれば変化球を見極めることにもつながりますし、逆方向に打てるかどうかということを調子のバロメーターとして意識していました」 小島大河捕手(政経2=東海大相模)――2回戦、8回裏での本塁打を振り返っていかがですか。 「次の1点が非常に大きな意味を持つところで、なんとか1点取りたいなっていうのはありましたし、初球から甘く来たボールは全部いこうと思っていたので、いい形で体が反応してくれたと思います」 ――大きなガッツポーズが出ていました。 「はい(笑)。もううれしかっただけですね。次のバッターとかがみんな迎えてくれたので、もう本当にうれしかったです」 ――最終回は1死ごとに歓声が大きくなっていきましたが、グラウンドではいかがでしたか。 「もちろんスタンドが盛り上がっているのは分かりますし、みんな分かっていたと思いますけど、自分はキャッチャーなのでなんとか落ち着かせて冷静にっていうのは意識していました。(ランナーは出ましたが)3点差だったのでそこはバッターでなんとかアウト取るって思って、ピッチャーにもそう言いましたし、よく守れたかなと思います」 久野悠斗投手(商2=報徳学園)――優勝が決まったときの心境を教えてください。 「自分はケガで出遅れて早稲田戦まで投げられなくて、正直何もチームに貢献できていないと思ってましたが、最後の最後で投げてなんとか仕事ができて優勝に貢献できて良かったというのと、素直にチームが勝って、去年からリーグ戦3連覇できたのは非常にうれしかったです」 ――早大への対策は何かされましたか。 「去年の秋は結果的には早稲田を抑えましたが、内容が悪くて調子が悪かったので、外野に大きい打球を飛ばされていたので、今回は1点差だったのもあって、大きい打球や長打を打たれるのは避けたいと思って、それを意識して丁寧にコースに投げました」 ――今季は同級生の小島選手が捕手を務めています。 「去年は蓑尾(海斗選手・令5文卒・現Honda熊本)さんに受けてもらっていて、3学年上の安心感の中で投げられていた分、大河に頼るわけにはいかないと思っていましたが、去年のフレッシュの時も受けてもらって相性がいいなと思って、配球も好みというか面白い配球をしてくれると思っていたので早稲田戦の時は少し頼ってしまったかなと思います。高校の時に選抜(高校野球大会)で優勝しているだけあって、経験値も高いし野球知識も高いというのもあるので、不安はないし落ち着いて投げられます」 ――ありがとうございました。 [硬式野球部担当一同]READ MORE -
(32)早大戦 選手コメント①/東京六大学春季リーグ
硬式野球 2023.05.19(この取材は5月16日~18日、電話にて行われました) 上田希由翔主将(国際4=愛産大三河)――優勝が決まった時の心境をお聞かせください。 「ほっとしたっていう方が大きいですかね。ずっと3連覇4連覇っていうふうに言われていたので、やっと最初の段階で3連覇ができて良かったなっていう感じで、ほっとしました」 ――試合後には涙も流されていました。 「ほっとしたんでそれで涙が出ましたね。(整列の時はこらえていましたか)いやあの時はそんなに覚えてないですけど、そんなにだったと思います。(ベンチではチームメートと話されていましたが)全然覚えていないですけど、良かったですねみたいな話はしていたと思います」 ――立大戦に向けて、池田陽佑投手(立大)が対戦したい選手に上田主将を挙げていました。 「同じトレーニング場に行っているのでそこで話したりとか、オールスターとかジャパン選考とかで仲良くなっていたので、自分も立教で対戦したいのは池田だなと思っています。関西人だから接しやすいというか、そういう感じがするし、自分は話すのがあまり得意な方じゃないので、結構どんどん話しかけてくれてみたいな感じですかね」 村田賢一投手(商4=春日部共栄)――早大1回戦を振り返っていかがですか。 「コンディションが自分もグラウンドも悪かったですけど、打線が奮起してくれていいテンポで投げられたので良かったです」 ――早大2回戦ではブルペンで蒔田稔投手(商4=九州学院)と村田選手が並ぶ場面がありました。 「そうですね、自分達も話していましたね。並ぶことがほぼなかったので、『初めてじゃね』って言われて『そうだねー』みたいな。それくらいの会話ですけど(笑)」 ――母の日での優勝でした。お母さんとは会いましたか。 「お母さんが来ていたので、終わった後に会って、自分が好きなトイストーリーのハムのぬいぐるみをもらいました。(何か伝えましたか)今日は何も持ってきてはいないんだけどと言って、ピンクのリストバンドと10勝目のボールは渡しました。花束持って行くとかはおかしいのでそう考えると『ありがとうございました』と伝えられたのでそれで良かったと思います」 堀内祐我内野手(文4=愛工大名電) ――早大1回戦の本塁打は振り返っていかがですか。 「正直少し詰まっていたので、フェンスというかライトオーバーかなと思って走っていたら入ったみたいな感じでしたね。入っていないかなとも思って全力疾走をしてました。この日は母が来ていて、母が来ることはなかなかなくて。父はよく来るのですが、母も来るというのは本当にイベントなので、少し打てたらと思っていたら打てました」 ――打線が機能した要因を教えてください。 「日頃の行いじゃないですかね(笑)。でもアナライザーにかなりしっかりとしたデータを出してもらえていて、明治の打者の苦手なところとか打ったところとかを出してくれて、恐らくこの辺に攻めてくるだろうというのを示してくれています。それを頭の中に入れて試合に臨んだので、それが良かったかなと思います」 ――2回戦は、ゴロが8個、ライナーが1個とセカンドでのアウトが9個ありました。 「多いなという印象はありました(笑)。それでもその中でひりついた打球は1、2個で安定してさばけたので良かったです」 石原勇輝投手(商4=広陵) ――早大2回戦を振り返っていかがですか。 「優勝が懸かった大一番で先発させてもらって3失点はしたのですが、5回までは無失点に抑えることができて、試合をつくれたかなというのは思っています。ただ6回は、味方のエラーと自分のファアボール、ホームランという最悪な形で点を取られたので、そこはふがいないというか、あそこでもう一踏ん張りできたら楽になっていたなと思います」 ――この日も直球は最速149キロとかなり走っているように見えました。 「そうですね。ストレートの走りは良かったのですが、カーブが抜け気味でした。自分のストレートは変化球が良くないと生きないと思っているので、ストレート自体は良かったのですが、カーブが抜け気味だったのは良くなかったかなと思います」 ――マウンド降りた後も一番前で声を出されていたのが印象的でした。 「やはり自分の中での先発というのは7回くらいまで投げてその後8、9回につなぐという意識です。ですが、6回で降りてしまって、試合の流れ的にも4―0といういい流れで後半に持ち込もうとしていたのに、3点取られて早稲田に火を付けてしまったので、そこでやっぱりベンチ帰ってからも引きずらないように、チームに勝ちを呼び込めるようにと思って。しっかり声を出して自分が引っ張っていこうと思っていました」 蒔田稔投手(商4=九州学院)――2回戦はブルペンからどのような気持ちで試合を見ていましたか。 「最終的には自分に回してほしいなっていうのはあったので俺にしっかり勝った状態で回してくれって思ってました」 ――優勝が懸かる9回のマウンドに起用されました。 「久野(悠斗投手・商2=報徳学園)も状態が良かったですが、そこで自分を選んでいただいたというのは自分に期待とか信頼があるんじゃないかなと思い、それに応えたいと思いました」 ――投球ではどんなことを意識されましたか。 「先頭打者を切ることと、ランナー1人ツーアウトから出てしまったんですけどホームランでも1点差なので無駄なランナーを溜めないように、ランナーは無警戒で目の前のバッターを抑える意識でした」 ――ありがとうございました。 [硬式野球部担当一同]READ MORE -
(31)立大戦事前インタビュー② 沖政宗投手、戸丸秦吾捕手
硬式野球 2023.05.19(この取材は4月1日、8日に行われました) 沖政宗投手――昨季は中継ぎとして投手陣を支えました。 「多くの経験をさせていただいた春に比べ、やはり昨季はやや下降気味だったという印象があり、自分の中で納得いく投球を続けることができませんでした。シーズンを通じてチームに貢献できたとは言い切れないので、悔しいシーズンでした」 ――中継ぎとして登板を重ねる中で感じたことをお聞かせください。 「主役となるボジションではないかもしれませんが、試合の流れを変える重要な役割があると思っています。登板の際は、自分が目立つというよりは、自分が試合の流れをつくってそれを野手陣に還元するようなイメージでチームを支えるということを意識していました。自分たちのチームは継投に関してはかなり自由で、試合前にはある程度の順番のみを伝えられるだけです。試合中は自己判断で肩をつくるという方法で戦っています」 ――ご自身のアピールポイントを教えてください。 「自分は公立高出身で技術に自信があるわけではないのですが、レベルの高い選手に食らいつく気持ちは見せていきたいと思います。制球力と緩急を生かした投球というのが武器だと思っているので、東京六大学リーグで通用する投球ができるように頑張ります」 ――高校時代のチームメートである弊部の菅波陸哉(情コミ2=磐城)からは技術的な部分だけでなく、人間的にも優れた選手だと伺いました。 「そのように言ってくれてうれしいです。菅波は本当に優しいので、僕のいいところだけ伝えてくれたんだと思います(笑)」 ――得意な球種を教えてください。 「横のスライダーです。基本の球種である直球とスライダーには自信があるので、この二つを基本として投球を組み立てていくのが自分のスタイルです」 ――逆に課題としていることはございますか。 「直球の強さです。制球が自分の特徴だと思っていますが、レベルの高い相手に対してはそれだけではどうにもならないのだと痛感しています。特に昨春、明大の蓑尾海斗選手(令5文卒・現Honda熊本)に優勝を決める犠飛を打たれた際は球威不足を強く感じました」 ――昨季はベンチとの意思疎通の関係でファールラインを跨いだことで登板せざるを得なくなった場面がありました。 「実はルール的には問題なかったようで、審判団から後日謝罪の連絡をいただきました。アンツーカーに入らなければ交代する必要はなかったようです。自分も投げたい気持ちがはやり、溝口監督が手を挙げたので自分の登板かと勘違いをしてしまいました。結果的に抑えることができたのでそこは良かったです」 ――立大で今季の活躍が期待できる選手を教えてください。 「キャプテンの晋太郎さん(西川主将)やキャッチャーの戸丸(秦吾捕手)はかなりバットが振れていて状態が良いなと感じます」 ――今年の立大投手陣はいかがでしょうか。 「力のある昨年度の4年生が卒業して、昨季から投手陣の中心として登板した投手は池田さん(陽佑投手)のみです。その中で経験の浅い投手含めて、どれだけリーグ戦で通用する投球ができるかというのがカギになると思います。その意味では継投が重要で、全員が任されたイニングを全力で抑えて後ろにつなぐ意識を持つ必要があると思います」 ――ありがとうございました。 戸丸秦吾捕手――春季キャンプではどのようなことに取り組まれましたか。 「キャンプでは守備を中心に練習しました。前チーム正捕手の黒岩さん(陽介選手・現日立製作所)と比べると自分はそのレベルに到達しておらず、守備面で全体的なレベルアップが必要だと感じたので重点的に取り組みました」 ――昨季はスタメン出場も増えました。 「自分が出場したのが明治戦と東大戦なのですが、負けてはならないというプレッシャーを感じて緊張したことを覚えています。その中で神宮球場という舞台で応援を受けながらプレーするという体験は自分にとっていい経験になりました」――長所・武器を教えてください。 「肩が強いと言われることもありますが、明治の飯森選手(太慈外野手・政経3=佼成学園)の盗塁を防ぐことができていないので、あまり自信を持って言うことはできません。負けん気があることくらいですかね」 ――プロ注目の池田陽佑投手をリードします。 「普段はとても面白くて、試合の時は頼りがいのあるかっこいい先輩です。今季は投手陣のリーダーとして後輩にアドバイスをされていますし、エースとして活躍してくれると思います」 ――今季の目標を教えてください。 「打撃面では犠打も含め、場面に応じて自分がやるべきことをするという意識を持てばそこまで悪い数字にはならないと思います。捕手というのはチームを勝たせなければ評価されないポジションだと思うので、強い相手に対して勝ちにつながる守備をするというのも目標です」 ――明大に対してはどのようなイメージがございますか。 「今の東京六大学のトップのチームだと思いますし、自分たちはあくまでチャレンジャーとして全力で戦おうと考えています。村田さん(賢一投手・商4=春日部共栄)や蒔田さん(稔投手・商4=九州学院)はじめ、いい投手が多い印象です」 ――大学日本代表のコーチも務める溝口智成監督(立大)からは普段どのような指導をされているのでしょうか。 「『明治や慶應でも今のポジションでレギュラーを取ることができるかが基準だ』と自分はよく言われます。ですから各大学の捕手と自分を比べて、自分に足りないものは何かということを常に考えて毎日練習しています」 ――最後に今季の意気込みをお願いします。 「正直に言って、自分たちは強いチームではありません。ですが例え弱くとも勝つことはできるということを示したいと思っています。応援してくださる方の力もお借りして、神宮球場で自分たちの力を発揮したいと思います」 ――ありがとうございました。 [上瀬拓海](戸丸選手の写真は「立教スポーツ」編集部提供)READ MORE -
(30)立大戦事前インタビュー① 西川晋太郎主将、池田陽佑投手
硬式野球 2023.05.19(この取材は4月1日に行われました) 西川晋太郎主将――昨季を振り返っていかがですか。 「昨季は春も秋も本当に悔しい結果で、優勝できるんじゃないかというところで勝ち切れなかったので、悔しい結果でした」 ――課題はございましたか。 「勝ち切れないというか、もう一つのところで勝ち切れないのが立教野球部というイメージだったので、それを本当に変えていかないといけないので、今年の新チームが始まるときに決めました(具体的に変えた部分はございますか)行動というか、例えば何かできなかったことをすぐ変化させることができなかったので、今は何か課題が出たら、それをつぶすためになるべく早く変化させようというのはずっとチームでやっているところです」 ――主将に就任した経緯を教えてください。 「キャプテン副キャプテンを決めるときに、僕たちは自分たちの学年の投票みたいな感じで、その後に監督に言いに行く感じだったのですが、そこで自分の代が結構自分に入れてくれたので、プラス自分もキャプテンしたいなという思いはあって、決まりました」 ――前主将・山田健太選手(現日本生命)からは何かメッセージはございましたか。 「『自分らしくやって頑張ってくれ』みたいなことを言われたので、別にキャプテンになったから何か変えるわけでもなく、自分らしくやっていこうかなと思っています」 ――ご自身の中でキャプテン像はございますか。 「正解はないと思うので、結構明るく声を出したり、元気出すっていうのが今までの自分だったので、それに加えて、今までより周りを見て、少しでも早く変化に気づいてチームを良くしていこうということだけで、特にこれがキャプテンだろうというのは考えていないです」 ――今季のチームはどのようなチームですか。 「ピッチャーが粘ってくれないと勝てないですし、特にバッターは去年ほど打力がないので、つないで点を取るチームだと思います」 ――主将として心掛けていることはございますか。 「チームスローガンも〝革新〟というスローガンなのですが、これはチーム、立教を新しく変えるという思いを込めていて、やはり自分が率先してチームにいい影響を与えられるように、試合で結果が出ない時に自分が思い切ってやったりだとか、自分が姿勢を見せないといけないと思うので、自分が一番やってやるぞという気持ちは見せるようにしています」 ――今季の打撃陣についてはいかがですか。 「4年生が内野で2人くらいしかいなくて、あとは3年生以下なので、やはり発言しにくい部分があると思うんですけど、元気出してやっていこうというのは自分がいつも言っているので、良い雰囲気で出来ていると思います」 ――ご自身の役割についてはどう考えていますか。 「今のところスタメンの内野で出ている4年生は自分1人なので、やはり引っ張っていかないとなと。もちろん全体もそうですけど、内野陣も引っ張っていきたいという気持ちはありますし、つないでつないでという打撃陣なので、そこでチャンスで1本打って勢いづくようにというのはずっと考えています」 ――今季の明大のイメージを教えてください。 「最後の最後までスキがなくて本当に粘り強いチームだと思いますし、昨年度リーグ戦優勝しているメンバーが残っているので、簡単には勝てないだろうなと思っています」 ――ありがとうございました。池田陽佑投手――昨季を振り返っていかがですか。 「秋は自分の投球ができたと思います。春はケガをしていたので、そんなになかったかなと思います」 ――課題はございましたか。 「終盤にかけて自分のボールが弱くなったり制球が弱くなったりしたので、そこが課題かなと思います」 ――新学年、ここまでの調子はいかがですか。 「1回絶不調を経験したんですけど、そこからはだんだん上がってきているかなという感じです」 ――オープン戦ではどのような調整をされましたか。 「自分の真っすぐでどれだけファールを取れるかとかストライク取れるかとか、質を上げることに着手してオープン戦はやっていました」 ――投手陣の雰囲気はいかがですか。 「みんな自分の持ち味を生かして良い投球をしているので、良い雰囲気かなと思います」 ――実力のある投手陣がそろっています。 「そんなことないです。みんな僕も含めてまだ技術も経験も浅いので、経験あるからどうとかじゃなく、自分の投球を一生懸命表現することが大事かなと思います」 ――ドラフトへの思いなどはございますか。 「大学に入る前にこの4年間で絶対にプロに行くと決めてやっているので、そこはやはり思いは強いですね」 ――今季の明大のイメージを教えてください。 「やっぱり投手も打者も他の大学以上に層が厚くそろっていると思うので、六大学の中でも頭一つ抜けているチームかなと思います」 ――対戦したい選手はいらっしゃいますか。 「誰だと思います? (上田希由翔主将(国際4=愛産大三河)でしょうか)正解! (理由はございますか)希由翔とはプライベートでも仲良くさせてもらっていて、プライベートでも仲良いですし、思い入れというか、絶対に抑えたいんだという気持ちが一番強いです。あとは一番いいバッターなので、一番いいバッターを抑えたいという気持ちもあります」 ――ご自身の役割についてはどのように考えていますか。 「まずは勝つことが自分の役割だと思うので、勝つことを第一に、チームの雰囲気がそれで良くなっていけばいいですかね」 ――今季の目標や、取りたいタイトルがあれば教えてください。 「全大学から勝利と、防御率1点台は目指したいところです」 ――ありがとうございました。 [栗村咲良](西川主将の写真は「立教スポーツ」編集部提供)READ MORE -
(29)法大戦 選手コメント②/東京六大学春季リーグ戦
硬式野球 2023.05.12(この取材は5月3日~6日、電話にて行われました) 宗山塁内野手(商3=広陵)――春季リーグ戦も後半になりますが、今年度のチームの戦い方ができてきたように思います。 「昨年度に比べ、今年のチームは守備に特徴があるチームだと感じています。法大戦でも守備に加えてバントなど基本的な部分で相手を上回ることができた結果、2連勝できました。4試合を戦った慶大戦の直後だったので、連勝できたことはチームとしても良かったと思います」 ――昨年度の活躍もあり、常に高い水準のプレーを求められる立場になりました。 「確かに今季はここまで打率があまり上がっていないのですが、打てない状況だからこその気付きもあります。例えばいい当たりを打ったのに凡打になってしまったのなら、自分の打撃に修正すべきポイントがあると分かります。その意味ではむしろ崩された中で安打になってしまった方が気持ち悪いかもしれません。ですから高いレベルを求められる状況でも、そのことを悲観することはありません」 直井宏路外野手(商3=桐光学園)――犠打が多いという印象があります。 「とにかくスコアリングポジションに持っていくというのがあったので、とにかく塁に出たらバントで相手にプレッシャーを与えていったのが終盤の逆転に響いたと思います。(バント練習は)特に自分は打撃練習と同じくらいやっています。オープン戦でもなかなか決まらないことも多くて苦手分野ではあるので、色々な人に聞いて自分の中でかみ砕いて吸収するというのを繰り返してやっています」 ――今季はここまで3打点ですが、それについてはいかがですか。 「去年はかなりチャンスで凡退してしまったというイメージなので、少し成長なのかなと思います。去年からメンタルトレーニングというか本を読んだり技術以外のこともやっているので、それが少し形になっているのかなと思います」 小島大河捕手(政経2=東海大相模)――法大1回戦は点を取られてもすぐに取り返す展開でした。 「取られたらすぐ取り返すというのを新チームが始まった時からやってきたので、取られても『すぐ取り返そう』というふうにベンチも上がっていくような雰囲気だったので良かったと思います」 ――法大2回戦の終盤は出塁を許す場面が多かったですが、バッテリーとしていかがでしたか。 「最初から自分の中で後半きつくなってくるなとは考えていたので、慌てることなくバッター一人一人をどう抑えていくかを考えて試合に臨むようにしました」 ――前半戦の反省点はありますか。 「打率が少し低いのでそこを何とか上げたいのと、やはり自分は勝負強さが売りだと思うので、自分らしい勝負強さを出せるような準備をしていきたいと思います。(打率を上げるには)1打席目が大事になってくると思うので、1打席目のファーストスイングからしっかりボールを捉えられるように準備をしっかりしていきたいと思います」 木本圭一内野手(政経2=桐蔭学園)――法大1回戦での逆転本塁打を振り返っていかがですか。 「自分の中で打てそうな感じがあったので、自信を持って打席に立つことができて、たまたまホームランになったのですがいい結果になってほっとしました」 ――入った瞬間はいかがでしたか。 「かなりしっかり捉えていたので風も吹いていたというのもあったのですが、自分でも入ったところもしっかり見えていました。嬉しい気持ちとびっくりした気持ちがありました」 ――代打での出場が多いですが、心掛けていることはございますか。 「左ピッチャーの時の代打が多いので、相手の左ピッチャーの動画を見るようにしたりしています。打てるようにするための準備はしっかりやっていると思います」 ――ありがとうございました。 [硬式野球部一同]READ MORE -
(28)法大戦 選手コメント①/東京六大学春季リーグ戦
硬式野球 2023.05.12(この取材は5月3日~6日、電話にて行われました) 上田希由翔主将(国際4=愛産大三河)――法大1回戦はシーソーゲームでした。試合中はどのような心境でしたか。 「チーム的にも点を取られてからずっとエンジンがかかってきていたので、どこかで逆転できるだろうという気持ちはありましたが、なかなかピッチャーを助けることができなかったのでもっと早く助けられたらなという気持ちでした」 ――チームとしては今季、逆転勝ちが非常に多いです。 「粘り強くできているのがチームの中での強みになっているので、リードされても簡単に負けないなという、少しチームの中でも大丈夫だという気持ちができ始めていると思います」 ――次戦の早大戦は優勝に向けて重要なカードになります。 「周りはそう言いますが、自分たちは1カード1カード取っていくだけなので、優勝に向け大きなカードになりますけどそれは気にせず、まずはしっかり早稲田で勝ち点を取れるように頑張りたいと思います」 村田賢一投手(商4=春日部共栄)――法大2回戦の投球を振り返っていかがですか。 「序盤あれだけいいピッチングをしていましたが、後半感覚的な部分で良くないところもあってそれが制球のバランスであったり捉えられたりした場面もあったのでそこは反省ではあります。ですが、全体を通して0でいけたというのは非常によかったです」 ――6回裏は初安打からピンチでしたが二者連続三振で切り抜けました。 「篠木(健太郎・法大)もバッティングがいいし、1番の武川(廉・法大)も当たっている打者の中で、バットに当てさせない投球というか普段自分がやらないような投球をしていたので、緊張しましたけど結果的に上手くいったので納得いっています。(三振を取りに行く時と普段ではどういった違いが)変化量と投げる場所じゃないですかね。色々な面で当てにくるところと振りにくるところが分かるので、篠木の場合には外野に飛ばされたらアウトだったので、当てにこないようなところで勝負をかけました」 ――最終的には完封勝利で今季1勝目です。 「気持ちとしては(通算)13勝目くらいな感じです(笑)。ここから先も助けて助けられての関係性でやっていくと思うので、先に助けることができたと思えば何の苦でもないかなと思います」 堀内祐我内野手(文4=愛工大名電)――法大1回戦では試合中、かなり声を掛けられていました。 「雰囲気を落とさないための一つですし、副キャプテンとしてチームの士気の底上げという感じでしっかり自分から発信していこうと思っていたので声を掛けていました」 ――法大2回戦を振り返っていかがですか。 「とりあえず先制したらというか村田から『1点取ってくれたら』みたいな感じで言われていたので、村田の時になかなか援護ができていなかったので、まずはとりあえず死ぬ気で1点をもぎ取りにいくことができて良かったです」 ――打撃好調の要因は何かございますか。 「やはり集中力であったりとか試合前のバッティング練習とかを、無駄にしないでしっかりやっているところがつながっていると思います。(1打席目の打率が7割1分4厘だがそれについては)特にあまり意識はしていないのですが、1打席目に打ってその後気が抜けないように。そこだけ気を付けてやっていきたいと思います」 蒔田稔投手(商4=九州学院)――法大1回戦での登板はいかがでしたか。 「球速的には去年より出ていなくて4回表からはフォームのズレが出てきて打たれてしまいましたが、前半の3回まではしっかり抑えられて真っ直ぐ自体もある程度良くなっているので、そこは自信を持てるようになったと思います」 ――今後どのような投球をしていきたいですか。 「村田も仕上がっていて安定感も増しているのでそこに自分も流れに乗っていくというか村田と同じかそれ以上のピッチングをしないとダメだと思っているので、負けないようにそれを上回る勢いでいきたいです」 ――次戦に向けてはどう調整したいですか。 「前の空き週もやりましたがキャンプというか、しっかり体を追い込んでそれで慶大戦でも結果が出たというのはあるのでそこは継続してやっていけたらなと思います」 ――ありがとうございました。 [硬式野球部担当一同]READ MORE -
(27)早大投手陣に見いだすわずかな好機 〝粘り強く〟が勝負のカギ/東京六大学春季リーグ戦 後半戦展望
硬式野球 2023.05.12第5週が終わり、佳境を迎えた令和5年度春季リーグ戦。3連覇の大偉業に挑む明大は2カードを残した現時点で、6勝1敗1分の首位と絶好の位置につける。次節の相手は5季ぶりのリーグ戦制覇に向け、後がない3位・早大。優勝を懸けたこの大一番を展望する。 近年は苦しいシーズンが続く早大だが、昨秋は2位と健闘し、続く今季も快進撃を見せている。開幕カードとなった東大戦では2戦合計23得点で連勝。立大戦も前評判の高かった立大投手陣を攻略し、勝ち点を獲得した。しかし、前節の法大戦は初戦を取りながら、4回戦に及ぶ激闘の末勝ち点を落とした。早大は明大戦で勝ち点を落とせば優勝の可能性は消滅。今季の明早戦は早大にとっても大一番となる。 昨秋から続く躍進の原動力となっているのが、主戦の加藤だ。春にプロ志望を表明した右腕は昨春から先発として台頭し、秋には最優秀防御率のタイトルを獲得。チームを2位に押し上げた。直近の法大戦では2試合に先発し15回と3分の2を自責点1とまさに絶好調。そんな加藤の最大の武器は正確な制球力だ。投球フォームを見ても他投手に比べ並進する時間が長く、球持ちが良い。制球が安定している分、配球は外角に偏りがちだが、ピンチでは強気に内角を攻め、打者の懐を突く。この投手の投球で最も注目したいのは〝直球の使い方〟だ。加藤の直球は常時140キロ前後とリーグ内でも特段速いわけではない。しかし直球を投じる際と大差ない投球フォームでキレのいいカーブやチェンジアップを投げ分けるため、打者は追い込まれるとどうしても変化球をケアする必要がある。その結果加藤がクイック気味に投じた直球に振り遅れてしまう場面が多く見られる。昨年度明大は2度対戦したが、いずれも好投を許しており相性は微妙。1回戦は明大主戦・村田賢一投手(商4=春日部共栄)とのマッチアップが予想されるため、加藤の疲労はあれ、ロースコアの展開になるだろう。加藤攻略がこのカードのポイントになることは間違いない。 〈参考:加藤 対明大成績〉・令和4年度春季リーグ戦 明早2回戦 明大1―2早大 ○9回1失点(https://meisupo.net/news/detail/13710)・令和4年度秋季リーグ戦 明早1回戦 明大2―0早大 ●7回1失点(https://meisupo.net/news/detail/14238) そんなエースの踏ん張りに呼応するかのように好調を維持しているのが野手陣である。第5週終了時点でチーム打率は.301とリーグトップ(明大は.288で2位)。さらには打率上位3傑を熊田、中村将、尾瀬で独占。これに山縣、印出、小澤も加わりスタメン野手8人中6人が打率3割越えと手がつけられない。打線は1番から左打者と右打者がジグザグに並んでおり、試合終盤の継投が難しい厄介な打線。守備面では昨季二塁を守った熊田が遊撃に再転向。山縣との二遊間に捕手の印出も含め、リーグ戦経験のある実力派の選手でセンターラインが固まった。それが功を奏し、安定した試合運びができるようになったのが今季の早大だ。全体を通して明大投手陣がこの強力打線に対していかに踏ん張ることができるかがこのカード最大のカギとなるだろう。 ここで大一番・早大戦のスタメンを予想。今季はほぼ不動のオーダーで戦う両チームなだけに、野手はこれに近いメンバーが名を連ねるだろう。2回戦の早大先発には東大2回戦で好投した鹿田や法大戦2試合で先発した清水大ではなく、今季3登板の速球派・中森を予想した。鹿田や清水大は法大戦で打ち込まれ、状態の良い田和も4回戦で負傷降板かと見られる降り方をしている。ならば昨春は6試合に登板した経験と苦しい台所事情を鑑み、中森今季初の先発に起用するのではないか。抑えの伊藤を先発に持ってくる可能性もあるが、コンディションが万全でないと報じられている。また昨季伊藤を先発に立てて明大に大敗したことを踏まえても先発起用は考えづらい。一方の明大は空き週を挟み、休養十分。村田、蒔田稔投手(商4=九州学院)の両右腕の先発と見て間違いない。1回戦は村田である程度回を稼ぎ、投手起用に余裕を持った状態で2回戦に挑むというのが明大ベンチの青写真か。 近年最高の戦力を誇る早大だが、つけ入るスキがあるとすれば投手陣だろう。法大戦では4試合を戦い、加藤が先発以外の試合で課題が露呈した。今季の早大は加藤が先発した試合の防御率が1.02と安定しているのに対し、他の投手が先発した試合は4.72と不安がある。さらに早大は法大4回戦から中3日で明大戦を迎える過密日程。投手運用は厳しく、このカードが長引くほど中継ぎ陣の充実した明大有利の展開になると考えられる。いずれにせよ、疲弊した早大投手陣の状態を考えると、序盤の失点を抑え、粘り強く終盤勝負に持ち込めば大いに勝機があるだろう。早大戦のキーマンは3番・遊撃手の宗山塁内野手(商3=広陵)だ。宗山は大の早大キラー。昨年度放った6本の本塁打の内3本は早大戦で放ったもの。特に昨季の早大2回戦では、5打数5安打2本塁打7打点と神がかり的な活躍を見せた。今季は他大学バッテリーの厳しいマークに遭い打率.273と本来の実力を発揮できていないだけに、早大戦での活躍に期待したい。 21年前の秋季リーグ戦。明大は今季と同じく水曜の法大戦を落とした直後の早大に連敗を喫し、優勝を逃した。今度はその借りを返す番だ。 [上瀬拓海]READ MORE -
(26)前半戦をデータで振り返る 投手編/東京六大学春季リーグ戦
硬式野球 2023.05.114月が終了し3カードを消化した明大。8試合6勝1敗1分で勝ち点3を獲得し、現在首位に座っている。今回は前半戦を終えた明大をここまでのデータを基に振り返り、快進撃を続ける要因と後半戦に向けてのキーポイントを分析していく。【注】今回の記事内の成績とリーグ内順位は全て5月6日時点のものです。 無双投球を続ける村田 データから見えた進化 ここまで31回を投げ自責点3、防御率0.87と圧倒的な成績を残している村田賢一投手(商4=春日部共栄)。昨年度から安定感は抜群だったが、さらにもう一段階上の投球を披露している。今の無双につながっているのは奪三振能力の向上だ。奪三振率を昨季と比較してみると昨季は3.38だったのに対し、今季は7.83。倍以上に数値が跳ね上がっており、明らかな成長が見える。 そして村田の真骨頂を表すデータもある。※k/bbという指標において前半戦の村田は脅威の9.00を記録。理論上、四球を一つ与えるまでに九つの三振を奪っているというとてつもない数字だ。今季は昨年度と比べてコントロールの良さはそのままに三振も奪えるという進化が見て取れる。後半戦もこの調子でどれだけの投球を見せてくれるのか期待せずにはいられない。成績は良好も 手放しには喜べない先発陣 前半戦の先発防御率を見ていくと、49回を投げ8失点、自責も8で1.47と好成績を残している。しかし、これは村田が上の章で述べたような活躍をしていることが大きな要因になっており、手放しには喜べない。その裏付けとしてQS(先発が6イニング以上を投げ、3失点以内)を達成したのは村田以外が先発の4試合では1試合しかない。HQS(先発が7イニング以上を投げ、2失点以内)で見ると1試合もない。この現状を鑑みると、2枚目の先発というのは後半戦で大きなカギになってくる。開幕前は二枚看板と目されていた蒔田稔投手(商4=九州学院)はここまで防御率3.31と本来の実力は出し切れていない。蒔田も今季はk/bbが高く、与四球率が昨年度に比べて改善されている。あとは出力の部分で昨春の姿に戻ることを望むばかりだ。それを前提としつつも蒔田が慶大4回戦ではロングリリーフで4回無失点の好結果。そして石原勇輝投手(商4=広陵)が慶大3回戦初先発で無失点の好投をした状況を考えると、今後の起用法というところにも注目だ。蒔田の復調はチームにとって必須条件だ 好投続ける若い救援陣 求むは8回の男 最後に救援陣を見ていく。成績は計25回で9失点、自責は6。防御率にすると2.16となっている。リーグ戦初登板などフレッシュなメンバーが多い中ではしっかりと試合をつないでいる印象だ。中でも浅利太門投手(商3=興国)はとてつもないインパクトを残した。直球は何度も150キロオーバーを計測し、イニングよりも多くの三振を奪っている。コマンドにはやや不安を残すもののそれすらも伸び代と感じさせる逸材だ。 救援陣の中で懸念点を挙げるとするならば、8回の男だ。慶大3回戦での5失点が響いているとはいえ、イニング別失点で見ていくと一つの鬼門になっていることは間違いない(下記表参照)。奪三振率8.33と絶対的な奪三振能力を誇る石原か、リリーフ適性を見せつつある蒔田なのか。はたまた安定感を取り戻してきている藤江星河投手(政経3=大阪桐蔭)をはじめとした3年生陣なのか。ここは信頼と実績のある上級生に任せたい。 ※k/bbとはk/bbとは奪三振数÷与四球数で表される数値で、与四球一つ当たりの奪三振数を示す。三振が多く、四球が少ないほど数値が高くなり、単に三振を多く奪うだけでも打たせて取る投球でも数値が上がらないのがポイント。3.5以上が好投手の基準で5.0を超えると非常に優秀だと言われている。昨年度のNPBトップはセ・リーグでは今永投手(横浜DeNAベイスターズ)の4.55。パ・リーグでは加藤投手(北海道日本ハムファイターズ)の8.91。 [中村謙吾]READ MORE -
(25)前半戦をデータで振り返る 野手編/東京六大学春季リーグ戦
硬式野球 2023.05.114月が終了し3カードを消化した明大。8試合6勝1敗1分で勝ち点3を獲得し、現在首位に座っている。今回は前半戦を終えた明大をここまでのデータを基に振り返り、快進撃を続ける要因と後半戦に向けてのキーポイントを分析していく。【注】今回の記事内の成績とリーグ内順位は全て5月1日現在のものです。 軒並み好調の上位打線 後半戦のカギは5番打者に まずは上位打線から。前半戦で大きな収穫となったのが堀内祐我内野手(文4=愛工大名電)と飯森太慈外野手(政経3=佼成学園)の1、2番コンビだ。それぞれが持ち味を発揮し、チームの核弾頭となる役割を担っている。堀内は1打席目に対する集中力がピカイチで、1打席目打率が.714と驚異的な数値。トータルの出塁率も4割を超えており「1番打者は出塁率が最も重要」(田中武宏監督)という考えにもマッチしている。飯森は打力が向上し、ここまでリーグ10位の.323をマーク。走力は変わらず圧倒的で6盗塁はリーグトップだ。この2人により、好機で多く〝MU砲〟に回る好循環ができている。3番・宗山塁内野手(商3=広陵)は開幕当初不調で、心配の声もあったが徐々に復調。直近5試合で見ると.400(20―8)2打点とらしい数字に戻ってきた。4番の上田希由翔主将(国際4=愛産大三河)は相も変わらずさすがの成績を残している。打率もさることながら、すべてが高水準で※OPSは1.135を記録。得点圏も8打数4安打とクラッチヒッターぶりも健在で、まさに頼れる主砲となっている。唯一上位打線で苦しいのは5番打者。ここまで打順別の成績で.125(24―3)4四死球と課題が残る。上田が当たっているだけに5番勝負は今後も避けられない。ここまで7犠打とつなぎの役割はできているだけに後半戦では好機で一本出せるかがカギを握る。 突出している小島の成績 投手の打撃にも注目 続いて下位打線を見ていく。下位打線の中で注目したいのは小島大河捕手(政経2=東海大相模)の成績だ。慶大4回戦での勝ち越し本塁打が記憶に残っているが、データで見ても素晴らしいものがある。打率.250はそこまでの成績には見えない。しかし、選球眼を生かした出塁の多さ、そして勝負所での長打。この2点が際立って良い。四死球は安打数と同じく6個で出塁率.400。そして放った安打6本のうち3本が長打になっており、長打率も高水準。そうなると必然的にOPSも高くなり.858を記録している。これはチーム内では上田に次ぐ2位の数値。捕手というポジションでありながらこの成績を残せるのは特別な存在だと言えるだろう。投手の打撃が好調なのもチームにとって好影響だ。投手の打撃成績は.333(18―6)3打点。合格点以上の数値であることは確かで、今後も注目していきたい。代打陣にも注目が集まる 忘れてはいけない 勝ちを奪える強力代打陣 最後にこの前半戦を語る上では外せない代打陣の成績を見ていく。ここまでの代打成績は.333(12―4)3四死球2本塁打5打点。しっかりと控えメンバーも準備ができている裏付けになっている。中でも際立っているのは内海優太内野手(商1=広陵)と木本圭一内野手(政経2=桐蔭学園)だ。前半戦では右投手の切り札は内海。左投手には木本という起用法をされ、お互い采配に応えている。内海はここまで安打こそ1本だが、それが慶大2回戦での勝ち越し2点本塁打。今後の相手に脅威を与えるには十分だ。木本は3打数2安打で1本塁打。法大1回戦での一発はまさにチームの雰囲気を変えた。この2人に対する警戒は前半戦以上に強くなるのは間違いないが、後半戦も勝利をつかみ取るベンチワークからは目が離せない。 ※OPSとはOPSは長打率と出塁率が足された値で、選手がチームの得点にどれくらい貢献できているか、得点のきっかけをどれくらい作れているのかを数字で表す。.833を超えると非常に良い打者。.900を超える打者は素晴らしいとされている。走塁面が考慮されない点では注意が必要。 [中村謙吾]READ MORE -
(24)慶大戦 選手コメント②/東京六大学春季リーグ戦
硬式野球 2023.04.28(この取材は4月26日~28日、電話にて行われました) 宗山塁内野手(商3=広陵)――3回戦の第5打席、3点を追う9回裏無死一、二塁から中前打を放ちました。 「あの打席では相手の谷村投手(慶大)の落ちる変化球を見切ることができ、自分有利のカウントに持ち込むことができました。打者有利のカウントをつくれた結果、直球だけに狙いを定めることができ、いい安打になりました。自分の中で手応えのあった打席です」 ――次戦の見どころを教えてください。 「同学年で、昨年度の大学日本代表でチームメートだった篠木投手(法大)と自分の対戦です。篠木投手から本塁打を打ったことはないので打ちたいと考えています。法大はいい投手が多いので大量得点を取る確率は低いと思います。その分いかにミスのない守備ができるかということが大切になるので、常に冷静に戦いたいです」 直井宏路外野手(商3=桐光学園)――慶大戦を通しての収穫と課題はございますか。 「収穫はチャンスでの1本が去年はなかなか出せなかったので、今回4試合中3試合で打点を取れたのは成長かなと思います。課題はこれからまた速い投手が来ると思うので、それに振り負けないことが大事だと思うのでそこをもう一回、明日明後日でしっかり準備したいと思います」 ――法大戦への意気込みをお願いします。 「去年の春も第4戦までいっていますし、粘り強いと思うのでそこに負けないようにしたいのと、投手陣が六大学の中で一番充実していると思うので、そこで野手陣が頑張りたいです。法政戦は投手陣をどう打ち崩せるかが重要だと思うので、野手陣が頑張って投手陣を助けたいです」 飯森太慈外野手(政経3=佼成学園)――慶大戦を振り返っていかがですか。 「こんなに難しい試合になると思っていなかったので想定以上に接戦になり、しんどかったですけどなんとか勝つことができたので良かったです」 ――チームで勝ち切れた要因はございますか。 「実力が自分たちの方が上という自信はありますし、一番練習してきた自信もあったのでそれで勝てたんじゃないかなと思います」 ――次戦の法大は投手陣が強力です。 「タイミングを早く取ることを意識して、そこまで簡単に打てる投手ではないと思うので、準備を早くして打ちたいと思います」 小島大河捕手(政経2=東海大相模)――4回戦での決勝ホームランを振り返っていかがですか。 「チームが苦しい状況でみんながつないでくれたので、自分はなんとか1点を取りにいくようなバッティングをしようと思って入った打席でしたが、何とか点を取れてよかったです」 ――手応えはいかがでしたか。 「外野は越えるだろうなくらいでしたが、フェンスも越えてくれたのでちょっとびっくりしました。(オープン戦でもホームランを打ちましたが)オープン戦とは全然違いますし、神宮のあの雰囲気で打てたのはいい経験になりますし、自信にもつながっていくのかなと思います」 ――この勝ち点はチームにとってどのような意味がありますか。 「これでいい流れが持ってこれればそれでいいですし、それでもやっぱりリーグ戦優勝と日本一を目標にやっているので、ただの勝ち点1に過ぎないですし、また切り替えて次の法政戦に入っていくことが大切だと思います」 内海優太内野手(商1=広陵)――2回戦では代打で出場し、試合を決めるリーグ戦初本塁打を放ちました。 「試合中は代打出場が多い選手間で情報交換をするなど、常に準備を怠らないようにしています。2回戦は6回表に追い付くことができた中で、前の打者がつないでくれたので絶対に打ちたいと思っていました。狙っていた直球を一発で仕留めることができました。両親に伝えたいと思います」 ――次戦の相手は兄・壮太さん(内海壮外野手・法大)や昨年度の高校代表の壮行試合で本塁打を放った篠木投手が在籍する法大です。 「お互いに活躍した時などは『ナイスバッティング』と連絡をすることもあります。また篠木投手は東京六大学を代表する素晴らしい投手なので、もし対戦する機会があれば、必ず結果を残すという気持ちで臨みます」 ――ありがとうございました。 [硬式野球部担当一同]READ MORE