
【競走部】紫走堅固
全日本大学駅伝では総合3位。箱根駅伝では11位でシード圏内から外れた昨年度。酸いも甘いも経験し、一筋縄ではいかない駅伝の難しさを痛感した。コロナ禍は今なお続き、先行きの不透明感は拭えない。それでも、明大競走部は決して立ち止まらない。今度こそ箱根路で栄光をつかんでみせる。その思いを届けるために、今年度も企画を立ち上げ、彼らの姿を追っていく。
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(120)全日本競歩能美大会事後インタビュー②/園原健弘総合監督
競走 2022.03.223月20日に行われた全日本競歩能美大会(以下、全日本競歩)。明大のエースとしてここまで競歩部門を引っ張り続けた古賀友太(商4=大牟田)が学生最後のレースを終えた。今回はレース後の園原健弘総合監督のインタビューをお届けする。 ――今回のレースの総評をお願いします。 「世界選手権の代表を狙ってのレースでしたが、結果として世界選手権の代表まで届かなくてチームとしても本人としても残念な気持ちの方が大きいです。ですが、フォームの問題がずっと課題として残った中でのレースで、今回はユニバーシティゲームズやアジア大会などのいろいろな選考が懸かったレースだったので、失格にならないようにゴールしようというのが最低レベルの目標でした。その最低レベルの目標を最高の結果ではなかったですが、最低のレベルを高いレベルで残してくれたというのは本人の努力のたまものだと思います。ただやはりフォームがここまで改善できなかったというのは、私たちスタッフ陣含めてコーチのところにも問題があったので、そこは本人にも申し訳ない気持ちがあります。チームとしては課題が残るレースであったという感じです。チーム全体としては競歩部門にとって神戸(日本選手権)とこの全日本競歩が個人としては一番大きな大会だから、濱西(諒・文3=履正社)がケガで途中棄権、清水(海地・理工2=長野日大)とか他のメンバーも体調が整わず出られず、ピークを持ってこれなかったというのはチームとして課題が残ったレースだったかなと思っています」 ――古賀選手のフォームに関しては長期的な課題ですか。 「私たちもどちらかと言うと、楽観的に、できるだけ良いところを見て評価して強くしようというふうにやってきました。しかし競歩に関してはフォームのチェックが入ってしまうので、それはもう少し早い段階からマイナス面をしっかり見てアドバイスしてあげるべきだったのかなと思います。ただ、神戸が終わってからのこの1カ月の間で三浦康二コーチをはじめしっかりアドバイスをして取り組んでいたので、結果が出せたかなと思います」 ――『競歩は世界に出てからが勝負』とおっしゃっていましたが、その点に関してはいかがですか。 「今日のレースでユニバーシティゲームズには代表に選ばれると思うので、オレゴンの世界選手権は残念ながら選ばれないですが、ユニバーシティゲームズで日本代表として、過去もチームの団体優勝もしているし、個人レベルでもメダルを取っているので、そこはしっかり確保してほしいなと思います。それに対してフォームの課題も残ると思うので改善しながら、古賀に関しては大塚製薬が新しく所属先になりますが練習の拠点は東京で三浦コーチも引き続きサポートします。彼の頑張りが明大競走部にいい影響を与えてくれると思うので、非常に期待はしつつ私たちも責任を感じてサポートしつつ、引き続きできることはしていきたいと思います」 ――古賀選手の4年間はいかがでしたか。 「彼は理想的でした。競技者である前に学生としても人間としてもそれなりに範を示すような、人格的な部分も本当に落ち着いているし、理想的な選手でした」 ――古賀選手にこれから期待することはありますか。 「競歩の場合はこれから五輪でメダルを取るレベルの選手がいっぱいいます。ただ一つ残されているのは五輪で金メダリストがまだ出ていないので、やはりパリ五輪でそこのところをなんとか、本当に簡単な道のりではないし国内での競争が厳しいので、国内での厚い壁を一つずつ突き破ってぜひそこに五輪の金メダルという目標まで届いてほしいなと思います」 ――ありがとうございました。 [大橋直輝]READ MORE -
(119)全日本競歩能美大会事後インタビュー①/古賀友太
競走 2022.03.203月20日に行われた全日本競歩能美大会。明大のエースとしてここまで競歩部門を引っ張り続けた古賀友太(商4=大牟田)が学生最後のレースを終えた。今回はレース後の古賀のインタビューをお届けする。 古賀――レースを振り返っていかがでしたか。 「目標が全体の優勝と派遣設定の1時間20分というところだったので、タイムも順位も目標に届かなかったので結果として悔しいなとは思います。しかし前回ペナルティーを受けてしまって10位に終わってしまったのを考えると、今回それを受けずに2位というのは成長できたかなと思います」 ――フォームに関してはいかがでしたか。 「先月の大会から約1カ月の期間で、園原健弘総合監督であったり三浦康二コーチであったりといろいろ話し合いを重ねて、練習の中でも今回の試合のように結構注意やアドバイスをかけてもらった中で練習してきました。今回試合中も積極的に声を掛けてもらって、それで自分で気付くところがあったりとか、それで動きが変わったりしたところもあったのでありがたい言葉だなと思いながら歩いていました」 ――最初はあえて松永大介選手(富士通)や住所選手(順大)に付いていかなかったという感じでしょうか。 「後半落ちてくるなと思っていて、そのまま押すことはないだろうと思っていました。途中詰まってきたところがあったのですが自分自身も落とす形になってしまったので、そこは想定外だった部分もありますが、最初はあえて突っ込んでいかないようにはしていましたね」 ――特にこのレースは大学での最後のレースだったと思いますが、そこに対する思いというのはいかがですか。 「本当に園原監督、三浦コーチ、チームの人たちも含めてたくさんお世話になりました。この4年間、いいことだけではなかったですけれども、悪いときにも寄り添ってもらって、どうやったら結果を残せるかというところを一緒に親身になって考えてもらって計画を立てて繰り返してというので今がありました。その結果、学生トップで終わることができたのは本当に感謝の気持ちで表せたかなとは思います。これで学生最後の大会にはなりましたが今後も自分自身としては飛躍していきたいなと思いますし、今の学生に関しては、私以上の結果を残してほしいと思います。それはタイムも順位も含めて、強い明治というところを見せていってほしいと思いますしそこはこれからも応援します」 ――このレースは弟の文也さん(大牟田高)も出場されていて、途中ですれ違う場面があったと思いますが、どんな思いでしたか。 「高校生で今回1人だけ出場しているというところで、どうなるかなと思っていましたが、思ったよりもタイムも良かったみたいで、少しびっくりしているところもあります。やはり一緒に出るというのが今回初めてだったのですが、負けられないなという思いもありましたし、すれ違う時は頑張れとは言わなかったのですが、そういう気持ちで応援はしていました」 ――明大を卒業してからの意気込みや思いはいかがですか。 「これから社会人になりますが、そこでしっかりと今シニアの選手たち、今回の能美の大会には五輪に出場された3人の選手とかは出ていないのでそこにやはり勝たないとこれからの代表というところは見えてこないと思います。今回優勝された松永選手もそうですが、そこに負けてばかりではいられないのでしっかり勝てるようにタイムもフォームもいろいろ見直して挑戦していきたいなと思います」 ――ありがとうございました。 [大橋直輝]READ MORE -
(118)日本学生ハーフマラソン事後インタビュー②/小澤大輝主将、山本佑樹駅伝監督
競走 2022.03.17箱根駅伝(以下、箱根)からはや2カ月。小澤大輝新主将(政経3=韮山)率いる新体制で挑む最初のレース・日本学生ハーフマラソン選手権(以下、学生ハーフ)が行われた。新たな目標に向けてレースを終えたそれぞれの思いをお届けする。 今回は小澤、山本佑樹駅伝監督のインタビューです。(この取材は3月13、15日に電話で行われたものです) 小澤――レースを振り返ってみていかがですか。 「学生ハーフは昨年度非常に悔しい思いをしたので、今年度は結果を残さなければいけないなと思いながら走っていました。そんな中でしっかりと個人として入賞することができたこととチームとして入賞者を2人出すことができたのは、昨年度よりもチームとして成長したところであっていい流れで練習を積めている証なのではないかと思います」 ――7位入賞をしてベストも更新しました。 「やはり今回のベスト更新は結果に付いてきたものですが、それよりも自分は入賞にこだわって走っていたのでそこは素直にうれしいなと思います」 ――富田さん(峻平・営3=八千代松陰)が4位で入賞しましたが見ていていかがでしたか。 「富田の場合は自分よりも上の順位で走っていて、箱根が終わってから『来年度はこういう悔しい思いをしないぞ』という覚悟が非常に出ていました。4位という結果に対しても本当に悔しそうに涙を流していて、上を狙っているのだなという少し自分との差を感じました」 ――昨年度の学生ハーフと比べるといい結果だったと思います。新体制はいいスタートを切れた手応えはありますか。 「そうですね。やはり今年度はいろいろなことを変えて新たにゼロから挑戦しようと自分たちの代が動きだしています。昨年度やらなかったことを取り入れて、まだ3カ月弱くらいしかたっていませんが、そういった中で結果が出たというのはしっかりやっていたことが間違いではないというのをチーム全体として確認できました。引き続きこのままやっていきたいなと考えています」 ――新体制を主将として引っ張っていくにあたっての意気込みをお願いします。 「チームを一から強くしたいというのが自分の中の芯となるものです。今年度は箱根で悔しい思いをせずに笑って卒業したいというのが自分の中であるので、主将として責任感を持ってチームを引っ張っていきたいなと思います」 ――ありがとうございました。 山本駅伝監督――学生ハーフを全体的に振り返っていかがですか。 「箱根が終わって小澤が新キャプテンになってそこから本当にチームカラーが新しくなってそういう意味で新4年生が上位で走ってくれたのは良かったかなと思います。いいスタートは切れたのかなと思います」 ――富田選手(峻平・営3=八千代松陰)の好成績の要因はありますか。 「箱根の7区で区間2番になったというのが彼にとってはすごい自信になったみたいです。その後は本当に練習から積極的にいくようになりましたし、表情も自信が表面に出ているような感じがしました。今日も4位でゴールというのは良かったです。ゴールして戻ってくる時に、泣きながら『すみません』ということで、3位になるとユニバーシアード(FISUワールドユニバーシティゲームズ)の出場権だったので、そこを悔しがるところまで上を見ていたのだな、成長したなと感じましたね」 ――上位でゴールした選手以外で光って見えた選手はいますか。 「正直なところ橋本(基紀・商2=専大松戸)や角南(隆行・商2=倉敷)、鈴木祐太(文1=鎌倉学園)はどういう走りするかなと思っていました。橋本は本当に初ハーフでよく頑張ったと思いますし、みんな合格点をあげられる走りでした。『ここからもう一つ上に行くには5月のトラックレースのベースの記録を上げていこうね』という話はしました。1年、2年くすぶったというか、足踏みしたような選手が出てきた部分では楽しみが増えたというのはありますね 」 ――今年度の意気込みをお願いします。 「やはり箱根でシードを取るというのが1年間のキーワードになると思います。そのため今、目の前にある試合をどうするかがポイントになるので、これからトラックレースで箱根から離れるようなことがあると思いますが、頭の中では箱根で戦うためにトラックで結果をどう出すかという意識付けになると思います。とにかく自力をしっかり付けて、予選会は通過することが大前提で、箱根でのシード権獲得というのを1年間しっかり持ち続けて頑張ろうと思います」 ――ありがとうございました。 [出口千乃、飯塚今日平] 速報記事はこちらから!READ MORE -
(117)日本学生ハーフマラソン選手権事後インタビュー①/富田峻平、児玉真輝
競走 2022.03.16箱根駅伝(以下、箱根)からはや2カ月。小澤大輝新主将(政経3=韮山)率いる新体制で挑む最初のレース・日本学生ハーフマラソン選手権(以下、学生ハーフ)が行われた。新たな目標に向けてレースを終えたそれぞれの思いをお届けする。 今回は富田峻平(営3=八千代松陰)、児玉真輝(文2=鎌倉学園)のインタビューです。(この取材は3月14日に電話で行われたものです) 富田――学生ハーフはどういった位置付けの大会ですか。 「今回の学生ハーフは例年立川で行われる箱根駅伝予選会の予行練習または箱根本戦で他大学のエース格と勝負する絶好の機会だというふうに捉えて臨みました」 ――1時間2分10秒で4位という結果についてはどう考えていますか。 「タイムや順位としましては他大学が多く参加していて、あまり走りやすいとはいえないコースでよく自分自身出たなというふうには思います。しかしやはり3位までがユニバーシアード(FⅠSUワールドユニバーシティゲームズ)の内定というところで4位と3位とでは大きく違いますのでそこには悔しい思いを感じています」 ――ゴール直後の悔しがる姿はそういった理由からでしょうか。 「やはりそこの順位一つで出られる大会、出られない大会が決まります。そこの順位一つ分で箱根のシードを取るか取らないかなど、大きな差につながっていきます。そのため数秒であっても負けてしまったというのはとても悔しかったです」 ――レースの序盤、明大の選手が先頭で引っ張っていましたが意図などはありましたか。 「正直あまり明治として引っ張っていこうというような話し合いはありませんでした。しかし、レース直前に監督からは『先頭集団で積極的に勝負していこう』というふうな話がありました。その中でスタート直後から児玉が積極的に引っ張っていきましたので、自分たちも負けていられないという思いで自分や小澤、加藤(大誠・営3=鹿児島実)なんかは前に出ていったのではないかなと思います」 ――春へ向けての意気込みをお願いします。 「これから新シーズンが始まります。やはり明治大学は箱根でシード権を必ず獲得するという目標に向かって、一戦一戦を勝っていって自信をつけ、箱根本戦ではシード権を必ず手に入れられるように日々の練習やレースなどを頑張っていきたいなと思います」 ――ありがとうございました。 児玉――学生ハーフを振り返っていかがですか。 「結果は伴いませんでしたが、次の箱根に向けてはつながってくるレースだったと思います 」 ――どういった点がそのように思いますか。 「昨日のレースでは最初の2キロだけではありますが、自分で引っ張って2分50秒を切るくらいのペースで引っ張ることができました。僕は今までそういうレースはしたことなかったのですが、やはり駅伝になると序盤から自分で突っ込んでいかなければいけない場面が出てきます。そういう突っ込む練習になったと思っています」 ――今回のレースで出た課題を次にどうつなげたいですか。 「まず今回見つかった課題としては、多分自分は先頭で引っ張ったり単独走をしたりすると力んでしまうみたいで、普段の走りとは変わってしまう部分があるみたいです。そこをしっかり練習の中で単独走をしたり、積極的に引っ張ったりして、力みを普段と同じように走れるようにしていきたいです。あとはトラックシーズンでしっかりスピードのベースを上げていって1キロ2分50秒ペースをもっと余裕を持って走れるようになればいいのかなと思っています」 ――具体的に次の目標はありますか。 「もともと学生ハーフは正直そんなに目標とはしていなかったです。どちらかというとずっと箱根が終わってからは関東学生対校選手権(以下、関東インカレ)と、もっと欲を言ってしまえば、日本選手権の5000メートルの標準というのも狙いたい部分ではあります。まずはしっかり関東インカレを目標にして、その中で日本選手権の5000メートルの標準を狙えたらいいのかなと思っています」 ――富田さんや小澤さんが好走しましたが先輩の走りを見て感じたことはありますか。 「やはり特に富田さんと小澤さんはこの前まで同じ部屋でしたし、身近でお二人の努力は見ていたので、その努力がしっかり結果として表れたのかなとは思いました。ただ、僕自身としても2人にはそういう努力の面とかは負けていないと思っているので、次はしっかり2人に負けないように頑張りたいなと思います」 ――ありがとうございました。 [桑原涼也、飯塚今日平] 大会の速報記事はこちらから!READ MORE -
(116)古賀友太 世界への歩み
競走 2022.02.20古賀友太(商4=大牟田)。彼が4年間で出した実績は名門・明大競走部の中でも群を抜いている。1年次から頭角を現し2年次に東京五輪補欠選手に選出。3、4年次では多くのタイトルを獲得し、明大だけでなく学生競歩界も牽引(けんいん)してきた。そんな彼が歩んだ、4年間の軌跡を振り返っていく。 「東洋大を倒したい」。その一心で明大の門をたたく。陸上の名門・大牟田高出身ということもあり、大きな期待を受けながら入学し、1年次から早くもチームの主力となった。5月に行われた関東学生対校選手権(以下、関東インカレ)で早速4位入賞という好成績を収めるとそこから着実に成長。3月に行われた全日本競歩能美大会ではチームトップ、学生3位という結果を出しユニバーシアードの出場権も獲得。1年生にして明大はおろか、大学競歩界を牽引する存在としてその名を知らしめた。 順風満帆に見えた古賀だが、2年次の前半はフォームに苦しめられる。関東インカレではベントニー(膝曲がり)と呼ばれる違反によってまさかの失格。上位入賞が確実視されていた古賀の失格は明大2部降格の大きな要因となった。「実力がないことをたたき込まないといけない」(園原健弘総合監督)。日本陸上競技連盟の三浦康二氏を専属コーチに置き、徹底的なフォーム改善が始まる。「(膝曲がりを)直さないと、この先の試合でも失格になる」(古賀)。大学2年にして厳しい現実を突きつけられるも、この挫折が古賀を強くする。「お尻やハムストリングスを鍛えることを意識した」と課題を克服し、確かな実力をつけることができた。7月に行われたユニバーシアードでは3位に。さらに9月の日本学生対校選手権(以下、日本インカレ)では見事1万メートルWにて大学入学以来初のタイトルを獲得した。厳しいトレーニングの成果が生んだ結果だった。さらに古賀の快進撃は続く。五輪選考会が懸かった全日本競歩能美大会で自己ベストを更新。見事東京五輪派遣設定記録を突破した。惜しくも内定とはならなかったものの、大学生ながら男子20キロメートルWの補欠に選ばれるという快挙を成し遂げた。 3年次、世界を見据えた古賀の速さはますます磨きがかかる。日本インカレでは東京五輪内定の池田(東洋大)に次ぐ2位に。だが「うれしさも少しはあるが、悔しさの方が大きい」と悔しさをにじませた。長年のライバルであった東洋大の池田らが卒業した4年次の古賀の強さは圧巻だった。関東インカレで2年次の雪辱を果たし見事優勝。明大の1部復帰に貢献すると、その後の学生個人選手権、日本インカレでも1位を獲得。「トップを取ることにこだわりを持ってやってきた」。他の追随を許さない圧倒的な強さを見せつけた。その強さは競走部全体にも影響している。「何回練習しても改めてレベルの差というのはとても感じる」(濱西諒・文3=履正社)。「古賀は競走部の顔」(石川雅也・法4=新居浜東)。大学ラストイヤーも明大競走部の〝顔〟として活躍し続けた男の歩みが仲間にもたらしたものは大きい。 挫折を経てさらなる強さを身に付けた古賀。だが目標ははるか先だ。東京五輪では補欠止まりだった悔しさから「正代表として世界で活躍したいという思いがより強くなった」。常に歩を進め続ける古賀の今後に注目だ。 [菊地隼人]READ MORE -
(115)直前インタビュー 古賀友太/日本選手権・20キロ競歩
競走 2022.02.19オレゴン世界選手権の日本代表選手選考会を兼ねた今大会はエース・古賀友太(商4=大牟田)が紫紺をまとうラストレース。世界への一歩を踏み出すために。大会への思いなど前日会見でのインタビューをお届けする。 ◆2・20 第105回日本選手権・20キロ競歩(六甲アイランド) ――今の心境と明日への意気込みをお願いします。 「20キロメートルWのレースは久しぶりで昨年度の3月以来となります。私自身緊張する気持ちもありますが、わくわくする気持ちの方が大きいです。明日のレースに関しては高橋選手(富士通)や野田選手(平30商卒・現自衛隊体育学校)など実力が強い選手が多く出場されますのでそこに食らいついて、いい順位と派遣設定記録の1時間20分を切っていいタイム、順位でゴールできるようにしたいなと思います」 ――今回の日本選手権に向けての今までの準備状況をお願いします。 「昨年出場した大会としては5月、6月、9月、10月に全て1万メートルでありますが、その大会に出場しました。タイムもこだわってはいましたが、勝ち切るということをテーマに取り組んできました。そのレースの結果としては良かったのでタイムはまだ満足いっていませんが、勝ち切るということは達成できたので今回の日本選手権でそれを生かせればなと思います。1月に実業団の方々と宮崎で合宿をさせていただきまして、非常にいい練習をここまで継続してできています。大きな故障もなくこられているところは力が付いているのかなというふうに思っております」 ――古賀選手がトップ選手に追い付くために必要なこととそのために取り組んできたことを教えてください。 「スピード自体に関しては3年生の時に出場した1万メートルまた5000メートルで他の選手に付いてではありますが、いいタイムを出すことができて、スピードが付いてきたかなと感じています。今の課題としてはそのスピードを維持する上でまだフォームが安定しないというところがあります。日本代表で出場されるような選手と比べまして、まだロスオブコンタクトという浮きの違反を取られることが私は多いです。レーススピードの中でも安定したフォームになるように、現在までにかけてコーチや監督とそれを模索しながら相談して練習で一回一回試しながらここまでやってきて改善もしてこられたと思います。なので、それを今回の日本選手権で発揮して方向性が間違っていないというのを確かめられたらなと思います」 ――東京五輪の補欠で過ごされたと思いますがその経験からご自身の糧、財産となったものはありますか。 「昨年の東京五輪で補欠には選んでいただきましたが、補欠止まりというところでやはり悔しい気持ちが大きかったです。その中で池田選手(旭化成)、川野選手(旭化成)の入賞や活躍を見て、最近まで一緒に学生として同じレースで戦っていた先輩方がいきなりシニアの舞台で活躍するところを見ると私も国際舞台でメダルを取れる選手になりたいという気持ちが大きくなりました。練習の中できついところであっても耐えられるようなところが増えてきましたし、主に精神面で東京五輪を終えて負けてられないなという気持ちが出てきたかなというふうに思います」 ――明大での4年間で自分が一番成長できたと思うポイントとその理由をお願いします。 「明大での4年間で学んだこと、糧になったことは、明大の方向性というか部活の中で自主性というところを大事にしております。自分がこうしたいというトレーニングであったり他の実業団の方と合宿で一緒になった際に意見を交わした取り組みであったり練習の内容、フィジカルも含めてですが、そういうところで自分がしたいと思ったことは自由にやらせていただきました。向上心がないと落ちていくこともあると思いますが、しっかりと上の選手に食らいつくとか追い越すためにどうすればいいかとか自分で考えた上でそれを実行して、振り返って次に生かすという作業を繰り返すということが自分の4年間の中で一番学んだことだと思います。それは今後も学生を卒業した後も生かせることなのかなというふうに思っております」 ――ありがとうございました。 [出口千乃]※写真提供:日本陸上競技連盟READ MORE -
(114)箱根駅伝事後インタビュー⑫/山本佑樹駅伝監督
競走 2022.01.06箱根駅伝(以下、箱根)は、残酷だ。わずか26秒に泣きシード権を落とした昨年度。再起を誓って臨んだ今大会だったが、結果は総合14位。またも箱根は明大の前に立ちはだかった。 今回は山本佑樹駅伝監督のインタビューです。(この取材は1月4日に電話で行われたものです) ――2日間を振り返っていかがでしょうか。 「本当に5位目標で、シードは絶対取りたいという気持ちがあったので、2年連続こういう形になって悔しいなというのが感想です」 ――負けた要因はどのように感じていますか。 「1、2、3区が流れに乗れなかったというのはあります。また鈴木聖人(政経4=水城)駅伝主将のところが一番分かりやすいんですけど、前半抑え過ぎたのが作戦ミスというか、やはり駅伝は相手がいるので前半からハイペースで行って後半粘らなければいけないというのがあります。その辺で前半から行き切れなかったのが続いたかなとは思いますね。手嶋(杏丞・情コミ4=宮崎日大)はラストのところなんですけど、やはり2、3区はそんな感じです」 ――昨年度と同様1区で苦しみましたがいかがでしたか。 「そうですね。今回の箱根を通して、箱根の1区をしっかり走れるような専門的な選手を育てていかないといけないなとは感じました。力がある手嶋でいきましたが、タイムだけではない難しさも感じましたし、より強さというのが必要になると思いました」 ――鈴木選手が駅伝で外すのは珍しいですが、監督車から見ていていかがでしたか。 「いつもと比べると不安なところはあったと思うんですけど、やはり最初落ち着いて入って、そこからなかなか上がり切らなかったという印象です。彼自身久しぶりの前半区間を走るということで、全日本大学駅伝であったり、駅伝でそういったところを経験させておけば、また違った結果になったかなと思います」 ――小澤(大輝・政経3=韮山)選手に来年度主将として期待することはありますか。 「例年だと各学年で話し合いをして、主将を誰にしますとこちらに挙げてくる感じです。ただ昨日レースが終わって寮に戻ってミーティングをして、僕が話をしている中で彼を主将にするというので指名をしました。彼は本当にストイックで自分にも厳しく、他人にも厳しくことができる選手です。そういった意味で周りを巻き込んで強いチームになるには、というところの、普段の私生活から落とし込みをして引っ張ってほしいなとは思います」 ――7区の富田選手(峻平・営3=八千代松蔭)は結果的に区間2位で良かったと思いますが、監督から見て走りはいかがでしたか。 「彼はポテンシャルがすごく高いので、どちらかというと自分自身をコントロールするメンタルの部分で昨年度の9区とかちょっと結果が振るわない部分がありました。その部分をこの1年やってきて今回一本、形としてできたというのは彼にとってはすごいプラスになるかなと。タイプ的に阿部(弘輝・令2政経卒・現住友電工)と似ているイメージが強かったので7区の小刻みに上ったり下ったりするのが合うかなと思い、そこははまったかなと思います」 ――昨年度は区間上位を前半走っていながら、最後粘れませんでしたが、今年度はずっと区間上位で走り切ったのは成長と感じますか。 「そうですね。そこは成長が感じられましたし、本当に襷をもらうときにあいつが大声出して杉本(龍陽・政経3=札幌日大)を呼んでいたのが今まででは見られない光景でした。彼のやってやるぞという気持ちが表れていたので、彼自身も変われたというかそういったものがあったんじゃないかなと思います」 ――橋本(大輝・営4=須磨学園)選手についてお伺いしたいのですが、最後すばらしい走りだったと思います。監督から見ていかがでしたか。 「もう本当に彼の良さが全部出た走りだったかなと。前半からペースを刻んで、選手を追いかけながらトータル23キロをまとめたという部分では、本当に彼の4年間の集大成というか全てが出たレースだったと思います。非常に後ろから見ていて、たくましくなったなと思いながら見ていましたね」 ――来季の注目選手を挙げるとしたら、1、2、3年生出走した選手関係なく誰が挙がりますか。 「新4年生になる小澤、櫛田(佳希・政経3=学法石川)というのはやはり主力になると思うので、当然彼らには期待しています。もちろんその下の児玉(真輝・文2=鎌倉学園)がまた悔しい思いをしてどれだけ力をつけるかというのもありますし、あとはポイントとなってくるのは新3年生の杉(彩文海・文2=鳥栖工)とか高校時代結果を出した城戸(洸輝・情コミ2=宮崎日大)とかです。あとは新2年生の尾﨑(健斗・商1=浜松商)ですね。やはり誰が見てもロードで活躍してくれるだろうという選手を、この1年できちんと成長させることができれば、チームに厚みも出ますし、チームとして充実した1年を過ごしたということになると思います。今挙げた選手には、ちょっと数が多くなりましたけど、頑張ってほしいなと思います」 ――最後応援してくれたファンと言いますか、明大関係者の方に向けて一言お願い致します。 「本当にたくさん応援いただいて、そういった中で結果が出せなかったというのは非常に残念ではあります。また1年、学生は頑張ると思うので、また変わらず応援を頂きたいというのと、本当に来年度は期待に添える結果を出したいと思うので、本当に強い気持ちを持って頑張っていきます」 ――ありがとうございました。 [入野祐太]READ MORE -
(113)箱根駅伝事後インタビュー⑪/園原健弘総合監督
競走 2022.01.06箱根駅伝(以下、箱根)は、残酷だ。わずか26秒に泣きシード権を落とした昨年度。再起を誓って臨んだ今大会だったが、結果は総合14位。またも箱根は明大の前に立ちはだかった。 今回は園原健弘総合監督のインタビューです。(この取材は1月4日に電話で行われたものです) ――今回の箱根駅伝を終えて。 「正直、想定できない結果だったので受け入れがたいというのが率直な感想でしたね。往路の段階からシード権を取れないなと感じていて、多くの皆さんの期待を裏切ったことは心苦しいなと思っています」 ――原因についてはどうお考えですか。 「ピーキングが合ってなかったというのはありますね。往路のメンバーがあまりみんないい結果ではなく、流れに乗れないというよりは多くのメンバーが実力を出し切れておらず、ピーキングがズレたというのがありました。復路の選手は単独走になることが多いので、自分のペースをしっかり守るような練習を明大はしていますから、ペースを守る走りはできるので、そこにはまればしっかり走れるんだなという感じです」 ――今後の競走部の方針について。 「今の延長線上だと同じことの繰り返しになることが多いと思うので、仕組みや体制などは見直しが必要だと思っています。今のスタッフや能力不足とか怠慢とかは一切ないんですよ。いつも皆ギリギリのところでやってくれているので、一個歯車が狂うと崩れてしまう緊張感というか、綱渡り気味なところでやっているので、そこをもう少し余裕を持てる組織にしたいというのは常々思っていました。そこを今は山本佑樹駅伝監督のパワーでしのいでくれましたけど、山本駅伝監督におんぶに抱っこでは、継続的な結果は出ないでしょうし、周りが仕組みづくりをしっかりしないといけないというのはあります」 ――他大と比較して、今の明大競走部に足りてないものは何でしょうか。 「山本駅伝監督の負担は減らせるようにスタッフのサポート体制は改善したいですね。コーチも含めて基本ボランティアでやってもらっているので、ボランティアレベルで対応するのは無理な部分もありますから、そこを専任できるような、フィジカルトレーニングとかメディカルトレーニングとかも体系的というよりは学生に任せっぱなしみたいな部分があったので、そのあたりも今回の箱根に結びついているのかなという面はありますね」 ――総合タイム的にはそこまで悪くないと思われます。 「スタッフが駅伝を見ていて思ったのは乗り遅れたなというところなんですよね、今の駅伝に。シューズが新しくなった時にはかなり対応できて、その時は5000メートルや1万メートルのタイムは良くなったのですが、駅伝の走りへの対応は先越されたというのがあるので。往路、復路でレース展開も全然違うので、レースの組み立てや考え方も見直さないといけないなと山本駅伝監督も口にしていました。早いタイムを出しても14位というのは、他大がしっかり対応していて、うちが乗り遅れたのだなと思っています」 ――これまで支えてくれた4年生に声をかけるとするなら。 「ミーティングでも話しましたが、箱根はすごく注目される大会ですし、マスコミも箱根をクローズアップしてくれますけど、箱根のマジックみたいなところに惑わされないで、自分の人生をしっかり歩んでほしいなと思っています。箱根では青学大などにコテンパンに負けましたけど、何が勝者かと考えた時、ここで得るものも絶対にあるので、そこを人生の糧にして、大きな花を咲かしてもらえる人生にしてほしいですし、そういう4年間を送ってきたと思うので、シード圏を取れなかったという結果を悲観することなく、それ以上のものをつかんで卒業してくれると思っているので、競技を続ける人間も、社会で頑張る人間にも期待しています」 ――橋本大輝選手(営4=須磨学園)のゴール時の笑顔がとても印象的でした。 「橋本大は上り坂のところ、競技が楽しくなってきたところでレースを迎えられた感じがあるので、そういう場面で皆がレースに臨めればなと思いますね。4年生になって力が伸びてきたのでレースに対してもワクワクした気持ちで臨めたと思うんです。鈴木(聖人・政経4=水城)や手嶋(杏丞・情コミ4=宮崎日大)は2、3年生のところでピークがきて、そこからは期待に応える走り、そんな守りに入った走りを我々も含めて求めてしまったので、橋本大のような競技人生を過ごすというのは、とても良い見本になってくれました」 ――最後に応援してくださった方々に一言お願いします。 「応援してくださった方々には感謝しかないです。皆さんのお声は選手の力になっていますし、我々の力にもなっています。皆さんの期待に応えたいというのはすごくあります。自分たちのために頑張るのはもちろんですが、皆さんが喜んでくれるというのはモチベーションになりますから。そんな中でも我々が情けないなと思っているのは、期待してくれたことに応えられない不甲斐なさ。それも2年続けて。ミーティングでも話しましたが、期待されたことに応えられるチームに、人間になろうよと。期待されたことを期待された通りにやってくれるのは信頼感が生まれます。山本駅伝監督も話していましたが、これまで我々が持っていた視点で間違っているところもあるでしょうし、そこは謙虚な気持ちで他の方のご意見も聞いたり、山本駅伝監督も『他大の監督の話もこれからどんどん聞いていきます』と言っていましたし、そうやって誤った判断をしないように、スタッフ自身が変革していかないといけません。選手は本当に頑張ってくれていて、選手に責める部分は何一つなく、良くやってくれました。結果が出せる努力をさせてあげたいし、彼らもそうじゃないとつらいはずです。そういった意味で私自身、大いに反省しないといけない2日間でした」 ――ありがとうございました。 [金内英大]READ MORE -
(112)箱根駅伝事後インタビュー⑩/橋本大輝
競走 2022.01.06箱根駅伝(以下、箱根)は、残酷だ。わずか26秒に泣きシード権を落とした昨年度。再起を誓って臨んだ今大会だったが、結果は総合14位。またも箱根は明大の前に立ちはだかった。今回は、悔しさをにじませる選手たちのコメントをお届けする。 今回は10区を走った橋本大輝(営4=須磨学園)のインタビューです。(この取材は1月4日に電話で行われたものです) ーー2日間を振り返っていかがですか。 「そうですね、1年間目標としてきたシード権を取れなくて悔しい気持ちが強いです」 ーーレース前のコンディションはいかがでしたか。 「実は12月に入ってからシンスプリントが悪化して、不安を抱えながら練習をしていました。本番まで走りに影響することなくやってこれて、実際問題なくレースでも走れました。ただ本当にギリギリな状態ではやっていました」 ーー区間4位の好走でした。 「途中まで区間上位で走れていて、良かったとは思います。ただ最後に早大と神大に追い付いて、追い越せずに後悔が残りました」 ーー走っている時は楽しさとかありましたか。 「走っている時は目標としている舞台であったため、高揚感を感じていました。あっという間にレースが終わったという気持ちです」 ーー学生連合の選手との会話が印象に残りましたが、どんなことを話していましたか。 「同じペースで走っているのを監督車のほうから聞いていました。1人で走っていたんですけどより前に進むことができました。そういった意味で『おかげで頑張れました』というのを伝えて、握手を求めたシーンになりましたね」 ーー鈴木聖人(政経4=水城)駅伝主将から給水をもらった時はいかがでしたか。 「1年間一番練習をやってきた鈴木から給水を受け取った時は、本当に勇気をもらえて、あそこの1キロだけすごいペースが上がりました。鈴木の給水があったからこそ、後半大きくペースを落とさずに走り切ることができたので、本当に感謝をしたいです」 ーー実業団で今後挑戦していきたいことはありますか。 「自分は駅伝にすごくこだわりがあるので、ニューイヤー駅伝で活躍できる選手になりたいです。あとは長い距離が得意なので、ゆくゆくはマラソンに挑戦したいという思いがあります」 ーーどこの実業団に入社しますか。 「SGホールディングスという会社です。今年ニューイヤー駅伝でも入賞したところで、すごく力を付けてきているので、楽しみと不安はありますが頑張っていきたいです」 ーー声が掛かったときの心境はいかかがしたか。 「まさかこんなに強いチームから声かけられるとは思ってなかったので、『やってみないかな』と言われた時はびっくりしました。ただそれも監督(山本佑樹駅伝監督)がいろいろ言ってくれたので本当に感謝をしています」 ーー今後選手としてどのようになっていきたいですか。 「どんな場面でも任せてもらえるような、駅伝力を持った選手になりたいと思っています。なので、外さない調整力であったり、普段から練習を継続することを意識してやっていきたいなと思います」 ――ありがとうございました。 [入野祐太] READ MORE -
(111)箱根駅伝事後インタビュー⑨/杉本龍陽
競走 2022.01.04箱根駅伝(以下、箱根)は、残酷だ。わずか26秒に泣きシード権を落とした昨年度。再起を誓って臨んだ今大会だったが、結果は総合14位。またも箱根は明大の前に立ちはだかった。今回は、悔しさをにじませる選手たちのコメントをお届けする。 今回は6区を走った杉本龍陽(政経3=札幌日大)のインタビューです。(この取材は1月4日に電話で行われたものです) ――6区を走り終えた時の心境はいかがでしたか。 「やはり悔しいという気持ちが一番でした。一斉スタートした中では絶対に1番で襷を持っていきたくて、山梨学大がギリギリ前で見える位置でスタートしていたので、追い付きたいという気持ちがありました。駿河台大と中学大には先に行かれてしまって、山梨学大も結局追い付くことができなかったので悔しいです」 ――後半は伸びたのでしょうか。 「そうですね。ラスト3キロの平地に入ってからは結構上がったのかなと思います」 ――それは力をためていたというよりも粘ったのですか。 「全然ためてはいなかったです。途中から本当にきつくて、恐らく下りに入る一つ前の定点までも時間がかかっていたと思います。ですが、最後は佑樹さん(山本駅伝監督)からも『前の見える位置で渡そう』と言われて、富田(峻平・営3=八千代松陰)が少しでも走りやすいところで渡すために、力を振り絞りました」 ――現在の足の状態はいかがですか。 「前田舜平前主将(令3政経卒)から、『走った後1週間ほど歩くのもままならない』と言われて僕も覚悟したのですが、現段階だと走るのは少しきつくても歩くことはできているという状況です」 ――復路のスタート地点に佐久間秀徳選手(商4=国学院久我山)と共にいる姿がありましたが、何か言葉は交わされましたか。 「佐久間さんも6区を志願してずっとやってきて走れなかったわけなので、『任せた』というふうに言ってもらいました」 ――6区の候補が何人か挙がる中で、走ると決まった時の心境はいかがでしたか。 「走りたい人も多くいて、僕の同部屋の漆畑くん(瑠人・文3=鹿児島城西)も6区の候補だったので、やはり選ばれたからには自分がしっかりと走らなければいけないという気持ちがありました」 ――小田原中継所の襷リレーで、富田選手が大きな声で声掛けをしているのが印象的でしたが、その声は届きましたか。 「ちなみに何も聞こえませんでした(笑)。僕自身がもうその時はきつかったので、後からみんなに言われて映像を見返してみたら、富田がすごく叫んでいるなと思いました(笑)。僕自身も富田に襷を渡して、背中でも押して『頑張れ』と言おうと思ったのですが、襷をもらった瞬間、富田がすぐにいなくなってしまって。手を伸ばしたのも恐らく届かなかったと思います(笑)。その前に力尽きました」 ――その後の選手たちの走りは見ましたか。 「はい、帰りながら見ていました。富田が最初の方から区間上位で走っていると聞いて、さすが富田だなと思いました。後続の選手もシード権獲得に向けて精いっぱい追っている様子が伝わってきました」 ――山本駅伝監督が以前の取材で、「杉本選手が気持ちの面で成長したから、今年度結果を残してきたのだろう」とおっしゃっていましたが、ご自身ではどう思いますか。 「自分自身あまり強くなりたい思いがなかったのですが、春先あたりでタイムが出てからは陸上が楽しくて、そこからずっとタイムを出したいと思ってやってきました。予選会では初めてチームと一緒に走れたことも楽しかったですし、一方で全日本大学駅伝は走れなくて悔しい思いをしました。そのようなところから気持ちの成長といいますか、モチベーションにつながっているのかなと思います」 ――やはり1、2年次との気持ちの変化から駅伝出走などの結果につながりましたか。 「そうですね。佑樹さんからもずっと『お前は欲がない』というふうに言われていたので、最近はやっと自分の中でも欲は出てきたのかなと思います」 ――来年度がラストになりますが、それに向けての意気込みはいかがでしょうか。 「今回の箱根で悔しい思いをして、この借りを返せるのは箱根でしかないと思うので、それに向けて1年間自分がやれることを考えたいです」 ――ありがとうございました。 [覺前日向子]READ MORE