
【ラグビー部】One by One
王座奪還を懸けた戦いが幕を開ける。10点に泣いた国立での大学選手権決勝からおよそ2ヶ月、箸本龍雅主将(商4=東福岡)の下、今年度掲げたスローガンは〝One by One〟。「一人一人、一つ一つ」をモットーにジュニア選手権、対抗戦、大学選手権の3冠を目指す。
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(2)「全員が今年1年間楽しかったと思えるチームにしたい」箸本龍雅主将 新体制インタビュー
ラグビー 2020.04.023年連続で日本一を争っている明大。ウイニングカルチャーが根付きつつある今、新スローガン〝One by One〟の下、目標とするジュニア選手権、対抗戦、大学選手権の3冠達成なるか。勝負の秋を占う挑戦の春、箸本龍雅主将(商4=東福岡)率いる新体制が始動する。本連載では新幹部の今シーズンに懸ける意気込みを全8回にわたって紹介します。 第2回は箸本龍雅主将のインタビューをお送りします。(この取材は3月12日に行われたものです) ※3月30日、関東ラグビー協会より「関東大学春季大会・オールスターゲームの中止決定」が発表されました。一部取材内容と齟齬(そご)がありますが、ご了承ください。 ーー主将に選ばれて、今の心境はいかがですか。 「変わることはないです。昨年からチームを引っ張っていくぞという気持ちがありました。それが主将となっただけでやることは変わりません。昨年の夏合宿の時に、監督と面談をして、それとなく言われていました。夏初めは自分から発信する意欲とかもなく、先輩に付いていくことが多かったです。面談してからは、来年に向けて自分のためにもなると思ったので、そういう意識を持って取り組みました」 ーー主将として意識していることはありますか。 「僕自身がこうしようというわけではなく、今までやってきたキャプテンの柄として、いろいろな人にいろいろな役割を持たせてやってきました。自分一人では見切れない部分も多いので、いろいろな人から個々に派生していくようにすることが理想です。大学や高校は最上級生のチームになってくるので、その学年がどれほどいいモチベーションを持てるか。きれい事ではないですけど、高校の時も実際それでいいチームでできていたし、メンバー外の人たちも一つになれたと思います。昨年、一昨年のチームもそうだったように、4年生がどういう態度で1年間取り組むのかがチームに大きく関わってくると思います」 ーースローガンについて教えてください。 「オフ中に4年生一人一人に言葉を考えてきてほしいと話しました。みんなが考えた中から決めました。昨年は最後の最後にチームが良い状態でしたが、先読みしすぎて結果が出ませんでした。〝one by one〟には一人一人とか一つ一つという意味があって、足元見て、いつも大切にしていることを慢心せずにやっていこうと。いろいろな意味を込めていて、一人一人がなんでも言えるチーム。個人がチームのために何をすべきなのかというのを込めて、このスローガンにしました」 ーーサンウルブズに合流して感じたことは何ですか。 「フィジカルや体の強さ。大学では通用していましたが、向こうでは通用しませんでした。改めて課題が分かったので、これからのトレーニングのモチベーションになりました。実際行ってみて楽しかったですし、みんな優しくて良かったです。高校の先輩である布巻峻介選手(パナソニックワイルドナイツ)に個人練習に呼んでもらったり、ご飯も連れていってもらえたりしてうれしかったです」 ーーコロナウイルスへの対策はしていますか。 「毎年予防注射を打ちに来てくれるドクターがいて、その方が話に来てくれて、チーム全体に共有してくれました。防ぎようがないですし、必要以上に人混みを避ける意識、そういうところです」 ーー今年のポジションはどこを考えていますか。 「言われたところをやるつもりですけど、監督と相談しながら、6番、8番とかバックローもやれるようにしていくって言われています。まだ試合も始まっていないですし、チームとしてラグビーの練習はしていません。チームで合わせるというより、個のスキルを高めるようにしています」 ーー今年のチームの雰囲気はいかがですか。 「フラットな雰囲気を作りたいので、学年関係なく積極的に話せて、私生活においても誰にでも気軽に話せるチームを目指しています。現段階では、4年生からコミュニケーションを取るように心掛けています」 ーー新入生が入ってきていかがですか。 「良い選手が多いですね。今はFW、BKの練習が多くて、日曜日の練習くらいしか一緒にやりません。まだあまりよく分からない部分もありますね。自分から、練習中に声をかけて、気にかけてはいます」 ーー春シーズンに心掛けることを教えてください。 「チームとして戦術的なことはやってきていないので、個人がやってきたことをチャレンジすることです。個々のベースアップしてきたところがどれだけ相手に通用するか。明治は強さを出して前に出ることが強みだと思うので、そこを出していけるかです。春はずっとタックル練習をしていて、相手を向こう側に倒すタックルを心掛けています。アーディー・サヴェア選手(ハリケーンズ)や姫野和樹選手(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)などを参考にしています」 ーー今シーズンの目標をお願いします。 「僕の目標は、全員が今年1年間楽しかったと思えるチームにしたいというのと、後悔のない1年間にしたいです。メンバーがどうだったとかではなくて、このチーム1年間雰囲気として好きだなと思ってもらえるようにしたいです。そうなれば、絶対良いチームになると思います」 ――ありがとうございました。 [田中佑太] ◆箸本 龍雅(はしもと・りゅうが)商4、東福岡、188センチ、107キロ オフの期間は、福岡に帰省。地元の友達と遊び、いいリフレッシュとなった。次回は片倉康瑛(法4=明大中野)のインタビューをお送りします。お楽しみに!READ MORE -
(1)「(今年のチームは)全体的に競争しながら成長していく感覚がある」田中澄憲監督 新体制インタビュー
ラグビー 2020.04.013年連続で日本一を争っている明大。ウイニングカルチャーが根付きつつある今、新スローガン〝One by One〟の下、目標とするジュニア選手権、対抗戦、大学選手権の3冠達成なるか。勝負の秋を占う挑戦の春、箸本龍雅主将(商4=東福岡)率いる新体制が始動する。本連載では新幹部の今シーズンに懸ける意気込みを全8回にわたって紹介します。第1回は田中澄憲監督のインタビューをお送りします。(取材は3月24日のものです) ※3月30日、関東ラグビー協会より「関東大学春季大会・オールスターゲームの中止決定」が発表されました。一部取材内容と齟齬(そご)がありますが、ご了承ください。 ――今年度で監督就任3年目を迎えました。 「1年目はラグビーと組織の2本の軸でやっていくことに必死だったのですが、そこで優勝という結果を出すことができました。昨年はさらに組織をどう作っていくか。将来に向けてどうやって盤石なチームを作るかというところを考えながらやりました。運営に力を入れたことで、資金繰りがすごく改善されましたし、ようやく盤石な組織ができつつあると感じています。今シーズンは自分たちの企業努力で使えるお金ができたので、それをどういう強化に使うのか。実際スポットではスピードコーチであったり、メディカルの部分でも新しいスタッフを迎えたりと組織という意味では強くなっていると思います」 ――監督の立場で大切にされていることを教えてください。 「やはりウイニングカルチャーを作ること、常に優勝争いをするチームでなければいけないということは第一にあります。それを通して学生が成長していくこと、もちろんゲームには23人しか出られませんから、試合に出られなくなったときに、チームが勝つために自分に何ができるかを考えられるような人に成長していくことが大切だと思います。もう一つは明治の今の状態をどうつなげていくかです。自分はずっと続けられる訳では無いので、誰かが(監督を)やった時にまた低迷するということはもうやってはいけないことだと思います。そのための組織づくり、あとはバトンを誰に渡すかも考えながらやっています」 ――選手たちと話す時、心に置いていることはありますか。 「当たり前ですが、相手の考えを聞き出すことは大事にしています。あとは本音を言うこと。良くないのに『お前いいよ』なんて言いません。悪かったら悪いと言います。学生は特に多いと思いますが、嫌われたくないから本音を言わない。本音でいえなかったら、本当の仲間にはなれないと思います。スタッフが成長してほしいと思うから、思っていることをぶつけますし、学生にも同じです。女の子を口説くときは褒めたりしますけど、またそれとは全然違います。一生付き合っていく仲間ですし、基本的におかしいと思ったことは必ず伝えるようにはしています」 ――選手の話に関してもお聞かせください。今年度はリーダーに梅川太我(文4=石見智翠館)選手が選ばれました。 「彼はムードメーカー的な存在ですね。苦しい状況でも1人ずっと声を出してチームを鼓舞してくれる選手です。本当に練習中でも声を張って頑張っています。チームには必要不可欠なキャラクターだと思います。(スクラムハーフとして)タックルがすごくいいですよね。泥臭く、体張って、まさにフランカーのようなプレーヤーです。課題のパススピードは本人も理解してずっと取り組んでいるので、徐々に速くなっていると思います。みんなから信頼されていて(昨年の安部選手のような)近いかもしれませんね。安部をもっと熱くしたような感じですかね」 ――スクラムハーフに求めることを教えてください。 「基本的なスキル、パスのスピード、キックの精度は必要です。あとはゲームを読める力、予測、さらに駆け引きができるプレーヤー、ずる賢さのような感覚だと思います。チームを勝たせるという思考、ハーフ団としては必要不可欠です」 ――抜けたフロントローの穴に関してはどうお考えですか。 「ここは本当に今年の明治の課題です。ポジティブに捉えれば、みんなにチャンスがあるということ。実際フロントローの選手たちはこの5週間、意欲的にレギュラーを取りにいくエネルギーがあったので、全体を底上げできる感じがあります。(新入生が絡むことも)あると思います。もちろん最初は高校生上がりなので、スクラムなど難しい部分もありますけれど、今年入ってきた子たちもスクラムさえ組めるようになれば、能力が高い選手が多いので、十分チャンスはあると思います。そこに刺激を受けた3、4年生も良い競争、自分がそこに出るという空気が出ているので。今まで隠れていた選手がポッと出てくる可能性は全然あると思います」 ――リハビリ中の山沢京平(政経4=深谷)選手の穴はどのように埋めますか。 「去年何試合か出た齊藤誉哉(文2=桐生一)。彼は経験を積むチャンスだと思います。1年生でも良い選手がいて、池戸将太郎(政経1=東海大相模)や伊藤耕太郎(商1=国学院栃木)、本職はセンターですが、スタンドオフもできる廣瀬雄也(商1=東福岡)。この間の土曜日に部内マッチをやったのですが、入りたてとは思えない良いパフォーマンスしていたので。逆に言えば、齊藤誉もプレッシャーは掛かっていると思いますね。(それぞれのプレースタイル)齊藤誉はキック飛距離に魅力があって、オーソドックスにゲームを作っていくタイプだと思います。池戸も少し似ています。伊藤はそれに加えてランニングスキルもある。テンポが少し違うというか、視野も広いです。廣瀬はパススピードが速いと思います。キックの飛距離もありますし、本当に楽しみです」 ――今年度の4年生、チームの特徴を教えてください。 「一言でいうとラグビー小僧。良い意味で純粋にラグビー好きが多い。1年生の頃から残って練習するような学年です。やんちゃな面もありますけど、本当に向上心がある学年だと思います。(今年のチームは)全体的に競争しながら成長していく感覚があります。去年は何となく入れ替わることが難しい状況でした。というのも優勝した次の年でベースができていた。だから次のステップから始める、例年とは異なる進め方をしました。そうすると、ベースができていないメンバーと、経験値があるメンバーで大きな差が生まれてしまい、なかなか入れ替わりができず、競争も生まれない。そういう意味で失敗したという反省があります。今年は現在5週間やりましたが、ベースの部分しかやっていません。ラグビーはほとんどやっていないですね。フィジカルとベースを徹底しました。だから一人一人の成長が大きくなっていくかなと。それがチームになった時、大きなチームになるのではというイメージがあります」 ――最後に今年度の展望をお願いします。 「目指すところは去年取れなかったチャンピオンシップ。今シーズンは目標として3冠(ジュニア選手権、対抗戦、大学選手権)を選手たちに共有しています。これによってウイニングカルチャーというものをしっかり定着させたいなと。去年で3年連続日本一を争っていること、これは誇っていいことだと思います。20年以上優勝していない、決勝戦を争っていないチームがまた3年連続で争うということは、とても評価できることですし、ウイニングカルチャーが芽生えてきたといってもいいと思います。あとはこれを定着させること。そのためには『常に勝つんだ』という気持ちが大切だと思います。今年の新入生が4年生になったら、ラグビー部がちょうど100周年。そういう意味でも記念する年に勝つことはうれしい。連覇というのは、今年終わってみて思いましたが、難しいです。帝京大の9連覇というのは奇跡(笑)。二度とあんなチームは生まれないと思います。だから連覇はしたいですけど、それよりも常にチャンピオンシップ、トップ4争いにいることの方が大事だと思います。本音は優勝したいですよ」 ――ありがとうございました。 [髙智琉大朗] ◆田中 澄憲(たなか・きよのり)平10文卒 今年度で監督就任3年目を迎えた。在学時には監督不在の中主将を務め、チームを大学選手権準優勝に導いた。卒業後はサントリー・サンゴリアスに入社。2005年には7人制日本代表に選出され、W杯にも出場。2010年度に現役引退し、12年度からサントリーのチームディレクターに就任。18年度には監督就任1年目にして明大を22年ぶりの大学日本一に導いた。次回は箸本主将のインタビューをお送りします。お楽しみに!READ MORE