【ラグビー部】真価
〝真価〟が試される1年だ。昨シーズン、22年ぶりに日本一へ返り咲いたラグビー部。武井日向主将(商4=国学院栃木)の下、新たに掲げたスローガンは〝真価〟。チャンピオンの重圧をはねのけ〝真価〟を証明してみせる。本企画では連覇を狙う武井組の軌跡を追っていく。
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(21)「健太さんを超えるプレーヤーに」飯沼蓮 春シーズン終了後インタビュー
ラグビー 2019.07.16王者の勢いはとどまることを知らない。Bグループでのスタートとなった関東大学春季大会は全試合で30点以上の大差をつけて勝利。帝京大、東海大など強豪との招待試合でも勝ち星を挙げるなど好調をキープしている。今回は春シーズンの振り返り、そして夏、秋に向けての意気込みを監督、選手たちに伺った。 第7回は飯沼蓮(営2=日川)のインタビューをお送りします。(この取材は6月16日に行ったものです) ――春シーズンに掲げてきたことは何ですか。 「余裕を持ってゲームコントロールすることを意識していていました。春の試合を積んだことで、自分に自信を持てるようにもなりましたが、まだまだ経験が浅く学ぶことも多くありました。もっと意地悪なプレー、相手のスキを突くようなプレーをしていきたいです。先日の早稲田戦では自分から仕掛けてみたりと、日々足りないところを見て、チャレンジしています」 ――今春は紫紺の9番を背負っています。 「昨年の福田健太(平30法卒・現トヨタ自動車ヴェルブリッツ)主将が背負っていた番号でもあるので、今年はそれ以上のことが求められると思っています。今9番として出させていただいていますが、まだ健太さんには全然及んでいません。試合に出ることだけに満足せず、健太さんを超えるプレーヤーになりたいです」 ――昨年度と比べて変化はありましたか。 「昨年は自分の事ばかりを考えていたので、周りの事、チームのことを全く考えられていませんでした。しかし今年はチームプレーの事だったり、一人一人の動きの事だったりをアドバイスできるようになり、チーム全体のことを見られるようになったと思います。チームのことを考えることで、余裕も生まれる。結果として自分のプレー向上にもつながったので良かったです」 ――司令塔として心掛けたことはありますか。 「自分のやってほしいプレーと、仲間がやろうとしているプレー、たとえばFWの動き、スタンドオフの入り方でも一人一人の癖(くせ)が異なります。全員との食い違いからミスは起こってしまうので、プレー中のコミュニケーションだけではなくて、練習中から一人一人と話し合うように意識しました。そうすれば仲間も自分のしてほしいプレーをやってくれるようになる。自分のしたいプレーを伝えることが大切だと感じました」 ――春シーズンを経て、チームとして残った課題はありますか。 「競った試合の時に主導権を取り切れないところです。振り返るとトライした後の簡単なミスから攻め込まれてピンチになるシーンが多々ありました。他にもスタメンとリザーブの差もあります。春は試す時期ということもあり、いろいろなメンバーが試合に起用されますが、先日の早稲田戦でも掲げられていた〝ハイクオリティー〟、一人一人がプレーの精度を上げていく意識、どういった役割で自分が出されるのかを考えることが大切だと思います」 ――来シーズンに向けての意気込みをお願いします。 「ずっと良い調子ではいられません。必ずどこかでヤマは来ると思うので、そういう時こそチャンスだと思って、選手権連覇を勝ち取れるように、チームとしても個人としても成長していきたいです」 ――飯沼選手にとっての〝真価〟とは何ですか。 「常に自分に足りないところを考える、そのために自分はどうしなければいけないかです。練習中にどういう意識をしなければいけないかを考えて、積極的に試合で試していきたいです。それができるようになったら、また最初に戻って自分を見つめなおすというサイクルなので、どこかで満足したらそこで〝真価〟は止まってしまうと思います。そのサイクルを続けて、一生成長を続ける。サイクルの継続こそが僕にとっての〝真価〟です」 ――ありがとうございました。 [高智琉大朗] ◆飯沼 蓮(いいぬま・れん)営2、日川、169センチ・71キロ 昨年度はルーキーながらも、リザーブとして紫紺に袖を通した。今年度は司令塔としてチームを牽引(けんいん)する。将来の夢は日本代表入りREAD MORE -
(20)「自分たちらしくのびのびと、思い切ったプレーを」雲山弘貴 春シーズン終了後インタビュー
ラグビー 2019.07.15王者の勢いはとどまることを知らない。Bグループでのスタートとなった関東大学春季大会は全試合で30点以上の大差をつけて勝利。帝京大、東海大など強豪との招待試合でも勝ち星を挙げるなど好調をキープしている。今回は春シーズンの振り返り、そして夏、秋に向けての意気込みを監督、選手たちに伺った。 第6回は雲山弘貴(政経2=報徳学園)のインタビューをお送りします。(この取材は6月29日に行ったものです) ――春シーズンの振り返りをお願いします。 「キックの精度や後ろからの指示などフルバックとして求められていることがまだできていないので、課題は多いです。チームとしては、試合中の後半の内容が悪かったですが、Aチームは全部勝てたのでそれは良かったです」 ――春シーズンで自信になったこと、課題になったことはありますか。 「全試合で勝つことができて、苦手な相手という意識がなくなってきました。そういういった部分は成長できました。課題はリザーブが入った時の後半です。後半にどうしても点を取られてしまうので、リザーブが入ってきたときからより勢いをつけないといけないです。後半のメンバーはリザーブメンバーが主体なので、打開しようと頑張りますが、それが逆に空回りするという形でミスに繋がっています」 ――春に15番をつけてみていかがでしたか。 「まだポジションを勝ち取れたわけじゃないです。ほぼ全試合出ていい経験にはなったと思いますが、フルバックのポジションも、ウイングの石川(貴大・政経3=報徳学園)さん、矢野(湧大・文4=大分舞鶴)さんが伸びてくると、山﨑(洋之・法4=筑紫)さんがフルバックに戻ってきたりするので、怖いですね。全員怖いです(笑)。昨年の山沢(京平・政経3=深谷)さんはフルバックとしての立ち位置とボールのもらい方が上手でした。また、いい場面でボールをもらっているので、そういった部分を参考にさせてもらっています」 ――今のチームの雰囲気はいかがですか。 「Aチームは全部勝っているので、それに関しては結構いい状態かなと思います。FWが体を張ってペナルティをもらえているので、BKのファーストフェイズの精度にもつながって全体的にいい調子です。一人一人の能力高いですし、チームとしてもまとまってきています。このまま練習して成長していけば優勝できると思います」 ――春シーズン最も印象に残っている試合はありますか。 「早稲田戦(○29-14)です。昨年明早戦に出してもらったんですけど、全然いいプレーはできませんでした。今回もいいプレーができなかったので、早稲田相手に結果が出せてないです。早稲田に対して苦手意識があって、立ち位置とかでも少しのミスで崩されたり、僕のせいでチームの雰囲気が悪くなったりしているので印象に残っています」 ――明治の中で注目している選手はいますか。 「山沢選手です。昨年は交代で一緒にプレーする機会がなかったのですが、今年はスタンドオフとして試合をコントロールしてくれていて、フルバックとしてもやりやすいです」 ――プレースキックの調子はどうですか。 「この前も大朗さん(齊藤・商3=桐蔭学園)と1時間くらい練習しました。大学に入ってキックはあまり蹴らないと思って、練習していませんでした。そこで悪いイメージがついてしまっていて、なかなか感覚が戻ってこないので、今は戻している途中です」 ――秋に向けて磨いていきたいプレーはありますか。 「フルバックとしてはキックや後方からの指示、アタックでのボールのもらい方がまだまだなので、今後の課題です。2年生になって特に変わったことはないですが、まだ下級生なので、引っ張ろうというのはあんまりないです。自分たちらしくのびのびと、ミスを恐れずに思い切ったプレーをしていきたいです」 ――ありがとうございました。 [田中佑太]◆雲山 弘貴(くもやま・ひろき)政経2、報徳学園、186センチ・92キロ 山﨑とは同部屋。「お互いのいじりが面白くて笑っています」READ MORE -
(19)「兄のようなスタンドオフへ」山沢京平 春シーズン終了後インタビュー
ラグビー 2019.07.14王者の勢いはとどまることを知らない。Bグループでのスタートとなった関東大学春季大会は全試合で30点以上の大差をつけて勝利。帝京大、東海大など強豪との招待試合でも勝ち星を挙げるなど好調をキープしている。今回は春シーズンの振り返り、そして夏、秋に向けての意気込みを監督、選手たちに伺った。 第5回は山沢京平(政経3=深谷)のインタビューをお送りします。(この取材は6月29日に行ったものです。) ――春季はどんなシーズンでしたか。 「昨年から練習してきたことがしっかり出せました。一戦一戦が大事なので一番印象に残っている試合はありません。早稲田や帝京大といった強い相手だと意気込む選手もいますが、逆に空回りをするので一つ一つを大事にしています」 ――後半戦が課題と言われる試合が多かったです。 「後半戦だけではなく、前半の入りが悪い試合も結構ありました。どう修正をできるかというのが課題です」 ――スタンドオフ挑戦のきっかけを教えてください。 「監督の一声です。兄(パナソニックワイルドナイツ・山沢拓也選手)もそうなのですが、チームの中心となってくるポジションです。チームメイトを見て、空いたスペースをうまく使いたいです。試合の時だけでなく練習中から積極的に声を掛けています。コンバージョンは正直まだ形が固まっていないです。帝京大戦では全て決めることができたので、徐々にですが、調子は上がってきています」 ――BKから見て今年のFWの強みは何ですか。 「アタックを含め、前でしっかり組んでくれているので安心して任せています。スクラムは強みなだけあり、いつも他大を上回っていて完成度も高いです。後ろにも必然的にスペースが空いて、BKのポジションが決められます」 ――トレーニングで重視していることを教えてください。 「全体練習後に自分が苦手なところの練習を積極的に取り組んでいます。今はボールキャリーがまだまだなのでそこを中心にしています」 ――4年先輩はどんな印象ですか。 「私生活もラグビーも皆さん真面目です。しっかりされていて見習いたいです。声掛けなど引っ張っていってもらっている部分も結構あります。特に武井日向主将(商4=国学院栃木)は支柱になっています」 ――秋に向けて成長させることは何ですか。 「ダウン後のパス回しやボールキャリーの部分、攻撃時の空間の使い方をもっと練習したいです。キックの精度も上げていきたいです」 ――ありがとうございました。 [中村奈々] ◆山沢 京平(やまさわ・きょうへい)政経3、深谷、177センチ・85キロ 試合前のルーティンはシャワーを浴びて、ヒップホップを聴くことREAD MORE -
(18)「紫紺の重みを感じながら試合で結果出していきたい」箸本龍雅 春シーズン終了後インタビュー
ラグビー 2019.07.13王者の勢いはとどまることを知らない。Bグループでのスタートとなった関東大学春季大会は全試合で30点以上の大差をつけて勝利。帝京大、東海大など強豪との招待試合でも勝ち星を挙げるなど好調をキープしている。今回は春シーズンの振り返り、そして夏、秋に向けての意気込みを監督、選手たちに伺った。 第4回は箸本龍雅(商3=東福岡)のインタビューをお送りします。(この取材は6月16日に行ったものです) ――今季印象に残った試合について教えてください。 「帝京大との試合です。去年の春は勝つことでみんな満足していました。今年は勝つことももちろんですが、内容に特にこだわるようになりました。次に繋げようとする選手が多かったので、帝京戦は特にチームの成長につながったカードだったと思います」 ――今季の課題はありますか。 「後半につれて疲れがたまり、流れが相手のペースになると、相手のしたいラグビーをさせてしまう場面が多々ありました。後半の最後の最後まで明治らしさ、メリハリをつけて戦うところが課題だと思います」 ――今季力を入れてきた練習は何ですか。 「ブレークダウンの場面です。一人で一人をつぶすことやスペースに走り込んでいくとかを特に力を入れてやってきました。その結果、ターンオーバーにつながるようになってきて、チームとしても成長しています」 ――チームの雰囲気はいかがでしょうか。 「下級生からチーム内の指摘をできるような環境を4年生が積極的につくってくれています。雰囲気はとても良いと思います。自分からチームのために動くという心配りが良い雰囲気をつくり上げていると思います」 ――4年生の存在についてはいかがでしょうか。 「何よりも優しいです。体も大きくて強いです。特に坂(和樹・政経4=明大中野八王子)さんとかはフィジカルで引っ張っていってくれています。日向(武井・商4=国学院栃木)先輩もそうですけど、チーム全体に還元してくれることが多いです。ディフェンスもアタックも前にでる選手がとても多いです。その姿勢を眼の前で見せられたら、下級生も行かざるを得なくて、なので頼もしいの一言です」 ――学年に上がって意識した点はありますか。 「チームを引っ張っていく意識が少しあります。練習内でも去年とかは辛いって感じでしたが、今年に入って、辛い中でも周りに気を配って声かけなどを意識的にしています」 ――コンビを組む片倉(康瑛・法3=明大中野)選手の存在についてはいかがでしょうか。 「ラインアウトでは彼の存在が大きいです。片倉のシグナルで安定したラインアウトが行えていると思いますし、彼も3年生になってからチームに発信することが増えてきて、隣にいて、頼もしいです。アタックもディフェンスも、どんどんうまくなってきているなと思います。ライバルとして負けたくはないです」 ――秋の目標を教えてください。 「もちろん連覇です。今年勝てば、自分たちの代になった時に、3連覇がかかります。そうなればもっと面白い展開で、明治らしさを出せますし、応援してくれている方も喜ばせられるのではないかなと思います。今年優勝することが、4年生になったときの別のモチベーションにも繋がると思います。とりあえず連覇を念頭に頑張りたいです。自分は結構紫紺のジャージーをもらえることが多いです。でも、もらえていない選手たちの思いを胸に紫紺の重みを感じながら試合で結果出していきたいです」 ――ありがとうございました。 [内山嶺]◆箸本 龍雅(はしもと・りゅうが)商3、東福岡、188センチ・108キロ 春シーズンはボールキャリーを意識。昨年度より体重を3、4キロ落とし、フィットネスを付けたREAD MORE -
(17)「どこをとっても日本一、それが本当の〝真価〟」山村知也副将 春シーズン終了後インタビュー
ラグビー 2019.07.12王者の勢いはとどまることを知らない。Bグループでのスタートとなった関東大学春季大会は全試合で30点以上の大差をつけて勝利。帝京大、東海大など強豪との招待試合でも勝ち星を挙げるなど好調をキープしている。今回は春シーズンの振り返り、そして夏、秋に向けての意気込みを監督、選手たちに伺った。 第3回は山村知也副将(営4=報徳学園)のインタビューをお送りします。(この取材は6月25日に行ったものです) ――春シーズンの振り返りをお願いします。 「昨年のシーズンと比べて、今シーズンは毎試合コンスタントにトライを取りきれました。ウイングはトライでスコアを重ねることが仕事なので、全うできたと感じています。しかしまだスペースにボールを呼び込めていないところや、判断のところなど、課題も多く残ったシーズンでした」 ――4年目を迎えました。これまでを振り返っていかがですか。 「1年生トライ王ということもあって、多少マークされる部分もありました。自分でも伸び悩んでいる時期というのがあって、徐々にレベルが上がっていくにつれて、簡単な状況は全然ないと痛感しました。そういった中でトライを取り切る力、ボールをもらうまでの動きやスペースの運び方など、いろいろなところを見つめ直しながら、成長してきた4年間でした」 ――今年は両ウイングが4年生です。 「大外なのでボールタッチを先にできる訳ではありませんが、コミュニケーションの部分で、中の選手に対して自分達がどう呼び込めるか。それによってボール展開はかなり変わってくると思うので、しっかり意識して出すようにしています」 ――武井日向主将(商4=国学院栃木)との役割分担はどうされていますか。 「チーム全体のことになるとほとんど日向(ひなた)がやってくれていますが、具体的な仕事では分けていません。チーム全体で話す時に日向だけでは分からない部分もあるので、お互いに気付き合ったことを話します。バックスに関することは、僕からも積極的にオーガナイズできるようにはしています」 ――山村選手が描く理想のラガーマン像を教えてください。 「試合においては、自分の仕事を全うする、チームのためにしっかり身体を張れるプレーヤーです。ラグビーは紳士なスポーツとも言われているので、私生活の所でも人として尊敬されるような人物、誰からも憧れるような選手を目指したいです」 ――夏、秋に向けて磨いていきたいプレーはありますか。 「たくさんあります。パス一つをとっても、もっと高い精度でできると思います。ランでもステップのキレだったり、スペースの把握をできるようにしたいです。ディフェンスのコネクションのところでもまだまだ課題があると感じています」 ――今年の目標を教えてください。 「私生活の部分などもっとこだわれたところはあると思います。今年は今年のチームとして、昨年まで積み上げてきたものに対して、さらに積み重ねながら、昨年のチームの色を受け継いでいければと思います」 ――山村選手にとって〝真価〟とはどういったものですか。 「最初に挙げたように、ラグビー、私生活どちらにおいても日本一を誇れるチームです。表面上のラグビー日本一だけではなく、優勝に対しての毎日の積み重ねであったり、過程の部分であったりです。グラウンド外の私生活など、結果に直接表れない部分も含め、どこをとっても日本一といえるのが本当の価値〝真価〟だと思います」 ――ありがとうございました。 [高智琉大朗] ◆山村 知也(やまむら・ともや)営4、報徳学園、176センチ・77キロ 1年生の頃から紫紺をまといチームの第一線で活躍しているスピードスター。好きな食べ物はカニ、牡蠣などの甲殻類。READ MORE -
(16)「ラグビー部の歴史の中でとても大事な1年になる」武井日向主将 春シーズン終了後インタビュー
ラグビー 2019.07.11王者の勢いはとどまることを知らない。Bグループでのスタートとなった関東大学春季大会は全試合で30点以上の大差をつけて勝利。帝京大、東海大など強豪との招待試合でも勝ち星を挙げるなど好調をキープしている。今回は春シーズンの振り返り、そして夏、秋に向けての意気込みを監督、選手たちに伺った。 第2回は武井日向主将(商4=国学院栃木)のインタビューをお送りします。(この取材は6月26日に行ったものです) ――春シーズンを振り返っていかがでしたか。 「全員が満足することなくやれました。目標は春に勝つことではなく、冬に大学選手権で優勝することです。そのための春の積み上げもすごく見られました。1人1人のフィジカルの強さなど他のチームに勝っていたと感じたので、すごく収穫の多いシーズンを送れました。ディティールは良くなってきてはいますが、まだまだきつい状況で疎かにしてしまう場面があります。パスキャッチの部分でミスをしていたり、基本的なミスが目立ったので、まだまだそこは進化していかないといけないです。改善の余地はまだまだあります」 ――シーズン前のインタビューでお話になっていた『自分たちのラグビーをして勝つ』ということは体現できましたか。 「相手をフォーカスするというより自分たちにフォーカスをして、毎回テーマを立てて試合に臨みました。結果として、上手く体現できた部分もあれば、体現できなかった部分もありました。そういう意味では自分たちにフォーカスして春シーズン試合をできたので、すごく個人としてもチームとしてもレベルアップできました」 ――武井選手が不在の試合がありました。 「僕が出場しなくても試合中、すごく会話をしてくれました。4年生が引っ張る姿が随所で見られました。僕がいなかった分、キャプテンをやるということの意味、周りのサポートの必要性をみんなが体験して分かったこともあると思います。そういうことを次につなげていけるようにおのおのが意識してほしいです。主将をやったメンバーと話すことができたので、チームとして良い経験でした」 ――スタメンとリザーブの差はいかがでしたか。 「これからの明治の一番の課題になるところです。東海大戦でも前半すごく良い流れを持っていたのですが、後半は完全に相手に流れを持っていかれ、主導権を握らせてしまいました。A戦だけに限らず、下のチームの試合でも見られたので、チームの底上げは必要です。ディティールの部分もそうですし、4年生に限らずもう少し1人1人がリーダーシップや責任感をもっと持っていなければいけないと思います」 ――副将、リーダー陣との連携はいかがですか。「特に東海大戦だったのですが、強豪との試合を経験して自分たちはまだまだ変わらなければいけないと思った選手も多いと思います。週に1度、チームでリーダーミーティングをしてリーダーの中で意思を共有して次の試合に臨めるようにしています。自分たちで試合のレビューをして、監督、コーチから出ることだけではなくて、実際試合をしてみて思ったこと、外から見て思ったことを共有しています。出た課題を練習でリーダー陣から率先して意識付けさせるようにしようとしています。1回1回の練習を無駄にしないようにフォーカスを決めてやれる環境は作れています」 ――ここまで主将としてやってきていかがですか。 「考えることが多くなりましたし、キャプテンというプレッシャーはかなりあります。4年生は本当に頑張ってくれています。周りのサポートがとてもあり、頑張れています。私生活はまだまだ甘いところはあるのですが、寮長を筆頭にやってくれています。僕自分が全部関わってしまうと良くないと思うので、任せるところは任せながら、4年生がよくやってくれています」 ――王者としてのシーズンに臨んでいます。去年以上に難しいですか。 「よく連覇、連覇と言われますが、去年は去年なので、今年は今年のチームでまた日本一を取ることが目標です。良い部分は先輩たちから受け継いで、去年を考えすぎず、今年のチームで日本一を取ることが大事だと思います。相手が〝打倒明治〟で来ているなというのは伝わってきます。僕らは、今年はまだチャンピオンではないので、チャレンジャーの意識を持ってハングリーに秋も戦っていきたいです」 ――秋シーズンに向けて意気込みをお願いします。 「これから明治が連覇して勝っていくか、去年だけのチームと言われてしまうか真価が問われる代です。僕らで常勝軍団を作り上げてこれから後輩に繋げていけるようにしなければなりません。そういう意味では今年の日本一は昨年以上に難しく、価値のあるものになると思います。明治大学ラグビー部の歴史を見てもとても大事な代になると思っているので、その責任をしっかりと全うします」 ――ありがとうございました。 [上松凜助] ◆武井 日向(たけい・ひなた)商4、国学院栃木、171センチ・95キロ 「もう単位は取れているので、あまり駿河台には行かないです(笑)」。頼れる主将は、勉学も日本一のようだREAD MORE -
(15)「チャンピオンチームとしてどうチャレンジしていくか」田中澄憲監督 春シーズン終了後インタビュー
ラグビー 2019.07.10王者の勢いはとどまることを知らない。Bグループでのスタートとなった関東大学春季大会は全試合で30点以上の大差をつけて勝利。帝京大、東海大など強豪との招待試合でも勝ち星を挙げるなど好調をキープしている。今回は春シーズンの振り返り、そして夏、秋に向けての意気込みを監督、選手たちに伺った。 第1回は田中澄憲監督のインタビューをお送りします。(この取材は6月25日に行ったものです) ――春シーズンの振り返りをお願いします。 「昨年とは違った春を過ごした感じがします。昨年は古川(満選手・平30商卒・現トヨタ自動車ヴェルブリッツ)の代が決勝で帝京大に負けて、本気でチャンピオンを目指すという部分から最後にどうやって日本一になるかという部分をフォーカスしてスタートしました。そしたら、春に帝京に勝ってそのまま春季大会も初めて優勝という流れでした。昨年はチャレンジの連続だった春シーズンでしたが、今年に関しては日本一になったというある程度自信がある中で、勝ち負けではなくて内容の部分にこだわって、そういったところを追求するようにチームとして変わってきました」 ――春シーズンの成長点と課題点は何ですか。 「試合中に修正する能力は成長したと思います。でも、チーム全体がうまくなっている中でラグビーの本質的な部分で戦ってほしいです。例えば痛いことをできるとか、ボールを持っていない時のハードワーク、そういった部分をもっと突き詰めないといけないです。僕が1年目の時(ヘッドコーチ就任年)は武器がなかったので、フィットネスだったりスクラムだったりにこだわってきました。今はいろいろなことができるようになったからこそ、ラグビーの本質的な部分を軽視してはいけないです。もっとチャンピオンチームとしてどうチャレンジしていくかというところだと思います」 ――王者として迎える1年ですが、チャレンジャーとしてのマインドが重要になりますか。 「明治は常にチャレンジャーじゃないといけなくて、チャレンジャーであることはタフでもあることです。タフな部分を明治からなくしたら勝っていなかった頃の明治に戻ってしまいます。(最上級生を中心にまとまりは)一生懸命な部分は感じます。でも、何事でも完璧に満足することってないじゃないですか。良いって言ったらそこで終わりなので、でも、彼らは2年生の時に『こいつら大丈夫かよ』って心配されていた学年でした。僕が1年目の時も『こいつらが4年の時どうするんだよ』とは思っていました。それが4年生になってそれなりになっているから、上級生にならないと分からない部分も大きいです」 ――春季で一番印象に残っている試合はどの試合ですか。 「課題を感じたのは東海大戦(○40-24)です。前半にあれだけいいラグビー(33-0)をしていて、それが後半で24点も取られて、明治は1トライしかとることができずに終わってしまいました。そういうゲーム展開になるというのはスタメンとリザーブの差の分、リザーブから出たメンバーで誰がリーダーシップを取るのかという部分です。(試合の後何か話したか)リザーブのメンバーには『責任を果たしていない』とは言いました。それで下のチームと入れ替わった人もいるし、チーム全体の経験値を上げないといけないなと思っているので、リザーブ選手を中心に起用した法大戦(○71-14)はうまく戦えたと思います。秋のスターティングメンバーが決まっているわけではないので、決めていく中である程度見極めていくこと、リザーブのメンバーが投入されて仕事をしてくれるメンバーなのか、ただのケガ人のリプレースメントなのかという部分を見ていかないといけないと思います」 ――春季に成長を見せた選手はいますか。 「繁松(哲大・政経3=札幌山の手)とかはいいなと思いました。彼は派手ではないですけどいいプレーしてくれる選手です。前までは良くても抜けているプレーがありました。それが少しずつなくなってきて安定感が出てきました。あとは、山沢(京平・政経3=深谷)がスタンドに挑戦中なので、ここから難しい経験をたくさんする中で失敗もあると思います。そこをどう克服していくかが大切です。10番の出来はチームにとても影響するので、ミスの一つ二つで流れが悪くなることもあるので、そうならないように精神面も強くならないといけないです」 ――今年から新しく取り組んでいること、取り組もうと思っていることはありますか。 「ウエート場のリニューアルを考えています。築40年くらいの古いトレーニングジムなので、高校よりも環境の悪いジムを使っているような状況です。大学日本一のチームが高校のレベルより設備の悪いウエート場を使っていたら果たしてどうなのかなっていうのはありますね。帝京大のジムを見たらわかるけど帝京大のジムと全然違うので、明治のジムは昭和みたいなジムですよ。(やはり環境の面では他大よりも劣ってしまう部分がありますか)全然他と違います。その中で選手たちも本当によくやっていて大したものだと思いますし、僕らも環境を良くしてあげたいとは思っています。例えば高校生が練習を見に来てくれたときには『日本一の明治のウエートってどんなだろう、すごいんだろうな』って思って来るわけじゃないですか。そのときに今の状態だと『え、これ?』ってなってしまうんですよ。ラグビーの部分はもちろん大事ですが、〝明治大学ラグビー部〟というクラブとしての成長がすごく大切なことだと思います」 ――対抗戦開幕まではどのように過ごしますか。 「7月は社会人とも試合を組んであるので、チャレンジすることも重要ですが、それまでにしっかりとユニットの部分を強化することが重要です。あとは開幕までに特別することはないです。言ってしまうと、どれだけ細かいところを突き詰められるかという部分です。ボールを持っていないときの動き、早くセットすること、スペースを見てコミュニケーションを取ること、ハードな状況にこだわって細かいことを突き詰められるかという部分です」 ――秋に向けての意気込みをお願いします。「チームのベースアップが少しずつできてきているなかで、経験値の部分が大切です。例えば昨年、(対抗戦の)早稲田戦の時には山﨑(洋之・法4=筑紫)はリザーブでしたが、選手権は彼がスタートで出ているし、要するに出たメンバーが活躍することが大事です。試合で使われた人間が活躍できることが大事なのでそのためには普段からのトレーニングが大事になると思います。(9月以降にはW杯休止期間もはさみます)そこはジュニアの期間です。Bチーム、リザーブメンバーが多くゲームをできるので、チームの戦力を分厚くできます。あとはAチームももちろん練習試合を組んでいるので、そこの期間でチームの底上げや戦術の落とし込みもしようと考えています」 ――ありがとうございました。 [清水康佑] ◆田中 澄憲(たなか・きよのり)平10文卒 監督就任2年目。在学時には監督不在の中主将を務め、チームを大学選手権準優勝に導いた。卒業後はサントリー・サンゴリアスで活躍。2016年度にはトップリーグ、日本選手権と2冠達成を支えたREAD MORE -
(14)明治から最多8名が選出!/第7回関東大学オールスターゲーム展望
ラグビー 2019.06.29年に一度の祭典が幕を開ける。今年で7回目の開催となった関東大学オールスターゲーム。明治からはフッカー武井日向主将(商4=国学院栃木)を筆頭に8名が選ばれた。他大学からも中野将伍(早稲田)ら主力が選出。相対するは東海大や大東大と言った強豪校の選手が集うリーグ戦選抜だ。対抗戦を代表するメンバーたちはその強さを証明できるか。秩父宮で催されるビックマッチで好ゲームを期待したい。 FW1、2列は全員が明治という顔ぶれ。安と武井は昨年度に引き続いての出場。右プロップのポジションには笹川が選出された。ロック陣は片倉と箸本。昨年度からコンビを組む2人がオールスターでも鮮烈デビューを果たす。「片倉は隣にいて頼もしい存在」(箸本)と互いへの信頼も厚い。バックローでは繁松が出場を決めた。明治の7番は昨季、井上遼選手(平31政経卒・現神戸製鋼コベルコスティーラーズ)が卒業し、台頭する選手が期待されていたポジション。今季に入り一気に頭角を現したのが繁松だ。「決して派手ではないが、いいプレーをしてくれている」と監督からの評価も高い。豊富な運動量を持ち味に春季は6試合で紫紺を身にまとった。佐藤諒(政経4=国学院久我山)、山本龍亮(情コミ3=桐蔭学園)らと争い秋もフィフティーンの座を狙う。BKでは山村と山﨑。最上級生としてチームの核を担うコンビだ。関東大学春季大会では共に通算5トライを挙げる活躍を見せた。オールスターの晴れ舞台でも快速ウイングコンビのプレーに注目だ。[清水康佑]READ MORE -
(13)王者の真価を見せつけろ 春開幕
ラグビー 2019.04.13ついにシーズンが幕を開ける。新チーム初の公式戦となる東日本大学セブンズが、明日14日に行われる。また、15人制の初戦は4月28日の関東大学春季大会Bグループ・拓大戦。6月上旬には帝京大、早稲田との対戦も控える。選手権連覇を見据え、まずは春シーズンを結果にも内容にもこだわって戦い抜きたい。READ MORE -
(12)「全力でサポートをして昨年を超えられるようなチームをつくる」井元優吾 新体制インタビュー
ラグビー 2019.04.11 連覇を懸けたシーズンが幕を開ける。22年ぶり日本一を成し遂げてから早2ヶ月。武井日向主将(商4=国学院栃木)の下、再スタートを切った新生・ラグビー部。新体制の幹部に今シーズンの意気込みを伺った。第11回はスタッフリーダー井元優吾(営4=大分舞鶴)のインタビューをお送りします。(この取材は3月13日に行われたものです)――スタッフリーダーとして迎えるこの1年、目標はありますか。 「選手を全力でサポートするというのはもちろんですが、部の運営に関して円滑に回るように努めていきたいと思います。マネジャーの業務であったり分析など、学生スタッフの役割はいろいろあるんですけど、それの統括という役割で活動させてもらいます。僕は去年がスタッフ1年目だったのでわからない部分も多かったですけど、2年目になったので言えるところはしっかり言っていきたいなと思っています」――具体的に取り組みたいことは何ですか。 「コーチングの方に力を入れたいと思っています。去年優勝した分スタンダードのレベルも高くなっています。1年生たちはまだわからない部分もあると思うので、そのレベルに1年生を早く持っていかせることができるように自分からコーチとして取り組んでいきたいなと思います。コーチングはFWがメインです。BKのコーチングは多田(充裕・営3=明大中野)が中心になってくると思います」――練習中、滝沢FWコーチとの会話が多い印象を受けますが、どのような話をしているのですか。 「日常生活のことも話すんですけど、主にラグビーのことですね。滝沢コーチは本当に自分のことを思ってくれていてダメなところはダメとしっかり教えてくれるので心の支えになっています。指導内容で『こうした方がいいんじゃないか』とアドバイスをいただくこともあって、自分からも意見を言うこともあるんですけど、それも受け入れてくれるので、いい関係を結べていると思います」――コーチングを行う上で心がけていることはありますか。 「教える立場なのでミスがないように、戦う表情で話すこと大切だと思っていて、気持ちを込めて話すようにしています。まだ1年生とはコミュニケーションを取れていないのでグラウンド内でコミュニケーションを取れたらなと思います」 ――もともとは選手でしたが、学生コーチを志したのはなぜですか。 「自分がケガをしていたっていうのもあるんですけど、自分たちの代は男子マネジャーがいなかったのでチームの将来的なことを考えたら自分がマネジャーになった方が部が回っていくのではないかと考えました。自分は正直、選手としては厳しかったです。同期に武井、松岡(賢太・商4=京都成章)がいて下にも三好(優作・文3=松山聖陵)がいて、自分はその中で一番下だったので、チームに貢献するにはマネジャーの方がいいなと思いました」――昨年度、主務を務めた喜多川俵多氏(平31政経卒)氏のもとで学べたことはありますか。 「俵多さんはすごく視野の広い人でした。先の先を読める人でした。リスクの管理という面で頭が切れる人だったのでそういう面を教わってきたので、今年はその教わったことを松下(忠樹・営3=明大中野)なり多田に教えていきたいなと思います」――学生コーチならではの苦悩や、大変なことはありますか。 「自分がもともと下のチームの人間だったので、Aチームに出ている人たちにはなかなか物を言いづらい雰囲気でした。でも、澄憲さん(田中澄憲監督)には『お前はもうスタッフなんだから言えることはきちんと言え』と言われています。今年は最高学年でもあるのでビシバシ言っていきたいなと思っています。だいぶ慣れたんですけど、そこに慣れるまでは難しかったですね」――コーチングの効果を実感したことはどういった場面でしょうか。 「『これができるようになりました』って言ってもらえるときとか、『アジリティーついたかも』って言われたりとか、できなかったことができるようになった瞬間があったって聞いたときは少しでも自分の力があったのかなと思ってやりがいを感じます」――新スローガンは〝真価〟に決まりました。 「去年、日本一になったんですけどラグビーだけで日本一になるんじゃなくてあくまで学生で人間としても成長できるように、ラグビーだけではなくて本当の価値、人間の価値を高めようと言うことで真価を高めると言う意味を持って真価にしました」――最後に今シーズンの意気込みをお願いします。 「去年は追う立場だったんですけど、今年は追われる立場です。グラウンドの面からのサポートも重要になってくると思うのでグラウンドから全力でサポートして昨年を超えられるようなチームを自分からもつくりあげていけたらなとと思います」――ありがとうございました。 [清水康佑]◆井元 優吾(いもと・ゆうご)営4、大分舞鶴 早稲田の副将・幸重天とは高校で同期だったこともあり大の仲良し。「オフが被って大分に帰った時は毎日のように遊んでいました」。今シーズンはその大分で行われる春の明早戦。二人の掛け合いにも注目だREAD MORE