
OUR STORY WITH PARA SPORTS
東京2020パラリンピックのその先へ。ゴールは誰もが輝ける共生社会。私たちはこれからも、ボッチャを中心としたパラスポーツを追いかけ続ける。〝OUR STORY WITH PARA SPORTS〟。ここでは私たちのパラスポーツへの取り組みを紹介していく。一人でも多くの方に、パラスポーツの魅力を届けられるように。
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(43)明スポ単独インタビュー③ アテネ五輪競泳金メダリスト 柴田亜衣氏/ボッチャ東京カップ2023
明大スポーツ新聞 2023.05.013月11日と12日の2日間で行われたボッチャ東京カップ2023。今大会は一般参加者に加えて、ボッチャ日本代表・火ノ玉JAPANやアスリート、芸人など多くの著名人が参加した。今回はその中から、東京パラリンピック個人種目で金メダルを獲得した杉村英孝選手(伊豆介護センター)、世界選手権リオ2022金メダリストの内田峻介選手(大体大)、そして長年ボッチャの普及に取り組んでいる、元競泳日本代表でアテネ五輪金メダリストの柴田亜衣氏にインタビューを行った。今回は、第3弾として柴田氏のコメントを全文お届けします。 柴田氏――試合を振り返っていかがですか。 「(大会には)何度か出させていただいているのですが、昨年度は1点も取れなかったので、先ほど初めて1点を取れてとてもうれしかったです。1点取れるだけでも楽しいです」 ――ボッチャの魅力はどこでしょうか。 「毎年いろいろな人と対戦できるのが一番ですね。ランプを使った選手もそうですけど、小学生とも対戦できます。年齢も幅広いですし、障害あるなしにかかわらず一緒にできるというのは楽しいなと思います」 ――ボッチャのやりがいを感じる部分はどこですか。 「選手みたいな戦術とかはあまりありませんし、とにかく近づけることを目標にする感じになっているのですが、自分が思ったところにボールが止まってくれると気持ちよいです」 ――水泳とボッチャ、共通する部分はありますか。 「水泳も年齢が幅広いという点では一緒かなと思っています。水泳はもっというとお母さんのお腹にいる間からマタニティスイミングといって泳げますし、半年からベビー(スイミング)が始まり、マスターズだと100歳でも泳いでいる方はたくさんいるので、年齢関係なく同じスポーツができるというところは水泳に似ていると思います」 ――ボッチャを知らない方に向けてメッセージをお願いします。 「初めて参加する時は一回もボッチャに触れたことがなかったり、ルールを知らないと思います。でもやりながら知っていったりとか、一切知らなくても始められると思うので、気軽にボールを触って投げてみようって思ってもらいたいです。そこからボッチャの面白さを知ってハマっていく人が多いと思うので、最初から全部知ろうとするのではなく、楽しいボール遊びだなと思って参加してもらえればいいのではないかなと思います」 ――ありがとうございました。 [末吉祐貴]READ MORE -
(42)明スポ単独インタビュー② ボッチャ日本代表・内田峻介選手/ボッチャ東京カップ2023
明大スポーツ新聞 2023.04.153月11日と12日の2日間で行われたボッチャ東京カップ2023。今大会は一般参加者に加えて、ボッチャ日本代表・火ノ玉JAPANやアスリート、芸人など多くの著名人が参加した。今回はその中から、東京パラリンピック個人種目で金メダルを獲得した杉村英孝選手(伊豆介護センター)、世界選手権リオ2022金メダリストの内田峻介選手(大体大)、そして長年ボッチャの普及に取り組んでいる、元競泳日本代表でアテネ五輪金メダリストの柴田亜衣氏にインタビューを行った。今回は、第2弾として内田選手のコメントを全文お届けします。 内田選手――大会を振り返ってみていかがですか。 「本当に皆さん年々上手くなっていて、今大会はレベルの高い大会だなと思っているのですが、僕たち火ノ玉ジャパンは準決勝で大阪公立大学さんに負けてしまって、悔しい結果となってしまいました。また来年も行われると思うので、次は次はと言えないんですけどね(笑)。もう本当に次も狙うとこは王座しかないので、それも強化の一環として、一つの大会として臨んでいけたらいいなと思っています」 ――学生に関して思うことは何かありますか。 「こうやってボッチャというのが大学で多く広まっていけばいいなと思っていて、僕自身大阪体育大学のアダプテッド・スポーツ部に所属しているのですが、僕はそこで実力が付いてきたと思っているので、学生さんたちに感謝しています。アスリートと学生さんが共に切磋琢磨しながら強くなるっていうのがもっと増えればいいなと思っています」 ――ボッチャの魅力はどこでしょうか。 「老若男女ができるスポーツだと思います。野球だったら、プロ野球選手と普通の人が戦ったら勝てないじゃないですか絶対に。でもボッチャって本当に何が起こるか分からないんですね。遠くに付けられたら、普通の学生さんでもミラクルショットが生まれたりしますし、火ノ玉ジャパンに、日本代表に勝つ可能性があるので、同じ土俵で同じルールで真剣に勝負できるのが魅力だなと思います」 ――現在の普及状況についてはいかがですか。 「東京パラリンピックや杉村選手などのおかげで普及していっているとは思うのですが、まだまだ知らない人がいるのが現状だと思っています。なので、もっと普及していくためには自分たちが結果というものを残し続けていく必要があると思うので、もっともっと普及につなげていきたいなと思います」 ――代表としての目標を教えてください。 「もうパラリンピックまでの時間が1年とちょっとになってきたので、結果を残していくことにこだわって練習して、パリパラリンピックへの出場、メダル獲得を目指していきたいと思っています」 ――ありがとうございました。 [末吉祐貴]READ MORE -
(41)明スポ単独インタビュー① ボッチャ日本代表・杉村英孝選手/ボッチャ東京カップ2023
明大スポーツ新聞 2023.04.023月11日と12日の2日間で行われたボッチャ東京カップ2023。今大会は一般参加者に加えて、ボッチャ日本代表・火ノ玉JAPANやアスリート、芸人など多くの著名人が参加した。今回はその中から、東京パラリンピック個人種目で金メダルを獲得した杉村英孝選手(伊豆介護センター)、世界選手権リオ2022金メダリストの内田峻介選手(大体大)、そして長年ボッチャの普及に取り組んでいる、元競泳日本代表でアテネ五輪金メダリストの柴田亜衣氏にインタビューを行った。今回は、第1弾として杉村選手のコメントを全文お届けします。 杉村選手――今大会を振り返ってみていかがですか。 「大会の規模が大きくなっていますし、参加者のレベルが年々上がっていく中で、私たちも日本代表として参加していますが、今回も私のチームは悔しい負け方をしてしまいました。もちろん危機感はあるのですが、それよりもこの大会を通してとてもいい刺激をもらっていますし、自分たちのプレーの強化という部分においてもさまざまなヒントをもらっている大会になっています。今回もとても有意義な時間になったと思っています」 ――今大会の決勝は大学生同士でした。学生ボランティアも多く参加する中、学生に対しての思いを教えてください。 「この大会に限らず協会主催のイベントやボッチャの体験会を各地でやっていますが、そういったところで各地の大学生のボランティアの支えに助けてもらっています。そういった方々のおかげでボッチャの運営ができていると思っていますので、本当にいつも感謝しています」 ――現在のボッチャの普及状況についてはいかがですか。 「協会の代表理事もボッチャの知名度が半数近くになっているという話をされていましたが、数年前まではボッチャという競技を言われても、名前も知らないしイメージも湧かなかったと思います。しかし、ここ数年は東京でパラリンピックが開催されたこともあって、知名度も上がっていますし、その上で普及も広がってきていると思っています。ただ、まだまだ知らない人がいると思いますので、大会に見にきてもらったり、また実際に体験して投げてもらったりすることで、ボッチャの面白さや魅力を感じてもらえると思います。どんどん多くの人たちに楽しんでもらいたいなと思っています」 ――ボッチャの魅力を教えてください。 「ボッチャの魅力はいっぱいありますが、もちろん色んな人たちが誰でもできる、楽しめるところは大きな魅力の一つです。競技者の観点で言うと、ボッチャは自己選択・自己決定のスポーツだと私は思っています。やはり障害を持っていると言うと自分の思い通りに活動できなかったり、周りに気を使ってしまったりということが実際にあります。しかしコートの上に立つと助けてくれる人はいませんし、自分の考えたことや選択したものを実行して、それをプレーに移していく。それが自分の思い通りにできた時が一番気持ちいい、うれしい瞬間だと思うので、そういったところがボッチャの魅力だと思います」 ――ボッチャを知らない人に向けてメッセージをお願いします。 「ボッチャは見るのも楽しいですが、やってみることで楽しさがより分かると思うので、ぜひボールに触れてもらって一球投げてほしいなと思います」 ――ありがとうございました。 [末吉祐貴]READ MORE -
(40)著名人も多く参加! 決勝は史上初の大学決戦/ボッチャ東京カップ2023
明大スポーツ新聞 2023.04.01芸人やアスリート、さらにはボッチャ日本代表・火ノ玉JAPANも参加したボッチャ東京カップ。今大会は多くの観客が入り、にぎわいを見せた。決勝の対戦カードは杏林大と大阪公大となり、大会史上初めて大学同士での決勝戦が実現。試合は杏林大が大接戦を制し、栄冠を手にした。 ◆3・11~12 ボッチャ東京カップ2023(武蔵野総合体育館) 2日間にわたり、激闘が繰り広げられた。武蔵野総合体育館で行われたボッチャ東京カップ2023。今大会には全国で行われた予選を勝ち抜いた強者に加えて、お笑いコンビ・くりぃむしちゅーの上田晋也氏や元競泳日本代表でアテネ五輪金メダリストの柴田亜衣氏をはじめとする多くの著名人や、火ノ玉ジャパンも参戦した。 強豪ひしめく中、決勝に駒を進めたのが杏林大と大阪公大である。大学同士の決勝戦は大会史上初の出来事であった。第1エンドで杏林大は大阪公大に大差をつけられ、厳しい戦いを強いられる。しかし何とか食らいつき、勝負は最終エンドへもつれ込んだ。息をのむ展開が続くも、軍配が上がったのは杏林大。大学決戦を制し、悲願の優勝を果たした。 例年以上の盛り上がりを見せたボッチャ東京カップ2023。今大会、若い世代の躍進が目立ったことは、ボッチャ界において大きな意味を持つだろう。決勝の舞台に立った同年代の選手たちから、我々も多くの刺激を受けた。今大会、明スポは本選出場は果たせなかったものの、大会ボランティアやメディアとして大会のサポートに尽力した。我々もボッチャという競技をより多くの人に認知してもらい、興味を持ってもらえるように今後も活動を継続していきたい。 [末吉祐貴、布袋和音] 優勝チーム・杏林大コメント――率直な感想を教えてください。 「もう最高ですね。優勝できるとは思っていなかったので。最高です本当に。それしかないです」 ――決勝まで振り返ってみていかがですか。 「技術面ではまだまだで、雰囲気と流れとラッキー、これだけで勝ったと言っても過言ではないです」 ――優勝した瞬間の感情はいかがでしたか。 「元々優勝できると思っていなかったです。まず(東日本)大学選手権から勝てると思ってなかったので、予想外の予想外。言葉が出ないですね。うれしかったです」 ――チームの強みはどこですか。 「この勢いと雰囲気、あとリアクションとかですね(笑)。技術ではなくて、この見た目です。目立ちたいっていうこの気持ちが僕らの特徴です」 ――ボッチャ部での活動内容を教えてください。 「基本的には週1回、学校で部活動を行っているのですが、普通にみんなで楽しくボッチャをしています。試合前になったら、ガチ勢と楽しくやりたい組で別れてそれぞれ練習するみたいな感じです」 ――大学生にボッチャの魅力を伝えるとしたらどのように伝えますか。 「ボッチャは見るスポーツではなくてするスポーツなので、やってみることが大事かなと思います」 ――今後の目標を教えてください。 「優勝したら引退する予定だったのですが、来年の東京カップの出場権を得たので2連覇を目指したいです。あとは後輩の育成ですね。後輩の代でもボッチャに貢献できるように、そういう部活動を続けていきたいと思います」READ MORE -
(39)イベント後コメント/第9回「WHO I AM」フォーラム
明大スポーツ新聞 2023.02.071月27日、WOWOW WHO I AM PROJECTの新番組記念トークイベント『第9回「WHO I AM」フォーラム』が開催された。今回はトークセッション出演者のイベント後コメントをお送りします。 MC・松岡修造氏――これまで「WHO I AM(私は何者か)」ということで活動を継続してきました。みなさんは、自分にとっての「WHO I AM」やこれからの自分にとっての「WHO I AM」を、どのように未来につなげていきたいと考えていますか。(写真:トークセッションでMCを務めた松岡氏)マイケル・ハウウェル氏(作曲家) 「この先のクラシックの世界でもダイバーシティ(多様性)が見たいです。そして世の中には、これ以上に多くのダイバーシティがあることを願っています。そして一番伝えたいことは、しっかりと希望を持って、周りがなんと言おうと自分が信じるものがあればそれを貫いて、前を向いていってほしいということです」(写真左:トークセッション中のハウウェル氏)伊藤智也選手(パラ陸上日本代表) 「今日こうしてまた一つ、非常に素敵な思い出ができました。こういったイベントを含めて、やはりまだまだ継続をしていきたい、競技を続けていきたいなと思います。その中で生まれる自分を大切にしていきたいなと思っています。これからもどうぞよろしくお願いいたします」 (写真:トークセッション中の伊藤氏)猪狩ともか氏(アイドル、女優) 「今日は短い時間でしたがありがとうございました。私が昔からずっと思っていることは、誰かにとっての希望の星のような存在でありたいなということです。私を見て、明日何かを頑張る原動力になる。そうした力強いメッセージを発信できたらなと思っています」(写真:トークセッション中の猪狩氏)西島秀俊氏(「WHO I AMパラリンピック」ナビゲーター&ナレーター) 「番組を通しても、実際このイベントでパラアスリートの皆さんを応援していても、圧倒されるばかりです。何よりも人生を楽しむ達人のような気がします。だから僕が毎回思うのは、この人たちに負けないように人生を楽しもうということです。今日そのことを改めて感じさせていただきました」(写真:トークセッション中の西島氏)松岡氏――みなさんの言葉を聞いていると、自分の欠点を受け入れることによって前に進んでいける、継続していけるのだと思いました。そして、このイベントの雰囲気が良かったのは、みなさんの思いが共有できたからこそだと思います。みなさんありがとうございました。 ・WHO I AM番組関連情報 「ドキュメンタリーシリーズ WHO I AMパラリンピック」 「ドキュメンタリーシリーズ WHO I AM LIFE」 WOWOWで放送・配信中! [渡辺悠志郎]READ MORE -
(38)WOWOWパラ新番組記念トークイベント SPゲストに西島秀俊氏/第9回「WHO I AM」フォーラム
明大スポーツ新聞 2023.02.07東京2020パラリンピック(以下、東京パラ)の閉幕から約1年半が経過した。大会をきっかけにパラスポーツや障害者への理解が進んだ一方で、共生社会の実現にはまだまだ課題も山積する。そうした中、WOWOWは2016年から放送・配信を続けてきたパラアスリート紹介番組「パラリンピック・ドキュメンタリーシリーズWHO I AM」をリニューアル。加えて、エンターテイメントを手掛ける多彩な表現者たちを紹介する新番組をスタートした。今回は、新番組スタート記念イベントの様子と共生社会の実現に向けたゲストの思いをお届けする。 ◆1・27 未来へ動き出そう!~東京パラリンピックが残してくれたもの~ 第9回「WHO I AM」フォーラム (有楽町朝日ホール)第1部 WHO I AM特別先行試写会 「ドキュメンタリーシリーズWHO I AM LIFE」 ~ヴィクトリア・モデスタ(バイオニック・ポップ・アーティスト)~第2部 トークセッション ・MC 松岡修造氏 ・ゲスト マイケル・ハウウェル氏(作曲家) 伊藤智也選手(パラ陸上日本代表) 猪狩ともか氏(アイドル、女優) ・スペシャルゲスト 西島秀俊氏(「WHO I AMパラリンピック」ナビゲーター&ナレーター) ・WHO I AM PROJECTとは WOWOWとIPC(国際パラリンピック委員会)の共同プロジェクトとして2016年にスタート。「パラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ WHO I AM」の放送・配信を行い、25ヵ国40組のパラアスリートを紹介してきた。番組はリニューアルと新番組の開始により、2023年1月から「ドキュメンタリーシリーズ WHO I AMパラリンピック」と「ドキュメンタリーシリーズ WHO I AM LIFE」の放送・配信が行われる。 プロジェクトは映像を基軸として、ノーバリアゲームズの開催などさまざまな活動も行っており、パラリンピック後も共生社会の実現に向けた発信を継続している。 ・WHO I AM番組関連情報 「ドキュメンタリーシリーズ WHO I AMパラリンピック」 「ドキュメンタリーシリーズ WHO I AM LIFE」 WOWOWで放送・配信中! 東京パラを挟み、3年ぶりのリアル開催となった「WHO I AM」フォーラム。今イベントの開催は、WHO I AM PROJECTの合言葉「東京大会はゴールではなくスタート」(WOWOW代表取締役 田中晃氏)を体現している。「これからは私たちが選手と一緒になって、多様な価値観が認められる公平でインクルーシブな社会に変わるように、小さなことから活動をしていく」(田中氏)。東京パラが終わった今、今度は私たち一人一人が共生社会に向けた取り組みをしていくことが重要だ。 「世界人口の15%の人が、障害とともに暮らしている」(国連広報センター所長 根本かおる氏)。東京パラの開幕に合わせてIPCなどが立ち上げたキャンペーン『We The 15』には、世界に7人に1人以上いる障害者への差別をなくすという思いが込められている。「眼鏡をかけることと同じくらいに、障害者への配慮が当たり前になる社会づくりを目指していく」(根本氏)。共生社会を築くには、まずは障害があることが特別なことだという意識から私たちは変えていく必要がある。 第1部では冒頭挨拶に続き、番組新シリーズ「ドキュメンタリーシリーズ WHO I AM LIFE」初回映像の先行試写が行われた。スポーツの枠を超え、多彩な表現者たちが登場する新シリーズは、義足のアーティストの物語から始まっていく。 (写真:冒頭の挨拶をしている田中氏) 第2部ではMCとゲストたちによるトークセッションが行われ、新シリーズ第3回に登場するハウウェル氏も登壇。ASD(自閉スペクトラム症)を抱える作曲家は、ピアノを使った作曲を自身で行い、その演奏力と歌声は周囲を魅了している。「私たち障害者は制限されていることや足りていないことがあるからこそ、他の人たちにはない素晴らしいものがあって、人間はそうやって全体でバランスが取れている」(ハウウェル氏)。このメッセージに会場からは大きな拍手が沸き起こった。 猪狩氏は5年前に不慮の事故で車いす生活を余儀なくされた。今後の未来に向けては「障害の有無に関わらず、すべての困っている人に声を掛けられる勇気を、私も含めて持っていきたい」(猪狩氏)。一人一人が違ったものを持ち合わせている社会において、お互いに助け合える環境への思いを語った。この思いに対し、2008年の北京大会において2個の金メダルを獲得した伊藤選手も共鳴。「小さなものでも自分の価値観を持ち、その中で人を思いやる気持ちがあれば、自然と文化はつながっていく」(伊藤選手)。個人の思いやりから文化の形成はスタートしていくと自身の考えを述べた。 トークセッション後半には、以前から番組ナビゲーターとナレーターを務めている西島氏が登場。「継続していくことが大事であり、それが当たり前になって今がある。今回、東京大会が終わっても番組が当たり前のように継続し、さらに広がりを持ったものになることがとてもうれしい」(西島氏)。東京パラに向けてスタートした番組は、この先も続いていく。そして番組開始以前から「WOWOWがどうなろうがやりましょう」と話していたという西島氏の言葉からも〝東京パラはゴールではない〟という番組関係者の強い意志が表れていた。最後はマイケル氏による素敵な生演奏で、第2部は幕を下ろした。 (写真:生演奏をしているハウウェル氏) 「パラリンピックがあったからといって社会が大きく変わった訳ではない」(猪狩氏)。東京パラが終わり、人々の意識は変化したかもしれない。それでもなお、障害者への偏見や差別の解消、バリアフリー化といった問題は残されたままだ。「自分が関わる作品で若い人たちがさまざまな価値観を持って、自由に才能を健康的に長く発揮できる場をつくっていきたい」(西島氏)。今の社会を変えるのは、今を生きる人々。そして、未来の社会を形づくるのは私たち若い世代の役割だ。東京パラのその先へ。私たち明スポも〝共に生きる〟未来に向けた活動を継続していく。(写真:トークセッション中の西島氏)[渡辺悠志郎] イベント後のコメントはこちら!READ MORE -
(37)前回王者・明大がまさかの予選リーグ敗退/ボッチャ東京カップ2023予選会
明大スポーツ新聞 2022.11.3011月19日、武蔵野総合体育館にてボッチャ東京カップ2023予選会が開催。今年も明大を代表して明スポの新人記者3人が東日本大学選手権に出場した。前回大会王者として連覇が懸かる試合だったが、結果は無念の予選リーグ敗退。〝常勝明治〟を体現することはできず、悔いの残る大会となった。 ◆11・19 ボッチャ東京カップ2023予選会 東日本大学選手権(武蔵野総合体育館)予選Bブロック 明大――2位 [出場選手]上瀬、久保田、長﨑 「緊張しながらもそれを力に変え、いい空気感で臨むことができた」(久保田諒主将・政経1=明大中野)と振り返る第1試合の相手は順大。第1エンドから明スポが圧倒的な強さを見せた。2番目の長﨑昇太(商1=日大二)の投球がジャックボールに接着すると、相手の残り5球を連続で投げさせる。明スポは残りの投球を全てジャックボール付近に寄せ、いきなり6点もの大量得点を獲得した。第2エンドは明スポの投球がまとまらず、3球を残した時点でジャックボール付近に壁を作り相手のコースを封じた。この戦略が功を奏し、その後は1失点に抑え、合計スコア6-1の大勝。連覇に向けて幸先の良いスタートを切った。 続く第2試合は専大と対戦。勢いに乗りたい明スポだったが、第1エンドはジャックボールに投球をまとめることができず、得点を許す苦しい展開に。第2エンドも序盤はうまくボールを寄せられない。しかし「戦術面も精神面も整えて修正していくことができた」という久保田の2投目が試合を動かした。ジャックボールに接着した相手のボールを押し出し、同点のチャンスを作り出す。さらに上瀬拓海(営1=広島城北)の放ったコントロールショットが決まり、2点を獲得。合計スコア2-1と逆転に成功し、決勝ブロック進出が確実なものとなった。 予選リーグ最終戦は埼玉県大との一戦。2連勝で乗りに乗った明スポだったが、第1エンドは相手に主導権を握られ、3点の大量得点を許しエンドを折り返した。第2エンドは攻撃的な姿勢に徹し、明スポが2球を得点圏内に置く。そして迎えた明スポの6球目。得点圏にボールを寄せれば同点となるチャンスだった。しかしエース・上瀬の投球は惜しくも得点圏の手前で止まり追加点には結び付かず。合計スコア2-3でまさかの敗戦を喫した。さらに試合後には最悪なシナリオが待っていた。専大以外の3チームが2勝1敗で並ぶ状況となり順位は得失点差によって決定。順大が専大に4-0で勝利して得失点+6で終えたのに対し、明スポの得失点は+5。この結果、順大の決勝ブロック進出が決定し、明スポは1点の差に涙をのむ悔しい敗退で連覇への挑戦を終えた。 その後、決勝ブロックが行われていたコート以外では敗退チームによる交流戦が行われた。明スポは第1試合を長谷川ゼミ、第2試合を上智大学Go Beyondと対戦。しかし「3人とも体力的に厳しい部分があった」(上瀬)と、第1試合を0-4、第2試合を0-2で惨敗。攻守が共に崩壊する厳しい結果となった。 まさかの予選リーグ敗退。ただ、敗退の原因を象徴するような一言が第2試合後に発せられていた。「決勝ブロックに向けて腹ごしらえをしておこう」(長﨑)。2連勝を収めた直後だったこともあり、チーム全体が第3試合を軽視する空気に包まれる。当然、得失点差についての議論も交わされず、結果としてそこに足元をすくわれた。久保田は「完全にてんぐになっていた」と当時を悔やみ、上瀬も「気の緩みが出てしまった」と続ける。それでも選手全員がデビュー戦となる今大会で2勝を収めたことはチームにとって大きな収穫に。「良いチームなので、リベンジの機会が欲しい」(上瀬)。新生〝明スポ・ボッチャトリオ〟の挑戦は、まだ始まったばかり。さらに明スポからは選手のほかに3人の新人記者が学生スタッフとして大会の運営を支えた。一人でも多くの人にパラスポーツの魅力を届けられるように。明スポはこれからもパラスポーツの普及に全力を注いでいく。 [長﨑昇太] 試合後のコメント久保田主将――今大会を振り返っていかがですか。 「詰めの甘さが出てしまった大会でした。2連勝で迎えた3戦目は試合前から決勝ブロックの話をするなど、目の前の試合に集中することができていませんでした。試合中もコミュニケーションを取るどころか、仲間の顔を見ることすらできていなかったと思います。初出場ということで不安も多かったのですが、どんなにつらいことがあっても、周りを見渡せばそこには長崎と上瀬がいました。今大会で生まれた3人の絆は、生涯消えることのない、かけがえのないものになったと確信しています」 上瀬――今後に向けて一言お願いします。 「大会当日の朝は全員が遅刻をするなど、我々が多くの課題を抱えていることは間違いありません。加えて連戦での体力面の課題も痛感しました。その課題を克服するためチーム内では現在、キャンパス内での階段移動の義務化、さらに護摩行などを新たな練習メニューとして採用すべきとの声が上がっています。多くの課題が残る一方、仲の良さ、団結力という意味では我々は最高のチームです。得失点差で大波乱、でもチームの雰囲気ざっくばらん、次は決めたいウイニングランといったところでしょうか」長﨑――大会注目選手として多くの話題を集めました。 「大会インスタグラムでチームの注目選手として取り上げていただいたのですが、本当に恥ずかしかったですね。『自分は今何をしているんだ』と思った瞬間を撮影されてしまいました。しかしこのように取り上げていただいたからこそ、ボッチャという競技に真剣に取り組むことができたと思います。また、今大会を競技人生の進退に関わるものだと考えていたため、今は再び競技に向き合うことができる状態ではありません。しかし、それと同時に引退宣言を撤回してリベンジをしたいという思いを持っていることも事実です」 READ MORE -
(36)第138回明大祭に参加! ボッチャの魅力伝える
明大スポーツ新聞 2022.11.14「ボッチャで遊ぼっちゃ」という企画名で明大祭に参加した明大スポーツ新聞部(以下、明スポ)。初日のみの教室企画となったが、幅広い年代にボッチャの魅力を伝えることができた。さらには明スポの活動を広める機会にもなり、来場者と部員の笑顔あふれる1日となった。◆10・29 第138回明大祭(明治大学和泉キャンパス) 新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの参加となった明スポ。さらに、明大祭でボッチャ体験会を実施するのは初めての試みだった。今回はボッチャの面白さを知ってもらうため、教室にコートを制作し実際に体験してもらう形式に。「ゼロからのスタートだったのでずっと手探りで準備を進めてきた」(渡辺悠志郎・情コミ2=渋谷教育学園渋谷)。そんな不安が多く残る中で迎えた本番だったが、当日の体験会は予想を大きく上回る大盛況を見せた。ボッチャ体験までの待ち時間が発生し、用意していた椅子が足りなくなる事態に。そのため途中からは体験者同士の対戦形式に切り替えた。体験会では敵味方関係なくプレーをたたえる拍手が多く、対戦終了後は互いに言葉を交わす場面も。さまざまな人がボッチャに関心を持つきっかけをつくることができた。 今回、明大祭に参加した理由はパラリンピックの競技であるボッチャの普及と発展のためである。ボッチャは簡単なルールのため老若男女を問わずに、さらにいつでもどこでも気軽に楽しめるスポーツだ。明スポボッチャ担当では老人ホームに訪問をして、ボッチャの体験会を定期的に実施。またボッチャの公式戦にも出場するなど幅広い活動を実施している。今後は明大生や学生全体へのボッチャの普及も目指していく予定だ。 明大祭への参加を通して、パラスポーツの普及に向けた新たな一歩を踏み出した明スポ。今後もパラスポーツと人々をつなぐ架け橋のような存在になるべく、私たちは活動を続けていく。 [石田聖、七海千紗、松原輝] 参加した部員のコメント金井遥香(情コミ3=大船)――今年度の明大祭を振り返っていかがですか。 「昨年度できなかったことを、後輩たちがかなえてくれました。ありがとうの一言です。今回、私は遊びに来てくださった方にルールを説明し、盛り上げる役割を中心に担わせていただきました。遊びに来てくださった方と一緒に、心の底から楽しませていただきました。たくさんの方が来てくださいましたが、ボッチャをやっていくうちに皆さんの笑顔が広がっていったと思います。『明大祭でボッチャ体験会を出すことには、明らかに需要がある』と分かったことが、今回一番大きな発見です。ボッチャの楽しさを教えるつもりが、新たな、より深いボッチャの楽しさを教えられた一日になりました」 新谷歩美(政経2=浦和一女子)――明大祭での収穫はありましたか。 「新聞を思いの外配布できたことです。特にオープンキャンパス号が多くの受験生の手に渡ったこと、そして明大の体育会が愛されていると気付けてうれしかったです。課題としては明大祭に来場していただいた方にもっと新聞が手に渡っていけるように改善したいと思います」 萩原彩水(情コミ2=栄東)――今後の活動について教えてください。 「来年度以降も明大祭に参加したり、パラ大学祭に参加したりしたいです。パラスポーツの普及に加え、明スポについてもより多くの人に知っていただけるように頑張っていきたいです」 渡辺――今後の活動について教えてください。 「今回多くの方にお越しいただいたことで、明スポが明大祭でできることはたくさんあると感じました。また、パラ担当としてもボッチャをもっと広めていける可能性を感じました。今年は、今回に限らずさまざまなイベント企画に後輩たちが積極的に参加してくれています。来年度以降は、明大祭やパラ担当の活動を彼らがさらに推し進めていってくれると期待しています。今後はそうした動きを後押しして明スポの活動のさらなる発展に貢献していきたいです」 石田聖(営1=大田原)――次年度以降の明大祭ではどのような活動をしていきたいですか。 「来年度は1日だけの出店ではなくて2日間や3日間ブースを出したいです。ボッチャ自体の理解を深めることももちろんですが、同時に明スポの活動の認知の場にしていきたいと思います」 末吉祐貴(営1=東京都私立城北)――明大祭で印象に残っていることはありますか。 「とある高校生2人組が2回も来てくれたことが印象的でした。若年層の人に『もう1回やりたい』と思わせられるほど楽しい競技だと再確認させられました。パラスポーツの無限大の可能性を感じます」 七海千紗(文1=大宮開成)――明大祭に参加しての感想を教えてください。 「初めての大学の文化祭でしたが、想像以上にたくさんの人が来てくれました。展示ブースの場所も3階と少し遠かったのであまり人が来ないと思っていましたが、自分たちの新聞を届けられてとてもうれしかったです。ボッチャを楽しそうにやっているのを見て、私も笑顔になれました」 松原輝(文1=国分)――明大祭に参加していかがでしたか。 「普段活動をする中で一般の方々と接する機会は少ないのですが、明大祭では年齢や性別を問わずたくさんの参加者に来ていただいたことが本当にうれしかったです。楽しかった、『ありがとう』と声を掛けていただくことも多く、ぜひ来年度以降もこの取り組みを継続していきたいと強く思いました」READ MORE -
(35)第7回パラ大学祭に参戦! 参加団体数は過去最多に、大にぎわいを見せる
明大スポーツ新聞 2022.10.0710月2日、7回目の開催を迎えたパラ大学祭。前回大会3位からさらなる飛躍に期待がかかる明大は初めて2チームで参加。ルーキーからベテランが一丸となって表彰台を狙うも、結果は惨敗。実力不足を突きつけられる結果となったが、〝誰もが楽しめる〟パラスポーツの奥深さに魅了された一日となった。◆10・2 第7回パラ大学祭@関東(新豊洲Brilliaランニングスタジアム) 明大B――7位 明大A――13位 今大会は明スポから2チームが出場。大会はオリジナルルールを交えた車いすバスケで幕を開けた。車いすを操作する技術と味方との連携が勝敗のカギを握る競技だ。「ボールに人が集まって密集しやすかったのでスペースを見つけてそこに走り込んでパスをもらうことを意識していた」(末吉祐貴・営1=東京都私立城北)。各チーム2試合。明スポAは両試合とも苦戦を強いられる。特に第2試合では相手のマンマークに苦しみ、攻撃の形を作れず惨敗。一方の明スポBは、経験者で競技人生ラストイヤーとなった田中佑太学生名誉監督(法4=本郷)の活躍もあって開幕2連勝を飾り、優勝に向けて好スタートを切った。 第2種目はオリジナル競技・目隠しで繋げ!✕の字サッカー。目隠しをした選手が伴走者と共にプレーするブラインドゾーンと、目隠しをせずにプレーするアシストゾーンに分けられた陣地で、より多く敵陣のゴールラインにボールを運んだチームが勝利する。ブラインドゾーンでの声掛けによる協力が欠かせない競技だ。明スポAはアシストを務めた井澤怜音(文2=横浜市立東)を中心に安定した守りを見せたが、得点は生まれず。スコアレスドローに終わった。一方の明スポBは、目隠しをした状態に苦戦した。後半に相手に一瞬のスキを突かれ失点を許し、痛恨の敗北。大会制覇に暗雲が立ち込めた。 3つ目の競技はボッチャ。ボッチャ東京カップ2022で2位に輝いた渡辺悠志郎(情コミ2=渋谷教育学園渋谷)を擁する明スポはこの競技の強豪として名をはせている。そんな渡辺がエースとして3試合に挑んだ明スポA。「杏林大ボッチャ部と因縁の対決をして、白熱した試合を繰り広げることができた」(渡辺)。しかし、因縁の相手を前に勝ち切ることができず、今回の戦績は2勝1分。決着は次の機会に先延ばしとなった。一方〝MEIJI PRIDE〟を体現する田中名誉学生監督擁する明スポBは、1戦目でまさかの黒星。負けて終われないとチーム一丸となって戦略を練り、その後の2試合は死闘を制した。どのコートでも盛り上がりを見せ、誰もが楽しめるスポーツとしての真価を発揮した。 迎えた最終種目は、パラ大学祭恒例の車いすリレー。日ごろから車いすに乗り慣れていない明スポ部員にとって例年苦戦を強いられている種目だ。前回大会ではくしくも最下位に沈んだ明大であったがBチームが快進撃を見せる。1走・田中名誉学生監督、2走・佐藤慶世(政経3=芝)が快速を飛ばし序盤からリードを作ると、その後も全員が安定した走りを見せバトンは再び最終走者の田中名誉学生監督に。「今日の大会に向けてトレーニングを重ねてきた」(田中名誉学生監督)と熟練の走行テクニックを披露し、現役最後となるレースを見事1位で駆け抜けた。惜しくも決勝へは進めなかったものの課題となる車いすリレーで好成績を収めたことは大きな収穫となった。Aチームも結果こそ振るわなかったものの会場中から寄せられる声援を背に諦めることなく最後まで走り抜いた。 明スポAは最初の車いすバスケ2敗が響き、全15チーム中13位に。対して明スポBは最後のリレーで予選タイム上位4チームで行われる決勝に進むことができず、7位で終えた。今大会で引退する田中名誉学生監督は「明治は勝つことが当たり前。やはり明治がナンバーワンなので、次の大会こそは優勝してほしい」。熱い背中を見せ、新たな世代に優勝を託した。[末吉祐貴、菅波陸哉、杉田凜、長崎昇太、増田杏]出場選手のコメント宮本果林明スポA主将(情コミ3=鎌倉女学院)――今大会、初めて主将として望みましたがいかがでしたか。 「大学1年生から毎回パラ大学祭に参加してきて、皆勤賞ペアの金井遥香(情コミ3=大船)とついに異なるチームでお互い主将として参加することには感慨深いものがありました。結果的に明スポBに負けてしまい、悔しい気持ちはありますが、今回初めて参加してくれた部員たちがみんな楽しんでいる姿をみて、うれしい気持ちの方が大きかったです!次こそは、明スポはボッチャだけと言われないように弱点克服し、〝頂戦〟したいと思います!」金井明スポB主将――主将として挑む初の大会でした。 「1年生の頃からずっと一緒にパラ大学祭に参加してきた果林さんと初めて競い合う形となりました。(経験してみてどうでしたか)特にボッチャの時など『私が指示しなければ』『作戦を考えなければ』と考えすぎたあまりに足が震え、一瞬楽しむことを忘れそうになってしまいました。でも、ふと見上げれば一投球一投球に大盛り上がりする、とっても楽しそうな仲間たちや参加者の皆さんがいました。『楽しむこと、楽しんでもらうことが一番大事だ!』と思ってからは時間があっという間でしたね。あまりプレーで引っ張ることはできませんでしたが、チームの垣根を超えてみんなでたくさん応援し、たくさん笑い、たくさん飛び跳ねた一日でした」佐藤――今大会に向けて取り組んできたことを教えてください。 「日頃から運動不足で、正直トレーニングを積むことはできていませんでした。それでも大会直前には、過去の自分の試合後コメントを読み、あの時の悔しい気持ちを思い出して自分自身を奮わせていたことは事実です」新谷歩美(政経2=浦和一女子)――全体的に振り返っていかがですか。 「結果を見ればやはり悔しいのが本音です。新戦力も増えて気合い十分、優勝を狙いに行きましたがなかなか難しいものだと思わされました」渡辺――今の気持ちを教えてください。 「まずは悔しい気持ちが大きいです。前回大会で3位になっていて、今回は2チームで優勝を狙っていました。特にBチームは活躍していただけに、今回の結果は納得がいかないですね。ですが、今大会も久しぶりにさまざまなパラスポーツをみんなで楽しく体験できて、とても充実した1日を過ごせました」増田杏(商1=淑徳与野)――良かった点と反省点を教えてください。 「実力不足で改善すべき部分は多いのですが、チームの足を引っ張るような大きなミスをしなかったのは良かったと思います。欲を言えば車いすバスケットボールで1点でも得点を決めたかったですね。プレーしていて先輩方といい信頼関係が築けている実感が湧きました」杉田凜(情コミ1=愛知県立江南)――今大会に参加した感想をお願いします。 「パラスポーツは障がいの有無だけでなく、年齢や熟練度関係なく平等に楽しめるスポーツであると価値観が変わりました。日常的にパラスポーツが広まっていくとより豊かな社会になっていくと思います」菅波陸哉(情コミ1=磐城)――印象に残ったものはありますか。 「ボッチャです。会場に来るまでの間にYouTubeで予習してきましたが実際やってみると難しかったです。ただ非常に可能性を感じる競技でもありました。杏林大ボッチャ部に勝ちきれなかったことは非常に悔しかったですが、日本一になるためにはいずれ越えなければいけない相手だと思っているのでいつかリベンジしたいですね」長崎昇太(商1=日大二)――今後の意気込みについて何かありますか。 「今日初めてボッチャをやりましたが、予想以上に難しかったので、来月のボッチャ東京カップ2023までに猛特訓が必要になると思いました。今日の経験をチーム内で共有していきたいです。一戦一戦を全力で戦っていきたいです」READ MORE -
(34)明大OBパラリンピアン・森宏明選手に明スポ記者がインタビュー!
明大スポーツ新聞 2022.05.313月14日に閉幕した北京パラリンピック。クロスカントリースキーの日本選手団で唯一、座位カテゴリーに出場した森宏明選手(平31文卒・現朝日新聞社/HOKKAIDO ADAPTIVE SPORTS)。現在は朝日新聞社のスポーツ事業部で働きながら選手活動を続けている。今回は明大OBである森選手に北京パラリンピックのことや在学時のことについてお話を伺った。(この取材は4月7日に行われたものです) 野球少年だった森選手は小さい頃からスポーツに携わりたいと思っていた。高校時代の野球部ではエースで4番を担っていた。しかし、2013年に事故に遭い、パラスポーツに関わり始めることに。明大には2015年に入学し、文学部心理社会学科現代社会学専攻でに所属。大学3年次に荒井秀樹さん(北海道エネルギーパラスキー部監督、北京パラリンピックノルディックスキー日本代表チームリーダーなど)に声を掛けられ、クロスカントリースキーを開始する。競技を開始した傍ら、授業やアルバイトなど大学生活も充実させる。 ――3年次に競技を始められたというのを拝見しました。それまではどのようなことをされていましたか。 「普通の大学生で、アルバイトをして講義を受けて帰ってみたいな学生をしていました」 ――アルバイトは何をされていましたか。 「アルバイトはスポーツ施設で働いていました。出身が板橋区で、ずっとそこに住んでいたので、区のスポーツ施設で4年間アルバイトをしていました。トレーニングジムの事務スタッフもやりましたし、お金の受付の事務もやりました。なので、スポーツを始める前からとりあえず趣味的に鍛えていて、それで競技を始めるとなった時に元々基礎の体があったので始められました」 ――現代社会学専攻ではどのようなことを学ばれていましたか。 「フィールドワークですね。SDGsの先駆けのようなことを授業でやっていました。サステナブルな工夫をしているところに行って話を聞くような環境社会学系のゼミをやっていました。無農薬の東南アジアの各国の発展途上国の農村リーダーを育成する農業学院が栃木にあってそこに行きました。夏休みには泊まり込みで農業体験をやっていましたね」 競技開始から5年で初めてのパラリンピックに挑んだ森選手。クロスカントリースキー男子スプリント(座位)で31位、男子10キロ(座位)で30位だった。また混合リレーにも出場し7位で入賞を果たした。北京大会から1カ月ほどたった今、次の目標を伺った。 「次の目標はやはり4年後も目指しています。今回、個人種目は散々だったのですが、サプライズでリレーを走らせてもらい、そこでは一応入賞をもらうことができました。その現状を踏まえると、また同じような競技をするのかというとそれはもちろんだめなので、やはり個人できちんとメダルを取れるくらいの準備をしないといけないなというのが自分の中では中期の目標ではあります。もっと言うと、少し何か自分の中で新しいチャレンジをしたいなと思っています。何をするかというと、新たに陸上競技をやろうかなと。クロストレーニングが最近割と主流じゃないですか。二刀流をどこまでできるか分からないしですし、パリ大会も本当に目指せるか分からないのですが、一つ自分のチャレンジとしてやってみたいなと思います。具体的に、何の種目をやるかというのはまだ決めてないです」 ――今回の北京大会では、陸上競技と冬季スポーツを兼用している選手が多いと感じました。 「そうですよね。冬季スポーツは座って競技しているので、上腕の筋力が必要なのですが、夏季スポーツになると下半身の筋力が必要になってくるのでそこをどう使うかということがあります。夏冬両立というのは基本的にプレースタイルが似ていて、強化するべき部分が似ている競技をチョイスしている人が多いので、それは相乗効果でクロストレーニングの意味はあると思っています。ただ、僕の場合はどうなるのかなと思っています。いい意味で変に負荷を掛け過ぎないでシーズンごとで強化するポイントを変えるというのはケガのリスクは少ないのかなとは思います。『今日はこの上腕メニュー、次の日は……』と構築できるかなと思いますが、難しいですね」 今大会でクロスカントリースキーの座位カテゴリーからは唯一の出場となった森選手。自身が競技を始めた際も日本には座位カテゴリーの選手がいなかったという。北京大会前の会見でも「これからのシットスキーヤーがこれから始めようとか頑張ろうというきっかけにもなれたらいいな」と話していた。 「僕は『なんでここまで続けてきたのですか』とよく聞かれるのですが、課題感があったからと言います。僕が始めた時に僕1人しか座位のカテゴリーで競技者がいなかったので、それが始めるきっかけではありました。4年間目指す中で、僕は自分の強化と競技普及を両軸で進めてきたところもあって、そのおかげなのか、時代の流れ的に、競技者が増えました。結果的に、国内には僕以外にも何人かは選手がいる状態で、自分が活動してきた意味はあったのかなと思います。正直僕は今までスポーツをずっとやってきましたが、正直活躍のフィールドはスポーツではなくていいと思っています。今度はさらに、これから札幌の招致があり、そのときに活躍できる子たち、札幌を目指す子がもし出てくるのであれば、僕はそこのお手伝いをしたいかなと思っています」 ――ありがとうございました。 取材を終えて 初のパラリンピックを終え、4年後を見据える上で現状に満足せず新たなチャレンジへ意欲をみせる姿が特に印象に残った。〝前へ〟進み続ける姿に明大生として感銘を受けた。学生記者として、スポーツに携わる者としてスポーツへの関わり方、パラスポーツの捉え方の新たな価値観に気付くきっかけとなった。明大生としてこれからも森選手の活躍を応援したい。 [聞き手:出口千乃、宮本果林、萩原彩水]READ MORE