野村、広島からドラフト1位指名!!

硬式野球
2011.10.28

 明治のエース、野村祐輔(商4)がプロの世界へ!27日に行われたプロ野球ドラフト会議で、野村が広島東洋カープから1位指名を受けた。2年次から背番号11をつけ、マウンドに上がり続けてきた彼の代名詞は“クール”。だがそんな外見とは裏腹に、内面では常に重圧と戦っていた。

絶対的エースの苦しみ

 「いつも苦しかった」。一人冷静にマウンドを守ってきた男の本音だった。この春、勝ち点が懸かった試合で野村は白星を挙げられず、チームは4位に沈む。それでもクールなエースは「3戦目を取れなかったのが悪かった」と、表情を崩さず振り返った。「元気ないかと思ったけど普通だった」(岡(大))。決して弱音を吐かず、つらさも見せなかった。

 だが「野村なら抑えてくれる」という絶大な信頼が重圧となっていた。打たれた日には、布団から出られなくなることもあった。失点すれば「他の投手が失点した時より、ノム(野村)が取られた時の方が声を掛けづらかった」(野原)。例えゼロに抑えていても「勝つことがエースの役目」と、笑顔は封印した。

 苦しくても「常に成長しなければ」。不本意な結果に終わった春から、体の使い方を大幅に変更した。「自分が投げなければいけない」から。絶対に負けられないラストシーズン前でも、新フォームに挑戦。チームが勝てる投球ができるなら、どんなリスクもいとわなかった。

V達成、プロの舞台へ

 迎えた秋季リーグ戦。試行錯誤を繰り返しながらも、新フォームを完成させることはできなかった。対法政1回戦では自己ワーストの7失点。その後も過去最多の安打を浴び、背水のマウンドが続いた。

 それでも野村は「我慢強く」投げ抜いた。追い込まれている時だからこそ、一死一死に雄たけびを上げた。完全Vまであと1人とした対東大2回戦、9回のマウンド。最後の打者を見逃し三振に封じた瞬間、気持ちを抑えることなく両手の拳を空へ突き上げた。そこに立っていたのは、“クール”といわれてきた時とは全く別人の野村。エースとしての重責を果たし、完全Vをつかみ取った喜びが一気に溢れた。

 「目標がある以上、つらいことも必ず付いて回る」サチームのために勝つという目的があるからこそ、プレッシャーも膨れた。それでも「重圧を乗り越えた先にあるもののためにやっている」。苦しみも通過点。「4年間で精神的に強くなった」男は、決してプレッシャーから逃げなかった。

 プロの世界では、より多くの困難が待ち受ける。それでも「やっていく自信はあります」。明治の大黒柱としてマウンドを守り抜いた野村なら、乗り越えていけるはず。第二の故郷・広島に「勇気と希望を与えたい」という夢が、その胸にある限り。