水谷(隼)、全日本5連覇

卓球
2011.01.25

 「自分が思っている以上に自分は強い」。その言葉通りの戦いぶりだった。23日に閉幕した全日本選手権で、エース・水谷(隼・政経3)が史上初のシングルス5連覇を達成。日本卓球界に金字塔を打ち立てた。

圧倒的な勝利劇

 勝利の瞬間、ガッツポーズを何度も作り喜びを爆発させた。日本代表のチームメート・張一博(東京アート)との決勝戦。昨年の同大会で苦戦を強いられた相手も、もはや今年の水谷(隼)の敵ではなかった。「(張は)必ずどこかで連続得点を決めてくる。その時が勝負だと思っていた」(水谷・隼)と相手の攻撃パターンを読み切り、張が得意とするカウンター攻撃を完ぺきに封じた。

 水谷(隼)を勢いづけたのは最終日初戦の準々決勝だった。相手はくしくも前日のダブルスで敗れた丹羽孝希(青森山田高)。「完膚(かんぷ)なきまでにたたきたかった」(水谷・隼)と振り返るように、気迫あふれるプレーで丹羽を4―0で退けると、続く準決勝も4―1で快勝。決勝戦へつなげた。

水谷の強さとは

 1月現在、世界ランキング日本人最高の7位につけるなど、ほかを寄せつけない圧倒的な強さを誇る水谷(隼)。その強さの源には豊富な練習量に裏打ちされた「自信」があった。試合前水谷(隼)は、「ここまでやった人はいないと思う」と自らの練習を振り返る。

 昨年は弱点といわれたレシーブとバックハンドの強化に重点的に取り組み、12月には世界選手権、オリンピックに次ぐ大会規模を誇るグランドファイナルで日本人初の優勝。その自信を確固たるものとした。

 彼の自信は技術面だけにとどまらない。勝ちにこだわる水谷(隼)は、対戦を有利に進めるために日ごろから心理学の本を愛読するなど、メンタル面でも鍛錬を怠らない。「どんな時でも絶対に手を抜かない。そこが隼の強さ」(高山監督)。日本の頂点に立ってもなお、高みを目指す姿勢は変わらない。

世界へ羽ばたく

 試合を終えた水谷(隼)は、既に来年を見据えていた。欲しいものは「ロンドンのメダル」。日本卓球界をリードする若きエース水谷隼。目にも止まらぬスピードで成長を遂げ、世界を自由に羽ばたく彼の姿は、まさしく隼(ハヤブサ)そのものだ。ロンドンの頂点へ向け隼は今、飛び立つ。