特集記事
SPECIAL

(11)アイスホッケー部寮生活 強さの秘訣とは

アイスホッケー 2023.11.15

 9月に関東大学リーグ戦が開幕し、3カ月にわたる長期戦を戦い抜くスケート部アイスホッケー部門。これまで11戦10勝と悲願のリーグ戦制覇に向け好調をキープしている。今回は寮での取材を通じて見えた強さの秘訣にせまる。

 

 スケート部アイスホッケー部門は部員全員が八幡山にある第一合宿所に入寮し、1年生から4年生が1人ずつの4人部屋で生活を送る。アイスホッケーは〝氷上の格闘技〟とも言われるほどハードなスポーツ。「体重が1キロ変わるだけでプレーに影響するので、シーズン中は体重が維持できるように食事量と食べるタイミングに気を使っています。そういった面では食事を提供していただけるのはありがたいこと」(丸山詳真主将・商4=北海道清水)。と寮での食事が明大の高度なプレーを支えている。


(写真:食事中に会話をする竹谷(手前)と丸山)

 もちろん「掃除や洗濯など家事全般をやらなければいけないのは大変」(丸山)と寮生活ならではの苦労もあるという。食事も提供されるのは平日の夕食に限られるため、それ以外は1年生が中心となって自炊もこなす。試合前の景気付けに行われる部屋鍋も、同部ならではの伝統メニューだ。


(写真:部屋での食事の様子(馬場杏爾選手・政経3=駒大苫小牧提供))

 しかし、時には上級生が腕を振るうことも。「成瀬さん(翼・商3=埼玉栄)が作った、差し入れのホッケを野菜と一緒に包んだ蒸し焼きがこれまでで一番おいしかった」(朝比奈大心・営1=埼玉栄)。幼少期から料理をすることもあった成瀬。「こだわりは野菜を多く入れて、そこから出るうまみで味を調えること」と一手間加えた料理で同部屋のメンバーの胃袋をつかんでいる。


(写真:カメラに笑顔を向ける成瀬)

 また、最上級生の竹谷莉央人(営4=白樺学園)も「1年生のコロナ期間に自炊をしてみようと思って、そこから料理が好きになった」と同部屋の後輩に手作り餃子を振る舞うこともあるそうだ。


(写真:取材に応じる竹谷) 

 一日のスケジュールは朝の氷上練習と夜の陸上トレーニングといった2部練が基本。「寮生活やオフの時は分け隔てなく仲が良いけど、練習になったら気持ちを切り替えて集中している」(丸山)。7~8時から始まる朝の氷上練習は週4日、東伏見のスケートリンクで行われ、それが終わると急いで支度を済ませて授業に向かう。日中の予定を終えると、夜は寮内での陸上トレーニング。週末の大会に合わせてトレーニングは週3日、週初めは全体でランメニューなどハードなメニューを。また、大会が近い週末は各部屋で時間を決め、強度を弱めたトレーニングで調整を行う。部屋別のトレーニングでは先輩と後輩がペアになって行ったり、個人で決めたメニューをこなしていたりといった違いが見られた。


(写真:トレーニング中に笑顔を見せる丸山(左)と西脇颯・文2=武修館)


 「全体で同じメニューをやることでチームがまとまって士気も上がると思うし、部屋別のトレーニングもあることでそれぞれが鍛えたい部分を重点的にトレーニングできるのが良い」(竹谷)。明大の強みでもある速攻と、直近の試合で際立つ終盤の力強さの源が垣間見えた。


(写真:トレーニングに励む選手たち)


 「他の大学と違って自分たちにはプレーに関するルールや制限が全くなく、選手たちが自由に考えてプレーしている」(丸山)。上位の大学になるほど、高度なシステムとセットプレーを求められるが明大には自ら考えるプレーが根付いている。〝自由〟と表現されるプレースタイルだが、実は選手一人一人が常に頭を使い、瞬時に思考を共有して実行するといった高度なプレーが求められているともいえる。今回の寮取材を通じて、それらがこれまでの積み重ねだけでなく、日々の練習や共同生活で磨かれているものだと実感できた。


(写真:トレーニング中でも笑顔が多く見られた)


 現在、関東大学リーグも終盤に差し掛かり、明大はセカンドリーグ全勝で最終戦の東洋大戦を控えている。今年度も東洋大との優勝争いが予想されるが、寮生活で培った強固な絆が大一番でチームを支える柱となるに違いない。

 

[倉田泰]


関連記事 RELATED ENTRIES