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塚田大聖 For The Teamの精神

バスケットボール(男子) 2023.10.03

 高い精度を誇る3Pシュートを武器にする明大の新星PF塚田大聖(政経1=土浦日大)。全国の舞台で活躍し、主将の経験も積んだ高校時代は『当たり前』を大切に練習を重ねた。そんな毎日で養った、チームを支えるプレーや振る舞いが自身のバスケ観を形作る。 

 

普段が試合に表れる 

 指導者である父に連れていってもらった練習でバスケの楽しさに触れた。順調に頭角を現し、強豪・土浦日大高校に進学。そこでは「凡事徹底」を叩き込まれ、常日頃から基礎基本を大切にした。挨拶に始まる礼儀や練習中の声出し、さらには練習と練習の合間を短縮することも意識する。その意識は「攻守の素早い切り替えにつながる」と、何気ない場面から実践への想定に余念がなかった。 

 

充実感と主将の自覚 

 不断の努力も実り、全国の舞台でも躍動する。2年時にはウィンターカップでベスト16入りに貢献。「個人でもチームでもやり切れた」と、充実した気持ちで締めくくった1年だった。 

 そんな達成感も間もなく、新チームの主将に任命される。「本当に自分でいいのか」。チームを引っ張ることは得意ではない性格だと感じていた。充実感から一転、不安を抱えたまま最高学年としてのシーズンがスタートした。それでも「自分が変わらないとチームもまとまらない」と、個性派ぞろいのチームを率いる努力を日々続ける。元々苦手だったことへも果敢に取り組んだ。積極的な意見共有や仲間への試合中のアドバイスなどは欠かさない。そうしてキャプテンシーは徐々に芽生えていった。

 だがその年のインターハイ予選決勝、チームは敗退。コートに塚田の姿はなかった。「チームに何もしてやれなかった」と、大会を控えた時期に右足首を骨折。全体練習から離れ、一人黙々とトレーニングルームで汗を流した時間を後悔交じりにそう振り返る。その思いには就任当初の迷いはなく、率いる自覚はさらに高まった。「自分がまとめる」。そうしてケガ明けの最後のウィンターカップでは見事リベンジを果たし全国の舞台へ。虎視眈々とゴールを狙う物静かなプレーヤーが、熱い気持ちでチームを鼓舞する主将へと成長した、密度の濃い高校時代だった。 

 

初心忘れず勝利求め 

 新たな環境でもやることは変わらない。得意のシュートに加え、激しいリバウンド争いや粘り強いディフェンスでチームに貢献する。その裏には高校時代から根付いた「会場がわくようなプレーでなくていい。泥臭く」の堅実な精神、そして主将経験で培ったチーム第一の献身性がひそむ。激動の1部リーグで戦う明大バスケ部。その躍進を担う重要なピースとなることは間違いない。 

 

[橋本太陽] 

 

塚田大聖(つかだ・たいせい)政経1、土浦日大高。趣味はネットフリックスで映画鑑賞。195センチ・88キロ 


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