

(9)大会事後インタビュー① 栁川大樹/世界選手権2023福岡大会
世界を舞台に躍動した。7月30日に閉幕した世界選手権2023福岡大会(以下、世界水泳)。明大勢からは競泳に2人、OWS(オープンウオータースイミング)に1人の計3人がそれぞれ初出場した。競泳では栁川大樹(政経3=日大藤沢)が男子200メートル背泳ぎで世界8位入賞、五味智信(商3=湘南工科大付)が混合400メートルフリーリレーで世界7位入賞となるなど好成績を連発。OWSでも江沢陸(法2=成田)が男子5キロメートルで力泳を見せた。来年3月のパリ五輪選考会に向け、選手たちはさらなる成長を遂げていく。
今回は、そんな世界最高峰のレースに参戦した明大勢の大会事後インタビュー第1弾。栁川の大会後の声をお届けする。(このインタビューは8月6日に行われました。)
――世界水泳に向かわれるまでの事前練習の調子はいかがでしたか。
「アメリカ合宿はうまく強化ができなくて、山の高地で酸素が薄く思ったようには練習ができませんでした。しかし自分の強みである水中キック、息を止めてキックを打つというところだけはしっかりやってきたので、そうした強化はできていたと思います。調子も事前合宿までは本当に全然上がらない感じでしたが、会場に入ってからはようやく上がってきたという感じでした」
――会場のプールはいかがでしたか。
「思ったよりもメインプールもサブプールも少し混んでいて、人が多いという感じでした」
――それは世界大会ならではのことでしたか。
「いや、詳しくは分からないですが、12月の世界短水路の大会の時はプールがいっぱいあってそんなに混まなかったんですけど、今回は結構混んでいたっていう感じです」
――そうすると、なかなか練習も思うようにはいきませんでしたか。
「やはりうまくできない部分もあったんですけど、そこはうまく考えて空いている時間に泳いだり、混んでいたら自分で工夫して練習したりしていました」
――今回は有観客の世界大会でしたが、会場の雰囲気はいかがでしたか。
「予選はしっかりした入場もないので感じることはできなかったのですが、予選が終わった後や準決勝の入場、決勝の入場は、レースの終わった後も含めて、とても気持ち良かったです」
――はじめは競泳1日目から4日目までのレースを見ていて、何か感じたことはありましたか。
「やはり初日から男子400メートル個人メドレーのマルシャンが世界新記録を出していて、そういうマルシャンのすごい水中動作などですね。日本人はそこまで活躍していなかったですけど、そういう海外勢の泳ぎのレベルやフィジカルなどが見ていてとても楽しかったです」
――練習を一緒にされている小方さん(日大)も自己ベストを出していましたが、やはり刺激は受けましたか。
「どんなところでもしっかり速いタイムで泳いでくる一方、今回はやはり初代表なのでどんな感じなのかなと思っていたんですけど、そこでも自分のレースをして自己ベストを出していて、すごいなと思いました」
――男子200メートル背泳ぎの予選は、どのような気持ちで臨みましたか。
「レース直前になってきてだんだん調子が上がり、納得ができる泳ぎができてきていたので、とりあえず予選は1分58秒切るか切らないかぐらいで泳いで通過したいなと思っていました。ただ海外勢だとやはり前半が速いので、そこで落ち着いて前半入って、最後の50メートルで調整できればいいなと思っていました」
――実際レースを泳がれてみて、予選を振り返っていかがですか。
「自分で決めた通りに100メートル、150メートルぐらいまで落ち着いて泳いで、最後で調整する感じでした。隣がやはり竹原(東洋大)で、いつも日本の試合で泳いでいてレース展開も分かっていて前半で速くいくことも分かっていたので、最後に少し抜ければいいなと思ってレースしていました」
――タイムや順位も予想通りの結果でしたか。
「タイムは予想通りで、1分58秒23ぐらいかかったかなと思ったんですけど、予想通り58秒1くらいでした。順位も少し余裕をもって通過できていたので、そこは良かったです」
――泳いでみて、国内大会と世界大会の違いは感じられましたか。
「違いはレースをしたことのない選手ばかりだったことです。国内だと相手の手の内が分かっていてレース経験もある中で戦っているので、そこはやはり今回は初めて戦う選手ばかりだったので、非常に楽しかったです」
――国内大会よりもレース間の時間が長く、同日の準決勝も21時頃と遅い時間でしたが影響はありましたか。
「特にそんなことはなくて、国内大会は少し間の時間が短いと思うんですけど、それでもあまり普段と変えずに、いつものように決勝も※テーパーしました」
※大会や試合に向けて練習の質を高めたり、練習量を減らしたりする調整法。
――準決勝の前も調子は上がっていましたか。
「予選からそうですけど、予選のイメージを持って決勝でどのように上げるかという感じで考えていたので、調子は悪くはなかったと思います」
――そして実際に準決勝を泳がれてみて、いかがでしたか。
「予選をやはり国内大会よりも速く泳がないと通過できなかったので、その疲れもあったんですけど、150メートルまでは本当にベストラップで、うまく泳げたかなという感じです。ラストは予選の疲れなどが少し出てしまって、タイムを上げ切れなかったんですけど、それでもレース展開は良かったと思います」
――決勝進出という一つの目標が達成できたと思いますが、その時の気持ちはいかがでしたか。
「1分56秒台は出したかったんですけど、それでも決勝に残れたので良かったかなと思います」
――初代表で決勝に進出したことも自信になりましたか。
「自分はあまりテーパーミスや調整ミスはなく、大きい大会はいつも結果を出せる方なのですが、やはり今回は世界選手権という舞台で自分のいつものパフォーマンス出せるか不安でした。それでもいつもの自分の泳ぎで自己ベストを出したことは、とても自信になりました」
――決勝は予選と準決勝の翌日の夜で、普段の国内大会にはない3本目のレースでしたが、いかがでしたか。
「予選が始まる前に立てていたのは、予選で少し余力を持って通過して、準決勝では1分56秒台を出す全力の泳ぎで決勝進出をする。決勝は1日空くのでしっかり回復をして、またその自己ベストを狙っていくという計画でした。1日空けば回復できるかなと思っていたんですけど、やはりダメージが大きくて、そこはまだまだだなという感じでした」
――疲れが残ったまま決勝を迎えられたという感じでしたか。
「やはり完全に疲れが取り切れないまま、レースに向かったという感じです」
――決勝は振り返っていかがでしたか。
「決勝は、きつくてあまり覚えていないんですけど、ラップでもセカンドラップの50メートルから100メートルは30秒割っていましたし、そういうところは良かったかなと思います」
――応援はどなたかいらっしゃっていましたか。
「母や姉など家族が来てくれたり、友達も来てくれたりしていました。あとはコーチも来てくれていました」
――今大会を振り返って、収穫と課題はそれぞれ何かありましたか。
「来年3月の選考会も、予選、準決勝、決勝とあって、それの予行練習じゃないですけ
ど、そこでどうやって戦えばいいかということが今回で分かったことがとても良かったところです。自分の通用した水中キック、バサロキックもありましたが、それ以外のところは全然通用しなかったというところで、そのバサロキックを生かすためにも、他の部分をもっと強化してそこで戦えるようになりたいなと思いました」
――今大会は全体的に日本勢が苦戦していたと思いますが、いかがでしたか。
「僕はそんなに日本チームについて何か言える立場ではないですが、自分はやはり自分のペースで自分のレースをしようと心掛けていたので、自分で考えてできたなという感じです」
――世界新記録が今大会で10個出るほど、世界のレベルは上がっていると思いますが、そういったことはやはり実感されましたか。
「やはり世界のレベルもとても上がっていて、前まではフィジカルがすごいなと思っていたんですけど、海外選手は全然フィジカルだけでなく技術もすごかったです。自分はフィジカルですでに劣っているのに、技術でも勝てていないというところが、まだまだだなと感じました」
――今回世界8位入賞されたことで、試合後に何か反響はありましたか。
「やはりいろいろな人から『テレビで見たよ』などと言われて、メッセージなどはたくさんきましたね」
――そうした声は、今後の励みにはつながりますか。
「そうですね。まだまだですけど、これからこの反省を生かしてまた頑張ろうかなと思っています」
――今後は9月にアジア大会、来年3月にはパリ五輪選考会がありますが、何か目標はありますか。
「パリ五輪は絶対出たいと思っていて、選考会まであと半年ちょっとしかないので、 そこまでは本当に死ぬ気でやります。そしてパリ五輪出場が決まったら、パリ五輪でどこまでいけるかは分からないですけど、もう1回決勝に残って、いけるとこまでいきたいなと思います」
――入学当時に明スポが新歓号の取材をした際「最終的には五輪でメダルを取りたい」とおっしゃっていましたが、そうした将来的な目標はお変わりありませんか。
「そうですね。まだ今のレベルではメダルとは言っていられないので、とりあえず五輪選考会で1分55秒台を出して、そこからもっと進化してメダルを狙えるようになりたいなと思います」
――ありがとうございました。
[渡辺悠志郎]
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