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(7)戸上隼輔 インタビュー拡大版

卓球 2023.07.13

 7月13日発行の明大スポーツ第529号で裏面を飾った戸上隼輔選手(政経4=野田学園)と宇田幸矢(商4=大原学園)の、紙面では字数の関係で割愛したインタビュー拡大版を掲載いたします。

(この取材は6月15日に行われたものです)


――世界選手権シングルスとダブルスを振り返っていかがでしたか。

 「2種目のメダルを目標にして大会には挑んだんですけど、両方ともメダルを逃してしまって、本当に悔しい気持ちでいっぱいな大会になりました。自分としてはやはりダブルスでの金メダルはかなり高い位置、僕たちはかなり近い位置にいたので取れるという確信を持っていったんですけど、大舞台での緊張感だったり雰囲気で自分たちのプレーを最大限発揮できずに、本当に悔いの残る大会になったなという印象です」

 

――ダブルスの結果に関してはどのように捉えていますか。

 「ベスト4、メダル以上は取れる自信はあったんですけど、負けた相手のペアはベテランの選手2人で本当にうまい戦術にこっちがはまってしまって競った試合になりました。実力を最後まで発揮できずに相手のペースに飲み込まれてしまって、経験の差を痛感しました」

 

――第1ゲームを取られて、第2ゲームで変えたことはありましたか。

 「1ゲーム目取られた時にサーブ、レシーブで、簡単に思うような流れになってしまいました。というのも、こっちが焦ってしまったっていう感じで、2ゲーム目から落ち着いてプレーしたことによってかなりペースも自分たちに戻ったので、相手は本当にトップ選手2人なので、そのオーラというかプレッシャーに、ペースを乱されてしまっていました。2ゲーム目から落ち着いてプレーができたので、流れがあったかなという感じです」

 

――10―10のジュースから戸上選手のロングサーブとバックで取りました。

 「第3ゲームテンオールになった時に、このゲームが勝負のカギになるのかなと思いました。それで絶対取りたいなっていう強い気持ちを持って10―10からの2本攻めないと取られてしまうっていう感じだったので思い切ってバックにボールを強打ってところで思い切ってプレーしました」

 

――第5ゲームは競った展開になりました。

 「第4ゲームから悪い流れや雰囲気がだんだん出てきてしまって、第5ゲームも第4ゲームも、あそこで切り替えられなかったのが敗因かなと思います。試合の流れとしては第5ゲーム、相手がずっとリードしている場面でこっちが追い付きそうで追い付けない苦しい展開もあって、どうしても攻め急いでしまった部分があったなと感じています」

 

――試合後はどのような気持ちでしたか。

 「やっぱり悔しいの一言です。今までこれだけ試合をやってきた中で、負けてしまっても自分のプレーを十分に発揮する試合が多かったんですけど、久しぶりに自分のプレーを存分に発揮できずに終わってしまって、不完全燃焼だったなっていう大会だったので、すごい悔しい大会になりました」

 

――ダブルスのいい点を教えてください。

 「大舞台での大会は、年に1回か2回しかない中で結果を出してきたんですけど、こうして結果を出せずに終わった悔しさは、本当に今後の糧になると思いますし、大会の中で気付いた点がたくさんありました。一つは大会に向けての準備、気持ちだったり海外ということもあって食事の面だったりとか、卓球に関することで言えばラケットの調整だったりとかそういうところをできていなかったとは思わないんですけど、さらにそこへの意識をもっともっと意識づけて行きたいなと思っています」

 

――シングルスでの王楚欽選手(中国)との試合はいかがでしたか。

 「今まで2回対戦したことがあってどっちもラリー戦では五分五分の展開だったんですけど今回はなかなか点が取れなくて、サーブ・、レシーブでも思うように展開をつくれずに全てが後手後手っていう感じで試合が進んでいってしまって、全ての技術で上回られてしまったという感じでしたね」

 

――第4ゲームを取りましたが、意識したことや戦術で変えたことはありましたか。

 「レシーブのミスで、1、2、3ゲーム目、ラリーまでの展開で取られてしまったんですけど、4ゲーム目はしっかりレシーブを入れてラリーになるまで我慢していたら自分のペースになったという感じでした」

 

――世界ランク2位の選手と戦ってみて肌で感じたことや得たことはありますか。

 「試合をやっていて技術は本当にレベルが高くてどの技術も適度にできるしミスも少ないし、何か特別なことをやってくるわけではないんですけど基礎が本当にちゃんとしていていました。競った場面にこちらは『相手はミスが少ない』っていうプレッシャーで焦ってしまう心理的な面でネガティブになってしまうので、基礎的な技術がすごいなって痛感しました」

 

――フィジカルやバックの面、世界選手権ではいかがでしたか。

 「初戦のシングルスは今までできなかった技術ですごくできるようになったっていう実感があったんですけど、中国選手と当たって、成長したかなと自分では思ったんですけどそれを遥かに上回られる技術で抑えられてしまったという感覚だったのでまだまだ今に満足せずにもっと頑張らないとなと感じました」

 

――試合後の心境を教えてください。

 「難しいですね。本当に差が縮まってないなっていう、絶望まではいかないんですけどまだまだ、まだまだっていう感じでまだ未熟者だなっていう感じです」

 

――帰国後、練習で変えたことや新たに取り入れたことはありますか。

「やっぱりレシーブでうまく対処できなかったのでレシーブ練習とダブルスの時でも台上で攻めるっていうのが少し劣っていたので、その台上技術の完成度を上げていくっていうこの2つを重点的にやってます」

 

――シングルスの結果はどのように受け止めていますか。

「本当に悔しい結果になったんですけど、でも自分の中ではすごくいい経験になったなと思っています。どこかで絶対悔しい結果で終える時はあるだろうとは思っていたんですけど、まさかこんなに早く来るとは思っていなくて。本当に世界でこれからも勝てる選手を目指して頑張っていきたいなと思っているので悔しさをバネにもう一度頑張りたいなと思っています」

 

――停電アクシデントで集中力が切れたりしましたか。

 「まだ序盤だったので大丈夫でした。仮にあれがゲームの中の大事な場面だと試合に影響もしてくると思うので、まだ序盤で良かったなと思っています」

 

――ホテルは1人部屋でしたか。

 「みんな1人部屋でしたね」


――2021年は初出場にしてダブルスで銅メダルを獲得されましたが、その時の心境はいかがでしたか。

 「正直(メダルを)取れるとは思っていなかったんですけど、取れれば何か人生が変わるんじゃないかと思って、本当に死ぬ気で取りに行きましたし、その結果の銅メダルはすごくうれしかったです」

 

――2022年はWTTの試合にも多く参戦されましたが、その理由とそこで得たものを教えてください。

 「WTTの大会もコロナが収束していく中で大会数も増えてきて、海外経験を多く積める機会が増えてきたので、出られる大会は基本的に全て出ようと自分の中で計画を立てて、その中で世界ランキングを上げることを一つの目標にしていました。たくさんの大会に出て得られたことは、日本の選手とヨーロッパの選手、主にヨーロッパの地域での大会が多かったのでヨーロッパのスタイルというところで非常にいい経験になりました。かなり去年勝つことも増えてきたのですごく自信につながる1年になりました」

 

――昨年度の世界選手権の団体では銅メダルという結果になりましたが、その時の心境はいかがでしたか。

 「本当に今までで一番緊張とプレッシャーがあった大会で、去年の団体戦が4年ぶりの世界選手権の団体だったと思うんですけど、4年前はベスト8で日本が終わっていて、すごく日本男子というところで結果を求められていた部分があったので、まずはメダルを取れるかっていうところで不安がありましたし、大会が始まる前に丹羽(孝希・平28政経卒)さんが棄権になって、僕が出場する機会が増えすごく自分自身に対して責任と重圧をかけてしまっていた部分があって、大変な大会でした」

 

――ドイツ行きを決めた理由はありますか。

 「パリオリンピックの国内選考会が始まってその中でブンデスリーグ(以下、ブンデス)を選んだ理由は、国内で勝てても海外で行った時に勝てないというのが僕の中で嫌だったので、国内のTリーグに出るよりは少しでも世界トップの選手と戦える機会があるからです」

 

――ドイツではどのようなところを意識して練習していますか。

 「ブンデスで得られた経験は、本当にチームのために戦うというよりかは自分のために戦っている、自分のために試合をしている選手が非常に多くてそれは海外特有かなとは感じていて、チームが勝っても負けても多少は悔しいとかはあるんですけど、やっぱり自分を一番に考えている選手が非常に多いので、大事な経験をさせてもらったなと感じています」

 

――現在、パリ五輪選考レースでは2位につけていますが、ここまでの成績を踏まえるといかがですか。

 「今2位なんですけど、欲を言えばもう少し2位と3位の差を広げたいなと思っているので、現状に満足はしていないです。ただ、最低限2位になれたというのはホッとしています」

 

――明大に進学を決めた理由を教えてください。

 「明治大学卓球部というのは、すごく伝統もある部でOBには水谷(隼・平25政経卒)さんや丹羽さんなどたくさんの偉大なる先輩方が多く所属していて、日本の中でも数少ない良い環境を持っているのが明治大学の良さかなと思っています。僕が競技で活躍するにあたって、練習環境というのは常に求めていたのでそれが明治大学にあると知ってここに入ろうと思いました」

 

――昨年度の団体インカレでは王座を奪還しましたがその時の心境はいかがでしたか。

 「すごく感動しました。というのも自分自身で団体戦の国内のタイトルは取れなくて、愛工大には負けていたので、そういう悔しい経験が多かったんですけど、去年自分が1点取ってダブルスは落としてしまったんですけど、5番勝ち切ることができてすごく感動しました」

 

――グランドスラム達成に関してはいかがでしたか。

 「グランドスラム達成というのは僕の中ではあまり考えていなかったんですけど、春リーグ(春季関東学生リーグ戦)で僕と宇田が出場しなかったにも関わらず優勝してくれてインカレも優勝することができて残るは秋ってなった時に、やっぱり優勝してグランドスラムっていう、秋リーグの前にグランドスラムを達成したいという気持ちが芽生えてきて途中抜けてしまったんですけど、僕たちのいない中でも後輩たちが頑張ってくれて本当にグランドスラムを達成できて良かったです」

 

――今シーズンから主将を務めていますが、その経緯はありますか。 

 「後輩たちには僕も明治大学の卓球部に顔を出すことはあまりできないので、こうやって海外の遠征や国内の結果で後輩たちにも僕の背中を見て頑張ってもらいたいなと思っています。やっぱりプレーでしか引っ張れないので、結果を出して少しでもみんなのモチベーションになりたいと思って立候補しました」

 

――主将として意識していることはありますか。

 「卓球でしかみんなのことを引っ張れないので、言葉だったり行動では共有することはできないんですけど、プレーで見てもらって練習とか時々明治大学に行くので、その練習の時に少しでもアドバイスだったりとか最後まで残ってみんなと練習できればなと思っていて卓球の面でみんなに見てもらえたらなと思っています」

 

――ここまでのご自身の主将ぶりを振り返っていかがですか。

 「やっぱりまだ何もできていないなとは思うんですけど、インカレで優勝してみんなに恩返しできるのかなと思っているのでインカレでは優勝したいなと思います」

 

――戸上選手にとって宇田選手はどのような存在ですか。

 「元気をもらえるというか、面白い存在です。常に連絡をくれますし、元気をもらえる存在です。卓球では信頼できる存在です」

 

――お二人の出会いはいつ頃ですか。

 「僕が初めて知ったのは小学1年生の頃です」

 

――お互いの関係性についてはいかがですか。

 「趣味が違うのでプライベートで遊ぶ機会はあまりなくて、でも練習とかで常に意識を高め合ってやっている仲です」

 

――宇田選手に対して尊敬している部分はありますか。

 「本当に練習熱心で結構最後まで残って練習しているので、それに導かれて僕も練習したいと思うので、卓球に前向きなところはいいところだと思います」

 

――プロレスにはいつ頃からハマりましたか。

 「小学生の高学年、確か小4くらいから見始めてそこからずっと見ています」

 

――親御さんの影響ですか。

 「小さい頃から通っているクラブの大人の方が、プロレスファンでその方は薬局をやっていて、週に一度薬局に遊びに行く機会があって、その時にプロレスの録画を見たところから始まりました」

 

――好きな技はありますか。

 「ハイフライ、棚橋弘至選手の必殺技なんですけど、決まっても決まらなくても盛り上がる必殺技で僕はそれがすごく好きです」

 

――団体として興味があるのは新日本プロレスだけですか。

 「プロレスリングの団体を見ていたり、たまにAEWというアメリカの団体も見ていたりして、新日本プロレス以外も見ていたりします」

 

――棚橋選手とは卓球王国の表紙を一緒に飾りましたがその時の心境はいかがでしたか。

 「本当に企画が来た時にすごく、その時は別の大会で海外にいたんですけど、本当にその大会のモチベーションが上がって、その大会の結果も良く、気分としては舞い上がっていた感じです」

 

――実際に対面してみて緊張はされましたか。

 「緊張はしましたね。画面越しからも分かると思うんですけど、すごい体が分厚くて腕も太くて、体からオーラが出ているのでびっくりしました」

 

――プロレスからどのような影響を受けていますか。

 「自分をマーケティングするという大切さです。格闘技全般そうですけど、人気になるためには自分を前面に出していかないといけないですし、人気にならないと大きな試合も組まれないので、そこの大切さ。卓球に関しては勝てば強い選手と闘えるというのはあるんですけど、人気な選手になるためには、卓球面以外のところでも幅広く活動していって、ファンを大切にして、ファンのことを思ってやらないといけないなと思いました」

 

――卓球の魅力は何だと思いますか。

 「画面からボールの動きというのは分かりづらいと思うんですけど、卓球は思ったよりアクロバティックというかすごく体を使って打たないとボールが威力を持って走らないので、選手の体の動きが大きいというのは魅力的だと思います。ボールの速さや回転でなく、選手のアクロバティックな動きが魅力だと思っています」

 

――将来像を教えてください。

 「卓球を通して勇気と感動を与えられる存在になりたいなと思っていて、卓球を知らない人にも僕のプレーを見て元気を与えられる存在になりたいなと思います」

 

――団体インカレへの意気込みをお願いします。

 「去年は優勝してグランドスラムも達成できて、今年は惜しくも春リーグ3位という結果になってしまって、非常に残念な結果でした。ですがインカレでは優勝して大学チャンピオンは明治大学ということをみんなにもう一度認識してもらいたいなと思うので、絶対に優勝できるように頑張りたいと思います」

 

――明大生として残り9カ月ですがどのように駆け抜けますか。

 「来年オリンピックがあって、まだ選考レースの途中ではありますけど、世界のトップ選手の仲間入りができるように今年1年は勝負の年だと思って、世界を目標に常に見て、国内でも負けない選手になりたいなと思います」

 

――パリ五輪に向けて意気込みをお願いします。

 「パリオリンピックに必ず出場して、シングルス、団体での出場を目指して、出るからにはメダルを獲得して頑張りたいと思います」

 

――ありがとうございました。

 

[末吉祐貴、冨川航平]


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