
(37)シーズン後インタビュー 小川菜
掲げた目標の達成を目指して、今シーズンをひたむきに戦い抜いた。今年度の日本学生氷上競技選手権では20年ぶりにアベック優勝を果たし、チームとしても目覚ましい結果を残した。その中でも、近い将来を見据えながら歩み続ける選手もいれば、今シーズンでスケート競技から引退した選手もいる。それぞれが感じる思いを、選手の言葉を通じてお届けする。
(この取材は2月22日に行われたものです)
第7回は小川菜(文4=新潟南)のインタビューです。
――今シーズンを通しての感想をお願いします。
「今シーズンは最後として本当に楽しいシーズンにしたかったのでそれは達成できたかなと思っています」
――今シーズン、自分の中で一番良かった試合は何ですか。
「一番良かったのは1月の日本学生氷上競技選手権(以下、インカレ)です。目標の大会だったので、予選からしっかり突破して最後のシーズンもインカレで滑ることができたのはすごく良かったなと思います」
――今シーズンで成績関係なく一番印象に残っている試合はどの試合ですか。
「東日本学生選手権(以下、東インカレ)はどうしてもインカレに行きたいという気持ちが強く、1年の中では一番緊張する試合でした。東インカレは一番緊張していたし、しっかりやらなければという気持ちが強かったので、結果としてはしっかり予選を進めたのもよかったし、印象に残っています」
――どんな部分がこの1年で成長できたと思いますか。
「この1年では本当に少しなのですが、昨年の途中で先生が変わってからスケーティングを重視する先生だったので、スケーティングをすごく強化するようになって、今まで以上にジャンプやスピンでなく滑りの面に注目してやるようになりました。そのおかげで今シーズンの得点ではジャンプ以外のところで伸びるようになったので、成長したなと思います」
――シーズンを通して滑ってきたプログラムはいかがでしたか。
「ずっと使いたかった曲だったので、飽きることなく滑るたびに気持ち良くなりながらできたかなと思います」
――今シーズンの練習環境はいかがでしたか。
「昨年の10月までは今の東大和のリンクではなく東伏見で練習していました。1年生の時に使っていた高田馬場のリンクが閉鎖してしまってから、2年生の時に移動した矢先に東大和のリンクが工事に入ってしまって、東伏見のリンクに行きました。その時は他のリンクにお邪魔する形だったので練習時間がすごく限られていて、去年の10月までは朝3時に集合して4時から練習みたいなハードなスケジュールでした。それが少しつらかったのですが、昨年の10月に元の東大和のリンクが再開してからは練習できないという不安がなくやりたいたいだけできたのがすごく良かったです」
――大学との両立は大変でしたか。
「4年生なので授業はあまりなかったのですが、就職活動が4年生の初めから夏にかけてあったので、それとの両立が大変でした」
――就職先はスケートと関係はありますか。
「スケートとは全く関係ありません。これからは他のことに集中しようかなと思います」
――大学生活はこの1年いかがでしたか。
「学校に行っていたのは週に1回ほどでほとんど行っていなかったので大学の友達に会うことは少なかったのですが、卒業論文を書いたりして最後に大学生らしく勉強もできたかなと思います」
――スケート人生で一番印象的な試合はどの試合ですか。
「大学1年生の時の関東学生選手権という試合です。1年生の4月か5月ぐらいで、大学生として本当に初めての試合でした。その時はまだコロナの前だったので、たくさん会場に人がいて、違う大学の人でも一緒に壁をたたいたり、大きな声を出して応援をしてくれたんです。そのようなことは今までの大会ではなく、大学生ならではの雰囲気だったので『大学生の試合はこんなに楽しくて温かいんだな』と感激しました」
――今までで一番お気に入りのプログラムは何ですか。
「今の『Never Enough』も好きですが、1年生から3年生まで使った『戦場のメリークリスマス』が一番好きです。大学に入ってから上京してきて先生が変わったのですが、その先生が付けてくれた振り付けがすごく気に入っているのと、元から『戦場のメリークリスマス』という曲がすごく好きだったので、それが本当にお気に入りでした」
――ここまでスケートを続けてきて自分の中で得られたものはありますか。
「あまり実感はありませんが、ここまで長く続けていることは他にあまりないので、うまくいかないときがあってもやめずに続けてこられたことは、継続力だったり諦めない気持ちだったり身にはなったかなと思っています」
――今までのスケート人生で一番楽しかった思い出は何ですか。
「大学に入ってからは合宿が夏にあって、その合宿の中日に陸上トレーニングというのがあるのですが、その時に部員やコーチ、OGも含めてみんなでリレーで対決をするという行事があるんです。今まで地元でスケートをやっていたときは合宿では遊ぶということはなかったので、大学で先輩やOGの皆さんと一緒に最後にお遊びのような感じでリレーを楽しめて本当に良かったです」
――明大スケート部の仲間たちとの思い出はありますか。
「最近はこの間の4年生としての夏の合宿がちょうど同期の岩永詩織(営4=明大中野八王子)の誕生日とかぶっていたので、4年生全員でサプライズでお祝いしました。仲のいい同期で良かったなと思いました」
――4年間の学生生活を振り返っていかがですか。
「学生生活全体としては、スケート以外でも今まで出会ったことのないような人にたくさん出会う機会があったりしたので、本当に人に恵まれた4年間だったなと思います。大学の友達と出会えたのもよかったし、スケート部に入っていろいろな部員と仲良くなれたのが本当に恵まれていて幸せだったなと思います」
――学校生活で楽しかった思い出は何ですか。
「所属しているゼミで卒論の提出が1月にあったのですが、提出した後に先生も含めてみんなで飲みに行きました。コロナ禍でほとんどそういうことがなかったので、最後に普通の大学生のように飲み会とかができて良かったなと思えたいい思い出です」
――4年間で大変だったことはありますか。
「私はリンクを転々とした4年間だったので、1人暮らしで最初は高田馬場のリンクで、2個目は朝の3時に練習に通った東伏見のリンク、今ようやく落ち着いたのが東大和のリンクなのですが、その3カ所に毎回引っ越しをしたり、朝早くに練習に行かなければならなかったことが一番大変でした」
――大変な練習環境でもスケートを続けられたのはなぜですか。
「コロナでリンクが閉まってしまったり、工事で違うリンクに移動して練習時間が少なかったりすると、普段毎日練習しているとたまに行きたくないなと思う時もあるのですが、休んだりすると『やっぱり滑りたいな』と自分の中で思うので、好きな気持ちを再確認できたり、根本として自分はスケートが好きなんだなと思えたのが大変でも続けられた理由だと思います」
――卒業にあたって思うことはありますか。
「就職で同期の仲のいいみんなともばらばらになってしまうので、これでしばらく一緒にいられなくなってしまうなというのはすごく寂しいです。それでも部のみんなと出会えたことがすごく幸せですし、実力のある後輩たちも多いので、そういう子たちと少しでも関わりを持てたのがすごくうれしくて、これからも楽しみに見ようかなと思っています」
――今まで応援してきてくださった方々に向けてメッセージをお願いします。
「私は5級で他の部員よりは実力も不足していますが、そんな私のことも拾って応援してくださる方もいらっしゃって4年間本当にうれしかったです。そしてもちろん素晴らしい部員とともに私自身のことを応援してくださったり、明治大学のスケート部のことを応援してくださって感謝の気持ちでいっぱいです。これからもどうぞスケート部をよろしくお願いします」
――ありがとうございました。
[増田杏]
(写真は本人提供)
関連記事 RELATED ENTRIES
-
(42)シーズン後インタビュー 堀見華那
フィギュアスケート 2023.03.22掲げた目標の達成を目指して、今シーズンをひたむきに戦い抜いた。今年度の日本学生氷上競技選手権では20年ぶりにアベック優勝を果たし、チームとしても目覚ましい結果を残した。その中でも、近い将来を見据えながら歩み続ける選手もいれば、今シーズンでスケート競技から引退した選手もいる。それぞれが感じる思いを、選手の言葉を通じてお届けする。 (この取材は3月15日に行われたものです) 第12回は堀見華那(商2=愛知みずほ大瑞穂)のインタビューです。 ――今シーズンを振り返っていかがですか。 「今シーズンはシーズン序盤から足が痛いこともあり、なかなか調子を合わせることができず、ブロック(東京選手権)が始まる時に全然調子が上がってない状態でシーズンに入ってしまいました。なかなかうまくいかなかったのですが、足が少しずつ治ってきて動けるようになると東日本選手権(以下、東日本)では、少しだけですがブロックよりはいい演技ができました。自分の体の状態がうまくいかないことが多いシーズンだったなと思います」 ――体の状態が悪かった理由はございますか。 「我慢強いというか、少し痛くてもジャンプが跳べたら練習をしてしまっていて、完全に治っていない5月の時点で練習をしていました。その時に休んでもう少しいろいろな治療法をやっていればよかったかなとか思います。休まずにそのままきてしまったのが良くなかったと思います」 ――今の状態はいかがですか。 「シーズンの後半ぐらいからは痛いところもなくやれていて、今も全然痛いところはありません。今シーズンは今まで跳んでいた自分のジャンプの感覚がなくなってしまい、どうやってジャンプを跳んだらいいのか分からなくなってしまっていた時もあったのですが、毎日練習はやめないでやっていて、最近はけっこう良くなってきています。今シーズンの反省を生かして来シーズンに向けてやっているところです」 ――今はどんな練習をしていますか。 「今は前と同じように5種類の3回転ジャンプを跳べるように練習しています。今は3種類くらいが限度なので5種類に戻せるようにジャンプを重点的に練習しています」 ――今シーズンで一番良かった試合はありますか。 「ないですね」 ――こういうシーズンは今までにありましたか。 「うまくいかないことばかりで、すごくできたという試合が今シーズンは特にないです。練習ではできているのに試合ではできないとかではなく、練習でもできていない状態で試合に挑んでいました。これまで練習ではできるけど、試合で緊張してしまってということはあったのですが、練習でもできてないので逆に割り切ってやることを覚えました。東日本のSP(ショートプログラム)で1本目のループが跳べたのですが、試合の4日前ぐらいに少しループが飛べるようになって曲でもあまり入っていなかっのですが、もうここでやるしかないという気持ちでやったら跳べたので、それは良かったところです」 ――今シーズン成長した点を教えてください。 「スケーティングやステップを毎朝やっているのですが、滑りがつなげられるようになったというか、一個一個の動きが途切れずにつながってできるようになりました。あとスケーティングが滑るようになり、スケーティングの面ではけっこう成長したかなと自分で滑っていて思います。(ジャンプができない分スケーティングやったのでしょうか)そうですね、スケーティングにジャンプがついてくると、これまで跳べていた時よりももっといい風になるのではないかと今は前向きな気持ちでやっています」 ――来シーズンへの課題はございますか。 「一番は体が痛くならないようにすることと、ジャンプの確率を上げて自信を持って試合に挑めるようにすることです」 ――来シーズンのプログラムは決まっていますでしょうか。 「SPはそのままでFS(フリースケーティング)は変えます。曲は決まっていますが、振り付けはまだです」 ――SPを変えない理由はございますか。 「今の曲を表現するのが難しくて、動きの緩急が最初は全然うまくいかなくて、先生にもっと真面目に踊るというよりは、少し抜け感がほしいと言われてそこが難しかったです。シーズン後半になって滑り込んでくると、少しうまくなってきたので今シーズンあまり表現できなかった部分を来シーズンもう1回やっていいものにしたいなと思いそのままにしました」 ――FSを変える理由はございますか。 「もう2年やっていて、気が付いたら大学があと2年になっていて、曲を使うのもあと何個なんだろうという風に思って新しいのにしようかなと思いました」 ――明治×法政 ON ICE 2023(以下、明法オンアイス)の運営で大変だったことはありますか。 「まず明法オンアイスを運営したことがなかったし、昨シーズンは右も左も分からないまま出るだけで終わってしまいました。今回はそれを動かす、運営に回るということでどこから手をつけていいのか分かりませんでした。でも法政や明治の先輩が助けてくれて、一応やることができました。一番大変だったこととしてお客さんが入るということがけっこう大きかったです。昨シーズンはお客さんを入れなかったのですが、今シーズンは定員500名というお客さんを入れることになりました。先着順で受け付けて、その500名にメールを送って名簿を作ってスムーズに入場ができるように考えたり、みんなが忙しい中でも1カ月に1、2回とか集まる時間を設けて話し合ったりというのが大変でした。ですが、今思ったらいい経験になったと思うし、なかなかできないことだと思うので、これからにつながるいい経験だったと思います」 ――運営してみていかがでしたか。 「楽しかったです。どうやったらお客さんに楽しんでもらえるか、最後の舞台という人が多い4年生の最後にふさわしい会にどうやったらできるか、ということをすごくたくさん考えて、法政の人ともたくさん話し合ってというのは大変ではあったのですが、とても充実していて楽しかったです」 ――グループナンバーはどこから案がきましたか。 「『やりたいね』という話はしていたのですが、なかなかみんなで集まる時間も取りづらいし、グループナンバーのために集まってくれるかなと思っていました。来てもらう人に『どういうことをやってほしいですか、見たい企画はありますか』というようなアンケートを取りました。すると、グループナンバーや普段では見ることのできないペアの演技、コラボが見たいという声が多かったです。やっぱりそういうのを見たい人がいっぱいいるんだと思い、曲は光翔くん(大島光翔・政経2=立教新座)に相談して、どうしたらいいと思うというのをいろいろな人に相談しました。運営側がやろうという気持ちになってみんなを引っ張ってグループナンバーやりたいって気持ちにさせたら絶対やってくれると思っていました。お客さんに見てもらいたいし、みんな振り付けを覚えるのが早いし『1、2回の練習があればできると思います』と言いました。1回目の練習は夜遅い時間だったのですが、ほぼ全員が参加してくれてみんなで作り上げることができました。明法オンアイスでないと絶対にやらないことだから、個人競技としてはすごくいい時間でした」 ――大学生活を振り返っていかがですか。 「学校生活はすごく充実していました。あっという間に2年生が終わってしまいました。学校に行って友達と普通に授業を受けて、授業を午前と午後で分けていたのでご飯食べることはあまりなかったのですが、授業で会う友達としゃべったり、一緒に帰り道帰ったりすることが1年生の頃よりはたくさんありました。でも学校に行くと疲れてしまうので、学校とスケートをしっかりと両立させるのは難しいなと思いました」 ――一番の思い出を教えてください。 「ゼミ合宿が楽しかったです。ゼミは一般生の子ばかりで、でも英語が堪能な人とかいろいろな人がいて個性あふれるゼミです。その人たちと話すのも楽しいし、ゼミでたくさんプレゼンをするのですが、みんなでプレゼンを作り上げていったり、花火をやったりしたことがすごく楽しかったです」 ――来シーズンの目標を教えてください。 「やはり全日本選手権(以下、全日本)に行きたいという気持ちがあって、行けないと思ってもないので、調子を上げて全日本に行くっていうのが目標です。あと2年しかないので、本当に心を鬼にして自分を追い込んで練習して全日本に行きたいです」 ――ありがとうございました。 [堀純菜] (写真は本人提供)READ MORE -
(41)シーズン後インタビュー 佐藤伊吹
フィギュアスケート 2023.03.22掲げた目標の達成を目指して、今シーズンをひたむきに戦い抜いた。今年度の日本学生氷上競技選手権(以下、インカレ)では20年ぶりにアベック優勝を果たし、チームとしても目覚ましい結果を残した。その中でも、近い将来を見据えながら歩み続ける選手もいれば、今シーズンでスケート競技から引退した選手もいる。それぞれが感じる思いを、選手の言葉を通じてお届けする。 (この取材は3月1日に行われたものです) 第11回は佐藤伊吹(政経4=駒場学園)のインタビューです。 ――競技生活の中で一番いい印象に残っている試合を教えてください。 「大学3年次の全日本選手権(以下、全日本)です。それまでの全日本で思った通りの演技ができていなかった中で、ようやくいい演技がSP(ショートプログラム)とFS(フリースケーティング)そろえられたという意味で力を出し切れた試合だったので一番いい印象に残っている試合です」 ――ノービスの時代を振り返っていかがですか。 「ノービスは全体的にいい印象が私の中には残っていて、花絵先生(横谷花絵コーチ)のもとでジャンプをすごくやっていたから、全日本ノービス選手権でもいい成績が取れたし、単純に楽しく上を目指して頑張っていたので、それはすごくいい印象に残っています」 ――スケートをやってきた中で挫折はありますか。 「ジュニアの2、3シーズン目は全然結果が出なくて今思い返すとよく毎日練習してたなと思います。やめたいなとは思わなかったんですけど、やっていて楽しくないし、何よりけっこう自分の限界というか、試合に出てもこれぐらいだろうなというのがすごく見えて感じてしまっていたことがつらかったかなという記憶です」 ――どうしてやめようとは思わなかったのでしょうか。 「飽きない、飽き性の逆なんですたぶん。スケート以外に関してもけっこうそうで、なんでもずっとできるタイプだから、そこでやめてもまたたぶんどうせやる、というかやりたいなってすぐ思うだろうし、割と頑張ることは好きだったので、試合より練習が好きって感じだったのでなんとか耐えてたかなという感じです」 ――シニアに上がって初めて出場した全日本はいかがですか。 「小さい時から目標の舞台だったから、それだけ大きい試合に出て本当にたくさんの人に見てもらえたということが、そこからの自分のスケートをやっていく上での一番のモチベーションになる試合でもあったので印象に残っています。というのと、自分でそれまですごく頑張ってきて全日本に出られたんですけど、それでも全日本の中ではすごく下の方だったのでまだまだこれからやることはあるし、もっと頑張らなければという意味で悔しさと出られたうれしさというのをどちらも感じた試合でした」 ――そのシーズンを今振り返っていかがですか。 「ジュニアからシニアに上がったシーズンでそれまであまり結果が出なかったけど、シニアに上がったことで割と吹っ切れたというかあまり周りや順位を気にせずにシニアのみんなの中に入っていけたからうまく行った部分はあったかなと思っています。今思い返しても毎試合ミスが少なかったし、いい思い出が多いシーズンだなと思います」 ――大学1年次を振り返っていかがですか。 「毎日学校に行って毎日学校の合間に朝昼夜練習して、何往復もしていて今考えるとよくできたなと思うのと同時に、対面で行けたのがほぼ1年生だけだったのですごくいろいろな人に会えて楽しかったし、充実してたという感じです」 ――2年次を振り返っていかがですか。 「片手で数えられるぐらいでしか学校には行ってないし、スケート場も数カ月閉まっていて、スケート人生で初めてこんなに休んだというぐらい滑ることのできない状況だったから今までにないシーズンというか、そんなに滑らないままシーズンが始まっちゃった感じだったのでそこを調整するのは難しかったと感じました」 ――氷に乗ることができないことへの不安はありましたか。 「ありました。ですが、神宮に関してはみんな同じ状況ではあったし、しょうがない状況だったからその時にできることをとりあえず全てやって、氷に乗った時どうかは分からないけど、今やれることをやるしかないなという感じだったし、割と私はポジティブだったから平気でした」 ――リンクが開いて実際に氷に乗ってみていかがでしたか。 「おもしろい感覚でした(笑)。ああ全然違うなって思ったのと、本当に上達するのはすごく大変だけど下手になるのはめちゃめちゃ早いなって思いました(笑)」 ――大学3年次を振り返っていかがですか。 「3年の夏過ぎぐらいからは就活と共にスケートをやっていた感じなので、就活をしながらスケートをしていた時が人生で1番ぐらい忙しいなって思った期間だったので、すごく大変だったけど結果が出たから本当に良かったっていう印象です」 ――そんな中で結果を出せた理由はありますか。 「それがけっこう私も分からない部分ではあるんですけど、就活をして視野が広がったというか、自分が知らない世界をいろいろ見たことでスケート一点集中っていうこれまでの十何年だったのが、少し感じが変わったような気がします。スケートに集中するのはすごく大事だけど、それだけではないいろいろな新しいことを知ることがまたスケートにプラスになるということを感じました。逆にいいバランスでスケートと違うことをバランスをとりながらできたのが良かった、それまでのシーズンと違ったことだから良かったかなと思います。でも忙し過ぎてかなりつらかったなって記憶もあります(笑)」 ――4年生、今シーズンを振り返っていかがですか。 「考えなくても最後のシーズンだと思ってしまう部分はありました。でも、だからすごく頑張るというよりもこれまでも自分のベストの練習をして本番に臨んできたから同じことをやるだけだなというのと、最後楽しく後悔ないように終わりたかったので、もう十分っていうぐらい練習して試合に臨めたのでそれは後悔なく今終われた結果かなと思います」 ――全日本はいかがでしたか。 「終わって悔しい気持ちは強かったです。けど全日本に行く前の練習では結果が本当にどうなっても後悔しないだろうなと思える練習を自分はできたので、後悔もないし悔しかったけどその結果なら受け止めようとけっこうすぐに思えました」 ――インカレではFSを滑りましたね。 「FSを滑る機会が最後に、なんとかそのシーズンの全日本の前の試合からいろいろ頑張って結果を出したからインカレにも選んでもらえたので、そこは頑張ってきて良かったな、FS滑れて良かったと思います。最後明治に入ったからこそインカレで終われて良かったなと思いました」 ――インカレにはこれまでも出場していますが、思い入れは違いますか。 「違いますね。今シーズンからインカレに出るメンバーが試合ごとにポイントがついてそのポイント順で全日本の結果とかに関係なく出られるとシーズンが始まる前に知った時に、シーズン前の状況を考えたらそのメンバーも含めて考えたら自分は到底インカレにはまだ遠い位置にいると思っていました。シーズン当初から考えたら出られるとは思ってなかった試合にこうやって最後出ることができて引退できたというのが一番うれしかったので、やっぱり諦めないでやってよかったなっていうのを一番感じたのが今シーズンでした」 ――最後全日本とインカレは有観客でしたね。 「うれしかったです。ブロック(東京選手権)とかもまだ無観客なんだって私は思ったんですけど、滑る前の出ていく時の拍手や歓声が一番背中を押してもらえるとこの2、3年で思ったので、それを感じながら最後滑る時にリンクに立てたのは幸せだったと思います」 ――大学に入って一番の思い出を教えてください。 「スケートに限らず言ったら、1年の時に週5回毎日ほぼずっと学校に行っていたことが今考えてもすごいなと思います(笑)。本当に大学生って忙しいんだなと思った記憶が強いです。でも楽しかったです。小中高大の中で大学が一番楽しかったなと思うのは1年生の頃があったからだと思うので、その毎日が楽しかったです」 ――明大に入って過ごした4年間を振り返っていかがですか。 「明治に入ってよかったです。それは二つあって、一つはいろいろな人と会えたことです。明治に入って他のスポーツも強い中で、スケートも勉強もどちらも頑張れる環境にあって4年間やり切ることができました。もう一つはスケート部、フィギュア部門が強い選手の集まりだったことです。その中でいかに結果を出すか、インカレの優勝に向けて自分がどう貢献するか、できるかということで、強い人たちの中でなんとか自分もその力、その人たちに引っ張りあげてもらいながら頑張れました。明治に入ったからこそ『インカレに向けて』とか『みんなで全日本に出る』とかそういったことを目標に頑張り続けられたなと思います。勉強との両立の面と、スケート部がすごく強かったという二つから明治で楽しかったし成長できたかなと思いました」 ――これまで関わった明大の先輩や後輩たちはどんな存在でしたか。 「先輩のスケートのことだけでなく勉強のことも頑張ることとか、スケートも本気で練習するという姿を見て私も明治に入りたいと思ったので、それはすごくお手本になる存在でした。後輩に関しては学部が同じ後輩だったら授業の部分を助け合うこともありましたし、先輩後輩関係なく上手な選手がそろっているのが明治大学だと思っているので、合宿とかも勉強になる点がたくさんあったし、それがすごく良かった4年間だなと思います」 ――フィギュア部門での一番の思い出を教えてください。 「明治合宿のリレーです。明治合宿はトレーニングの後にリレーをするのですが、この前の合宿のOBの方なども入ってやったリレーがすごく楽しかったので思い出に残っています。(みなさん足は速いですか)速いです。負けた方は罰ゲームをするので、それも含めて面白かったです」 ――今もスケートは好きですか。 「好きです。やっぱりおもしろいなと思うし、やることが尽きないなと思います。技術だけでなくて表現も重視する二面あるのがおもしろいし、いいなと思います」 ――ファンの方へのメッセージをお願いします。 「これまで見てくださって、応援してくださって、とても感謝しています。最後の演技を終えた時、17年フィギュアスケートに全てを懸けてきて本当に良かったと思えました。これから別の道でも頑張っていきます。本当にありがとうございました」 ――ありがとうございました。 [堀純菜] (写真は本人提供)READ MORE -
(40)シーズン後インタビュー 堀義正
フィギュアスケート 2023.03.21掲げた目標の達成を目指して、今シーズンをひたむきに戦い抜いた。今年度の日本学生氷上競技選手権(以下、インカレ)では20年ぶりにアベック優勝を果たし、チームとしても目覚ましい結果を残した。その中でも、近い将来を見据えながら歩み続ける選手もいれば、今シーズンでスケート競技から引退した選手もいる。それぞれが感じる思いを、選手の言葉を通じてお届けする。 (この取材は3月4日に行われたものです) 第10回は堀義正(商3=新渡戸文化)のインタビューです。 ――今シーズンを振り返っていかがですか。 「ジャンプが戻り切らなかったのもあるのですが、スピン、スケーティング、ステップなどでも技術不足を痛感したシーズンでもあったので、反省点しか残らないシーズンでした」 ――シーズン前インタビューの際に『邁進(まいしん)』という目標を掲げていましたが達成することはできましたか。 「できなかったです。技術を追い求め過ぎてしまい自分を見失ってしまったというか、一つのジャンプをここまで戻したいというのはあったのですが、そこまで戻すにはどうしたらいいかと試行錯誤をし過ぎて、抜け出せなくなってしまったのが大きいです」――今シーズンの中で印象に残った試合はありますか。 「インカレです。自分は主務として同行させてもらったのですが、チームが一致団結しているのを感じましたし、男女アベック優勝というのは大きい功績だと思いました。リンクサイドから見ていて非常に印象に残っています」――シーズンを通して成長を感じた部分はありますか。 「一歩一歩の踏み出しが大きくなったところです。スピンのスピードのつけ方を一新して、基礎の細かい部分で成長を感じました」――シーズン前にFS(フリースケーティング)のプログラムを変更しましたが、その点に関してはいかがですか。 「心機一転、新しい表現方法として身に付いた部分が多かったです。ですが、まだ曲にのまれているという感覚があります。曲に乗せて自分が表現しているというよりも曲に踊らされているという感じで、まだ滑り切れていないプログラムかなと思います」――スピン、ステップも変更しましたが、その点に関してはいかがですか。 「元々スピンが得意ではないので、その中でどうレベルを取れるのかをコーチと試行錯誤してきました。シーズン序盤は全くレベルを取れなかったのですが、シーズン中盤になるにつれてレベルを取れるようになってきて、自分の中では成果だったかなと思います。しかしレベルが上がっていくにつれてスピンが複雑になってきて、自分の中でマイナスが目立ってきてしまったので、来シーズンはマイナスを減らせるようにしていきたいです」――オフシーズンに修正したい部分はありますか。 「今挙げた中ではジャンプです。自分の強みはジャンプなので高さを生かしたジャンプを戻したいという気持ちは大きいです」――来シーズンの目標をお願いします。 「トリプルアクセルを戻します。今、軸がバラバラになってしまっているのでそこを安定させたいです」――新たに挑戦したいことはありますか。 「FSのプログラムは継続でSP(ショートプログラム)を変えたいと思っています。FSは自分の中で表現を満足にできていないので、もう1年という気持ちがあります。SPは2年使っていますが、楽しく滑れていて全日本選手権もこれで出場することができ、やり切った感じがあるので、変更しようと思いました」 ――来年度、主将としての意気込みをお願いします。 「主将としての太一朗くん(山隈太一朗・営4=芦屋国際)の背中を見てきた1年で、自分も大きい背中でついてこいという感じにはできないのですが、ムードメーカになって各試合でチームの士気を高めていけたらなと思います」――ファンの方へメッセージをお願いします。 「先日行われた明治法政オンアイスにお越しいただきありがとうございました。ツイッターを見ていても有観客にしてほしいという要望がありましたし、自分のDMにもきていたので叶えることができて良かったです。『いいショーでした』という声が自分のところに届いて励みになりましたし、モチベーションにもなりました。今シーズンはいい姿を見せることができなかったので、来シーズンこそご期待に応えられるように、プログラムを一新して臨むシーズンとなりますが応援よろしくお願いします」 ――ありがとうございました。 [冨川航平] (写真は本人提供)READ MORE