佐田龍昇 強い気持ちで遂げた成長

競走
2022.10.11

 今年度の関東学生対校選手権において短長歩3部門の総合力で1部残留を果たした明大競走部。その中でも短距離部門の佐田龍昇(法1=大分東明)はシーズン前半から多くの大会で活躍し、勢いに乗る選手だ。全国大会決勝の舞台、さらには教員になる夢を目指すルーキーの素顔に迫る。

 

全国の高い壁

 佐田は中学時代から全国大会に出場する実力の持ち主。県内有数の強豪校である大分東明高に進み、チームの主力として順調にタイムを伸ばし続ける。400メートルで大分県の頂点に立つと、高校3年次にはインターハイの切符をつかんだ。そんな順風満帆に見える佐田の競技人生だが、大きな挫折を味わった大会がある。北九州大会で自己ベストを大幅に更新し、自信を持って迎えたインターハイ。しかし、全国大会ならではの重圧を意識してしまい、思うような走りができなかった。中学3年生の時にも全く同じ状況に陥り、2回経験した全国大会が同じ形で終わったことが「すごく怖かった」。この経験は苦い記憶として尾を引くことに。

 

大学での成長

 大学でも競技を続ける道を選び、明大の門をたたいた。自主性を重んじる練習方針の中で着実に手応えをつかみ、ついに訪れた全国の舞台。U20日本選手権で400メートルに出場した。中高時代に苦しめられた全国大会独特のプレッシャー。「全国で400メートルを走りたくないな」。レースが近づくにつれて気持ちが次第に沈んでいった。それでも「これまでの自分から変わらなければならない」。そう奮起し、前半から積極的な走りを展開。およそ1年ぶりに自己ベストを更新する好記録をマークした。本来の走りができなかった中高時代の苦い記憶を乗り越え、タイムだけではなく精神面でも大きな成長を遂げた。

 

夢に向かって

 佐田は大学卒業後、教員の道を目指す。「とても熱心に指導してくれた」高校時代の顧問の存在に憧れたことがきっかけだ。2年次からは教職課程の履修も始まり、学業との両立が求められる。待ち受ける道のりが決して平たんでないことは明らかだ。だが「全体を満遍なく見て、褒めるアドバイスをしていきたい」と理想の顧問像を力強く語るその目に迷いはない。陸上では大学4年間の目標として「全国決勝の舞台に立つこと」を掲げた。明大競走部のこれからを担うルーキーとして、揺るがぬ決意と夢を胸に走り続ける。

[松原輝]

 

◆佐田 龍昇(さた・りゅうと)法1、大分東明高。高校時代は坊主。大学に入って髪を伸ばすと「結構抜け毛があることに気が付きました」。170センチ・73キロ