
安江光博 恩師の言葉を胸に 不屈の精神でさらなる高みへ
土佐の地から新たなピースが明大に加わった。高知出身の安江光博(政経1=明徳義塾)は大胆なプレーを持ち味とするサウスポー。高校3年次にはチームのインターハイベスト4に大きく貢献したが、そこに至るまでには大きな挫折を経験した。大学では苦難を乗り越えた経験を糧にさらなるレベルアップを誓う。
監督への恩返し
中学次は全国大会でベスト16に入るなど、順調に結果を残し続けてきた安江。しかし、高校進学後、周りのレベルが格段に上がったことで自分のプレーができなくなりスランプに陥る。勝てない時期が続いたことで次第にモチベーションが低下し卓球を辞めることも頭をよぎった。そんな時に目に留まったのは入部当初から自分に期待してくれていた監督の姿。自分と同じようにつらい思いをしてくれているのを肌で感じ、奮起した。「監督に感動を与えたい」という一心で自分を追い込み、高校最後の大会であるインターハイへ向け、部員の誰よりも練習した。
最後の1セット
迎えたインターハイ。チームは順調に勝ち星を積み重ねベスト4進出の懸かる準々決勝へと駒を進めた。相手は福岡の希望が丘高校。両者一歩も引かない激戦を繰り広げ2勝2敗に。3戦先取の団体戦。勝負の命運は安江へと託されることになった。しかしゲーム序盤から相手に主導権を握られ苦しい展開が続く。ゲームポイント2−2で迎えた最終ゲームでも何度も王手をかけられ「9割は負けたと思っていた」と絶体絶命のピンチに。そんな安江を救ったのはまたも監督だった。「6年間やってきたことを全て出し切れ。泣いても笑ってもこのチームで戦う最後の1セットだから。頼んだぞ」。その一言で目を覚ました安江は驚異的な粘りを見せ、大逆転勝利で8年ぶりのベスト4進出をつかみ取った。
苦難を乗り越え
復活を果たした安江は、監督の勧めもあり明大に進学した。高校次のチームを引っ張っていく立場とは異なり、今では追う立場。「自分から練習しないといけないという思いが強い」。高校時代の苦難を乗り越え、自分のプレーに自信をつけた安江。さらなる進化を続け、紫紺の中心へと駆け上がっていく。
[冨川航平]
◆安江 光博(やすえ・みつひろ)政経1、明徳義塾高。休みの日に卓球部の同期と『荒野行動』をするのがマイブーム。165センチ・57キロ
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