佐藤駿 4回転武器に世界へ羽ばたく

フィギュアスケート
2022.10.11

 日本が誇る4回転ジャンパー、佐藤駿(政経1=埼玉栄)。その類いまれな才能で、幼いころから数々の栄光を手にしてきた。しかし、昨季はケガの影響で世界ジュニア選手権欠場。その悔しさを胸に、佐藤の武器である4回転ジャンプに磨きをかけ、さらなる高みを目指す。

 

躍進の4回転

 4回転ジャンプは世界を目指すスケーターの登竜門だ。3回転ジャンプの2倍以上の得点が望め、1本成功するだけで順位が大きく変動する。そんな夢のある高難度ジャンプを、佐藤は中学2年次に挑戦し始めた。初成功までかけた期間は1年。その間、成功には至らずとも、諦めずに果敢にプログラムに組み込み続けた。「『やっと降りた!』という感じだった」。初成功の瞬間を嬉々として振り返る。さらに、成功後も試合で安定させるまでに時間を要した。「1回降りてからが長かった。良かったり駄目だったりを繰り返した。大変だった」。そんな中、高校1年次に佐藤の努力が実を結ぶ。JGPファイナルで全ジャンプを成功させて優勝。FS(フリースケーティング)では、国内での成功者がわずか2人という高難度の4回転ルッツと4回転トーループ2本を決め、当時の世界最高得点をたたき出した。4回転が佐藤の戦友となった瞬間であった。

 

佐藤の原動力

 昨季はケガに悩まされた。全日本選手権では、演技中にケガを負い実力を出し切れず7位に。悔いが残る結果だった。さらには、そのケガの影響でシーズン後半の試合を全て欠場に追い込まれた。長いリハビリ期間のためにモチベーションを失いかける日々。「来季は大丈夫なのか」と再起への不安に駆られた。そんな中で支えとなったのは、ジュニア時代から共に表彰台に立ってきたライバルの存在だ。「優真(鍵山優真選手・中京大)がいい成績を取っていたら、僕も頑張らなきゃと思う」。ライバルの五輪での活躍に自らを奮い立たせた。

 

さらなる挑戦

 座右の銘は『挑戦』。今年明大に進学し、ひときわ成長した演技に挑む。現状でマックスの構成だとする3種類の4回転4本を構成に入れているが「いつかアクセルを含めて全種類の4回転を試合に入れたい」と志高く前を向く。4回転を武器に成長を誓った初夏。その目覚ましい飛躍を、世界が心待ちにしている。

 

[布袋和音]

 

◆佐藤 駿(さとう・しゅん)政経1、埼玉栄高。鍵山とは一緒にゲームをする仲。好きなジャンプはアクセル。162センチ・56キロ。