

島野怜 鍛え上げたフィジカルを武器に 期待の万能型MF
島野怜(法1=仙台育英)は強靭なフィジカルと豊富な運動量、さらには得点力も兼ね備える万能型MFだ。高校時代は名門校で3年間を通してレギュラーとしてチームをけん引。3年次には主将と背番号10を任された。プロという目標を実現させるために、明大でさらなる成長を図る。
手に入れた武器
その体格は生まれ持ったものではなかった。きっかけは高校1年次の冬。全国高校選手権(以下、選手権)の事前合宿にて前年度の王者である青森山田高と出会う。青森山田高の強靭(きょうじん)な体格を目にした島野は「全国のトップを目指すにはあれほど体を大きくしなければならない」と肉体改造に取り掛かった。筋トレの頻度や回数など細部にこだわったトレーニングで進化を続ける。「ドリブルばかりしていた」。小中時代に培った攻撃力に加え、フィジカルという新たな武器を手に入れた。そんな多彩な武器とともに、数ある大学の中から明大に進学。「人としても大きく成長できる」。さらなる成長を期し明大の門をたたいた。
高校時代の努力
3年連続で選手権に出場し、2年次にはハットトリックを記録。3年次のプリンスリーグ東北ではMFながら15点を挙げ、得点王争いも繰り広げた。3年間を通して活躍し続けた秘けつは島野のサッカーに対するストイックさ。その一つが朝練だ。休まず基礎練習を取り組み続けたことが周りの部員との差を生んだ。
また、新型コロナウイルスが蔓延し始めた時期には仙台を一時的に離れることに。「(全体)練習ができなかったことが一番苦しかった」。それでも砂浜での走り込みや筋トレなど、努力を欠かすことはなかった。そして3年次には主将に就任。「トップチームに絡めず腐りかけている部員にどうやる気を起こさせるか」。部員との会話や呼び掛けなどでリーダーシップを発揮した。
明大で感じた差
エリート街道を歩み続けてきた島野だが、大学サッカーには衝撃を受けることに。「強度が高校時代と全く違い、トップチームでは何もできなかった」。それでも、前期はトップチームで初出場を果たすなど、着実に進歩を遂げている。栗田大輔監督も「日本のサッカー選手でも珍しいタイプ。4年間で良くなればすごい選手になる予感がする」と期待をかける。卒業までの目標を「最低でもプロ」と掲げた島野。紫紺の魂を身にまとい、ピッチを縦横無尽に駆け巡る。
[長﨑昇太]
◆島野 怜(しまの・れい)法1、仙台育英。サッカーを始めたきっかけは『キャプテン翼』。182センチ・70キロ
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