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老朽化の波

明大スポーツ新聞 2021.11.10

 現代において少しずつ注目されているのが、インフラの老朽化である。現在の都市のインフラは高度経済成長期に急速に発展した。それからおよそ50年。日本はインフラの老朽化という危機に直面しつつある。例えば、高速道路が一例として挙げられる。日本初の高速道路は1963年に完成した。それから高速道路網は急速に発展し、現在に至っている。

 老朽化が悲しい事故を引き起こしてしまった例がある。2012年12月に発生した笹子トンネル天井板落下事故。一概に老朽化が原因とは断定されていないが、部品の劣化が事故の一因となった。国土交通省も道路の老朽化に対して、危機感を示している。笹子トンネルの事故から1年半が経った2014年4月、国土交通省は提言を発表した。この中で、建設後50年が経過する橋梁やトンネルの割合が、2023年には3割から4割程度に上ると示している。しかし、現状として老朽化した道路・建物の整備は追い付いていない。1960年代ほどの経済成長を見込めない現代において、道路の更新はかなり難しい。

 当然、道路を更新しようという取り組みは決してないわけではない。例えば、首都高速道路では開通から50年がたった区間において、大規模更新・修繕事業が進められている。なかでも注目すべきは日本橋を含む区間である。日本橋では、橋の上に高速道路が架かっていることがしばしば問題となっていた。そこで、その区間の高速道路を地下化することによって、景観を改善することとなった。

 ただ、多くの場合は老朽化しても、放置されるか応急的な処置で済まされてしまう。道路に限らず、さまざまなところに危険がはらんでいる。私たちは認識しなければならない。老朽化の波がすぐそこまで来ていることを。


[佐野悠太](執筆日:10月17日)


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