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ビッグうぇ~ブ

明大スポーツ新聞 2021.11.09

 私は小さい頃から乗り物酔いをする。人よりも苦手という程度ではあると思うが、車の中で文字を読むことは絶対にできない。とりわけ船酔い、すなわち波酔いにはひどく苦しめられた記憶がある。

 私の通った中学校には、1年生の夏休みに臨海合宿というイベントがある。房総半島の中腹までバスで行き、2泊だか3泊してひたすら広い海と触れ合う。もちろん生徒それぞれに得意不得意はあるため、五つのグループに分かれてメニューをこなす。

 比較的泳ぎは得意だったため、私は遠泳コースに配属された。しかし一つ問題があった。波である。沖の方に出るとはいえ、それを十分に感じるし、さらには近くを通るモーターボートが排出するガスと、それによって生じる新たな波と戦わなければならなかったのだ。もともと波酔い持ちを自覚していた私は非常に迷った。戦いから逃げ、コースを降り、適当に泳ぐか。あるいは己の限界までチャレンジするか。私は挑戦することにした。固い決意と共に。

 結論からいうと私は吐いた。しかもみんなの前で吐いた。食事中にこのホイッスルを読んでくださっている方には申し訳ない。案の定、迫りくる波とガソリンの臭いにノックアウト。辛うじて泳ぎ切り、岸には戻ってきたのだが、チャレンジした限界はとうの昔に超えていた。

 今振り返ってみても、当時の自分に後悔はない。あそこで逃げておけば良かったとは思っていない。そうすれば友達からゲレーロと呼ばれることはなかったのにとも思っていない。常に人生は挑戦していたいものだからだ。

 海と掛けまして、筋トレメニューと解きます。その心はどちらもサンセットが付き物です


[佐藤慶世](執筆日:10月17日)


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