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自分に勝つ

明大スポーツ新聞 2021.10.12

 「人に負けたくない」。私が頑張る理由はいつもそこにあった。

 小学生の頃から常に2歳上の兄と比べられてきた。学年一頭が良く生徒会長も務めた兄。私も成績は悪くなかったが兄には到底及ばず、内気で生徒会長などできない性格だった。三者面談では毎回「大人しすぎる」と言われ「お兄さんはそんなことないのに」と付け足された。いつも褒められるのは兄ばかり。「優秀な兄の妹」としか見てもらえない状況がつらかった。

 「絶対に見返してやる」。その一心でひたすら勉強した。兄と違う中学校に進んでからも「誰よりも良い結果を残して認められたい」という思いは消えなかった。中学校では学業で、高校では部活で。たくさん努力をしてそれなりの結果もついてきた。それでも世の中に自分より上はいくらでもいる。果てしなく連なる壁を前に「学校で一番なら良い」と中途半端に逃げた。

 明スポに入ってからも、私の負けず嫌いは続いていた。しかし昨年度の冬、明スポの活動の中でIllustratorというデザインソフトに出会う。センスは一切なかったが、夢中になるのは一瞬だった。冬休み期間は毎日図書館に通い、参考書を片手に練習した。そこに「負けたくない」という思いは一切なく、あったのは「うまくなりたい」という思いのみ。初めて人を意識せず、自分のためだけにした努力。それは人と張り合う必要がなく、とても楽しいものだった。人と比べないからこそ、限界を決めずにどこまでもこだわれる。Illustratorだけでなく、記事もカメラも「自分が納得できるものを」という考えに変わり、明スポの活動が以前よりもずっと楽しくなった。

 周りの人はすぐに人と比べて評価してくる。その声にもう惑わされたくない。「人に勝つ」ではなく「自分に勝つ」。そのためにどこまでも努力し続けたい。


[西村美夕](執筆日:9月13日) 


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