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いつまでも子供のままで

明大スポーツ新聞 2021.10.12

 つい先日二十歳になった。ありがたいことに色々な方にお祝いしていただけて、とても嬉しかった。しかし、まだ誕生日を迎えていない友達から届く「羨ましい」「自分も早く二十歳になりたい」という言葉には同意することができず、あいまいな返事をした。

 二十歳の誕生日と言えば、人生にとって大きな節目である。少なくとも、前半の人生で最も祝われる誕生日であることは間違いないだろう。成人式などという式典が自治体主導で開催され、華やかな衣装に身を包む。未成年から成人への進化というのは、個人にとっても社会にとってもそれだけ大きな出来事なのだと痛感する。

 未成年と成人との大きな違いは、行動の責任が完全に自分だけにあるところだ。だからこそできることの幅も増える。お酒も飲めるようになるし、お金も借りられるようになる。今まで親の許可を得なければできなかったあれこれが、自身の一存でできる。恐らく未成年の友達は、その自由さをもって羨ましいと送ってきたのだろう。その理屈は理解できる。

 しかし私は得られる自由よりも、それに伴う責任が怖くて仕方がない。確かに色々制限がある未成年は不便だが、その不便さは保護されていることの証でもあった。また、自由はある程度お金で買えるが、保護や庇護といった扱いはお金では買えない。お金で買えない未成年という称号には値千金の価値があると思う。

 私は今まで守られている立場ということを存分に利用し、守られる前提で行動してきた。だが、これからは守られるではなく自分が守る立場になるのだ。そんなことできるかなあと不安になるが、実際成人してしまったものは仕方がない。私の人生はまだ始まったばかりだ。


[向井瑠風]


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