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鈴木渚左 試練を乗り越える精神力

硬式庭球 2021.09.16

 シングルスの女神が明大に舞い降りた。鈴木渚左(国際1=野田学園)はシングルスを得意とする期待の新星。高校1年次には全国ベスト8まで上り詰めた経験を持つ。リズムを変えて虚をつくプレースタイルを武器に、大学では日本一をつかみ取る。

 

あと一歩の涙

 父の背中を見て、5歳でテニスを始めた。中学までは地元・静岡県でプレー。高校は「自分を厳しい環境で追い込みたかった」と、山口県にある強豪・野田学園へ。寮生活でテニス漬けの日々を送った。

 

 高校2年次のインターハイ団体戦。野田学園は順調に駒を進め、決勝にたどり着いた。相手は初優勝を狙う早実高。団体戦はシングルス2本、ダブルス1本の3本勝負である。試合は1勝1敗と星を分け、鈴木のシングルス2に優勝が懸かる展開に。「何も感じられないぐらいの緊張感」。一つのコートに観客全員の視線が集まる。序盤は5―2で鈴木がリードしていたものの、緊張からか逆転を許し、日本一を目前で逃してしまう。「その時の負けは一生忘れない」。次年度でのリベンジを誓った。

 

 しかし、2020年度のインターハイは新型コロナウイルスの影響で中止。雪辱を果たすことはできなかった。

 

不屈の精神力

 「お前たちにはまだ未来がある」。インターハイ中止や部活動の制限といった不安の中で、監督の前向きな言葉が鈴木を支えた。迎えた高校3年次の全国高校選抜大会(以下、選抜)。選抜は高校テニスの全国大会で、鈴木が出場したシングルス1はまさにエースが出る枠である。この重責にもかかわらず「緊張は自分でコントロールできるもの」。意識の高さを発揮し、中国地区優勝をつかみ取った。くじけない精神力が彼女の強さの秘訣(ひけつ)だ。

 

夢の日本一へ

 明大入学後も進化を続ける。8月の全日本選手権(通称:インカレ)では昨年度の単複王者と対戦。負けてしまったものの、最後まで攻めの姿勢を貫き、接戦を繰り広げた。「(相手が)誰であっても今までやってきたことをやるだけ」。その精神力の強さは、孤独な競技であるシングルスにおいて大きな強みとなる。悲願の日本一に向け、鈴木の活躍に期待だ。

 

[春木花穂]

 

鈴木 渚左(すずき・なぎさ)国際1、野田学園。趣味は音楽鑑賞で、試合前にはBLACKPINKやGReeeeNを聴く。157センチ。


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