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鈴木幸恵 家族の応援を胸に 目指すは頂点

バドミントン 2020.10.10

 どんな球でも食らいつく。身長が高いわけではない。角度のある重いスマッシュが打てるわけでない。そんな鈴木幸恵(農1=常総学院)が生み出したのは強靭(きょうじん)な守りのプレー。大学では力強いショットも身に付け、攻守に進化した姿で明大を勝利に導

 

家族の支え

 小学1年次に友達に誘われ軽い気持ちで始めたバドミントン。才能はすぐに開花した。小学次で関東大会に出場し、中学次には全国大会を経験。華々しい活躍の中、県の強化練習会で後に高校の監督となる常総学院・磯部和弘監督に出会う。「自分が一番吸収しやすい教え方だった」。さらなる成長を求め強豪・常総学院へ進学。このまま順風満帆な競技生活が続くはずだった。

だが、そんな生活にも陰りが現れる。高校進学とともに始まった寮生活。それまでの9人家族のにぎやかな暮らしから一変し「辛かった」。そこに追い打ちをかけたのが、厳しい練習と結果が出ないという焦り。そんな時、家族からの応援メッセージが鈴木を救った。「頑張って」。たった4文字の言葉が折れかけていた心をもう一度立ち上がらせた。「自分のためだけでなく、家族のためにも頑張りたい」。

 

主将の葛藤

 「お前なんかキャプテンやめろ」。磯部監督から放たれたのは衝撃の言葉だった。思ったことをすぐに口にできる性格や、主体的な行動を買われキャプテンに抜てきされた鈴木。壁となったのがメンバーの主体性の無さだった。バドミントンは個人競技。個々のレベルを上げなければ勝ち上がることはできない。磯部監督は選手自身に答えを導かせるためにあえて厳しい言葉を投げつける。葛藤の日々が続いた。だが、その期間が自分を見つめ直す契機に。その後鈴木は何度も話し合いを開き、目標を共有。チームは同じ方向を向き始めた。残念ながら目標には届かなかったものの、主将として最後までチームを引っ張り続けた。

 大学での目標は日本一になること。決して高くない身長でも負けないよう生み出した粘りのプレー。大学ではさらに粘り強さに磨きをかけつつ、攻撃的なプレーにも挑戦する。高校次にかなわなかった頂点へ向け、快進撃は始まったばかりだ。

[宮本果林]

 

鈴木幸恵(すずき・ゆきえ)

農1、常総学院高。一人暮らしを始めてから料理に興味を持つ。最近作ったのは豆腐ハンバーグ。157センチ。


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