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(79)「もう一度できるなら、優勝して恩返ししたかった」武井日向主将 全国大学選手権終了後インタビュー

ラグビー 2020.01.22

 優勝にはあと一歩届かなかった。全国大学選手権決勝で3年連続の決勝に進出した明大。新しくなった国立競技場で行われた一戦は早大を前に35―45で屈した。武井日向主将(商4=国学院栃木)に大学選手権終了後の心境、そして苦楽をともにしてきたチームメイトへの思いについて伺った。

(この取材は1月12日に行われたものです)

 

――決勝から1日経ちました。今の率直な思いを教えてください。

 「キャプテンとしてチームを優勝させてあげられてなかったというのは責任を感じます。悔しいですし、出られない選手たちに申し訳なかったなと思います。頑張ってきてくれたのでその思いも背負って戦ったのですが、その中で自分のミス、自分がチームをまとめられなかったことも含めて自分の責任をすごく感じています」

 

――前半、立て続けにトライを奪われたのはなぜでしょうか。

 「ディフェンスで最初は人が寄ってしまっていました。早稲田のアタックに対してディフェンスが寄ってしまって、しっかりしたスペーシングを取れなかったです。そのせいで食い込まれてしまったと思いますし、そこからズルズルいってしまったと思います。あとはここで取ってやろうという意志が強すぎて逆に我慢できずにそこに人数をかけすぎてしまったりですとか、ディフェンスも早稲田に簡単にトライを取られてしまったのかなと思いますね」

 

――ハーフタイムのチームの状況を教えてください。

 「いつもよりは静かになっていたと思いますし、下を向いている選手もいたと思います。ただ今年スローガンで‶真価〟というのを掲げて、そういう苦しい場面で真価が発揮されるというのを話し、ハーフタイムでしっかりと意思統一して挑もうとしっかりと決められました。そういう意味では良い後半の入りになったかなと思います」

 

――山﨑(洋之・法4=筑紫)選手のトライで10点差まで追いついたところが最高潮だったように思います。追いつける自信や雰囲気はありましたか。

 「そうですね。そういう雰囲気だったと思いますし、それも後半の最初から必ず追いつくという気持ちだったので10点差になったから本当にいけると思ったというよりは後半の最初から逆転すると思っていました」

 

――ホーンがなってからのアタック、負けが確実という中でボールをつないでいたときの心境はいかがでしたか。

 「最後まであきらめない姿勢、トライを取り切ることに意味があると思ったので、そこであきらめたらこれまでやってきたこともそうですし、そこを見せるのが真価だと思い、プレーしていました」

 

――明大のラグビーができませんでしたか。

 「国立競技場は関係ないと思いますけど、国立でどちらも初めてやるという中で早稲田さんはかなり準備してきていたと思います。明治に対しても本当に強い思いを持ってやってきていたと思うのでそこに対してもまだまだできたんじゃないかなとかそういう気持ちもありますが、僕たちの何かが足りなかったのだと思います。良い準備はできていたと思いますけど、早稲田さんのほうが良い準備をしていたということです。そこは本当にこれから後輩に託すところで準備の段階でもっともっとこだわるところはあるんじゃないかなと思います。こだわらなければ優勝することはできないと思いました」

 

――Aチームは無敗だったなかで最初の敗戦が決勝になってしまいました。

 「結局そこを目標にしてやってきてそういう結果につながってしまったので結果がすべてだと思うし、そこは受け入れるしかないと思います。今までが全勝でも最後に負けてしまうチームだったと思うのでそこは日ごろの練習の姿勢だったり、僕自身がどうだったのかなとは思います」

 

――主将としてここまで頑張れた原動力はなんですか。

 「たくさんの人の支えがありました。とくに4年生は入寮したころから一緒にやってきて大丈夫かと言われていた代だったのですが、年を追うごとに成長していって、仲間が頑張るから頑張れているという思いがありました。家族は北海道から鹿児島まで全試合来てくれました。ファンの方もそうですし、負けても最後は拍手で声援を送ってくれたり、明治大学ラグビー部だからという他の大学にない文化というか、支えはすごく力になりました」

 

――最後に明大フィフティーンは国立のピッチを一周しました。

 「ああいう形で優勝できなかったですけど、拍手をしてくれたりとかありがとうという声をかけていただいたり、優勝できなくて申し訳ないですけど負けても支えてくれるファンの方々がいるし、すごいものだなと感じました。僕はもう卒業しちゃうんですけど本当にもう一回できるならその人たちのために優勝したいな、優勝して恩返ししたいなと思いました」

 

――主将を1年間やってきて一番良かったことはなんですか。

 「こういう伝統がある大学でラグビーをできたこと、そのこと自体が一生の経験になったと思います。キャプテンだからこそ周りの人に支えられて特に4年生が頑張ってくれたり、下の学年が支えてくれたりとそういうことを感じられることはなかなかないと思います。これから生きていく中でこの主将としての経験が自分の中の生活でも思い出されると思うので、自分がキャプテンじゃなくても、何をすれば1番キャプテンが楽になるかというのを学べました。実際に経験できたことなので主将という立場でなくても支えていきたいと思いますし、いずれラグビーをやめても周りの人の支えというのは本当に大事ということが分かったので、自分もそういう人間になれたらいいと思いました」

 

――後輩たちに伝えていくことはありますか。

 「自分が言うのも大事だと思うのですが、言ってもやってみないと分からないと思います。1番後輩たちがどうしたいというのは思っていると思いますし、今回の悔しさやそれぞれの思いがあります。僕らの代の良さや悪かったところは1番後輩が見ているので、良さは継承しつつ悪いところは変えていってほしいなと思います。悔しい思いというのは僕らもあるんですけど同じ思いはさせたくないので、やっぱり4年生の力が一番大事だと思います」

 

――ありがとうございました。

 

[上松凜助]

 

◆武井 日向(たけい・ひなた)栃木県出身。卒業後はリコーブラックラムズに入団予定。笹川大五選手(政経4=明大中野)、山村知也選手(営4=報徳学園)とは大学に続き、再びチームメイトとなる。171センチ・97キロ。


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