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連覇の夢あと一歩及ばず… 新国立に散る

ラグビー 2020.01.20

 満員の新国立で連覇を成し遂げることはできなかった。フッカー武井日向主将(商4=国学院栃木)率いる明大は全国大学選手権(以下、大学選手権)を勝ち上がり、3年連続で決勝の舞台に立った。迎えた早大との決勝。前半の大量失点が響き35―45。関東大学対抗戦(以下、対抗戦)で快勝した相手の前に無念の涙をのんだ。




こぼれ落ちた夢

 ノーサイドを告げる笛が響き渡る。5万7345人の大観衆を迎えた新国立のピッチに明大フィフティーンは崩れ落ちた。武井主将は少し目を潤ませながら、準優勝杯を手にした。「キャプテンとして準備不足だった」。悔しさを押し殺し、淡々と話した。

 0―31。追い付き、追い越すにはあまりにも遠い点差だった。前半は復帰した中野将伍(早大)を中心としたアタックに食い込まれる。セットプレー後の1次、2次フェーズで着実にトライを挙げる早大。対抗戦で打ち破った時とは全く異質な姿に「パニックになってしまった」(武井)。しかし、ここから見せたのが王者の意地。後半3分に右ウイング山村知也(営4=報徳学園)がトライ。21―38で迎えた29分には左ウイング山﨑洋之(法4=筑紫)が相手ディフェンス3人を振り切りトライラインを割る。猛攻にスタンドが沸き立った。10点差。誰もが逆転を信じていた。しかし、追い上げも及ばず。シーズン負けなしの紫紺は優勝杯を目の前にして、初めて膝を落とした。


築き上げた文化

 泣き崩れる下級生たち。彼らに肩を貸したのは他ならぬ4年生だった。「本当に多くの支えがあった」(武井)。酸いも甘いも経験した特別な代だからこそ、自然と胸の奥から湧き出た言葉。1年次に味わったのは年内終戦という屈辱。「大学選手権で優勝できる実感がなかった」(左センター射場大輔・政経4=常翔学園)。そんな弱いチームだった。それでもこの3年間を通して、寮での規律も練習へ取り組む姿勢も多くのものを変えた。そして、築き上げた〝勝利の文化〟。「最上級生になるのが心配」と言われていた弱さはもうそこにはなかった。

 試合後、選手全員でスタンドのファンに感謝を伝えた。健闘をたたえる拍手は、ピッチを後にするまで鳴りやまなかった。96年前に明大ラグビー部が産声を上げてからずっとそばにいたファンの存在。どんな時も紫紺の旗を片手に声援を送ってきた。変わっていくものもあれば変わらないものもある。二つは積み重なり今年度ついに形に。「見る人を感動させられるラグビーを」(武井)。〝愛され明治〟は大観衆を呼び寄せ、熱狂させた。


再びこの舞台へ

 日本一には届かなかった。それでも21年ぶりの対抗戦全勝優勝。そして3年連続でラストステージに立った。掲げたスローガンは〝真価〟。「達成できなかった」と多くの4年生は話す。それでも今試合、ホーンが鳴り、敗戦が確実な中で「一本取って終わろう」。直後の4分間のアタック。鬼気迫る表情にこそ、真の価値が表れていた。武井組の思いは次世代へとつながる。「絶対にリベンジを果たす」(スタンドオフ山沢京平・政経3=深谷)。必ずこの地に戻り、早大に打ち勝つ。彼らが頂きに立ったとき〝真価〟はもう一輪、大きな花を開かせる。


【清水康佑】


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