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まさに伝説! 大学史上初5冠達成

サッカー 2020.01.16

 大航海に、いかりを下ろした。圧倒的な強さを誇った今年度最後の大会は全日本大学選手権(以下、インカレ)。ここ2年は初戦敗退の鬼門だが初戦で中京大を下し、勢いに乗る。筑波大、関西学大を破り、決勝は桐蔭横浜大に延長戦の末、3―1で勝利。「この仲間とここまで来られて、本当にうれしい」(FW佐藤亮主将・商4=FC東京U―18)。スローガンである〝挑越〟を体現するがごとく、総理大臣杯、関東1部リーグ戦、インカレの3冠とともに東京都トーナメントとアミノバイタルカップを合わせた、史上初となる〝5冠〟を達成。長い大学サッカー史に、紫紺の名を刻んだ。


歓喜

 表彰式を終え、ほの暗くなった浦和の冬空に『カンピオーネ』の大合唱が響く。「今までで一番楽しかった」。重圧から解放された戦士たちは、ありったけの喜びを歌にぶつけた。決勝の相手はリーグ戦2位の桐蔭横浜大。スコアレスのまま延長戦へ。前半2分、先に揺れたのは自陣のゴールだった。最悪の流れにも「つーか、これからっしょ」(MF森下龍矢・文4=ジュビロ磐田U―18)。口をついて出たのは、明大の合言葉。9月の総理大臣杯以降に挙げた15勝のうち、逆転勝利は6試合。先制されても食らい付く。他大も驚く練習量を土台に、絶対に走り負けない自信と体力があった。失点から3分後、PKを獲得。キッカーは、ケガにより今大会初先発の佐藤亮。「今まで支えてくれた人の思いを胸に蹴った」。一瞬、祈るようなしぐさを見せた後に、左足を一閃。同点に追い付くと、同7分にはDF蓮川壮大(政経3=FC東京U―18)が果敢に前線へ。ゴール左隅に流し込み、逆転に成功する。最後は森下の豪快なボレーも飛び出した。3―1で試合は終了。〝負けず嫌い〟を突き詰めたイレブンが最後にたどり着いたのは、誰も立ったことのない場所だった。


約束

 「まだ通過点」。何度優勝しても、表情は崩れないまま。その裏には、全員で交わした約束があった。「12月22日のインカレ決勝の日、一番強いチームで、一番いいサッカーをしよう」。目指すものは一つ。成果に浮かれず、それだけを見つめ続けた。全身全霊で走った1年間。栗田大輔監督も持てる情熱を全て注いだ。今季効果的だった3バックのシステムも指揮官の発案。「自分が先頭に立ってやるべきことを提示する必要がある」。普段は大手ゼネコンの営業職を務める傍ら、週5日で早朝6時からの練習に参加。今年度の4年生は2015年の監督就任後、初めて全てを見届けた代であり、思い入れは強かった。「最初はだらしなかった(笑)。でも学年が上がるにつれて顔つきが変わった」と栗田監督が言えば「下級生の時は僕らも青かった(笑)。月日を重ねるごとに信頼関係が築けた」(佐藤亮)。二人三脚で、時にはカミナリも落としながら、最強を目指す集団をつくり上げてきた。迎えた12月22日。原点にして頂点の3原則(球際・切り替え・運動量)をいかんなく発揮。「本当に強かった」(栗田監督)立場は違えど、66人の思いは一つに。約束を果たして初めて見せた、最高の笑顔がそこには咲いていた。


伝説

 今年度の公式戦全41戦で36勝2分3敗。89得点、25失点。残してきた数字と五つのシャーレが、圧倒的な強さを物語る。来季のJリーグ加入者は全大学中最多の9名。「ここまでできるとは思わなかった」(佐藤亮)。令和元年に、大学サッカー史上最強チームがあったこと。その事実は、永きにわたって語り継がれる伝説となる。


【高野順平】


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