(61)日本学生氷上競技選手権 演技後インタビュー 男子FS 鎌田詩温(後編)

フィギュアスケート
2020.01.10

 男子総合4位、女子総合優勝で幕を閉じたインカレ。4年生にとっては大学を背負って戦う最後の大会を終え、気持ちを伺った。今回はFS(フリースケーティング)演技後の鎌田詩温(商4=札幌一)のコメントをお届けします。

 

――インカレを一つの目標としてここまでやってこられたと思いますが、インカレを終えていかがですか。

 「この1年間の個人としての目標は全日本選手権だったんですけどそれが途絶えてしまい、その後はうまく気持ちを切り替えられませんでした。まだ2カ月あると思っていたらもうインカレ2週間前くらいになっていました。元々は太一朗(山隈・営1=芦屋国際)が出る予定で、耀司(中野・営4=横浜創英)と太一朗は黙っていてもやってくれる男なので優勝は自分の成績次第だなと思っていました。それは僕だけではなく応援してくださる人も、僕の演技次第で明治の成績を左右すると思っていたのでプレッシャーはありました。あと立場上、ここでやらなきゃ総合主将に選んでもらった意味がないと思っていたのでそのためにも、残り2週間を切ったくらいでスイッチが入り、張ろうと思えました」

 

――自分の中で自然とスイッチが入ったのでしょうか。

 「僕は全日本選手権で3位に入った鍵山優真(星槎国際高等学校横浜)くんとほぼ毎日練習していて、彼はいつも練習でもノーミスばっかりなんですけど、全日本を見た後に、こういう子たちから見たら自分ってどういう先輩なんだろうと考えることがありました。特に1年生からしてみれば成績的には本当に頼りない総合主将ですけど、慕ってくれる後輩たちが自分の心に火を付けてくれたといいますか、消えかけていた気持ちをもう一度取り戻させてくれたことが一番大きいです」

 

――改めて4年間を振り返ってみていかがですか。

 「めちゃめちゃ早かったです(笑)。ついこの前に入学したばかりで、佐上凌(平31商卒)くんとかの背中を追いかけて、こうなりたいという目標があったりしました。でも結果的にかなったりかなわなかったりして時間も過ぎたりして。自分は成長できたのかどうかは全く分からないですけど、明治大学スケート部を任せてもらえたりして、濃い時間を過ごしていたんだなと思います。ただ、あと4年くらい欲しいですね(笑)。できるのであればもう1回明治に入学し直してまた1からやり直したいくらい楽しかったです。メンバーにも恵まれましたし環境にも恵まれたので、本当によかったなと思います」

 

――総合主将として過ごした1年間の感想をお願いします。

 「総合主将に選んでもらってから、スケート部のトップとしてやりたいことがいろいろとありました。なのでやりたいことリストを作ってそれをできる範囲でどんどんやっていこうと思って過ごしました。主にSNSを作ったりスカウト活動をやっていました。2年生の時にケガをして3年生の時に主務を経験したんですけど、その経験があったから見えることがすごくあったと思います。それがなかったら今こういう風に任せてもらっていなかったと思いますが、そういうことに気付けたのが今年に入ってすぐの頃だったので、もっと前に気付けていたら明治大学スケート部はいい方向に変わっていたのかなとも思います。ですが、自分がやれることには全力を注いできたつもりですし、これからの明治につながっていく伝統的なものを残していきたいという思いでやってきました。それができたのかどうかは分からないですけど、スケート部の改革には全力を尽くしてきました。正直これもあと1年くらいほしいですけど、自分の中では妥協もしなかったのでそこは満足しています」

 

――最後の公式戦となる国体に向けて意気込みをお願いします。

 「早いな(笑)。本当に自分の最後の演技になるので最後は自分が楽しんで悔いなく終わりたいというのが一つの目標です。ただ、きっとどんな演技をしても悔しい思いは残ると思うので、自分のスケート人生を通してお世話になった全ての方々への恩返しの気持ちや、後輩にも何か僕の思いを伝えることのできる演技ができればいいなと思います。かじけん(梶田健登・平31政経卒)の言葉を借りるなら、記録より記憶に残る演技がしたいなと思います」

 

[中野拓土]