(52)箱根直前特集⑪ 鈴木聖人インタビュー
箱根まで残りわずか。夏以降、箱根予選会、全日本大学駅伝、11月の記録会と奮闘が光った下級生。エース・阿部弘輝主将(政経4=学校法人石川)ら4年生も、最後の舞台に向けてこのままではいられない。チーム一丸となり、5年ぶりシード権をつかみ取る。
今特集では、箱根に向けた座談会の模様や14日に行われた合同取材での選手コメントなどなど全24回にわたりお届けします!
第11回は鈴木聖人(政経2=水城)のインタビューです。(この取材は12月14日に行われたものです)
――夏以降、メンタル面での課題というお話を多く伺ってきました。
「高校時代からそうなんですけど、自分は悔しい思いや挫折を味わってから強くなるタイプなので、本当にいい課題となったと感じています。今もあまりいい捉え方ができているとは言い切れないんですけど、ここで腐ってしまったら逃げだなと思っています。ここでしっかり自分と向き合えば、3、4年生で大きく強くなれる、そのための課題だと思っているので、夏を比較しないように今の自分が最大限走れるように考えていこうと思います」
――今年は同期で手嶋杏丞(情コミ2=宮崎日大)選手と金橋佳佑(政経2=札幌山の手)選手が調子を上げてきました。
「2年生は弱い、谷間世代だと言われてきた事が悔しくて、なら自分がやってやろうという気持ちは1年生の頃からありました。ここで手嶋とか金橋が調子を上げてきて、なんなら自分よりも調子がいいなと思っています。いい意味ではとても信頼できる一方で、悪い意味だと比較してしまうような存在なので、あまり気にせず自分がそこで腐らないように、2人に刺激を入れられる選手になりたいなと思います」
――苦しい中で、11月には自己ベストの更新もありました。
「(今年は)走ってみたら意外と走れたということばっかりで、そういう状況だとあんまり自信につながらなくて。自信を持ってレースに出てしっかり結果を残すという事がベストだと思っているので、箱根駅伝ではたまたまにはならないように、走る前からそういう気持ちでスタートに立ちたいです」
――走りたい区間はありますか。
「往路区間で、できれば1区2区5区とかが(走りたいです)。1区だったら流れをつくる区間、2区はエース区間でどこまで自分がいけるか、とても大事な区間なので粘って3区にいい流れで持っていけたらいいなと思っています。5区は、箱根駅伝でしか経験できない起伏のあるコースで、どこまで自分が坂を上れるのか、もし適性があったら明大にすごく貢献できる区間だと思います」
――5区の対策はどのように行ってきましたか。
「明大の甘さが出てしまうのは5区でなかなか結果を残せていないことだと思っていて、自分も5区に適性があるかはわからないですが、任されたら不安にならないようにロードで起伏のあるコースを選んだり、走り方も少し工夫して、動画を観たりすることでイメージトレーニングをしてきました」
――阿部主将の下での1年間はいかがでしたか。
「阿部さんも後期なかなか思うようにいっていなくて、その中でも自分がうまく行っていないときに相談をするとプラスな言葉を掛けてくださりました。本当にキャプテンとしても選手としても尊敬する選手です。発言と行動がすごく伴っている主将で、明大にたくさんの刺激を与えてくれる存在。本当にすごい人だなと思います。今年はしっかり4年生が笑顔で終われるように、走りで恩返しができればと思っています」
――主将がチームに戻り、雰囲気は変わりましたか。
「阿部さんがいない中で、しっかり予選会や全日本を戦ってきたので、阿部さん頼りにならなくなってきた、阿部さんが抜けたことで各選手の意識が高まりました。その中に今阿部さんが戻ってきたということで、安心感があります。阿部さんに期待をするのではなく、自分たちがしっかりと結果を残して、その中で阿部さんも結果を残してくれたらいいなと、阿部さん頼みにならないようになりたいと思います」
――箱根駅伝への意気込みをお願いします。
「今年はしっかりどの区間を任されても上位の走りをして、チームに貢献する走りをしたいと思います」
――ありがとうございました。
[仁科せい]
箱根駅伝まで、あと8日。
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(66)念願の5年ぶりシードへ 古豪復活待ったなし/箱根駅伝展望
競走 2020.01.01いよいよ復活への号砲が鳴り響く。昨年度の箱根は終盤までシード争いを繰り広げるも、最後に力尽き17位。あれから1年、最終学年となった阿部弘輝主将(政経4=学校法人石川)を中心としたチームが再び箱根路に戻ってきた。目指すのは5年ぶりのシード権のみ。何としても10位以内でゴールし、古豪復活をアピールしたい。 前半から食らいつく。スターターは今年度準エースの座を確保した小袖英人(政経3=八戸学院光星)。区間5位と健闘した全日本に続き「トップと15秒差」(小袖)でタスキをつなぐことが目標だ。「今年度はかなりハイペースになるのでは」と目論む山本佑樹駅伝監督。チーム随一のスピードを誇る小袖で、最高の滑り出しを狙う。続く2区には「今調子がいいなという選手を使いたい」(山本駅伝監督)。エントリーされているのは1年生の加藤大誠(営1=鹿児島実)。タフなエース区間だが、「どの区間が来ても心配ない」(加藤)。3区の小澤大輝(政経1=韮山)とともに、ルーキーらしいフレッシュな走りで流れをつないでいく。 最大の注目は5区にエントリーされた鈴木聖人(政経2=水城)だ。もともとの高い走力と、チーム内でトップクラスの上り適性を持つ鈴木。ロードを走る際には起伏のあるコースを選ぶなど、山上りに向けて心身を整えてきた。「5区は明大にすごく貢献できる区間」(鈴木)。ここ最近、課題となっていた上りをアドバンテージに変えることができるか。「往路が終わった時点でシード圏内にいたい」(山本駅伝監督)。往路のカギは鈴木に託された。 復路は総合力が試される。昨年度好走した前田舜平(政経3=倉敷)と村上純大(政経3=専大松戸)は今年度も同区間へのエントリー。前回超えに期待がかかる。また、7区にエントリーされている三輪軌道(理工4=愛知県私立愛知)は現段階で唯一の4年生だ。監督が「往路と同程度」の重要区間と位置付ける7区。昨年度4人抜きを見せた箱根で、競技人生の集大成を披露する。現段階では上級生のみが占めている復路。層の厚さを見せつけ、シードを確固たるものにしてみせる。 大エースの阿部は補欠に回され、往路出走が濃厚な手嶋杏丞(情コミ2=宮崎日大)や安定感抜群の河村一輝(政経4=大垣日大)らもリザーブとして控えている。100パーセントの状態ではなくとも戦線をかき乱すことのできる阿部の起用区間を含め、全部で4つの枠の中でどのようなエントリー変更が行われるのか、目が離せない。「シードを取ったら出雲(駅伝)を走れる。駅伝の経験を増やすことが大事なので、何とか今年度はシードを取りたい」(山本駅伝監督)。その希望をかなえる力は確実に秘めている。今こそ、解き放つ時だ。 [川和健太郎]READ MORE -
(65)箱根直前特集㉔ 鎧坂哲哉選手インタビュー
競走 2020.01.01箱根まで残りわずか。夏以降、箱根予選会、全日本大学駅伝、11月の記録会と奮闘が光った下級生。エース・阿部弘輝主将(政経4=学校法人石川)ら4年生も、最後の舞台に向けてこのままではいられない。チーム一丸となり、5年ぶりシード権をつかみ取る。今特集では、箱根に向けた座談会の模様や14日に行われた合同取材での選手コメントなどなど全24回にわたりお届けします! 第24回は鎧坂哲哉選手(平24営卒・現旭化成)のインタビューです。(この取材は12月12日に行われたものです) ーーご自身が明治大学に入学された理由は何でしょうか。 「西さん(弘美スーパーバイザー)の勧誘があったんですけど、西さんはほんとに面白い人だなっていうのがありました。自分と合わない人と4年間過ごすのは辛いなというのがあったので西さんだと話しやすいですし、他の監督さんだと勧誘中に冗談とか言わないんですけれども、冗談ばっかりで。この人本当に面白いなというのがあったかもしれないですね」 ーーその中でご自身が箱根駅伝で印象に残っている事は何でしょうか。 「4年生の時の3位になったっていうのは、故障も抱えていた中で、往路から後輩たちが頑張ってつないできて、最後おいしいところをもらって走れたというのは良い思い出ですね」 ーー1年生から4年生まで違う区間を走られましたが、それぞれの箱根を振り返っていかがですか。 「1年生の時は1区でした。1週間前に足を痛めたのもあって、いったんあきらめて無理かなと思っていたら、意外と治療がうまくいって間に合いました。吹っ切れた気持ちになりつつ1区で失敗できないという緊張もありつつだったので。複雑な感じでしたけど、意外と楽しく走れたのかなと。フラットなコースで、最後スパート合戦というところだったのですが、故障の時に痛めていたところが不安で最後行き切れなかったというところもありますし、予想していたところよりも手前でスパートされたので追いつけなかったというところもあるので、そこは油断もありました。2年生の時の3区は下り基調のコースで、最後海沿いの風がある区間でしたけど、2年生の時は往路優勝狙えるぞという布陣で。4区までどれだけ稼げるかというところだったので、頑張らなきゃと思いつつ、失敗はできない、自分のところでトップに持っていくというのを思い描いていたらトップでもらうという状況でした。少しびっくりはしましたけど、その分自分のペースで行けたので走りやすかったですね。3年生のときの2区はエース区間と言われるところで、任されたからにはそこで流れをしっかり作れるようにと思って走りました。やっぱり後半のことも考えて前半ゆっくり走り始めて、後半上りのところはしっかり走れたのでトータルとしてはしっかり走れたかなとは思います。区間賞、日本人トップが村澤(明伸、東海大・現日清食品グループ)だったというのもありますけど、村澤は最初から突っ込んで最後まで行き切っているのを、抜かれながら見てしまうと、どうしてももうちょっと突っ込んでいたらどうなっていたかなという思いがありますね。4年(10区)はもう楽しみながら走っていました。早稲田を抜かなきゃなというところで、腰の痛みと相談しながら、15キロ過ぎても差が詰まらないようであれば痛みを無視して追いかけなければいけないし、詰まっているようであれば最後まで抜けるような走りをしようと。結果的に10キロ過ぎで急に詰まってきたので、無理はしなくても抜くことはできました。そこからは、ほぼほぼ楽しんで走っていましたね」 ーー部の雰囲気は4年間を通していかがでしたか。 「1年生の時から過ごしやすくはありましたし、上下関係が厳しくて1年生がつらいということも僕自身は感じませんでした。西さんが監督でしたし、監督があの雰囲気なので(笑)。比較的緩めな。でも練習でやらなくてはいけない時はピリッとするようなところもあり。4年間通じてそんなイメージはありますけど、その年代のキャプテンによって多少色が変わっていったのかなというのはありますね。4年の時に自分はキャプテンやっていましたけど、日本代表もさせてもらいましたし、日本陸連の遠征としてヨーロッパ遠征なども呼んでもらいましたので。夏の間はほとんど部にいなかったのもあるので、夏の雰囲気が分からなかったです。メールとかで聞くは聞くんですけど、もうそっちはそっちで任せるしかないし、自分は自分で遠征に行っているんだったら結果で示すしかないから、『もう行った先では結果を出そう』という感じの4年間の雰囲気でした」 ーー今の明治が鎧坂選手の時代のように強くなるためには、何が必要でしょうか。 「僕らの時代は強い選手が本当に自分で考えて練習をしてたなという印象がやっぱりあって。自分が1年生の時の3、4年生の先輩が特に、それぞれスピードが無いんだったらジョグは基本的にロングジョグばっかりする、箱根駅伝でいったら前半区間は任されないかもしれないけど、復路の7、8、9、10区のところでは使ってもらえるような選手になるためにそういう練習をするっていう選手がいたり。逆にスピードがないからこそ、スピードを磨くようなことをジョグの時にしてみたりとか。それぞれ本当にいろいろ考えながらやってる先輩がいたので、自分としても『こういう考え方の人がいるんだ』『こういうことできるんだ』とかいろいろ考えさせられました。そういうのを上級生が積極的にやっていって、下級生がそこから何か感じ、考えることができて、どんどんどんどん上級生になっていくっていう連鎖がつながっていってくれればいいなとは思いますし、それが強かった時の良いサイクルだったのではないかなというふうに思いますね」 ーーご自身の今後の目標は何でしょうか。 「東京オリンピックに関しては、学生時代にロンドンの標準切っておきながら出れず、リオの前も標準を切っておきながら出れずという、2大会手をかすめている、本当にそういう状況なので、自国開催の東京に関しては本当に絶対に出なきゃいけないと思いますし、三度目の正直じゃないですけどそこをしっかり狙っていきたいなっていうところですね」 ーー最後に、後輩たちに向けてエールをお願いします。 「本当にそれぞれ今まで努力してきたことがあると思います。その結果の一つじゃないですけど、この前の学連記録会では多数の自己ベスト出ていたと思うので、チーム状況としては上向いてきていると思います。4年生がちょっとエントリー少ないのが気になりましたけれど、それを1、2年生たちがどれだけカバーするっていうよりは、勢いで怖いもの知らずでどんどん行ったところを上級生3、4年生がカバーしていくような走りができたら、結果も面白くなってくるんじゃないかなと思いますし、それぞれの思いをしっかり持って走ってもらいたいなと思います」 ――ありがとうございました。 [川和健太郎] 箱根駅伝まで、あと1日。READ MORE -
(64)箱根直前特集㉓ 横手健氏インタビュー
競走 2019.12.31箱根まで残りわずか。夏以降、箱根予選会、全日本大学駅伝、11月の記録会と奮闘が光った下級生。エース・阿部弘輝主将(政経4=学校法人石川)ら4年生も、最後の舞台に向けてこのままではいられない。チーム一丸となり、5年ぶりシード権をつかみ取る。 今特集では、箱根に向けた座談会の模様や14日に行われた合同取材での選手コメントなどなど全24回にわたりお届けします! 第23回は明大競走部OBである横手健氏(平28政経卒・現富士通)のインタビューです。大学当時の思い出やこれから箱根を走る明大選手への応援メッセージを語っていただきました。(この取材は12月5日に行われたものです) ――大学4年間の中で一番印象に残っているレースは何でしょうか。 「大学4年間の中で自分が変わるきっかけになったと思うのは2年目の箱根で5区19番だったときですね。高校時代の結果が良く、少し慢心していて、天狗になっている部分がありました。それまで大きく失敗したという経験がなかったなか、山でどん底を味わされましたね。でもそれがあったおかげで、自分に何が足りないとか何でこうなったのかを深く考えるようになりました」 ――そもそも明治大学を選んだ理由は何だったのでしょうか。 「高校の大先輩の宇賀地さんを追って駒大に行きたいという気持ちがありましたが、2009年に明治大学がシード権を取り始めた印象が忘れられませんでした。伸び盛りの雰囲気の中で練習していたほうが自分には合っていると思い、明大を選びました」 ――4年次、主将兼エースとしての活動はいかがでしたか。 「自分の前の年が明治史上一番強いと言われていた世代で、どうしても比較されてしまうので、自分が引っ張っていかなきゃいけないという気持ちがありました。でも4年次の7月に1万で27分台を出して以降、故障してしまい、試合で引っ張れないもどかしさもありましたね。ケガをしている間というのはどうしても練習で引っ張ることができないので、箱根の前になってようやく主将らしさを見せれたのかなと思います」 ――そして4年次の箱根シード落ちの際はどのような心境でしたか。 「僕らの代でこうなってしまったのか…というのは、終わった後木村慎(平28商卒・現Honda)と話していましたね。メンバーだけで考えたらあそこまでのレースになるはずはなかったんですけど、やっぱり区間20番が二つ出てしまうと、その後取り戻すのも難しいというのはありました。でも結果的には下に頼らなければいけなかったという雰囲気にしかできなかったという反省点もあります。僕はどちらかというと背中を見せて黙ってついてこいというよりは言葉で引っ張るような主将でしたが、今思うともう少しやれることはあったかなという気がします」 ――明大で注目されている選手はいらっしゃいますか。「阿部は当然として、1年生の加藤君(大誠・営1=札幌山の手)、2年生の鈴木君(聖人・政経2=水城)と手嶋君(杏丞・情コミ2=宮崎日大)ですかね。河村君(一輝・政経4=大垣日大)も面白いですよね。走れば走るほど長い距離は走れるようになってきていますので。そういう意味ではみんな可能性を秘めていると思います」 ――箱根駅伝が横手さんにくれたものは何でしょうか。 「人とのつながりができたと思います。大学に進学した以上、4年間箱根というものは当然ついてきて、箱根で上を目指したいって気持ちは、高校から実業団に入っていたら得られない経験です。その大学4年間で箱根がもたらした人と人との繋がりは感じます。また西さんには4年間育ててもらって感謝していて、西さんだから1万メートルで27分台を出せたと思っています」 ――今後の目標をお願いします。 「昨年、自律神経の病気をやってしまって、そこから上がってこれない時期が続いていました。12月の日体大記録会で久しぶりに試合に復帰して、試合に出るってこんなにいいことなんだなという気持ちになれました。同期の服部勇馬などかつて戦えていた人たちは、レベルが離れてしまって、今まではその現実を受け入れがたかったです。でもこの前の1本ですごく吹っ切れたので、日本一を目指すような舞台で走りたい気持ちが芽生えました。具体的な目標というのはまだなかなか出せないんですけども、日の丸を背負う争いがしたいと思います」 ――これから箱根を走る後輩たちにエールをお願いします。 「ここのところ低迷しているはしているんですけど、その中でも今年の明治の選手はそろっていると思います。山本監督の考えがきっちり浸透し始めて、結果を出すのであれば今年なんじゃないかなと。僕らの代では落としてしまいましたがシードを取って当たり前の明治が見たいので、ぜひ強い明治をみせつけてほしいです」 ――ありがとうございました。 [綾部禎、仁科せい]箱根駅伝まで、あと2日。READ MORE