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第91回4位以来の5年ぶりシード権獲得へ‼

競走 2019.12.19

 5年越しのシード奪還へと突き進む。昨年度の箱根駅伝(以下、箱根)では17位と低迷。再起に向けて、絶対的エース・阿部弘輝(政経4=学校法人石川)が主将に就任した。4年生の不調でチーム状況は良くはないものの、次々と台頭してきた下級生。15位に終わった全日本大学駅伝(以下、全日本)の雪辱を箱根で果たすために。古豪の意地を懸けた戦いは、下級生の奮闘がカギを握る。


転機

 「阿部なしでいくぞ」(山本佑樹駅伝監督)。夏前、阿部が秋以降のレースを回避することが告げられた。これまで27分台ランナーとしてチームの中心だった大エースが故障。「危機感を持たなければ」(小澤大輝・政経1=韮山)。チームの雰囲気は一気に引き締まった。夏合宿では、学年関係なく走れる選手が前へ出ることを徹底。練習内容も自主性を意識し、与えられた距離や目的から選手自身が組み立てた。

 結果はすぐに表れる。箱根予選会では、手嶋杏丞(情コミ2=宮崎日大)が日本人4位の好走。11月の1万㍍記録挑戦会では、小袖英人(政経3=八戸学院光星)、鈴木聖人(政経2=水城)、手嶋がそろって28分台をマークした。一方でルーキーも負けてはいない。シーズンベストの上位5人平均では、ハーフマラソンで1年生がトップ。中でも加藤大誠(営1=鹿児島実)は63分29秒でチーム2位に位置する。「選手が必死にしがみついてくるイメージ」(山本駅伝監督)。エース不在の中、模索を続けたこの半年。いつしか危機感は前に進む原動力になっていた。


継承


 成長の裏に一つの変化がある。「ジョグの質を意識して取り組むようになった」(小袖)。チーム全体で取り組むポイント練習とは違い、各自に任されているジョグ。「基礎となるジョグをどれだけ真剣に積めるか」。そう一番に考えていた選手こそが阿部だった。チームから離れてもなお、腐らずリハビリに専念するエース。後輩たちは、その姿を見て学び、時にアドバイスを受けてきた。「ジョグの走り方一つでこんなに変わるのかと」(手嶋)。距離やペース、目標にこだわった質の高いジョグは、長い距離に耐えられる脚力につながった。「下級生の底上げでチームのレベルが上がってきた」(阿部)。走れなくても、いつだってその背中はお手本。〝阿部頼み〟と言われたチームは今、変革を遂げている。


躍進

 全日本では無念の15位。自信と経験のなさから〝駅伝での弱さ〟に直面した。「このままではシードは厳しい」(山本駅伝監督)。その危機感が意識を変えた。11月末の富津合宿では〝きつい中でどう我慢するか〟を徹底し、追い込み練習を強化。毎週木曜の練習にはロングジョグを取り入れ、距離に対する不安をなくしていった。またメンタル面では過去の駅伝映像を分析。経験がないからこそ駅伝の走り方をイメージすることは丁寧に。シード獲得へ、チームはまとまりつつある。

 逆境に直面しても、前へと走り続けてきたこの1年。成長を遂げた選手たちには、誇り高い紫紺の血が受け継がれている。「阿部さんには笑顔で終わってほしい」(鈴木)。大エースと共に戦う最後の大舞台。〝令和で起こす明治維新〟。この言葉を夢では終わらせない。


【仁科せい】



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