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吉田冬優 「悔いなし」最後のインカレは最高の〝卒業式〟に

水泳(競泳) 2019.09.26

 重圧に打ち勝った。3日間にわたって行われた日本学生選手権(インカレ)。吉田冬優(政経4=淑徳巣鴨)が200㍍自由形に出場し、1分48秒09の自己ベストで初優勝。初日の400㍍自由形2位の雪辱を果たし、最後の個人種目で結果を残した。5連覇を目指した男子団体は2位に終わったが、吉田がエースの責務を全うした。


命懸けのレース

 渾身(こんしん)のガッツポーズが飛び出した。「ここで負けたら命取られる」。400㍍自由形での悔しさを胸に臨んだ200㍍自由形決勝。100㍍付近で1位に浮上すると最後は力強いストロークで突き放しゴール。順位を確認した瞬間、拳を水面に勢いよくたたきつけた。「感情が爆発した」と喜びをあらわにしたが、水から上がるとその態度は一変。座り込み、涙をこらえる姿が。「4年間の全てが込み上げてきた」。あふれる思いをかみ締め、表彰台の一番上へと向かった。

 

尊敬される人に

 小学生のときは周りが手を焼くほどのヤンチャな悪ガキ。先生にはタメ口、殴り合いのけんかも日常茶飯事だった。「人を尊敬することがなかった」。水泳に本気になることもなく、しまいにはコーチも「水泳やめろ」と一喝。そんな中、突然訪れた転機。中学1年次、新たな所属先に決まった三菱養和スポーツスクールで中川智之コーチに出会った。吉田に対して心からぶつかってくる姿に「中川先生のようになりたい」。尊敬する人に近づくために悪ガキは鳴りを潜め、一心不乱に水泳に打ち込んだ。徐々に結果は表れ、中学3年次に100㍍自由形で全国優勝。周りに対する接し方も変わり、人としても成長。いつしか仲間から応援される選手に。明大に入った後もその姿勢は変わらない。寮外生ながら同期や後輩に積極的に話し掛け「兄のような存在」(溝畑樹蘭・政経3=報徳学園)と慕われた。「中川先生の下で水泳ができたから、今の自分がある」。かつて思い描いた〝尊敬される人〟。気付いたときには自分がその存在になっていた。


つないだバトン

 「チームの柱となる」。松元克央選手(平31政経卒・現セントラルスポーツ)が抜け、エースの責任を一身に背負った。その重圧の中で勝ち取った初V。表彰式では前大会の覇者、松元選手から「これがやりたかった」と花束を渡された。「一番認めてもらいたかった」。同種目の明大勢連覇、そしてエースのバトンをしっかりと引き継いだ。「卒業式」と位置付けた今回のインカレ。最後は「悔いは一切ない」と曇りのない表情で答えた。


【岩田純】


◆吉田冬優(よしだ・ふゆ)東京都出身、映画を見るのが趣味で、最近見た映画は『トイ・ストーリー4』。188㌢・86㌔


重見 魅せた主将の意地

 主将として最後のインカレに臨んだ重見主将(政経4)。出場した100㍍、200㍍背泳ぎでどちらも自己ベストを更新して決勝に進出した。100㍍背泳ぎでは涙を流しながら入場。3位に輝き、自身初の表彰台入りを果たした。総合5連覇を懸けて臨んだ今大会。持ちタイムから予想される順位では7位と、連覇はおろかシード権も危うい状況。しかし、吉田や重見を中心に4年生の奮闘で総合2位に押し上げた。連覇は逃したが「過去1番のチーム」と晴れやかな表情でプールを後にした。


◆重見和秀(しげみ・かずひで)東京都出身。181㌢・80㌔


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