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Moment 4th 競走部・藤森菜那

競走 2019.09.26

◆本連載では写真にまつわる印象的なエピソードをお届けします


 学生最後の大舞台、藤森(情コミ4)の場所は2番だった。それでも「楽しかった」。そう言い切る彼女の笑顔は今までで〝1番〟輝いていた。

 「(一昨年度の)7位も5位も一緒だ」。昨年度の同大会、100㍍H決勝5位に終わってつぶやいた。期待の新星として入学するも待っていたのは地道な練習。天性のセンスで跳んでいたため、一からの技術習得が必要だった。記録も結果も出ず苦しむ中で「優勝しか目指していない」。そう口にすることで何とか自分を奮い立たせていた。

 しかし今春、コーチから掛けられたのは「大学最後の年を楽しもう」という言葉。努力は十分尽くしてきた。あとは競技を楽しむだけ。重圧から抜け出した藤森は、5月の関東インカレ、6月の日本学生個人選手権で続けざまに優勝。日本選手権では学生で唯一決勝に進出した。「陸上が好きだったから、コーチを信じて頑張ることができた」。4年間の思いが開花した瞬間だった。

 決勝のレースは100分の1秒差。惜しくも3冠へは届かなかった。それでも「楽しかった」から悔いはない。「心の中では優勝したかった(笑)」。負けず嫌いは変わらないけれど、それもきっと自分らしさ。いつかもっと大きな舞台で。今度は〝1番上〟でその満面の笑みが咲くことを夢見て。


【仁科せい】


♥藤森菜那(ふじもり・なな)静岡県出身。169㌢


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