安井恒介 唯一無二の道標

バレーボール
2019.09.23

 「バレーが大好き」。その真っすぐな思いが安井恒介(政経1=市立尼崎)を突き動かす。スタメン起用は1年生ながら、春リーグ11戦中10試合。チーム一を誇る最高到達点346センチの高さと、物怖じしない力強さは明大に新しい風を吹かせる。

 

経験

 喜びとその裏の影によって浮かび上がったのは、強くなろうともがく安井自身だった。高校1年次はベンチ入りさえできなかった安井。下積みの期間で養われた視野の広さを買われ、スタメン起用だけでなく3年次にはキャプテンに抜擢された。「今年は優勝を目指す」と宣言し、仲間とともに厳しい練習に耐えた。迎えたインターハイ決勝では名門・洛南高を下し、兵庫県勢として初の優勝を果たした。「気づいたらメダルを掛けられていた」ほど夢中で戦い抜いた結果だった。しかし、意図せず生まれる気の緩みが優勝後のチームのまい進にブレーキをかけた。「何をしてもうまくいかなかい」。練習試合で一勝もできない現実。十分にチームの勢いがつかめないまま1月の春高バレーのセンターコートに立った。準決勝、再び洛南高と対戦するも、結果は負け。日本一に再び輝くことはできなかった。「全国制覇の喜びからチームを立て直すことの難しさを痛感した」。この時感じた思いが安井だけの強さをつくり上げた。

 

強さ

 安井には憧れの存在がいる。同じポジションであるMB三輪大将(政経2=高川学園)だ。三輪は昨季の全日本インカレ3位など明大の躍進に一役買った大きな存在だ。高校生の頃から尊敬しており「プレーを間近で見たい」と、明大を進学先に選んだ理由にも三輪は欠かせない。「パワーで押し切る自分と違って器用」なプレーは、三輪の魅力であり目標とする所。隣でボールに触れる三輪はもう遠い存在ではない。憧れの存在と共に更なる成長を遂げる。

 己を持っている。安井の考える強い選手像はスパイクのうまい選手ではない。「調子に乱れのない選手」。強くあり続けることの難しさを知る安井だからこその選手像だ。壁にぶち当たって手に入れてきた糸。それを紡いでできたのは安井だけの道標。その道標はきっと日本一の優勝旗となる。

 

[青木優実]   

◆安井 恒介(やすい・こうすけ) 政経1、市立尼崎高、189センチ・82キロ。好きな食べ物は大阪出身らしくお好み焼きとたこ焼き。