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ルーキー特集(6) 力強い直球を武器に 六大学一の投手へ 高山陽成

硬式野球 2019.08.30

 毎年恒例の硬式野球部ルーキー特集。今年も全国からトップレベルの選手が入部してきた。その中でも活躍が期待される注目の選手を全8回にわたって特集する。

 

 最速140キロを超える速球と多彩な球種を用いて、エースの座を狙う。高山陽成投手(文1=作新学院)は栃木県が誇る名門・作新学院出身。部員数90を超える大所帯で1年生の秋からベンチ入り。さらに3年にはエースを任されるなどその実力は折り紙つき。今春は出場機会に恵まれなかったものの、マウンドを任される日は遠くはない。今後に期待がかかる技巧派投手だ。

 

 高山の野球人生を語るににおいて欠かせない先輩がいた。父親とのキャッチボールがきっかけで始めた野球。中学時代は投手よりも捕手として試合に出場。しかし投手としての実力が認められ、強豪・作新学院へ入学する。1年次の夏、54年ぶりの甲子園優勝を果たした作新学院。高山はアルプスから先輩たちがマウンドに駆け寄る姿を見ていた。その中心にいたのは当時エースの今井達也投手(現埼玉西武ライオンズ)。「練習から普段の振る舞いまですべてかっこよかった」。一緒にキャッチボールをして、憧れの先輩から投げ方など様々なことを教わることができた。2人が同じチームに在籍した期間は短かった。それでも高山にとっていい刺激となり、今後の投球への糧となった。

 

 投手としての道のりは決して楽ではなかった。新チームになると、高山はエースに抜てき。しかし「全然成績を残していない自分でいいのだろうか」。県大会では優勝を逃し、秋の関東大会に出場するも全国レベルの東海大相模を相手に5回コールド負け。安定しない投球に自信が持てない日々が続く。そんな苦悩の毎日から抜け出したきっかけは監督からの言葉だった。3年次の春の練習試合では1回8失点を喫し大炎上。失意を胸にマウンドを降りるも「どれだけ打たれてもお前しかエースはいない」(作新学院硬式野球部監督・小針崇宏氏)。その一言がエースの重圧に押し潰されそうな高山を救った。「覚悟が決まった」。思いを新たにひたすら投げ込む日々。順調に調子を上げ、夏には背番号1を獲得。そうそうたるメンバーが背負ってきたなだけにプレッシャーも感じたが、ベンチ外の仲間のためにも勝利することを誓った。すると県大会では圧巻の投球を披露。高山は3回戦から登板すると、決勝戦までの4試合で許したのはわずか2失点。エースとしてチームをけん引し、県大会8連覇で甲子園の切符をつかんだ。甲子園では惜しくも優勝を果たした大阪桐蔭に敗れた。だが高山は投手として確実に一回り大きく成長した。

 

 将来に向け照準を合わせる。春季リーグ戦での登板はなかったものの「12年生は下積み時代」。目先のことにとらわれず、長い目で見て成長する努力をすることを決意。今は投球フォームの改善、新しい変化球の会得に励んでいる。いつか「明大にこんな投手がいたのかと言われたい」。神宮のマウンドを夢見て日々前進し続ける。


[久野稜太]

 

◆高山 陽成(たかやま・ようせい) 文1、作新学院、177センチ・75キロ、右投右打、投手 趣味は音楽鑑賞。左手でじゃんけんをするとよく勝てるらしい。

 

次回のルーキー取材は8月31日(土)上田優弥外野手(政経1=日本航空石川)です。お楽しみに!

 



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