東福岡撃破の立役者 憧れの明治へ 紀伊遼平
持ち前の突破力を武器に猛然と突き進む。フッカー紀伊遼平(営1=桐蔭学園)は、ラグビー一家で育った生粋のラガーマン。キャリーの強さを生かしたプレーで、花園準優勝に大きく貢献した逸材だ。高校日本代表にも選出された新星は、選手権連覇が懸かるチームで大きく躍動する。
史上初金星
西の横綱相手に聖地で初の金星を挙げた。98回目の開催を数えた昨年度の花園。優勝候補の一角と目されていた桐蔭学園高は順調にトーナメントを勝ち進んでいく。準決勝・東福岡高との一戦は全国屈指の強豪対決。立ち上がりから一進一退の攻防が展開された。17―10とリードして迎えた前半25分、味方からトップスピードでパスを受けると、ハンドオフを駆使した持ち前の力強いボールキャリーで、ディフェンスを次々と突破。最後は片手でトライを決めた。勢いに乗ったチームは、4638で勝利。桐蔭学園高史上初となる花園での東福岡高撃破を果たした。
2回戦の石見智翠館高戦でのケガにより、準々決勝の欠場を余儀なくされた。しかし「桐蔭はラグビーを一から学んだ場所。だから、チームのためにどんなことでもしないと」。誓いを立て臨んだ復帰戦で、持ち前の攻撃的なラグビーを余すことなく発揮。歴史的勝利の立役者となった。
紫紺の継承
父と3人の兄全員がラグビー経験者。生粋のラグビー一家で育った紀伊は、2歳の頃から地元のスクールに通い、兄たちの背中を追った。大学進学のきっかけをつくったのも、次男・晧太選手(平28文卒・現中部電力)の影響が大きい。3年前の明治で、ウイングとして活躍していた兄。間近で見てきた紫紺への思いは、より一層強いものになっていった。さらに、高校の先輩でもある憧れの中村駿太選手(平28商卒・現サントリーサンゴリアス)や、桐蔭学園高の恩師・藤原秀之監督から「4年間本気でラグビーするなら明治」。この言葉に後押しされ、高校3年次の春に明治進学を決意。さまざまな人の期待を背負い、新境地へ足を踏み入れることを決心した。
新たな挑戦
期待のルーキーは貪欲に学ぶ。現在、フッカーのポジションには武井日向主将(商4=国学院栃木)やリーダーの松岡賢太(商4=京都成章)が君臨し層が厚い。そのため、ルーキーイヤーは2人から「いろいろなことを吸収する年にしたい」と目標を掲げている。そして、兄たちの果たせなかった日本一の栄冠をつかむために。まずは自慢のアタックラグビーにさらなる磨きをかけていく。
【髙智琉大朗】
◆紀伊遼平(きい・りょうへい)東京都出身。試合前には必ずシャワーを浴びる。173㌢・97㌔
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