特集記事
SPECIAL

箱根の危険に喝! 途中棄権の闇から選手を救え

競走 2018.12.19

 もうすぐ100周年を迎える〝お正月の風物詩〟は、見直しを迫られている。近年、箱根では疲労骨折、脱水症状などのアクシデントが後を絶たない。その主な要因は、レース環境とコンテンツの大きさだ。より選手の安全面を重視した箱根の在り方が求められる。


癒えない心の傷

 今年度で95回目の開催を迎える箱根。母校の襷をつなぐという伝統は今なお受け継がれている。その一方で、襷を途切れさせる不測の事態も少なくない。2000年度以降、実に9名の選手が途中棄権を余儀なくされている。徳本一善氏(駿河台大駅伝部監督)もそのうちの1人だ。法大4年次に、2区で肉離れによりリタイアした過去をこう語る。「一生背負わなければいけないもので、当時の選手や監督には今でも罪悪感がある」。周囲の期待と襷の重みはいやでも自らをとがめるものに変わる。


憧れの舞台の影

 選手がアクシデントへ追い込まれる要因は主に二つ。その一つは、給水や気象条件などの安全とは言い切れないレース環境だ。大学側の意見とは裏腹に、91回大会から、交通整備上の問題により任意の場所での給水は廃止された。また、レースは早朝にスタートする上、標高の高い区間はさらに気温が低く、路面が凍結する場合もある。

 大会の規模も一要因だ。箱根は、今やドキュメンタリーが組まれるなど報道が注目度を高めている。実際、明大競走部長距離選手の7割以上がが箱根を競技の集大成と位置付ける。しかし、周囲の期待を一身に背負うことで「出場できるボーダーラインの選手は、ケガや体調不良を特に隠しやすい」(徳本氏)。無理を通して出場を請うことはまれではない。


求む二つの改革

 これらの問題を受け、安全確保のための対策が必要だ。甲子園を例に取ると、試合前に検診を行い、重症の場合は選手登録の取り消しを講じている。

 靑葉昌幸氏(関東学生連盟名誉会長)は、連盟を主体とした検診の現実性について「コストの問題があり厳しい」と話す。だが、同連盟からは各出場校に向け200万円もの援助費が支給されている。現在その用途は指定されていないが、その一部を検診に充当させるなどの対策を行えば、やみくもな出走を減らせるだろう。

 また、一区間の距離短縮についての検討も急務だ。出雲、全日本と比べて距離の長い箱根は、体への負荷が大きい。距離に慣れていなければ、リタイアの危険が高まる。これまでの低体温症などによる途中棄権のほとんどが15㌔以降に発生しており、距離短縮には一定の効果が期待される。

 この二つの打開策により、アクシデントは減少し、大会の活気と安全の両立を図れるはずだ。安全第一の箱根が駅伝界の先駆けとなる。

【西山はる菜】


関連記事 RELATED ENTRIES

定期購読のご案内