どこまで続くメイジの大記録 団体インカレ7連覇

拳法
2018.12.19

 自らの記録を塗り替えた。史上初府立(団体インカレ)7連覇が懸かる今大会。準決勝まで順調に勝ち抜き、決勝の龍谷大戦を迎えた。試合は3勝2敗1分で大将戦へ。両校主将同士の対戦に松本崇雅主将(文4=初芝立命館)が敗れ勝敗の行方は代表戦に託された。明大からは松本崇が出場。杉本力矢(龍谷大)にリベンジ。府立7連覇、今年度団体戦負けなしのグランドスラムを決めた。


運命の代表戦

 代表戦にもつれ込んだ龍谷大との決勝。勝った方が日本一。そのマットの上には松本崇の姿があった。今年度、団体戦無敗の男も今大会は1勝2敗1分。直前の大将戦にも敗れ、最大の不調に見舞われていた。それでも最後は「自分が決めるし かない」と、気持ちを切り替えた。小山知常監督に代表戦への出場を視線で猛アピール。選手たちも「必ず勝利を持ってきてくれる確信があった」(古屋敷直道・法4=明大中野)と、反対する者は誰もいなかった。

 運命の代表戦。開始からおよそ2分間スコアが動かない膠着(こうちゃく)状態。均衡を先に破 ったのは松本崇だった。相手のわずかなスキを見 逃さず、胴蹴りで先制。その後は逆転を狙う相手の猛攻をかわし続け勝負あり。試合終了を告げるブザーとともに会場には割れんばかりの歓声が響いた。「夢みたい」。自らの手で前人未到の7連覇を決めた松本崇は笑顔でそう語った。


最高のチーム

 7連覇は必然だった。昨年度の同大会で史上初となる6連覇を達成した明大。記録更新へ期待がかかる今年度。主将の役割は「正直、重過ぎるバトン」(松本崇)。チームをどうけん引するべきか。悩む主将を救ったのは同期の存在だった。元々、私生活でも旅行に行くほど仲の良い4年生。 「松本の意見を肯定することが役目」(林力希・法4=明大中野)。主将の主張を最上級生が一番にくみ取り実践。松本崇が「練習中から熱くやろう」と言えばどの学年より声を出し、日本一と言われる練習をつくった。さらに8月末からは3年生以下との個人面談を実施。下級生の部への思いを聞き、月に1度のミーティングでチームに意見を反映した。常に前を歩いた主将と支え続けた4年生。その熱く、部を第一に考える姿に「勝つことが恩返し 」(佐藤力哉・文3=愛知県私立桜丘)。おのずと下級生の支持も集まった。結束を 強めた松本メイジに関西のアウェーな空気も、7連覇の重圧も関係なかった。シーズンを終えてみれば、明大史上3度目のグランドスラムを達成。「150点のチーム」(松本崇)を築いた。


託された意志

 バトンは次の世代に託された。来年度は府立8連覇に加え、2年連続グランドスラムが懸かり、 重圧は例年以上。さらに林、古屋敷ら大躍進を支 えた一般生も引退を迎える。そんな状況にも「この記録に挑戦できるのは明大だけ」(佐藤)と気持ちは前向き。その胸には松本メイジの〝どんなときでも楽しむ〟という意志が確かに引き継がれ ている。「目の前のことを全力でやれば必ず結果はついてくる」(松本崇)。大きな主将の背中を追って。プレッシャーすらも楽しみながら、大学拳法界の先頭を走り続ける。 

【長沼遼太】

◆松本崇雅(まつもと・たかまさ)大阪府出身。大学卒業で一度現役は退くが、今後は日本拳法の知名度上昇を目指した活動をする予定。162㌢・64㌔