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金親主将終演 全日本総合2位…連覇逃すも「本当に感謝」

少林寺拳法 2018.11.28

 日本一の大学を決める全日本学生大会で総合2位に輝いた。全大学中最多の13部門、14組が入賞し、男子は総合2位、女子は総合1位を獲得した。今年度は、金親優希主将(政経4=桜林)をはじめとする最上級生5人で50人近くの部員をけん引。目標であった総合連覇は達成できなかったが、すがすがしい表情で日本武道館に別れを告げた。


後輩への置き土産

 最後に交わした握手には、感謝と期待がこもっていた。学生最後のペアに金子晴香(政経2=聖隷クリストファー)を指名した金親。「金子には強さがある。自分が今までやってきたことを託して卒業したい」。男女二段以上の部で出場することを決めた。練習では防具を着用し、突き蹴りを強く当てる感覚を体にたたき込ませた。狙いは奏功。速く、強い。そして迫力のある演武に、副審からは同部門最高タイの90点が上がった。「全て出し切ったので悔いはない」。メダルの色は望んだものではなかったが、充実感に満ちた表情を浮かべた。 


自分らしい主将像

 「やり切った」と言える自信がある。昨年12月、幹部交代式を経て新体制が始動。同期は自分を含め5人。例年は2人いるスポーツ推薦も、この代は金親のみ。さらに部員数は50人を超える大所帯となった。主将就任時に「2年連続総合優勝します」と誓いを立てたが、不安は尽きなかった。そんなある日、1通のメールが届いた。小学1年次から9年間世話になった道場の先生からだった。「(道場を卒業した後も)続けて立派に主将になってくれて、大変なこともあると思うけど、おまえらしく頑張りなさい」。〝第2の父親〟と慕う恩師からの激励の言葉に、思わず涙がこぼれた。

 モットーとして掲げたのは「下から支える」主将だ。普段から後輩の演武にも目を配り、その人の目線に合わせて助言。前主将の堀井颯馬氏(平30商卒)からもらった『教える技術』(石田淳著)の一節も参考になった。「メンバーの長所を見る習慣を」。ミーティングの時から常々「自分の武器をつくれ」と口にした。特に大学始めの拳士は各大学の色に染まりやすい。「明大でいえばきれいな演武」(金親)。しかし、それをのみ込むだけでは勝てない。主将自ら一人一人の良さを見極め、引き出す。大会ではスタイルの異なる拳士を組ませ〝化学反応〟を起こさせた。「個性を出した演武をできるのが今の明大の強み」と語るように、9月に行われた新人戦で、新人育成賞(総合優勝)を獲得。やってきたことは正しかった。


「5人だからこそ」

 もちろん、1人ではここまでこられなかった。初めはばらばらだった同期5人。運営や仕事に対する考え方が異なり「団結力は薄かった」。きっかけは幹部交代の時。ここ数年で大きくなった部をまとめるには、幹部が一枚岩にならなければならない。「人数が少ないからこそ、協力していこう」話し合う回数は以前よりも格段に増加。仕事量や情報は常に共有し、迅速に対応した。スポーツ推薦も一般生も関係なく、助け合って「絆が強くなった」。九つあった役職を1年間、5人で務め上げた時には、同じ方を向いていた。「この代は1人でも欠けたら成立しない。同期の4人には本当に感謝しかない」。最後は仲間への思いを口にした。少し照れくさそうに。

【桐山雄希】


◆金親優希(かねおや・ゆうき)千葉県出身。祖父の勧めで少林寺拳法を始める。帯の文字は金色。1位を連想させるためと、名字が〝金〟親であるため。176㌢・75㌔


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