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カツオ 世界で大暴れ

水泳(競泳) 2018.09.26

 カツオが世界に飛び込んだ! 8月に行われたパンパシフィック選手権(以下、パンパシ)とアジア大会に日本代表として出場した松元克央(政経4=千葉商科大付)。二つの国際大会で金二つ、銀一つ、銅三つのメダルを獲得した。来年度の世界水泳、2年後の東京五輪に向けての基盤は出来上がった。


◆8・9~12パンパシフィック選手権(東京辰巳国際水泳場)

◆8・18~9・2アジア競技大会(インドネシア・ジャカルタ)


克央覚醒

 重圧に打ち勝った。「今年戦えないようじゃ来年以降も戦えない」。これから先、国際大会で結果を残すには、今年度のパンパシでメダルを獲得することが絶対条件だった。迎えた200㍍自由形決勝。全身を使ったダイナミックな泳ぎでラスト50㍍を4位で折り返す。目標達成は危ういと思われた。しかし「練習は日本人が一番している」という入江陵介選手(イトマン東進)の言葉が松元の脳裏をよぎる。「頑張っているのに負けたくない」。その執念から脅威の追い上げを見せ、自己ベストとなる1分45秒92をマークし、銅メダルを獲得。続くアジア大会の800㍍フリーリレーでは、リオデジャネイロ五輪金メダリストの孫楊(中国)とのアンカー勝負に。「今までにないくらい緊張した」中でも、世界トップの選手を振り切り、優勝に貢献。「大きな収穫となった」。プレッシャーを乗り越え栄冠を手にした松元は今夏、間違いなく世界最高峰に足を踏み入れた。


先生孝行

 昨年度から200㍍自由形のタイムを1秒以上も更新している松元。たった1年でここまで成長した裏には、鈴木陽二コーチ(セントラルスポーツ)の存在があった。鈴木コーチはソウル五輪で鈴木大地氏(スポーツ庁長官)を金メダルに導いた名伯楽だ。「大きいな」と高校時代から松元に注目していた。本格的に指導を始めたのは昨年4月から。鈴木コーチの練習は水泳界でも厳しいと有名。相当な運動量の中に高い質を求める鍛錬だ。それでも、松元は必死に食らいつく。「彼の一番良いところは苦しくても逃げないところ」。ひたむきな姿勢が二つの大会で好成績を収める要因となった。

 「五輪で先生に良い景色を見させてあげたい」。2大会でメダルを取っても「通過点」としか言わなかった恩師を満足させるには、2年後に金メダルを取るしかない。


天衣無縫

 小さい頃から目標は変わらない。「将来の夢は何ですか」という質問に対しての返答はいつも同じ。「五輪に出場すること」。全くベストを更新できず、夢を諦めかけたこともあった。それでもスランプからはい上がり、今や日本代表で自由形のエースに。「昔から思ってきたことが今につながっている」。松元の夢が現実になる瞬間。その時が刻一刻と近づいている。

【綾部禎】


◆松元克央(まつもと・かつひろ)福島県出身。185㌢・85㌔


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