4組が1位 全ての部門で躍進/関東学生大会

少林寺拳法 2017.05.05
 「明治」の名を知らしめた。少林寺拳法創立70周年となった今年の関東学生大会は『邂逅(かいこう)』というスローガンのもとで開催され、明大は最高段位を含む4部門で優勝を果たした。男女二段以上の部で堀井颯馬(商4=成田国際)・谷口藍梨(政経2=神島)組、女子初段の部で横山可奈子(文4=明大明治)・上野絵美(営3=志學館)組、男女段外の部で田中香那(政経3=向陽)・根本航平(法3=千葉北)組、男子白帯緑帯の部で鈴木雄大(法2=明大中野)・星川祥規(政経2=文京)組がそれぞれ1位に輝き、さらに10部門で入賞。目標の総合優勝には及ばなかったものの、部全体での底上げを印象付けた。

 頼れる主将が結果でも見せた。次期女子エースとなる谷口に「今のうちに自分が伝えられるものを伝えたい」(堀井)と、谷口と組み、男女二段以上の部に出場した堀井。男女の演武では女子の強さが求められるため、堀井に劣らない迫力を出させる必要があった。そこで「しっかり当てること」(堀井)を指導。さらに、キレ、スピードに加え、一つ一つの動作の「間」をしっかり取ることで技を引き立たせた。本戦では力を出し切り見事優勝。「ホッとした」(堀井)。上級生、そして主将としての役割を果たした。

 「らしさ」全開でうれしい優勝だ。女子初段の部で堂々の1位を獲得した横山・上野組。上野は昨年の全日本学生大会の茶帯の部での優勝を買われ、今回は一つ上の部門での出場となった。演武は2人いわく「激辛な構成」。そのゆえんは3月の春合宿期間中、上野がアメリカへ留学していたことにあった。「どんな構成にしたいか上野に聞いたら『スパイス的なのが欲しい』と話した」(横山)。形をなぞるような演武ではなく「らしさ」を入れ込んだ。しかし「脂肪を付けてアメリカから帰ってきてしまった」(上野)と帰国後は基礎体力トレーニングさえつらい状態に。それでも持ち前の根気強さで乗り切り、脂肪を筋肉に変えた。そして、力強い突きやスピードのある動きが持ち味の横山に「基礎の基礎から教えていただいた」と上野。修練を積み本番では力強い実(じつ)のある演武を披露し結果を残した。閉会式後「感無量」(上野)と顔をほころばせた。

 お互いを刺激し合った。明大から男女段外の部に出場したのは2組。3年生同士の田中・根本組が1位、2年生同士の木村奈菜子(政経2=東邦)・関根浩貴(営2=明大中野)組が3位に輝いた。先輩である田中・根本組は「下級生には負けるつもりはない」(根本)と修練に励み、貫禄のある演武を行った。一方、全日本学生大会で白帯緑帯の部で優勝を収めた木村と関根は、茶帯の部門での出場は初めて。「先輩たちを見て学びたい」(木村)。本戦ではダイナミックな演武を見せ堂々の3位。「良いライバルだった」と根本。先輩・後輩の存在が結果を後押しした。

 一人一人が結果を残した。「練習でやってきたことを出し切れた」(鈴木)。男子白帯緑帯の部で優勝に輝いた星川・鈴木組。「一つ上の部門でも優勝できるような演武をしたい」(星川)との言葉通り、鈴木の大きい動きと星川の力強さが合わさった一枚上手の演武を見せた。金親優希(政経3=桜林)、飯塚靖隆(法2=城北埼玉)、廣瀨輝(情コミ2=成田国際)は三人掛けの部に出場。金親のケガが懸念されていたが、1対2の臨場感あふれる攻防を繰り広げ、2位を獲得した。男子初段の部では坂田英作(政経4=明大明治)・梶山和人(法1=川越東)組が同じく2位。1年生4年生ペアが躍進を遂げた。単独有段の部に登場したルーキーの惠中崇敬(商1=神島)は、もともと出場を予定していた組演武から単独演武への変更が決まったのがおよそ2週間前。時間がない中、大会まで自分を追い込み、本番では髪も五厘にした。優勝まであと一歩届かなかったが、気迫あふれる演武を披露した。ケガにより万全の準備はできなかったものの、全力のパフォーマンスを披露した沖彩奈(商3=共立女)は単独段外の部で2位。どの部門でも、個々が出せる力を演武にぶつけた。

 総合優勝まであと一歩だ。今年の少林寺拳法部のスローガン『輝き』。一人一人が輝けるチームを目指す。今大会、多くで上級生と下級生が組み、育成を試みた。今回思うような結果が出せなかった拳士も、その経験は血肉となるだろう。さらに「夏合宿に運用法の練習をしようと考えている」と関谷芳久監督。今大会の運用法での出場は堀井のみという明大の穴である分野にも力を入れていき、総合優勝を確実に狙っていく。次の大きな大会である新人戦、全日本学生大会に向け、また気持ちを新たに始動する。

[亀井笙子]

試合後のコメント
堀井

「とりあえずホッとしました。予選はビデオを見ていても動き固いなと思っていて、でも同じコートでやっている他の大学見ていてもそんなに焦りとかはなかったです。しっかり調整して臨めば大丈夫と思っていました。本戦は出し切るということだけを考えてやりましたが、やっぱり点数見たときはうれしかったですし、ホッとしましたね。肩の荷が下りたというか。自分の中での課題というのが、谷口を育てることでした。明治の中でも女子だったら谷口って他大からも思われるようにしていきたいと。そういうのも含めて結果が出てくれたので、お疲れ様って感じで演武が終わった後に谷口の背中を叩きました。自分たちが卒業しても、谷口が明治を引っ張っていけるように最後まで自分たちもサポートしたいです。総合優勝を逃したのは本当に悔しい。みんなにも付き合わせてしまったので申し訳ない。でも出た子たちは優勝したり2位、3位っていうのが多くて、部員に感謝しています。今回を生かして、新人戦と全日本を勝ち切れるようにしっかり指導していきたいです」

横山
「ホッとしたというのが一番強いです。予選ではスピードとか周りの演武にちょっと気を取られてしまって、自分たちらしい演武ができなかったかなと思うんですけど、本戦ではきちんと自分たちの強みである実のある攻撃というのがしっかりできたなというふうに思います。吐きそうなくらいの緊張もありましたが、緊張した方が練習以上のものが出せるっていう自信があったので、その緊張から良いモチベーションを作って臨めたかなと思います。(今後)私にとって学生大会はあと一回なので連覇できるようにしたいです。自分の強みは先輩方に教えていただいてしっかり理解できたなと思うので、その強みを審判にしっかりアピールして自分の演武をして勝てるように頑張っていきたいと思います」

上野
「感無量です。形だけでなく、他の女子拳士に比べて力強い演武ができたかなと思います。予選の時はものすごく不安で。予選は自分の出番の前に泣いてしまいそうなくらい不安でしたが、横山先輩がそばにいたので思いっ切りやることができました。(今後は)今回横山先輩から基礎の基礎から教えていただいたのですが、まだいまだにそれが出し切れてなく、甘い部分が自分の中にあるので、それをしっかりと自分のものにして横山先輩から受け継いだものを演武に出していけたらいいなと思っています」

岡本
「不甲斐ないというか、悲しいというか、悔しいというか、申し訳ないというか。全力で出し切ろうと思ったんですけど、出し切れたけど出し切れなかったかもしれないという後悔が今来ています。次はもう優勝するしかないです」

金子
「後悔しかないです。演武の構成を間違えてしまいました。緊張していてというより、1構成目の固めで『あっしくじった』と思ってしまったら無意識に動いていて。無意識に間違えてしまいました。とても頑張ってきていたので悔しいです。また岡本先輩と組んで、今度こそ優勝したいです」

根本
「安心しました。接戦かもしれなかったので、どうなるかって。でも自分たちの努力を信じていました。予選の時は少し調子が悪くて、まずいかなと思ったのですが、本戦までにどう切り替えるかが勝負だと思いました。本選はもう後悔しないように、ミスしてもいいくらいの気持ちで挑みました。(木村・関根組は)は一番のライバル。4人で明治を上げるぞって。良きライバルでした」

田中
「まずは、1年生の時に一緒に出られなかった根本とまた組めて、そして優勝できたことが本当にうれしいです。まだ信じられない気持ちです。目指していたものが取れました。予選は最初に自分が間合いを取り過ぎて、あわててしまいました。根本が本選でサポートしてくれたので感謝しています。出し切るのみでした。総合優勝を逃したのは悔しいですが、勝ち数では一番だと思います。そこで堀井先輩に貢献できたと思うのでうれしいです」

星川
「いつも通りの自分たちのいいところが出せたと思います。それとは対照的に、予選では少し緊張してしまいました。目標として本番ではいつも以上に大きな動きをするように心がけました。また、緊張すると動きが速くなってしまう癖があるので落ち着いて動くように意識していました。(本番の演武に点数をつけるとしたら)95点です。よかったと思います。自分はキレが足りてないと思うので、キレを意識していきたい。キレも増して今以上の演武をしたいです」

鈴木
「今日は大会だからと言って緊張することなくいつも通り練習でやってきたことを演武で出し切れたのでこのような結果になったと思います。だけど予選ではちょっと緊張してしまってあんまり動けている感じはなかったです。でも逆に予選ではまだまだできるというように感じられたので、本戦ではこれよりもっといい演武をしようということを予選終わりに2人で話していました。(本選では)結果を出そうとすると緊張してしまうので、楽しみながらみんなに自分たちの演武を見せるように意識しました。特に大きい動きを意識しました。大会だからと言って早い動きにならずに力強い動きを心がけました。(本番の自己採点は)同じく95点。よくできたと思います。今後は基本的な部分をしっかりと見直していきたいです。みなさんに好かれる演武を目指していきたいです」

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