府立前インタビュー ~4年生~ 玉置裕也、永里純、原田優介

拳法 2016.11.26
 原田メイジが最終決戦に臨む。11月27日、大阪府立体育会館(現・エディオンアリーナ大阪)で第61回全日本学生拳法選手権(団体インカレ)が開催される。通称は「府立」。全国の日本拳法部が最終目標として掲げる大会だ。そんな大舞台で明大拳法部は5連覇達成という偉業に今大会挑む。決戦直前、臨戦態勢に入った彼らに突撃し、その強さの秘訣に迫った。

<玉置裕也・文4=大商大堺>
――府立一週間切りましたが今のお気持ちは
去年も緊張しましたが、最上級生でまた初の5連覇が懸かっているので緊張しますね。(チームの雰囲気は)まだ盛り上げられますね。合同練習を一週間前にしたときにこのままじゃいけないなと思いました。新人戦で負けた時点でこのままじゃ駄目だなと思いました。新人戦は自分は出てないですけど、応援してた身から見たらすごい悔しい負け方をしてしまったので、お前らは悔しい思いをしているのかと伝えました。悔しい思いをしているんだったら今のままじゃよくないといつも言い続けてます。負けたことに恥を知れって強く言ってます。

――4年生はどういう気持ちでやってきたか
頼れる先輩の立場に来てしまったので、常にチームの足を引っ張らないようにしてますね。逆に負けて回ってくれば自分が切り替える、自分ですべてが変わる選手になろうと思っていました。(個人で取り組んだこと)ほかの選手に比べたら、体力が無いので連打しないです。その分1発1発に絞っているので1発当てる確立を高くするように打ち込みとかはどういったところに当てれば一番効くのかゆっくり確認して、そのあとそこに目がけて実践的に打っていく練習をしていました。

――2人でどうチームをけん引してきたか
原田は練習メニューとか考えなくちゃいけないし、チームをまとめなくちゃいけなく、考えることがたくさんあるので少しでもサポートができるようにと思ってました。後輩がちゃんとやってなかったら叱って、しっかり示しつける。常に後輩が府立の優勝の道からすこしでも外れないように原田は上からついてこいみたいな感じですけど、自分は後ろから後輩を見ながら押してあげる。そんな感じですね。原田がついてこいよと言っても、そんな簡単にはついてこないじゃないですか。だから自分とかがしっかり、後輩を指導したり、常に周りを見てそれている奴がいれば叱って。この時期なんかはお前らが負けたんだぞ、府立の前に新人戦5連覇できなかったのは恥だぞみたいなこと言いました。そんなこと先輩に言われてもイライラするじゃないですか。でも、負けたものは負けたんですし。その怒りをため込んで府立にぶつけてほしいと思ってボロクソに言ってました。

――4年生になって原田さんとの関係の変動はあったか
いやぁ4年間嫌いなままですね(笑)。(主将になって原田さんが変わったところは)裸にならなくなりました。原田君はおふざけが少なくなりましたね。

――府立のヤマ場は
どれもヤマ場じゃないですかね。一つに集中してないとどこかでこける気がするので。1回戦からフルパワー掛けられる感じで一回戦から7―0で全部勝ちたいくらいです。安心してはいけないなと思います。1回戦も選抜では3、4位になっている大学なので油断できないです。早稲田とかも上がってきたら、明治の研究に尽くしていると思うので、研究されてるその時の能力よりも常に上にいける形でやっていきます。

――府立はどういう気持ちで臨むか
最優秀しか考えてないです。(原田さんはMVPを狙っていますが)言ってました?無理無理っと言ってください(笑)。(自分が想像していた4年生と今)大人しくなったんじゃないですかね。少しは周り見て後輩に指導できるようになったと思います。状況読むとか少しずつできてきたんじゃないかなと思います。

――今年と昨年のチームの決定的な違いは何でしょう
確実に勝てる選手が2人いるってことじゃないですかね。でも後輩がそれで安心してしまうデメリットと、3年生は自分も勝たなくちゃいけないという気持ちを持ち始めているのであいつらが来年引っ張らなくちゃいけないというプレッシャーがあると思うんですけど、これくらい成長しなくちゃいけないと俺たちがあいつらの目標になっているんじゃないかなと思います。

――府立への意気込み
油断せず、最低目標が全勝です。全勝してチームを優勝に引っ張ります。

――ありがとうございました

◆ 玉置 裕也(たまき・ゆうや)文4 大商大堺高出 174cm・77kg


<永里純・政経4=幕張総合>
――府立まで一週間切りましたが
もうそんな時期かって感じです。もう早いです。最後だからこの4年間振り返ったりすると早いなって感じです。(1年生の時思描いていた4年生と今を比べて)1年生の時はレギュラーになって試合に出るとか想像できなかったから、いい意味で自分の想像を超えられたなと思います。

――チームの雰囲気は
順調に大会に向けて全員の士気が上がっていると思います。(例年との違い)昨年は石田先輩が試合も練習も引っ張っている感じがしましたが、今はみんなでどういう練習をするか決めている。全員でやっているなっていうのが昨年との違いですかね。

――原田さん、玉置さんで主将を決めるときの心境は
どっちもやりたいってことでしたし、両方頑張っていたし、どっちもできればいいんですけど、やっぱり選ぶのにはつらいものがありました。辛かったですね。去年の先輩が引退してから次の練習の2か月くらいは大分ギクシャクしてました。最悪の雰囲気のスタートでしたね。そんな感じでした。(それが解消された時期は)特にこれといったエピソードはないです。でもキャプテンになりたくてなれなかった玉置が自分の気持ちに整理がつかなくていろいろギクシャクしたんだと思います。彼の中で、自分が4年生になって練習をやっていくうちに、キャプテンじゃなくても、肩書はなくても似たようなことはできるっていうのを自分で考えて見つけ出して今みたいに、ツートップでやるっていう体制ができたかなと思います。3月に合宿があって、新体制の練習が本格的に始まるので2月の中旬で最初の二週間はギクシャクしましたが、結果は大丈夫になりました。

――府立ではどういうパフォーマンスを見せたいか
勝ちたいです。勝ちますよ。やっぱりレギュラーなんで。自分の目標はレギュラーになることじゃなかったので、レギュラーになって勝たないと優勝してきたチームで勝たないと意味ない。ほかのメンバーに申し訳ないし、他の人を差し置いて出てる意味がないです。勝ってこそ真のレギュラーだと思うので全部勝って優勝したいですね。

――一般生のプライドというものは
一般の中でも、古屋敷みたいに柔道とか何かしら拳法に生かせるバックグランドが無かったです。何もやってこないで入ってきた選手とか後輩とかいっぱいいるので、そういう人の中でレギュラーになった人今まで多分いなかったので、そこでレギュラー僕が取って試合で活躍すれば後輩たちにいい影響与えられると考えて常々やっていますね。

――4年生になって意識したことはありますか
今言ったことだったりとか、あと今まではいかに自分が強くなるか100%意識がいってたんですけど、一番上に立つと後輩とか指導して、来年再来年の拳法部を強いまま維持できるか、育成面で少し気が向くようになりました。(みんなで引っている意識があると思うが)練習メニューとか前までは石田先輩が考えてきたことをみんなに伝えてやるみたいな感じでしたが、今年はみんなでミーティングしてやりたいことを聞いてそれをしっかり取り入れて練習してます。

――府立の意気込みをお願いします
優勝です。自分も全勝。それだけです。この大会優勝しなかったら、他の優勝してきた大会も全然意味なくなるくらいな大会なので絶対優勝します。

――ありがとうございました

◆ 永里 純(ながさと・じゅん)政経4 幕張総合高出 177m・74g


<原田優介・法4=朝倉>
――府立前、今のお気持ちは
本当にいろいろ、やり切ってきたなという感じです。あとは体力面の追い込みとか技術面とかその辺の練習をばっちりしてきたので今までやってきたことを試合に向けて仕上げていこうという感じです。(チームの雰囲気)すごく試合前になって盛り上がってきていますし、追い込みも終わったので精神的な負担も減ったんじゃないかなと思います。試合に向けて緊張しつつも気楽にやってもらえたらと思います。

――自身のコンディションは
ばっちりです。これまでにない最高のコンディションです。(前に進む戦闘スタイル)団体戦では積極的なプレーっていうのは必要です。もっと前と前というよりも捉え方を変えてしっかり動きながら前に動いて積極的に攻撃を仕掛けなくちゃなと思います。(その戦い方は主将を意識したからか)引き分けで終わることもあるので、それでは自分としても満足いかないというか、勝って終わるのが大将の役目だと思いますし、それには積極的なプレーが必要だと思います。

――グランドスラムがかかっています
5連覇とグランドスラム、もうこんなビッグチャンスは今までないくらいなので必ず取りに行きたいと思います。(理想としていた主将像と現在を比べて)僕の価値観だけを押し付けてきた感じでもありました。自分は練習を重要視するタイプなので、本気出さないやつは厳しくしようと思っていましたし、主将になってからもずっと意識しました。それがみんなに伝わったかどうかはよくわからないですが(笑)。頑張る人の仮面をかぶることがすべてだと思いましたが、人間の弱みをさらしたほうがコミュニケーションを取りやすいと思いました。その価値観がだいぶ変わりましたね。

――新体制当初は主将争いでギクシャクしていたが
もちろん、お互いチームを引っ張っていきたいという気持ちがあるから、玉置のいうことも聞くようにして尊重しながらやっていきました。逆に意見を言ってくれることも必死だったんだなと思ってうれしかったです。自分がだらけた時とかに玉置から一言言ってくれた時とかそういう第三者の目で言ってくれました。そういう風に指摘があったのがよかったかなと思います。

――一昨年、昨年は4年生1人が引っ張っている印象でしたが
僕らの代はお互いが意見をいいやすい環境でした。同期全体から俺もいろいろ言われたし、言ってくれてうれしかったです。いい意味で4年生全体で引っ張ってこれたと思います。(例年とチームの雰囲気の違い)厳しくいう人が2人いたら引き締まりますし、俺が気づかないことをあいつが言ってくれたりして、たるみがなかったと思います。

――玉置さんはどんな存在か
最後までライバルですね。府立でも玉置よりいい個人賞取りたいと思いますし、いいライバルでありいい仲間。ともに全勝で行きたいです。お互いが全勝とってその中でどっちが個人賞とるか府立の中でもこっそり競い合っていきます。(そういう話をするか)いやあんまりしないですね。互いに意識はしていると思います。(東日本総合選手権の時は)互いに最後の個人戦がライバル同士でよかったというのはもう変わらないです。これから府立まで力合わせてやっていこうと連絡しました。最後の個人戦がお前でよかったとLINEしました。

――3年の時と比べて2人の関係性は4年生に上がるにつれて変わったか
3年の時はどっちが主将になるかというのでバチバチしていました。お互い負けたくないっていうのは未だにありますけどね(笑)。周りに悪影響を与えない感じでよくなってきてます。前はちょっと影響することがあったので。1個上の代がいなくなってから、どっちが引っ張るかピリピリしました。

――今大会意識していることは
今年の傾向的に大将に強いひとが来ているので俺が抑えなくちゃいけないと思います。全体的な強さはうちが一番強いから、どうしても試合となると、コンディションであったりとかで変わってくるからその力が均衡してるところの勝負をいかに勝たせるか、勝つかその辺は意識してやっていますね。

――明治の強さとは
OB先輩の拳法部に対しての金銭面の支援だったりとか、優勝なコーチがついていることだったり。やっぱりあとはうちの練習量です。(明治でよかったと思うことは)弱かったのでここまで強くしてもらいました。あとは先輩方が本当によかったです。それは受け継がれていくものだなと、僕も先輩になりたいと思いました。なれたかわかりませんが(笑)。

――印象に残ったこと
僕が5連覇を目指す主将であって、グランドスラムと。そこまでチームを勝たせてこれたことともうれしいし、こんな主将になれたのが一番うれしいですね。(チームの底上げ)来年に向けての不安はどこだってあるから、下を育てることだったりとか、レギュラーに入るけどポイントゲッターじゃないところをいかに強くするかとか考えましたね。プレッシャーかかるけど、やりがいのあるチームの大将でやらせてもらえることは幸せなので、精一杯やらせていただきます。

――府立前、今のお気持ちは
もちろん、5連覇狙いに行って、俺がMVPとって最後に百合草にいいバトンを渡せたらなと思います。

――ありがとうございました

◆ 原田 優介(はらだ・ゆうすけ)法4 朝倉高出 168cm・63kg

[島村昭二]

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